2006.10.14〜 東京・練馬 老健「すずしろの郷」 業務停止命令
| 11月29日朝、読売新聞 | ☆杏稜会法人認可取り消し「すずしろの郷」ずさん経営で都が処分 29日、読売朝刊は以下のように報じている。 『練馬区の介護老人保健施設「すずしろの郷(さと)」がずさんな経営を続け、業務停止命令を受けた問題で、都福祉保健局は28日、医療法に基づき、同施設を運営する医療法人「杏稜(きょうりょう)会」の設立認可を取り消した。理事長職務代行者の弁護士は「処分の取り消し請求訴訟などはしない」としており、同法の規定で杏稜会は解散し、清算手続きに入る。 同局によると、処分は杏稜会の自己資本の割合が基準を下回り、決算書も提出しないなど、多数の法令違反を改善しなかったことが理由。「すずしろの郷」は今月1日に閉鎖され、入居者は他の施設に移転、土地・建物は東京地裁が競売開始決定をしている。 入居者の親族や周辺住民の一部は、練馬区に介護老人保健施設としての再建を求めているが、引き継ぎ先は現れていないという。区も今月15日、都に対し施設再建への協力を求める要望書を提出したが、都は土地・建物の競売が終わるまで、推移を見守る意向だ。 一方、杏稜会に対しては都が約6億4000万円、国なども計2億数千万円の補助金返還を請求している。しかし、債務超過のうえ、医療法人解散で補助金は一般債権扱いになるため、返還はほとんど望めない状況だ。』 |
| 11月1日夜、TBS | ☆老健「すずしろの郷」、今日1日「閉鎖」、利用者・職員は 1日夜、TBSは以下のように報じている。 『突然、施設からの退去を余儀なくされたお年寄りたち。ずさんな経営が明らかになった東京の介護老人保健施設が、東京都の命令によって1日から業務停止となりました。 東京・練馬区にある介護老人保健施設「すずしろの郷」。この日、入所者の松原芙美子さんと家族が別の施設に移る準備をしていました。1年以上過ごしたこの施設。 4人部屋の友人たちはすでに他の施設へ移りました。急な別れに松原さんは寂しさを隠せません。 「職員さんも、自分で給料がもらえるか、もらえないか分らんのに、一生懸命働いていらっしゃる。頭が下がります」(松原芙美子さん) 「残念ながら改善が見られない」(東京都の会見) 先月14日、東京都が「すずしろの郷」に出した業務停止命令。直接の理由は、法律で決められた施設管理者がいない事でした。 「がっかりですね。がっかりしました」(利用者) しかし、このほかにもずさんな経営の実態が明らかになりました。東京都によりますと、負債12億円の返済が滞り、建物と土地を第三者に売却。さらに月3000万円の介護報酬を差し押さえられるなどしたのです。東京都は改善を指導しましたが、結局、今回の業務停止命令となりました。 松原さんが移った施設の部屋は4人部屋。ベッドを一つ加えて過ごすといいます。 「母がすごい神経質なたちっていうんですか、新しいところになじむまでに時間がかかるんですよ」(松原さんの息子) 今回の事態の背景には何があったのか。裁判所から理事長代行に選任された弁護士はこう話します。 「(経営者らの)三つ巴のような状況。(経営者の思惑のひとつは)上手に経営すればそういう利益も生める」(理事長代行 高橋裕次郎 弁護士) 70人以上いた入所者は全員、ほかの施設に移りました。 「スタッフもいつでも再開できるように、何人かが望んでこちらに残ってくれていますし」(残された職員) 東京都が出した4億円の補助金も回収不能の見込み。高齢化社会に大きな不安を投げかけた今回の問題は、責任の所在がうやむやのまま、幕が引かれようとしています。』 ■哀しい結末・・・残った職員の方には、かける言葉も見つかりません。 |
| 31日昼、TBS | ☆介護老人施設業務停止、都が返還請求 「すずしろの郷」 31日昼、TBSテレビは以下のように報じている。 『東京・練馬区の介護老人保健施設が業務停止命令を受けた問題で、東京都はこの施設を運営している医療法人に対し、補助金など、およそ6億4000万円という巨額の返還請求を行いました。 この問題は今月14日、東京・練馬区にある介護老人保健施設「すずしろの郷」が、ずさんな経営などを理由に、東京都から業務停止命令を受けたものです。 東京都は31日午前、施設を運営する医療法人社団「杏稜会」に対し、来月20日を期限に、およそ6億4000万円の返還請求を行いました。 内訳は、施設設立のため東京都が拠出した補助金3億6000万円あまりと、違約加算金2億7000万円あまり、となっています。 しかし、この施設では診療報酬が差し押さえられるなど、すでに12億円の負債が返済不能となっており、実質的に返還は困難と見られていて、東京都で今後の対応を検討しています。』 |
| 29日朝、読売新聞 (2006.10.29 19:00差替) |
☆借金、内紛の果て「閉鎖」 すずしろの郷 「老健再生」は限りなくゼロ 介護老人保健施設として、全国で初めて介護保険法に基づく業務停止命令を受けた「すずしろの郷」(東京都練馬区)が来月1日、閉鎖される。 都は経営主体の医療法人「杏稜(きょうりょう)会」についても、近く設立認可を取り消す。介護保険の導入で、経営体力も経験もない事業者が参入し、行政側もそれに目をつぶってきたという問題が背景にある。 <「何だ、これは?」。出勤すると、職員食堂に紙が張り出されていた。理事長が、事務長ら4人を解雇したという内容だ。4人はこの日から姿を消した> 理事同士の反目が表面化したのは、「すずしろの郷」が開設されてまだ4か月後の2000年5月。当時の職員のメモには、理由も示されないままの解雇騒ぎに、職場に動揺が広がった様子がつづられている。 「杏稜会」は「すずしろの郷」を経営するために1998年2月に設立された。関係者によると、土地を持っていた地元の農家が、「介護保険制度で毎月、理事報酬や地代が入る」と知人から持ちかけられたのが始まりだったという。 ところが、登記簿によると、土地は法人設立時には借金4億円の担保に差し出されていた。杏稜会は土地を買い取らざるを得なくなったうえ、施設建設のために「社会福祉・医療事業団」(現・独立行政法人「福祉医療機構」)などから計12億円の借り入れをした。 スタート時から金利負担が経営を圧迫。施設の開設許可は都から下りたものの、トラブルの種が、経営陣の深刻な対立を生むまでに時間はかからなかった。 介護保険が導入された00年4月当時は施設が足りず、行政は「負担あってサービスなし」との批判を懸念し、施設や法人の審査は甘くなりがちだった。 老人保健施設は95年に全国で1195か所だったが、昨年は3278か所と、10年間で3倍近くに増えた。異業種からの参入も相次ぎ、中には不適格業者も交じっていたが、その典型が「すずしろの郷」だった。 <「施設の混乱に対し、都から指導できないのですか?」「都は医療法人にはできますが、現場への指導は練馬区の役割です」> 職員のメモには、都や区に対し異常な実態を再三訴えた記録がある。都などが、形ばかりの改善指導を繰り返すうちに内紛はエスカレートした。 本来、置かなければならない常勤の医師がいないため、入居者の健康管理はおろそかになり、約1か月で10人が入院。皮膚病が発生したこともあった。負担が重くなったことに嫌気がさした看護師8人が次々に退職した。経営の逼迫(ひっぱく)で給食業者への支払いは遅れ、債権者を名乗る暴力団関係者とみられる人物も出入りするようになった。 今年4月に施行された改正介護保険法では、介護老人保健施設に対し、改善命令や業務停止に至らなくても改善を勧告できるようになり、行政がきめ細かな対応をできるようになった。 都福祉保健局では法改正直後に「すずしろの郷」への改善勧告を検討したが、結局、8月中旬まで見送られた。幹部は「月額3000万円近い介護報酬があり、何とか持ち直してほしいという期待があった」と打ち明ける。ところが、その介護報酬は、勧告を見送った直後に債権者から差し押さえられ、都の甘い期待はあっさりついえた。 すずしろの郷の土地・建物は、すでに競売開始が決定。申し立てた福祉医療機構は、新たな経営母体による施設再建を前提に、競売参加者を社会福祉法人や医療法人に限定するよう東京地裁に上申書を出したが、聞き入れられなかったという。 施設建設には都などの補助金約5億4000万円もつぎ込まれているが、戻ってくる見込みは薄い。老健施設として再生される可能性も限りなくゼロに近い、と都はみている。 ☆情報開示不十分/移転先、自治体責任で 異業種参入続々 施設数10年で3倍 介護老人保健施設を巡っては、京都府の医療法人が運営していた2施設が虚偽の勤務表を提出したり、介護報酬約2億9000万円を不正受給したりしたことがわかり、府は今年3月、開設許可を取り消した。 しかし、この施設の運営は入居者や職員ごと別の医療法人に引き継がれ、再建されている。「すずしろの郷」のように施設自体が実質的に閉鎖させられるのは、介護保険法改正前を含めても極めて珍しい。 都福祉保健局によると、入居者72人の受け入れ先は決まったものの、リハビリの設備がない特別養護老人ホームを割り振られた人もいる。家族からは「代わりの施設には『3か月で出て』と言われた」といった不安も漏れる。また、通所リハビリの登録者109人については、ケアマネジャーが受け皿探しに奔走しているが、全員に代替施設が行き渡る見通しは立っていない。 入居者や利用者の立場で介護施設の経営実態をチェックすることは可能なのか。介護の質については今年4月に情報公表が義務付けられたが、経営面はいまだ不十分。介護保険法などを改正して一律に情報開示を求めることには、施設や自治体の負担が大きくなり過ぎるとして、「現実的でない」とする専門家が多い。 真野俊樹・多摩大医療リスクマネジメントセンター教授は「施設が自主的に公表するのが望ましい。赤字・黒字の状況や職員の離職率を、目指す介護のレベルと連動させて示せれば、信頼も得られる」と提案する。 介護報酬の減額で追い込まれる施設が増えている中で、経営状況を事前につかめれば突然退所を迫られる事態を避けられる。 田中滋・慶応大大学院経営管理研究科教授は「質の悪い施設が淘汰(とうた)されるのは、悪いことではない。ただ、自治体には、施設が閉鎖された際、利用者の行き場を確保する責任がある」と話している。 ☆なぜ開設許可下りた? 「事前審査から事後チェックへ」。規制緩和に伴って、金融の世界などでは行政の役割をこう表現する。「すずしろの郷」の業務停止を聞いたとき、介護行政にも変化の波かと感じたものだが、取材を進めると、「こんな事業者になぜ開設許可が下りたのか」と不可解さが増した。 事前審査が甘くなれば、そのツケは利用者に回る。都は当時の資料のほとんどを廃棄したとして、実際にどんな審査だったのかは今や闇の中だ。問題が生じた経過を明らかにしなければ、改善も見込めないはずだ。』 ■施設は11月1日閉鎖、法人認可取り消しは近日中とのこと。入所者・利用者不在の施設運営のつけは、入所者・利用者・家族ばかりか、補助金の源=税金=すわなち市民が負う。新聞の論調は東京都に厳しくなっているが、それも仕方なし、か。 |
| 27日朝、中日新聞 | ☆練馬『すずしろの郷』 杏稜会の認可取り消し答申 区は『別法人で継続を』 27日朝、中日新聞は以下のように報じている。 『練馬区春日町の介護老人保健施設「すずしろの郷(さと)」を運営する医療法人・杏稜(きょうりょう)会の設立認可取り消しを二十六日、都の審議会が答申した。十一月一日から業務停止となる施設の存続を望む声は、地元の練馬区や利用者から出ているが、今後の見通しは全く見えない。経営陣の内紛によって地域の施設が失われることに、利用者や関係者の落胆や不満は尽きない。 二十六日は入所者八人が「すずしろの郷」を去った。同施設によると、同日と二十七日が退所のピークだという。玄関前には施設の福祉車両や介護タクシーが並び、車いすで出てきたお年寄りたちが家族に付き添われて車に乗り込んだ。 見送った職員の一人は「利用者の方々が、一番かわいそうです」とつぶやいた。「寂しくなるね」とお年寄りの手を握って別れを惜しむ女性職員も。 練馬区によると、入所者七十二人の受け入れ先は、自宅へ帰る人を除いて区内外の計十九カ所に決まっている。二十五日までに四十六人が新しい施設に移り、残る二十六人も三十日までに退所する。 一方で通所者については、区が施設に職員を派遣、ケアマネジャーと区内の別の通所先を探す作業を進めている。二十一日を最後に打ち切っている通所リハビリテーションは、受け入れ先が少ないため、リハビリ主体としていない通所介護施設に回る人も出てくるとみられ、利用者が希望するリハビリを受けられなくなる懸念もある。区には二十五日、通所者の家族から、施設存続の要望書が出された。 同区の阿形繁穂・地域福祉課長は、杏稜会について「何度も指導をしてきた。施設も職員のサービスも良く、利用者の評判がよかっただけに、認可取り消しになる前に改善してほしかった」と不満を漏らした。そのうえで「定員百人の施設を区内からなくしたくない。別法人が施設を使って事業を続けてほしい」と話した。』 |
| 26日深夜、朝日新聞 | ☆東京「すずしろの郷」認可取り消しへ 業務停止命令受け 26日深夜、朝日新聞は以下のように報じている。 『東京都練馬区の介護老人保健施設「すずしろの郷(さと)」が業務停止命令を受けた問題で、都医療審議会の医療法人部会は26日、施設を運営する医療法人「杏稜(きょうりょう)会」の医療法人認可を取り消すことが妥当とする答申を出した。都は答申を受け、施設の入所者がすべて転出した後、来月にも認可を取り消す方針で、施設は閉鎖される。 都によると、同部会では取り消しの理由について、(1)都の指導や命令に反して医師の施設管理者を常勤させていない(2)土地、建物ともに医療法人の所有ではなく、多額の負債を抱えて経営破綻(はたん)状態であること――などが挙げられた。』 ■入所のためにも他法人売却の手は打てなかったのか? 残念。6億近い補助金は「どぶ」? |
| 26日未明、読売新聞 | ☆「すずしろの郷」運営法人、都が設立認可取り消しへ 26日未明、読売新聞は以下のように報じている。 『東京都練馬区の介護老人保健施設「すずしろの郷(さと)」が業務停止命令を受けた問題で、都は施設を運営する医療法人「杏稜(きょうりょう)会」の設立認可を取り消す方針を決めた。 26日に開かれる医療審議会医療法人部会に取り消し処分を諮問する。 医療法に基づく医療法人の設立認可取り消しは、都内では初。処分が確定すれば杏稜会は解散する。 都福祉保健局では、杏稜会は実質的な債務超過状態になっているうえ、行政処分後も経営陣の内紛が収まらず、医療法人としての存続は難しいと判断。解散を決めるための社員総会を開ける見込みもないため、認可取り消しを決めた。 一方、すずしろの郷の入居者の家族らは25日、別の運営者を探して介護老人保健施設として再建することを求める要望書を練馬区に提出した。』 |
| 16日朝、朝日新聞 | ☆業務停止命令、不服と仮処分申請へ 16日朝、朝日新聞東京都練馬区の介護老人保健施設「すずしろの郷(さと)」が14日、都から2カ月間の業務停止命令を受けた問題で、施設を運営する医療法人「杏稜(きょうりょう)会」(高橋裕次郎・理事長代行)は、命令を不服として、取り消しを求める仮処分を東京地裁に申請する方針を固めた。早ければ16日にも申立書を提出する。 介護保険法では、介護老人保健施設には「都道府県知事の承認を受けた医師」を施設管理者とすることが義務づけられている。同会は施設管理者が不在であることを理由に命令を受けた。しかし、同会幹部によると、業務停止命令前の13日、医師の資格を持つ人物を施設管理者として都に申し出ていたという。 |
| 15日朝、朝日新聞 | 東京都練馬区の介護老人保健施設「すずしろの郷(さと)」を運営する医療法人杏稜(きょうりょう)会が、少なくとも12億円の負債を抱えて実質的に経営破綻(はたん)状態にあることが14日、東京都の調べで分かった。都は同日、施設管理者の不在を理由に業務停止命令を出したが、すでに「再建の見通しはない」と判断しており、杏稜会の医療法人の認可を来月中にも取り消す方針を固めた。 認可取り消しで「すずしろの郷」は閉鎖される。都は都内にある同様の施設150カ所を用意し、現在入所している介護が必要な高齢者72人を移す方針。 都によると、杏稜会は施設建設費の返済が滞り、今年3月に施設の土地と建物が競売にかけられた。7月からは月額約3000万円の介護報酬も差し押さえられ、職員の給与や給食業者への支払いが滞っている。 都が把握しているだけで負債は計12億円あり、債務超過の状態。また、経営陣の内紛が続いて02年11月以来、理事長が47回も交代した。昨年9月からは東京地裁に選任された弁護士が理事長代行に就いている。 都は、「2カ月間の業務停止は入所者が他の施設に移るための猶予期間を設けるためのものだ」と説明している。 |
| 15日未明 読売新聞 | 東京都練馬区の介護老人保健施設「すずしろの郷(さと)」が都から介護保険法に基づく業務停止命令を受けた問題で、施設を運営する医療法人「杏稜)会」が債務超過に陥ったうえ、健全経営を装うため、人手に渡っていた施設の建物と土地を自己資産として計上する“粉飾決算”をしていたことが14日、都などの調べでわかった。 都は、業務停止期間は来月1日から2か月間としており、この間に経営改善の動きが見られない場合、杏稜会の医療法人としての認可取り消しを検討する。 都福祉保健局は14日午後に都庁で会見、杏稜会の債務残高は独立行政法人「福祉医療機構」などからの借入金、取引先への未払い金など計約12億3000万円に上ることを明らかにした。また、「すずしろの郷」の建物や土地は2005年3月に理事同士の紛争の中で第三者に売却され、今年3月には競売開始も決定されていることから、「実質的な債務超過」と認定。杏稜会では給与や給食業者への支払いが遅れるほど、資金繰りに窮していた。 ところが、杏稜会では「自己資本は20%以上必要」などとする医療法の規定をクリアするため、05年度決算で売却済みの土地建物を資産計上する決算書を作成、都に提出していた。決算書には、ほかにも所有が証明できない資金などが含まれていたほか、06年3月期の決算書は現在も提出されていないという。 一方、業務停止命令の根拠になった施設管理者の不在は02年10月ごろから続いていたほか、都や練馬区では、土地建物の売却についても、所有権移転の約2か月後に確認していた。 しかし、都福祉保健局が介護保険法などに基づく改善命令を出したのは今年8月31日。同局の担当部長は、定期的に改善指導をしてきたことを強調したうえで、「経営は混乱していたが、介護などの業務には問題なかった」と説明した。 「すずしろの郷」の建設時には都が4億600万円、国などが1億3280万円の補助金を支出している。都は、全額の返還を求める方針だが、債務残高が大きいため、ほとんど返還されないおそれが出ている |
| 15日、読売朝刊(都内版) | 「情報提供が遅すぎる」「これからの行き先はあるのか」――。14日に都から2か月間の業務停止命令を受けた練馬区の介護老人保健施設「すずしろの郷(さと)」。72人の入居者は業務が停止される11月1日までに施設を退去しなければならず、家族からは戸惑いや憤りの声が上がった。 この日、施設側は2回の説明会を開催。理事長職務代行者の高橋裕次郎弁護士が、計約50人の家族らに「本日、東京都から業務停止命令が出されました」と述べ、経営が悪化していった経緯を報告した。 ずさんな経営実態を初めて聞かされて、「もっと早く知らせてほしかった」と詰め寄る出席者も。認知症の母親(87)が入居している新宿区の男性会社員(61)は「新宿区内の施設はどこもいっぱいで、ようやく探して入れたのに。なぜこんなことになるのか」とぼうぜんとした表情。足の不自由な90歳の母親が生活しているという中野区の男性(68)は「いきなり『2週間のうちに出て行って』と言われても困る。母親が環境変化に耐えられるかも心配だ」と話した。 都福祉保健局によると、入居者は地元の練馬区だけでなく、2市8区にまたがっている。同局は受け皿として、入居者の住所地に近い介護老人保健施設に協力を依頼し、約150床を確保したという。 入居者の7割は80歳以上で、入居が長期化している人も多い。このため、同局は「個別事情に応じて、特別養護老人ホームもあっせんしたい」としている。 |
| 14日夜、産経新聞 | 医療法人杏稜会が運営する東京都練馬区の介護老人保健施設「すずしろの郷」が、施設管理者不在のまま違法な運営を続けているとして、都は14日、介護保険法に基づき11月から2カ月間の業務停止命令を出した。都などの再三の指導にもかかわらず改善されず、債務超過状態の経営を立て直すのは難しいと判断した。都は医療法に基づく法人認可取り消しの方向で検討に入った。 介護老人保健施設への業務停止命令は都内で初めて。認可した都の責任が問われそうだ。 「すずしろの郷」の入所者は72人。都は同日、入所者に別の施設へ転出するよう説明したが、突然、行き場を失う入所者らに驚きと不安の声が広がった。都によると、転出先として近隣の施設で約150人分の入居枠を確保したという。 都によると、「すずしろの郷」は平成12年開設。直後から役員間で理事長の座をめぐるトラブルが多発。登記上、4人が延べ47回も理事長に就任する激しさで、こうした騒動で理事会は機能不全に陥り、14年以降、介護保険法で定められている施設管理者や常勤医師の不在が続いていた。 資金繰りも悪化。融資した独立行政法人「福祉医療機構」から土地・建物の競売を申し立てられ、金融機関からは介護報酬(月3000万円)も仮差し押さえを受けている。 都によると、運営母体の杏稜会の債務は総額約12億円。都は施設開業時、補助金約4億円を支出したが、施設の土地・建物の名義が違法に移転しており、返還を請求する方針。ただ、経営再建は厳しく、貸し倒れの可能性が高い。 |
| 14日夜、中日新聞 | 東京都練馬区の介護老人保健施設「すずしろの郷(さと)」が、長期にわたり施設管理者を置いていないとして、都は14日、介護保険法に基づいて同施設に業務停止命令を出した。2000年1月の開設直後から経営陣の内紛が続いて12億円を超える負債を抱えており、都は施設を運営する医療法人「杏稜(きょうりょう)会」の設立認可取り消しも検討する。 都によると、業務停止期間は11月1日から12月末までの2カ月間。入所している老人72人の受け入れ先として、都内の他の施設に約150人分のベッドを確保しており、今月中に全員を移す。 国の基準で、介護老人保健施設には常勤の医師を施設管理者にすることが定められている。都などが4年前から、すずしろの郷に指導を繰り返したが改善されなかった。 杏稜会は1998年2月に設立。直後から理事の間で争いが絶えず、登記簿上、理事長が頻繁に代わるなどした。 昨年3月には当時の理事長が、すずしろの郷の土地と建物を第三者に売却し、自己資本の比率が医療法上で必要とされる基準を下回った。また、05年度決算で、この土地と建物を自己資産として計上するという不適切な会計処理もあった。 今年6月には債権者から毎月約3000万円の介護報酬を差し押さえられるなど資金繰りが極度に悪化。都は「再建は困難」とみており、業務停止期間中の法人認可取り消しもあり得るとしている。 ◇「あまりに急」家族ら困惑 「騒動に巻き込まれ不愉快」「次の入所先はどうなるのか」。「すずしろの郷」の入所者の家族らは突然の事態に戸惑いを見せた。 東京都による説明会が14日午前に開かれ、出席した30人余の家族からは「あまりに急な話」「説明が遅すぎる」との批判が出たという。 今月末に母親(95)が入所予定だった男性(65)は「入所者の数より多くの施設を別に用意したと行政は言うが、暫定措置らしいのでよく考えないと…」と不安そうな表情。 「高い費用を払ってやっと入所できたのに」とこぼすのは練馬区の男性(69)。3カ月前に義母(92)が入所した。「行政も、入所者に迷惑が掛からないよう指導をしてほしい」と求めた。 脳梗塞(こうそく)で倒れた義父(88)が入所している会社員小野沢隆さん(39)は「職員の方がきちんと面倒を見てくれていたので、入所先が変わるのは残念」と話した。 |
| 14日夕、NHK | 東京・練馬区の介護老人保健施設が、東京都の指導にもかかわらず、施設長を置かず介護報酬も差し押さえられるなど経営困難に陥っているとして、東京都は14日、この施設に業務停止命令を出しました。 務停止命令を受けたのは、東京・練馬区の介護老人保健施設「すずしろの郷」です。東京都によりますと、「すずしろの郷」は、国の基準で常勤の医師が務めると定められている施設長がいないため、ことし8月、都から改善の指導を受けましたが、改善されなかったということです。また去年、当時の理事長によって土地と建物が売却され、法律で定められた自己資本を満たしていないほか、施設建設費などで12億円を超える債務の返済が滞っているため、ことし6月からは収入に当たる介護報酬も差し押さえられて資金繰りが悪化し、経営が困難になっているということです。このため東京都は、来月1日から2か月間業務を停止するよう、14日、命令しました。東京都は、今後、自己資本が改善しない場合、法人の設立認可自体の取り消しも検討するとしています。「すずしろの郷」には現在72人が入所しており、東京都は受け入れ先としてほかの施設におよそ150人分のベッドを確保し、週明けにも移ってもらうことにしています。 |
| 14日午後、読売新聞 | 医療法人「杏稜(きょうりょう)会」(東京都練馬区)が運営する介護老人保健施設「すずしろの郷(さと)」(同)が施設管理者を決めないで運営を続けているのは介護保険法に違反しているとして、東京都は14日、同施設に業務停止命令を出した。 再三の行政指導にもかかわらず、施設側から有効な解決策が示されないため、安定的な経営が望めないと判断した。同施設に入居している高齢者72人は、退去を迫られることになる。同法に基づく介護老人保健施設への業務停止命令は全国で初めて。 法人登記や同区の調査によると、杏稜会は1998年2月に設立され、非常勤も含め約70人の職員が勤務している。設立直後から経営陣の内紛が続き、理事が地位確認の訴訟を起こしたり、理事長が頻繁に交代したりする事態になっている。 登記上は2002年11月から約4年間で、4人が延べ47回も理事長に就任。昨年9月から東京地裁に選任された弁護士が、理事長職務代行に就いている。 「すずしろの郷」の建物や土地も不動産業者に売却されて名義が書き換えられているうえ、開業資金を融資した独立行政法人「福祉医療機構」からその土地・建物の競売を申し立てられている。月額2000万円以上ある介護報酬についても、債権譲渡を受けた業者から今年7月以降の分を仮差し押さえされており、職員への給料遅配も発生しているという。 このため、施設では2000年ごろから、医師や看護師が次々と退職。リハビリテーションを担当する理学療法士がいない時期もあり、区などから再三、指導を受けていた。都は今年8月、区とともに立ち入り検査に入り、合同で改善を指導し、その後も介護保険法に基づく勧告や措置命令などで段階的に解決を迫っていた。 介護老人保健施設への業務停止命令は、介護保険法の改正で今年4月に盛り込まれた。命令を受けた施設は指定の期限までに、入居者を他の施設に移さなければならない。都では今後、2か月程度の間に同施設の改善状況を見極め、杏稜会に施設の設置許可の停止や取り消しを出すことも検討する。 |
| 14日午後、朝日新聞 | 東京都練馬区の介護老人保健施設「すずしろの郷(さと)」を運営する医療法人杏稜会(高橋裕次郎・理事長代行)が、常勤の施設長(医師)を置くよう命じた改善命令に従わなかったとして、都は14日午前、介護保険法に基づき同施設のすべての業務を11月1日から2カ月間、停止するよう命じた。このままでは業務正常化のめどが立たないと判断した。
「すずしろの郷」では02年10月以降、施設長がいない状態が続いており、都は今年8月31日、杏稜会に対し、常勤の施設長を任命するよう指示する改善命令を出した。今月10日には同会の役員らを呼び出して弁明を聴いた。しかし都は、弁明の内容や、同会から提出された改善報告から、施設の運営状態の改善は見込めないと判断したという。このまま改善されなければ、介護保険の対象施設から外すとしている。 都などによると、「すずしろの郷」は00年に開設したが、その直後から金銭トラブルなどを理由に杏稜会理事らの間で内紛が発生。施設に常勤医が一人もいなくなるなど混乱状態が続き、同年12月に都の立ち入り検査を受けた。その後も、看護師や介護職員の数が施設運営に必要な基準を満たさず、多額の負債も抱えたため、都が繰り返し指導していた。 同施設は定員100人で、現在72人が入所している。いずれも介護が必要な高齢者で、都と練馬区は近隣の同様の施設をあっせんし、入所者全員を移す考え。施設側は14日、入所者の家族に対して説明会を開いた。 |
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