これより前はこちら

2010.03.11  ☆無医化危機 揺れる村 上小阿仁唯一の医師辞意/秋田
  11日、讀賣新聞(秋田)→

  『1通の辞職願で上小阿仁村が揺れている。村唯一の医療機関「上小阿仁村国保診療所」に勤務する有沢幸子医師(65)が「精神的に疲れた」と先月下旬、突然、退職表明し、61年ぶりの無医村になる可能性が出てきたのだ。関係者は必死の慰留を続けているが「辞職の意思は固い」という。休みは20日に1回という激務に耐え、地域医療を支えてきた有沢医師に何があったのか。(糸井裕哉)

■村の神様
  「死に水を取ってもらえた」「こんなに話しやすい先生は初めて」。村を歩くと村民から、有沢医師への感謝の言葉が聞こえて来る。有沢医師は昨年1月の赴任以来、午前8時30分〜午後5時15分の定時診療のほか、早朝や夜間の往診も自発的に続けている。

脳梗塞(こうそく)で倒れた母(88)の看病を続ける小林ユミ子さん(66)の元にも、有沢医師は診療時間の合間を縫って連日訪問。今月8日の流動食開始日には3度往診し、「鼻から胃へ液体を落とすのよ」と優しい口調で説明を続けた。

小林さんは「分からないことは丁寧に教えてくれる。有沢先生は私たちの神様なんです」と話す。

斉藤ヒサコさん(70)は昨年3月に他界した義理の母(享年92歳)に対する有沢医師の献身的な診療が忘れられない。

ふりしきる大雪の中、深夜の午前1時でも3時でも容体が悪化すると点滴や酸素ボンベを持って夫と駆け付けてきた。嫌な顔一つせず、「少しでも休んで」と家族をいたわってくれた。

「息を引き取る瞬間まで、『ばぁちゃん、早く元気になれ』と声を掛け続けてくれた。先生が居なくなったら私は生きていけない」と斉藤さんは声を絞り出した。

■心に傷
  辞意を表した理由を有沢医師は公にしないが、小林宏晨村長(72)は「言われ無き中傷により、心に傷を負わせてしまったことが最大の原因」と語る。

村幹部らによると、有沢医師は昨秋、診療所向かいの自宅に「急患にすぐに対応できるように」と自費で照明を設置。だが、直後に「税金の無駄使いをしている」と言い掛かりを付けた村民がいたという。

また、昼食を食べに行く時間が無く、診療所内でパンを買った際、「患者を待たせといて買い物か」と冷たい言葉を浴びせられたり、自宅に嫌がらせのビラがまかれたこともあったという。

昨年、有沢医師の完全休診日はわずか18日。土日や祝日も村内を駆け回り、お盆期間も診療を続けた。しかし、盆明けの8月17日を休診にすると「平日なのに休むとは一体何を考えているんだ」と再び批判を受けたという。

診療所の小嶋有逸事務長補佐(60)は「こんなに身を粉にして働く医師は過去に例が無い。無医村になったら村民が困る。自分で自分の首を絞めている」と憤る。

■翻意なるか
  村は、有沢医師の負担を軽減するため、土曜日の完全休診制や村の特別養護老人ホームへの往診免除などを申し入れ、交渉を続けているが結果は芳しくない。

村民の中には有沢医師に「辞めないで」と懇願するために受診する人もいる。署名活動の動きもあり、旅館経営の高橋健生さん(62)は「一人でも多くの声を伝えなければ手遅れになってしまう」と話す。

有沢医師は兵庫県出身で、海外や北海道の利尻島などで診療に携わった経験がある。村へは夫と共に移住した。有沢医師は後任が見つかるようにと辞職日を来年3月末にした。だが翻意しなければ、村は2〜3か月後に医師募集し、後任探しをしなければならない状況に追い込まれる。

小林村長は「一部の不心得者のために人格も腕も一流の医師を失うのは不本意。医師不足は深刻で、無医村になる公算は限りなく大きい」とため息をつく。』
.
 2010.02.25 ☆国際医療福祉大 医学部構想 県に支援要請「手挙げる用意ある/栃木(続報)
 25日、讀賣新聞(栃木)→

  『国際医療福祉大(大田原市北金丸)が、医学部の新設を目指し、準備を進めていることが24日、わかった。同大には薬学部や保健医療学部などがあり、医学部を設置することで「チーム医療の教育ができる」としている。

  医師数が過剰になるとの考えなどから、文部科学省は過去30年間、医学部の新設を認めていない。しかし、民主党は昨年の衆院選のマニフェストで、医学部の学生数1・5倍増を掲げており、今後、医学部新設の審査が再開される可能性がある。同大では「(医学部新設の)門戸が開放されれば、手を挙げる用意がある」としている。

  24日の県議会代表質問で、この計画について野田尚吾氏(自民)、野村寿彦氏(無所属県民クラブ)が取り上げた。麻生利正副知事は、同大から医学部新設について支援の要請を受けていることを明らかにした。麻生副知事は「医師不足解消や、地域医療の提供体制のレベルアップにつながると大いに期待している。当面は国の動向を注視しながら、支援を検討していく」と話した。』
.
2010.02.04  ☆がん拠点病院の空白地域増加
  4日朝、NHK→

『がん治療の地域格差をなくそうと、総合的ながん医療が行える拠点病院の整備が全国で進められていますが、専門の医師が確保できないなどの理由で要件を満たせない病院が増え、地方の農村部などを中心に拠点病院のない空白地域が増えていることがわかりました。

がん拠点病院は、地域の治療格差をなくすことを目的に、総合的ながん医療を行うのに必要な要件を満たした病院を、毎年、厚生労働大臣が指定し、財政的な支援もするもので、ことしは去年と同数の375の病院が指定を受けることになりました。

ところが、地域ごとの拠点病院の数をみますと、都市部では数が増えていた一方、専門医の不足や高度な医療機器を購入できないといった理由で、地方を中心に15の病院が指定から外れ、拠点病院がない空白地域は去年の110か所から117か所に増えていました。空白地域のほとんどは人口が少なく、交通の便も悪い地方の農村部などで、がんの患者団体では、複数の拠点病院がある都市部との間で治療の格差が解消されていない現状があらためて浮き彫りになったとしています。

これについて、厚生労働省では「拠点病院が地域からなくなっても、連携を強化するなどして対応しているところもあり、直ちに治療のレベルが下がるとは言えないが、全国で同様の治療が受けられるよう対策を考えていきたい」と話しています。』
.
2010.02.04  ☆常勤医不足は560人 医療対策協で(静岡)県が報告
  4日、静岡新聞→

『(静岡)県医療対策協議会(篠原彰会長)の本年度第3回会合が3日、県庁で開かれた。県は医師不足の現状把握のために行った実態調査で、県内45公的病院の常勤医充足率(昨年10月1日現在)は81・4%にとどまり、医師不足数が560人に上ったことを明らかにした。

一方、県が医師不足対策として2007年度に始めた医学修学資金奨学金制度で、県内配置第1号となる男性医師1人の配置先を中部地区の公的病院と内定した。

常勤医(後期研修医含む)の充足状況によると、昨年4月1日現在と比較し常勤医は43人減少。後期研修医が5人増えた結果、常勤医数はトータルで38人減の2580人となった。充足率は2・0ポイント悪化し、不足数は60人増えた。この間、非常勤医は42人増加し894人になった。

常勤医が43人減少したのは志太榛原圏域の減少が主な要因としている。
配置第1号の男性医師は県内出身者。配置は4月で、配置先は「奨学生を投入することで、医療体制をレベルアップできる病院を選定した」(県厚生部)という。今後、奨学生が増えるため、組織的に配置先を内定するシステムづくりに入ることを報告した。

また県は、国から各25億円が交付される「地域医療再生計画」について中東遠、志太榛原の2医療圏が交付先として採択されたことを正式に報告した。』
.
2010.01.24  ☆「7対1体制」の影響深刻 中山間地は看護師不足
  24日、中日新聞(長野)→

  『(長野県)木曽町の県立木曽病院で、看護師不足が深刻化している。入院患者7人に看護師1人を配置する「7対1の看護体制」を整えた病院に診療報酬が増える制度で、都市部の大病院に看護師が集中、中山間地域の病院があおりを受ける構図が木曽地域にも現れた形だ。久米田茂喜院長(59)は「病床規模の縮小も考えなければならない」と危機感を募らせている。

  「若い人には都市の病院が人気。木曽は田舎というイメージがあり、不利な面は否めない」。青木いち子看護部長(60)は、過去に経験のない看護師不足に表情を曇らせた。

  今春の新卒応募者数は1人。同病院の看護師定数130人に対し、現行の125人が、新年度は110数人にまで減る見通しだ。人員不足が続けば、減床や入院期間の短縮など、病院を利用する地域住民に影響を与えかねない。

  「7対1の看護体制」は、2006年度の診療報酬改定で導入。これが整うと、従来の診療報酬より割高で、最高額が得られる。逆に、体制が手薄になると報酬は低くなる。
このため、各地で病院間の看護師獲得競争が激化。待遇など条件の良い都市部の病院に吸収される傾向が問題になっている。

  木曽病院の看護体制は現行で「10対1」。昨夏、松本市であった看護学生向け就職説明会に参加した青木看護部長は、配置基準を気にかける学生の多さに気づいた。
「うちが10対1と分かると、反応が悪くなる」。看護師1人当たりの負担が少ない病院を希望する傾向は、いかんともしがたい。

  同病院の場合、地域の看護師を育てる役割を担ってきた旧木曽高校衛生看護科が、生徒数減少で6年前に閉科したのも痛手。地元の高校、看護学校を卒業し、そのまま病院へ就職するルートが絶たれ、郡外に人材が流出するきっかけになった。
同校卒業生の受け皿だった県木曽看護専門学校に通う学生の多くは、郡外の病院から奨学金を得て派遣された准看護師で、卒業後は木曽から出ていってしまうという。

  同病院は、専門分野に優れた認定看護師3人を抱え、新年度はさらに2人増える。優秀な看護師から学ぶ機会は多いはずだが、「中身よりイメージ。全国的な看護師不足の中、過疎地域に人を集めるのは厳しい」と青木看護部長はため息交じりだ。
(市川泰之)

  【「7対1の看護体制」】診療報酬改定で、看護職員1人が受け持つ入院患者数で決まる「入院基本料」に、診療報酬が最も高い「7対1」が加わった。それまでの区分は「15対1」「13対1」「10対1」だった。
2010.01.19  ☆医師の卵 病院にメス 山大生ら 働きやすさ公表へ
  19日、朝日新聞(山口)→

『山口大医学部の学生らが県内の病院を巡り、働きやすさを評価し、公表する取り組みを始めた。名付けて「私たちはこんな病院で働き隊」。評価することで病院の労働環境を改善し、ひいては医師不足の解消につなげる目的。学生が病院を評価するのは全国でも初めての試みだという。

 先月22日の昼下がり。「働き隊」の5人が岩国市の国立病院機構・岩国医療センター(竹内仁司院長)を訪れた。580の病床と25の診療科を備え、県東部で唯一、救急救命センターを持つ県内でも中核的な総合病院の一つだ。2012年度に愛宕山地域開発事業跡地への移転が決まっている。

 隊員は「病院の理念・全体的雰囲気」「労働条件・形態」「育児支援」など9項目を10段階で評価するシートを手に、竹内院長の案内で院内を巡った。
「ありますね、女性用当直室」。隊員の1人、4年生の松本日香里さん(24)が足を止めた。「医師(女性用)当直室」のプレートを見つけたのだ。通常の当直室も確認し、間取り図をメモした。

 医局では、藤本剛内科医長(42)の説明を受けた。「この時間、医者は院内を走り回っています。だから医局には人っ子一人いないんです」。隊員はうなずき、シートに評価を書き込んでいった。

 巡回後、竹内院長は「当院は患者、設備、医師の三つがそろっている」と魅力をアピールし、「責任を持って育てたいので意欲のある人に来てほしい。県内に残って活躍していただきたい」と隊員に熱いラブコールを送った。隊員は一様に満足した様子で、3年生の長谷川奈々さん(23)は「雰囲気がよく、先生方も丁寧に説明してくれた。こういう病院なら、研修したいと思った」と話した。

  「働き隊」は県が医療体制の充実を目的に08年4月、寄付講座として同大医学部に設置した「地域医療学講座」の一環。評価の結果はホームページ(http://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/〜tiiki/hatarakitai.htm)に掲載する。訪問は昨年8月の山口労災病院(山陽小野田市)に続いて2回目だ。

 同院については、「よく整理されており、スペースにも余裕があり、明るい印象」「女性医師にとってはとても働きやすい病院」として、評価の平均を「7・6」とまとめて公表。患者のプライバシーや安全性への配慮に関する「リスクマネジメント」では「9」だが、研修や研究への支援に関する「キャリアアップ・生涯教育」では「6」だった。今回の結果は現在精査しており、今月末にまとめる予定だ。

 これまで病院の評価といえば、患者のための評価が主だったが、「働き隊」を企画した同大の福田吉治教授(地域医療学)は「学生の生の声が病院を改善する。学生と病院がコミュニケーションを取れば、医師不足の解消にもつながるはずだ」と話している。』
.
2010.01.14  ☆島田市長「病院緊急事態」 入院患者急増/静岡
  14日、讀賣新聞(静岡)→

『榛原病院診療体制縮小で

島田市の桜井勝郎市長は13日、記者会見し、市立島田市民病院の外来・入院患者が急増し、空き病床の確保が難しくなっているなどとして、「病院緊急事態宣言」を出した。今春からの民営化に向けて最終調整が進んでいる榛原総合病院(牧之原市)が診療体制を大幅に縮小していることが大きく影響しているとしており、桜井市長は「(現状が続けば)救急患者の受け入れも制限せざるを得ない恐れもある」と訴えた。

島田市によると、516床ある島田市民病院の一日あたりの入院患者数は、2009年12月は488人に上り、病床稼働率も今月13日現在で約96%に達するなど、入院患者の受け入れは「ギリギリの状態」が続いている。特に昨夏以降、榛原総合病院を運営する牧之原市と吉田町からの受診患者が急増し、09年12月の両市町からの入院患者数はのべ2845人と、08年同期(計742人)の4倍弱になっている。

記者会見に同席した島田市民病院の北川節子看護部長は、「あす入院予定の患者のベッドも確保しきれていない状態。患者には、前倒しでの退院をお願いしている」と語った。7日には、入院予定患者34人のうち、当日に入院が決まった7人を受け入れることができず、近隣の公立病院などに引き受けてもらったという。

こうした状態が続くと、病院の収入である診療報酬のうち、同院は入院基本料の算定基準となる「7対1」の看護基準を下回る見込みが高いという。桜井市長は「患者数は増えるが、診療報酬は減りかねない。病院は綱渡りの状態が続いており、入院が必要な患者には他院での入院をお願いすることもある」と述べ、住民に理解を求めた。』
.
 2010.01.13 ☆兵庫で公立と民間の病院統合へ 加古川市と神戸製鋼所
 12日夜、産経新聞(関西。共同配信)→

 『兵庫県加古川市と神戸製鋼所(神戸市)は12日、医師不足に対応するため、加古川市内でそれぞれが経営する加古川市民病院と神鋼加古川病院を来年4月にも統合するとの方針を発表した。

 兵庫県によると、公立と民間の病院統合は愛知県東海市や三重県桑名市で例があるが、全国的にも珍しいという。厳しい経営環境にある公営病院の生き残り策として注目されそうだ。

 加古川市や同社によると、新病院は新設する地方独立行政法人が経営。統合後、診療科や医師の再配置をした上で現行の2病院で診察を続け、17年に市内に600床規模の病院を新築、完全統合する。

 加古川市民病院は内科医不足から患者数が減り、08年ごろから経営難に。昨年、人材や設備が充実している神鋼加古川病院に統合を提案。専門分野も異なっており、地域サービスを向上させる観点から統合が決まった。

 医師を含めた両病院の職員計750人は引き続き雇用する。』
.
2010.01.12  ☆基幹6病院、診療所化 中国地方で過去5年
  12日、中國新聞→

  『中国地方の基幹病院6病院が過去5年内に大幅に機能を縮小し、診療所に移行、または移行する予定であることが11日、5県への取材で分かった。医師不足や赤字経営、「平成の大合併」に伴う医療体制の見直しなどが背景にある。広島、山口、岡山の計3県6地域でも、基幹病院の再編計画が浮上している。

  広島県では3病院が診療所となった。旧神辺町の神辺町立病院(41床)は、2006年3月の福山市と同町の合併を機に、福山市民病院付属神辺診療所(19床)に移行した。退職した外科医の後任が見つけられず、医師が2人になり、維持できなくなったという。現在は19床を休床し、外来診療にとどまる。

  山口県では、旧小野田市と旧山陽町が合併した山陽小野田市の山陽市民病院(160床)が赤字の累積に伴い08年4月に休止され、小野田市民病院(現・山陽小野田市民病院)へ機能統合された。09年9月に廃止となり、旧施設は民間譲渡され、有床診療所などに建て替えられる。岡山、島根県でも各1病院が診療所化した。

  「平成の大合併」に伴い、一つの自治体が抱える公的医療機関の数が増加。特に過疎地域で、医師不足や経営難に陥った病院の運営が課題となり、病院再編の動きが加速した。

  再編は今後も続きそうだ。三原市では旧久井町の市立くい市民病院(45床)が今年4月に公立世羅中央病院(広島県世羅町)に経営統合され、11年10月をめどに無床の診療所となる。府中、光、美祢、岡山、備前の5市でも病院の機能分担や経営統合の準備が進む。基幹病院は診療科の休廃止にとどまらず、病院再編の波にさらされている。(平井敦子)

病院と診療所
  医療法は、20床以上を病院、19床以下を診療所と定める。病院が患者数に応じて医師、看護師など一定数を確保する必要があるのに対し、療養病床のない診療所には規定がない。』
.
2010.01.03  ☆中山間地の救急医療に赤信号 中国地方
  3日、中國新聞→

『中国地方の山間部の救急医療が危機にひんしている。JA吉田総合病院(安芸高田市)の休日夜間救急診療所は赤字が膨らみ、運営に行き詰まっている。庄原市立西城市民病院や岩国市立美和病院も、医師不足から救急体制の維持が瀬戸際に立たされている。

  JA吉田総合病院は市内で唯一の救急病院。24時間態勢の休日夜間救急診療所は、重症患者を含む年間約2900人を診る。医師、看護師、検査技師たち5人に病院の当直医1人の計6人が常駐する。

  救急診療所の赤字額は昨年度は5700万円に上った。本年度は7100万円に膨らむ見込みだ。2007年度に小児科の救急は三次市立三次中央病院に集約したため、収入が減少。常勤医が5年で8人減って28人となり、非常勤の医師10人の応援を受けるため人件費がかさんでいる。

  さらに08年に労働基準監督署の指導で看護師や技師の人件費も見直して支出が増大。住元一夫院長は「病院だけでは支えきれない。このままでは救急を縮小せざるを得ない」と訴え、市、市医師会と対策を協議している。

  西城市民病院は常勤医6人で年間約千人、美和病院は常勤医4人で年間約1900人の救急処置に当たる。日曜日に丸1日診療した医師が、月曜日の診療もこなす。

  04年度の臨床研修制度導入で地方大学の医局に残る医師が減り、地域の基幹病院に派遣する余裕がなくなった。県が過疎地などに派遣する自治医科大出身の医師の数にも限りがある。

  中国地方では過去5年で東城病院(庄原市東城町)、渡辺病院(新見市)、津和野共存病院(島根県津和野町)などが、救急の看板を下ろした。

  広島大大学院の谷川攻一教授(救急医学)は「これ以上態勢が細ると、救える命も救えなくなる」と警鐘を鳴らしている。』
.
2010.01.01  ☆岡山大病院、女性医師支援3年目 成果着々35人復職
  31日、山陽新聞→

『当直免除や再教育 「育児とキャリア両立」
出産や育児で離職した女性医師の復帰を手伝う岡山大病院(岡山市北区鹿田町)の復職支援プログラムが3年目を迎え、成果を挙げている。医療技術の再教育や女性医師同士のネットワーク構築で、これまでに35人が職場復帰。深刻化する勤務医不足の解消につながると期待されている。

「キャリアを深めるか、子育てに専念するか。二者択一しかないと考えたこともある」。約1年3カ月の出産・育児休暇を経て約1年前、同病院産婦人科に復帰した清水恵子医師(36)は振り返る。

2008年から実施された女性医師を対象とした特別採用枠で復職。緊急時の呼び出し、当直などが原則免除され、勤務時間は週32時間以内で3パターンから選ぶことができる。

現在、週3日フルタイムで同病院の外来や手術をこなす。勤務時間の短縮で以前より収入は減ったが、「これなら育児をしながらでも働ける。選択肢が増えありがたい」。

同僚の負担減も

国の統計によると、全国の医師数(08年末現在)は約28万6000人で、うち女性は18・1%の約5万2000人。年々増加傾向にあり、29歳以下では36・1%を女性が占める。591人が勤める岡山大病院も28%が女性だ。

ただ、20〜30代は出産・育児などで離職し、そのまま退職を余儀なくされるケースが多く、近年の医師不足の要因の1つとされる。支援プログラムはこうした人材を掘り起こし、“即戦力”確保を進めるとともに、激務に追われる同僚医師の負担軽減も狙う。

同病院は07年、文部科学省の財政支援事業を活用し、取り組みを始めた。プログラムは現役時代の勘を取り戻すための医療技術講習会と、女性医師同士で仕事や将来の悩みを相談・助言し合う支援ネット作りが柱。

講習会は数人単位で行い、患者の容体急変時を想定した訓練などを月1回ペースで開催。2カ月に1回程度の支援ネットのミーティングには毎回20人以上が集う。

「いったん現場を離れると孤立しがち。知識や技術を維持できるか、不安もある」。夫の転勤で離職後、復帰した久田恭子医師(32)。「キャリアを積みたいと思う私たちの背中を押してくれる制度」と評価する。

地域にどう波及

一定の成果を挙げつつある復職支援プログラムだが、今後は岡山大病院以外にどう波及させていくかが課題。医療関係者が「医療界全体の労働環境改善につながる」と口をそろえるように、こうした取り組みは大学病院以上に人材確保に頭を痛める地域の病院で必要とされている。

ネックとなるのは資金確保。3年間で約5700万円あった国の財政支援は本年度で終わる。同病院の森田潔院長は「女性医師の離職は社会にとっての損失。病院独自に取り組みを続けるが、負担は軽くない。国などの継続的な支援も必要」と訴える。

短時間勤務制度など、きめ細かい女性医師支援策で全国的に注目される大阪厚生年金病院(大阪市)の清野佳紀院長(岡山大名誉教授)は勤務環境改善へ向け、主治医制度からチーム医療への移行、地域の病院・開業医との連携強化の必要性も指摘。「地域が一体となった取り組みが重要」と提言する。』
.
2009.12.20  ☆県立沼宮内病院存続で老人保健施設併設案 岩手
  19日、産経新聞→

『来年4月、無床化で入院機能がなくなる岩手県岩手町の県立沼宮内病院(60床)について、存続を目指す同町が、病院を有床診療所(19床)に縮小し、老人保健施設(29床)を併設する形で民間移管する方針を固めたことが18日、明らかになった。町は「地域医療を守るモデルケースとして県の理解を得たい」(民部田幾夫町長)としている。

 岩手町の案は、病床数を減らす一方で、空き病室の一部を活用して老人保健施設を新設するもの。病室と老健の居室は面積など条件の違いがあり、部屋割りなどの手直しが必要だ。

 診療所になると、病院より診療報酬が下がることもあり、岩手町は運営を移管先の医療機関だけに委ねるのではなく、病室の改修費や、老健新設による介護保険料の引き上げ分の負担なども検討している。

 同町は八幡平市、葛巻町と共同で介護保険事業を運営しており、両市町も一定の理解を示している。

 無床化は、医師不足に対応する県医療局の新経営計画の柱。県内5カ所の地域診療センター(有床診療所)では、すでに4月に実施しており、沼宮内病院も平成22年4月に無床化される計画だ。

 岩手町は複数の医療機関と交渉を重ねてきたが、医師の確保が難しく、まだ決定していない。

 このため、町は21日、県医療局に老健併設案を説明。移管が決まるまで無床化の最長1年延期を要請する。民部田町長は「県の立場も理解するので、地域医療を守る町の立場を分かってほしい」としている。』
.
2009.12.13  ☆名古屋市:城西病院、来年度末で廃止 民間譲渡も検討
  11日午後、毎日新聞→

  『名古屋市は11日の市議会財政福祉委員会で、市立西部医療センター城西病院(中村区北畑町)を「周辺に多くの病院が存在し、多額の財政負担をしてまで運営を継続する理由がない」として10年度末で廃止する方針案を示した。今後、民間に譲渡して民間病院として存続させることや、老人ホームなどの介護保険関連施設の誘致を目指す方針。

  市病院局によると、同病院は内科、外科、産婦人科など14科。病床利用率は04年度に82%だったのが、08年度には60%まで低下。病院局は、経営状況の悪化▽医療従事者確保が困難▽市内の介護保険関連施設が不足している--なども廃止理由に挙げた。

  市内五つの市立病院は近年、いずれも病床利用率は低下しており、08年度には45億円の純損失を計上し、累積赤字は08年度末で165億円に及ぶ。
このため市は今年3月策定した市立病院改革プランで、「選択と集中により市立病院が目指すべき方向性を検討する」としていた。

  市立緑市民病院(緑区)も08年度の病床利用率は60%と低くなっているが、周辺に大きな病院がないことから存続させ、「民間の運営手法を活用して経営改善を図る」とした。』
.
2009.12.06  ☆医師増えても、なお不足 北海道
  5日、朝日新聞(北海道)→

『■病床数が「過剰」 都市部偏在続く
  医師の数は増えているが、多くの地域で医師不足は一向に解消されない――。こんな道内の医療現場の状況が、厚生労働省が11月末に発表した2008年度の「医療施設調査・病院報告の概況」で示された。医師数に比べて病床数が多いことと、都市部に医師が偏在していることが原因だ。
(平間真太郎)

  厚労省が発表した「概況」は、08年10月1日現在の医療機関や医師、病床などの数を都道府県ごとにまとめたもの。それによると、道内の常勤の医師数は8808人。04年の8387人から増え続けている。

 人口10万人あたりの病院(病床数20床以上)の常勤医は159・1人で、04年と比べて10・5人増えた。全国平均147・2人を上回る結果でもあった。

 だが、病床100床あたりの常勤医の数は8・7人で、04年から0・8人増えたものの、全国平均11・7人を大きく下回った。全都道府県の中で下から5番目だ。

 この値の原因は、道内の病床数が「過剰な状態」にあるためだ。国は1985年の医療法改正で、増え続ける医療費の抑制策として「病床規制」を導入した。急性から慢性まで比較的高度で専門性の高い医療サービスが提供できるエリアを指す「2次医療圏」ごとに、5年おきに適正とされる「基準病床数」を示し、これを上回る病床の増設を認めないとした。

 道内の基準病床数は今年10月1日現在、一般病床と療養病床を合わせて6万4403床。だが実際は、これより1万4268床多い7万8671床で、道内21の2次医療圏すべてで基準を超えている。

医師不足を解消できないもう一つの理由に、札幌や旭川といった都市部への医師の偏在がある。

 道がまとめた06年末時点の調査によると、人口10万人あたりの医師数の全道平均は219・7人だったが、これより多く医師がいる2次医療圏は旭川を含む上川中部(306・3人)、札幌(269・1人)、室蘭を含む西胆振(223・3人)の三つだけ。人口が多いことに加え、大学病院や総合病院が集中する地域で、医師が集まりやすい環境にあるためだ。

 一方、下位には道東の根室(89・3人)、道北の宗谷(100・1人)、函館を含まない道南の北渡島檜山(130・7人)のように、大病院が少ない地域が名を連ねる。道地域医師確保推進室の担当者は「この傾向は、現在も続いている」と指摘する。

 道は、医師不足の解決策として、医療機関同士の連携を進めたり、地域の中核病院への指導医の派遣を検討したりしている。

 高橋はるみ知事も1日の道議会で「国の施策や事業も最大限に活用しながら、道内の3医大学や市町村などと連携して、地域医療の確保に積極的に取り組む」との決意を示した。
だが、道内の病院が来春からの「働き手」として募集している研修医についても、採用決定者は募集定員の約65%にとどまるなど、解決への道のりは険しいのが現状だ。 』
.
2009.11.30  ☆医療生協 4病院で無料低額診療 1月にも開始へ 生活困窮者に受診機会
  30日、東京新聞(埼玉)→

  『医療生協さいたま(本部・川口市)は傘下の県内四病院で、生活困窮者らを対象に窓口での医療費負担を減免する「無料低額診療事業」を行う方針を固めた。年内に県に届け出し、早ければ来年一月から事業を始めるという。同事業実施の届け出をしている病院は県内で五施設あるが、今回は約二十年ぶりの新規施設の参入となる。

事業を行うのは埼玉協同(川口市)、埼玉西協同(所沢市)、熊谷生協(熊谷市)、秩父生協(秩父市)の四病院。医療生協では県内の社会福祉協議会などに「受診のお勧め」などを置いて患者の紹介を受ける。病院側が診療券を発行すると窓口負担が減免となる。

この事業は、病院側が必要と判断した患者を対象に、窓口で支払う医療保険の自己負担分を患者の収入状況に応じて無料にしたり、半額や三分の一などに減免する。ホームレスの人やドメスティックバイオレンス(DV)被害者などが想定されている。

また、国民健康保険税を長期滞納すると、分納を約束して三カ月や六カ月の短期保険証が交付される。分納できないと保険証を返却し、完納まで資格証明書の交付を受けて病院を受診することになるが、この場合は医療費をいったん窓口で全額支払う必要がある。そのため、病気になっても受診をあきらめる人が多く、同事業ではこれらの人を医療につなげる狙いもある。

病院側は、短期保険証の人は患者の自己負担分を、資格証明書や無保険などの人は医療費全額を負担する。患者が生活保護を受ければ医療費はカバーされるため、医療生協はケースワーカーなどが対応して生活保護の申請手続きなども行うという。

<無料低額診療事業>
   社会福祉法に規定された事業。医療保険が完備されていない戦後の混乱期で医療を受けられない人を救う制度として、1951年にスタート。国は社会情勢の変化などを理由に2001年7月の局長通知で「抑制を図る」と示し、都道府県が事業を積極的に受理しない状況が続いていた。昨年9月、共産党の小池晃参院議員の質問主意書への答弁書で、国側はこの事業の重要性を評価し、「通知は届け出の不受理を求めるものではない」と回答している。』
.
2009.11.19  ☆北九州市立若松病院:民間売却 市「病院事業、改善図る」 /福岡
  19日、毎日新聞(福岡)→

◇機能維持に不安の声も
  2011年4月をめどに民間へ売却されることになった北九州市立若松病院(若松区)。背景には、全国的な医師不足による病院経営の悪化がある。早期の経営改善を迫られた市は18日の会見で「地域医療を維持し、安定的に医師が確保できる相手に売却する」と理解を求めた。しかし医療機能がどの程度維持されるか明確ではなく、住民からは不安の声も上がっている。

 若松病院は若松区唯一の総合病院だが、内科の常勤医6人が昨年退職し、以来、内科の入院診療ができなくなった。入院患者だけでなく外来患者も大幅に減少。市立4病院の会計を合わせた08年度病院事業会計の赤字額は26億6000万円に上り、11億7600万円の資金不足となった。

 市病院局の南本久精局長は会見で「会社で言えば倒産状態。半年後、1、2年後に状況が改善できる見込みはなく、(民間への売却を)決断すべきだと判断した」と説明。運営を民間などに委ねる指定管理者制度を利用しなかったことについては「(制度を導入した)門司病院は市内唯一の結核病床があり、市が経営に関与する必要があった。若松病院の場合、負担を抱えるよりも、売却代金を債務返済に充てて事業会計の早期改善を図ることを選んだ」とした。

 市は今後、医療関係者や地元関係者でつくる検討会を設置。医療機能の在り方や売却先などを検討する。

 これに対し「市の決定に手を挙げて喜ぶ住民はいない」と言うのは、若松区自治総連合会の大庭卓朗会長。行方を見守りながらも「住民の要望を市にぶつけていきたい」と訴えた。』
.
2009.11.08  ☆勤務医16人を「ヘッドハンティング」!?焼津市立総合病院、榛原総合病院医師
  7日、朝日新聞→

  『医師不足などで経営難に陥っている榛原総合病院(牧之原市)の勤務医師16人に、同じ医師不足に悩む焼津市立総合病院から勧誘の手紙が送られていたことが、6日わかった。同市の清水泰市長が定例会見で明らかにした。榛原総合病院組合管理者の西原茂樹・牧之原市長は「引き抜き行為で非常に残念だ」と不快感をあらわにしている。

  清水市長によると、手紙は太田信隆・市立総合病院長と連名で2日に郵送。榛原総合病院の経営は医療法人「徳洲会」に委ねられる方針だが、徳洲会が受託条件としていた茂庭将彦院長の辞意撤回が10月30日に実現したことから、「病院存続が明らかになったため行動に移した」という。

  手紙は茂庭院長を派遣する浜松医大出身の医師を除いて出され、「退職する場合は喜んでお迎えする」としている。清水市長は「双方の院長が了解している。決して引き抜きではない」と述べた。

  榛原総合病院の民営化移行をめぐっては、医師や看護師の流出が続いており、西原市長が慰留に努めている。同病院によると、4月に41人いた医師は12月には30人、来年1月には23人まで減る見通し。医師不足で、整形外科は12月に外来診療を中止、呼吸器科は11月中に新規の入院・外来受け付けを終えるなど規模縮小を余儀なくされている。』
.
2009.11.08  ☆入院ベッド復活9割期待 岩手・県地域診療センター無床化
  6日、河北新報→

  『深刻な医師不足を背景に岩手県医療局が4月に始めた地域診療センターの無床化について、理解を示す県民は3割程度にとどまり、大半が入院ベッドの復活を望んでいることが、河北新報社が県民300人を対象に実施した地域医療に関する電話アンケートで分かった。重視する医師不足対策では「奨学金制度の充実」を挙げる意見が半数を占めた。新政権による医師不足解消への期待は楽観派と悲観派で二分した。

  19床あった入院用ベッドをなくし、夜間外来もやめたのは花泉(一関市)、大迫(花巻市)、住田(住田町)、紫波(紫波町)、九戸(九戸村)の5診療センター。

  この無床化への評価では「やるべきではなかった」が34.0%で最多だった。次いで「できればやらない方が良かった」31.7%。「やむを得なかった」「当然の対応」はそれぞれ28.0%、4.0%で、抵抗感の根強さが鮮明になった。

  今後の対応については、「民間運営でもいいので機能を元通りにした方がいい」が65.6%に上り、「県が元通りにした方がいい」も21.7%あった。特に診療センターを抱える地域はこの二つの意見が計92.0%に達し、入院ベッド復活を熱望する実態が浮き彫りになった。

  将来の地域医療に対しては「どちらかと言えば不安」39.7%、「不安」34.3%の順。不安派は4人に3人の割合となり、危機意識の高さを示した。

  重視すべき医師不足対策を二つまで選んでもらったところ、「奨学金制度の充実」が53.0%あった。当直を減らすなど「勤務状況の改善」30.3%、「地方勤務の義務化」24.3%と続き、政府が進めてきた「医学部の定員増」(23.6%)だけでは不十分と考えている様子がうかがえる。

  新政権が医師不足を解消できるかどうかは、「あまり期待できない」が44.0%で、「少し期待できる」の38.3%を上回った。

  「期待できない」「大いに期待できる」を含めると、悲観派が53.3%、期待派が44.7%。男女別では女性に悲観派(60.9%)が、男性に期待派(51.4%)が多く、「医療崩壊の食い止め」を政権公約に掲げた民主党の手腕に、期待と不安が交錯していると言えそうだ。

[アンケートの方法]
   10月中旬から下旬にかけ、無床化された地域診療センターのある5地域を含む岩手県内の20歳以上を対象に、調査員が電話帳から無作為に選んで電話をかけ、計300人に答えてもらった。内訳は男性144人、女性156人。地域別では診療センターのある5地域100人、それ以外200人。』
.
 2009.11.08 ☆道立病院 赤字24億円 08年度、医師不足で患者減
  6日、北海道新聞→

  『道の道立病院事業会計の2008年度決算が5日まとまった。赤字額は24億5千万円と、07年度の16億4千万円から8億1千万円増えた。全8病院が赤字から脱却できず、同会計の累積赤字は653億8千万円に膨らんだ。医師不足の影響が大きく、全病院の平均病床利用率は49・9%と過去10年で初めて50%を割った。

  道保健福祉部によると、病院別の赤字額は、高度な小児医療を担っている道立子ども総合医療・療育センター(愛称コドモックル、札幌)の22億7千万円が最高。8病院の赤字総額は前年度比19%増の79億6千万円だったが、一般会計から55億1千万円を繰り入れ、事業会計の最終的な赤字額は24億5千万円となった。

  道保健福祉部は赤字増の主な原因を「医師不足で収入減を余儀なくされた病院があり、痛手となった」と分析。紋別病院は、内科医の不在で7カ月間、人工透析を中止せざるを得なかったことが響き、総収入が前年度比45%減の8億6千万円に激減。北見病院も循環器内科の医師が1人減ったことで受け入れ患者数が減り、同14%減の12億7千万円にとどまった。

  医師不在は病床利用率にも影響し、紋別病院の一般病棟は21%、北見病院も38%と低迷。紋別と同じ地域センター病院の羽幌病院は44%、江差病院は61%だった。この結果、コドモックルを除く7病院が、国のガイドラインで病床数削減などを求められる「3年連続病床利用率70%未満」に該当している。

  道は3月、病院事業改革プランを策定。医師確保による収益増と経費削減で、12年度までに道立病院事業会計の単年度赤字を解消する計画を進めている。』
.
2009.11.05  ☆県境越え医師不足対応 東北7県医療機関職員ら協議会設立
  5日、河北新報→

  『県境を越えた医療の連携の在り方を探ろうと、新潟を含めた東北7県の医療機関の職員有志が「東北7県医療連携実務者協議会」を設立した。7日に仙台市内で初会合を開く。医師不足や医療機関同士の役割分担などの課題について、近隣の医療機関が協力して向き合い、解決に向けて行政区分にとらわれない連携の強化を目指す。

  各県内で、二次医療圏単位の連携組織は設立されつつあるが、県境を越えての組織設立は全国的にも珍しいという。

  現在、7県の病院など約100医療機関の連携担当者が参加。医師不足などを背景に、急性期・回復期など患者の状態に応じた医療機関の役割分担の必要性が増しており、定期的に開く会合で近県同士の情報交換を進める。

  代表世話人を務める東北厚生年金病院(仙台市宮城野区)の作間宏教医療連携課長は「医師不足が深刻な東北では、県境にとらわれない連携推進が特に必要。実務担当者同士で顔が見える関係を築き、限られた医療資源を有効に活用する方策を考えたい」と話す。将来は、国や自治体に対する政策提言なども目指すという。

  第1回の会合は、仙台市若林区の仙台市急患センターで開催。津軽保健生活協同組合健生病院(弘前市)、岩手県立中部病院(北上市)など9病院の医療連携担当者が現状を報告する。

  協議会についての連絡先は東北厚生年金病院医療連携センター022(388)9593。』
.
 2009.11.01 ☆(愛媛)県出身医師ら「地域医療再生研究会」結成
  1日、朝日新聞(愛媛)→

  『医師不足が深刻なふるさと愛媛の地域医療を支援しようと、東日本に在住する(愛媛)県出身の医師の有志が31日、東京都内で「地域医療再生研究会」を結成し、初会合を開いた。県出身の医師が連携してUターンを希望する医師を発掘したり、専門知識を身につけた会員の医師が診療について地域医療に従事する県内の医師の相談に応じたりすることをめざすという。


  研究会は、関東県人会副会長で埼玉医科大総合医療センター外科教授の橋本大定(だい・じょう)さん(65)=松山市出身=が「ふるさとの医療のために役立ちたい」と母校の愛光高校(同市)の卒業生や愛媛大などの出身者で東日本に在住する医師に参加を呼びかけた。橋本さんが調べたところ、東日本には愛光高校出身の医師だけで約480人いたという。

  この日の初会合には約60人の医師らが出席。上京した県医師会の久野梧郎会長や南予の公立病院、県医療対策課の担当者らが、松山市以外の市町で病院の常勤医が減り、医師数が地域で偏りが出ていることや公立病院の経営、救急医療体制の維持などが難しくなっている県内の現状について報告した。

  橋本さんは「愛媛の地域医療のために頑張っている志ある医師を支援したい。将来的には会員の専門医が東京などにいながらにして、愛媛の患者をみるIT技術を使った遠隔診療などもやってみたい」と話した。どのような支援策ができるのか、初会合に出席した医師からアンケートを取り、今後の方針を決めるという。』
.
2009.10.26  ☆「命のとりで」崩壊寸前 盛岡市夜間診療所をルポ/岩手
  26日、岩手日報→

  『新型インフルエンザが猛威を振るっている。盛岡市神明町の市夜間急患診療所(管理者・臼井康雄市医師会長)では、9月下旬から小児科を中心に患者が急増。25日は114人に達し、パンク寸前に追い込まれた。流行は今後さらに拡大するとみられるが、医師不足の中、大幅な体制強化は難しい。同診療所の一夜に密着し、崩壊の危機にひんする「命のとりで」の現実をルポした。


  「夜になって突然、38度6分の熱が出た。全国では亡くなった子どももおり、朝まで待つのは怖いと思って飛んできた。しかし…」
  25日午後7時すぎ、小学1年生の長男を連れて訪れた同市月が丘1丁目の会社員田上寿(たもつ)さん(31)は絶句した。診察待ちの子どもたちが、既に診療所外のエレベーターホールにまであふれていた。

  混雑がピークに達した午後8時。一つだけ空いたいすにうなされる子どもを座らせた母親は、冷たいリノリウムの床に座ってわが子の小さな体をさすり「もうすぐだからね」と励まし続けた。この時、待ち時間は1時間を超えていた。
診察室では、医師が看護師や薬剤師に大声で指示を出し、猛烈な勢いで診察を続けていた。廊下では、激しく嘔吐(おうと)する少女に点滴を打つため、人をかき分けて看護師が走った。


  小学3年生の孫を連れて訪れた同市東山1丁目の主婦佐々木驚子(そよこ)さん(64)は「これほど患者があふれる前に、学級閉鎖などの感染拡大防止策をもっと早く行うべきだ」と話した。

  午後10時半すぎ、約40人の診察を終えた寺井泰彦医師(63)は「流行はこれからが本番で、もっと患者が増える。季節性インフルエンザやノロウイルスの流行期も近く、このままではこっちが倒れてしまう」と疲れ切った表情を見せた。

  だが、同診療所などの1次救急施設が機能停止すれば、患者は中核病院に集中し、救急医療体制全体が崩壊する。寺井医師は「われわれが踏ん張り、防波堤となる」と気合を入れた。

  市保健所の高橋徹次長は「可能な限り昼間のうちにかかりつけ医を受診してほしい」とし、緊急性がないのに安易に救急外来を受診する「コンビニ受診」をしないよう強く呼び掛けている。

盛岡市夜間急患診療所
  盛岡市が1976年に開設し、通常は同市医師会の内科と小児科医各1人が交代で勤務。しかし新型インフルエンザ流行に伴い、9月上旬には1日当たり30〜50人程度だった週末の患者数が、現在は同100人超に急増。市は土日と祝日に小児科医と薬剤師、看護師、医療事務員を増員している。受け付けは午後7〜11時。年中無休。』
.
2009.10.25 ☆無床化半年:地域医療の行方/4 地域包括支援センター/岩手
  23日、毎日新聞(岩手)→

『◇医療機関との連携役 入院先探しに追われ
  7月末、住田町地域包括支援センターの主任ケアマネージャー、菅野英子さんに町内の開業医から連絡が入った。「独り暮らしのおじいさんが高熱で受診した」。89歳の男性宅を訪ねると38・7度の熱だった。3日目も熱が下がらず、肺炎の疑いもあった。菅野さんは一日3、4回は、様子を見に行きつつ入院先を探した。ある県立病院は「異常はない」とし、入院できなかった。何とか4日目に陸前高田市の県立高田病院への入院できた。「無床化前ならば、住田地域診療センターに入院できたはずなのに」。菅野さんが嘆いた。

 無床化センターのある地域では、高齢者福祉の差配役である地域包括支援センターが、医療機関との連携役として負担が増えた。

 住田町では、介護度4、5の寝たきり高齢者は60〜70人、病気で日常生活に介助が必要な虚弱高齢者は200人前後いる。住田地域診療センターは4月末に内科医が不在となり、4〜9月の訪問診療件数は前年同期に比べ半減した。町外の医療機関に運ぶ機会も増え、「医療機関探しに追われている」と菅野さんは言う。

  同じく無床化された大迫地域診療センターがある花巻市大迫町では、地域包括支援センターを兼ねる特別養護老人ホーム「桐の里」が、施設職員も動員して入所者らの入院に備える。介護利用者の入院先は遠野、盛岡、八幡平、北上市まで広がった。近い県立遠野病院とは週3回程度、情報交換も進める。桐の里の佐藤忠正理事は「情報を足で稼いでいる段階だ」と語る。

 一方、高田病院は陸前高田市地域包括支援センターと協力し、07年度から「地域連携パス」を導入した。介護利用者が入院する際、担当するケアマネジャーが、食事や排せつなど入院前の生活状況や注意事項をパスに記し、病院に提出。退院時は、病院が入院時の病状などを加えて返す。病院は治療に生かし、介護側も、退院後に患者のケアがしやすくなった。
だが、他の基幹病院で導入が進んでいるわけではない。高田病院の石木幹人院長は「地域全体で取り組もうと動く医師が出てこない」とため息をついた。』
.
 2009.10.22 ☆無床化半年:地域医療の行方/3 病院間の診療応援/岩手
  22日、毎日新聞(岩手)→

『◇変わらぬ医師の負担 4月以降も件数増加
  県立高田病院(陸前高田市)の石木幹人院長は、毎週火曜日、住田町の住田地域診療センターにいる。センター唯一の内科医が退職した4月末以降のことだ。「無床化前は住田町に行かなかった」という。病院に戻る前には、同町内にいる末期がん患者宅へ訪問診療へも行く。仕事は増えた。「入院患者も20〜30人ぐらいいる。本当はあまり外を出歩きたくないんだが……」と、苦笑した。

  県医療局は、無床化の理由として「医師の過重労働解消」を挙げた。今年3月までは、地域診療センターに基幹病院から医師が派遣(診療応援)され、当直を勤めていた。医師は、休日・夜間も忙殺されていたからだ。

  しかし、県医師支援推進室によれば、今年度の診療応援の件数(8月末)は2595件と、前年度同月の2601件とあまり変わらない。中央と磐井病院は減少したが、1年間で医師が2人増えた遠野病院は35件から144件に、2人減った釜石も71件から96件、高田病院も50件から67件と増えたところが目に付く。

  ただ、応援の実数は、もっと多いとみられる。石木院長のように、住田町に住む高田病院の元入院患者への訪問診療は「応援」に数えられない。かといって、訪問診療をやめるわけにもいかない。末期がん患者の場合、自宅で看(み)取らせてあげたいと、退院させ、訪問診療で治療を続けている事情もある。無床化後、高田病院の入院患者は増え、赤字続きだった同病院の収支は改善した。住田センターで、新たに内科医1人の勤務が内定しているが、医師の多忙さが劇的に解消される見込みがない。

  陸前高田市は5月、こうした高田病院を支援し、維持・存続させるため、庁内会議を作った。市立の2診療所や市内の開業医との連携策を探る。県立病院の当直の一部を地元医師会で肩代わりする宮古市の例を想定する。だが、陸前高田市は、開業医と市立診療所の医師を合わせて7人ほどだ。市内の医師団体「松風会」も高齢化のため、医師会機能を手放し親睦(しんぼく)団体に変わった。「医師の絶対数が足りない」。市民生部の清水久也部長が嘆いた。』
.
2009.10.21  ☆無床化半年:地域医療の行方/2 施設の民間移管/岩手
  21日、毎日新聞(岩手)→

『◇引受先見つからない 30分で終えた村の打診
  8月25日、九戸村役場に、村内唯一の社会福祉法人「九戸福祉会」の関口誠治理事長らが岩部茂村長らを訪ねた。村から打診を受けていた無床化された県立九戸地域診療センターの空きスペース利用について、関口理事長は答えた。「経営上、難しい」。村も予想した通りの結果。会談は30分ほどで終わった。

  無床化した5センターでは、空きスペースや施設の民間移管などが模索されている。花泉地域診療センターは、一関市内の医療法人白光への移管が、9月に内定した。大迫(花巻市)や紫波(紫波町)でも、地元市町が中心となって検討を開始。県立沼宮内病院(60病床)がある岩手町も、来年度予定の無床化を前に、民間移管を探る動きが出ている。

  九戸村はこうした動きから取り残されている。地域密着型介護老人福祉施設27人▽介護老人保健施設36人▽短期入所生活介護施設27人--。空室となった九戸センター2階を福祉施設に活用した場合、床面積から認められる最大の入所者数を示した医療局の試算だ。だが、九戸福祉会によれば、入所率を100%としても、人件費だけで年間1000万円程度の赤字になるという。同会が運営する折爪荘の野里典美施設長は「新たにスタッフを配置せねばならず、どうしてもコストが合わない」と打ち明ける。

  一方、内定した花泉センターも順風満帆とはいかない。「試算通り収益が得られるのか」「地域医療を任せられる法人なのか」。今月7日の県議会環境福祉委員会で、県議の厳しい指摘が相次いだ。監査報告にある監査人の署名が異なる、社会福祉法人の準備状況を示す書類がずさん……。相次ぐ不備に審議は23日に続行されることになった。

  民間移管を巡る騒がしさを横目に九戸村は9月、九戸センターの維持を第一に掲げた。当直しないことを条件に医師1人が就任し、訪問診療を復活したことや、他に医療機関がないこともある。同村住民生活課の川戸茂男課長は言う。「移管先が撤退すれば無医村になってしまう。ギャンブルはできない」。』
.
2009.10.21  ☆無床化半年:地域医療の行方/1 危機的な救急受け入れ/岩手
  20日、毎日新聞(岩手)→

  『経営効率化と医師不足を理由に(岩手)県医療局が地域診療センター5カ所を無床化し、今月で半年間が過ぎた。無床化された施設を民間法人に移管を目指す動きがある一方、移管先が見つからず途方に暮れる地域もある。県が錦の御旗(みはた)に掲げた「地域医療の崩壊を食い止める」ことはできるのか。危機的な財政状況の中、4月以降も医師の減少に歯止めはかからない。無床化された地域を巡る現状と課題を探った。【山口圭一】

◇搬送先が決まらない!? 不安募らす住民たち
  宮城県境から北に約500メートル。一関市花泉町永井の集落に17日夕方、1台の救急車が到着した。70歳代女性が腰あたりに痛みを覚え119番通報した。だが、女性を乗せた救急車はなかなか出発しない。「(搬送先に)断られているらしい」。近くに住む農業、及川多賀志(たかし)さん(60)は、両親の搬送を断られ続けた約10カ月前の出来事を思い出した。「人ごとじゃない」と顔を曇らせた。

  及川さんの両親は今年1月、立て続けに体調を崩した。母、猛子さん(84)の時には、県立磐井病院など一関市内で4カ所、隣県の栗原や登米市内も含め7〜8病院に連絡したが、「ベッドの空きがない」「医師がいない」などの理由で断られた。約1時間、「痛い、痛い」と猛子さんのおなかをさする手が疲れて動かなくなってきたころ、隣町の藤沢町民病院への搬送が決まった。腸閉塞(へいそく)だった。

  県医療局は、1月に花泉町で開いた説明会で、住民の不安に対し「救急の場合は磐井病院で受け入れます」と答えた。だが、県立磐井病院も「物理的に受け入れられない場合もある」(佐川義明事務局長)状況だ。無床化前ですら受け入れはいっぱいなのだ。猛子さんが苦しんだ時、病院は救急患者を3〜4人抱え、脳出血の疑いや盲腸、頭部外傷など、当直医3人が処置に追われていた。「待たせることになる」と他病院を勧めた。この日は午後5〜12時だけで21人が受診していた。

  一関市消防本部によると、08年に救急搬送された患者は5155人。うち磐井病院は2234人、花泉センターは71人。宮城県内や奥州市などにも296人が運ばれた。花泉センターの受け入れがなくなった今年4月以降、磐井病院の医師は増えず、一関市内の千厩病院も1年半で医師が5人減った。受け入れ能力は上がらない。消防課の小野寺正行さんは「救急患者が重なると搬送が難しい」と、こぼす。

  及川さんは、説明会の県医療局の言葉を思い出すたび、「実際は違う」と思う。いつ急病に見舞われてもおかしくない両親と、及川さんは親子3人で今日も暮らしている。』
.
2009.10.18  ☆熱海市の熱函病院、医師不足で廃院へ
  15日夜、静岡第一テレビ→

  『2007年から休止していた熱海市内の病院が廃院となった。医師不足が理由でそのまま廃院となるのは珍しいという。

   廃院となったのは熱海市春日町の熱函病院。 県によると、内科や消化器科、循環器科などをもつ熱函病院は医師不足などを理由に2007年10月に県に診療休止届けを出し、職員の募集を続けるなどしていたが、ことし8月31日付けで廃院届けを提出して受理されたという。

  県医療室によると、病院から診療所に移行したり、他の医療法人に経営を譲渡することはあっても、休止からそのまま廃院になるのは極めて珍しいという。』
.
 2009.10.11 ☆県議会:花泉医療センター廃止条例案、移管先のずさんさ判明 審議持ち越し/岩手
  8日、毎日新聞(岩手)→

『◇議論紛糾、23日に審議持ち越し
  (岩手)県医療局の無床化問題で、県議会環境福祉委員会は7日夜、花泉地域医療センターの民間移管に伴ってセンターを廃止する条例案の審議を23日に持ち越した。移管先で一関市の医療法人「白光」の応募書類のずさんさが判明し、議論が紛糾。一度終えた討論を撤回し、審議を続行する異例の事態となった。

同センターの民間移管先は、県医療局が8月に公募。白光のみが応募し、審査の結果、内定した。19病床の診療所のほか、社会福祉法人を設立し特別養護老人ホームを併設する計画を示している。

審議では、白光の監査報告にある監査人の署名が異なり、社会福祉法人の設立書類にも誤りが多数あることなどが明らかになった。民主党以外の議員からは「試算通り収益が得られるのか不明だ」「撤退時、県が医療施設の運営を継続する担保が必要だ」などと指摘。医療局は「法人設立までに指導を行う」「移管後も支援していく」と理解を求めた。

一方、民主党議員は「地域にベッドを残すため、大局的な判断に立つべきだ」「両磐地区は病床が不足している」と賛意を示した。』
.
2009.10.11  ☆銚子市立総合病院閉鎖から1年 暫定再開へ医師確保に奔走
  9日、産経新聞→

  『深刻な医師不足や経営難により、千葉県の銚子市立総合病院(同市前宿町)が昨年9月末に診療を休止してから1年。注目される再開時期について、同市は来年4月の「暫定再開」を明記した工程表を県に提出した。市の委託で病院再開業務を進める「銚子市立病院再生準備機構」(木多良輔代表)は、医師の確保に向けた募集活動を10月から本格化させている。

 病院再生準備機構は、病院再開に不可欠な医師や看護師の確保を目的に、ベテラン医師や病院経営関係者などでつくる組織。市との委任契約で7月から業務に着手し、2カ月間の検討結果からまとめた「再生基本方針」を市側に提出した。

 基本方針によると、経営形態は「公設民営」を中心に検討。「救急医療体制の確保」「産婦人科、小児科の充実」を理念の柱に据え、10診療科、病床数200床の総合病院を将来構想としている。ただ、医師確保などの面から、まずは内科や外科など3科程度で来年4月に暫定再開し、3〜4年後をめどに最終完成形を目指すという。

 銚子市に対しては「老朽化が激しい病院施設の早期新築」「医療従事者の宿舎の見直し」などを提案している。同機構の田中肇事務局長は「具体的な将来構想を見せないと若い人材は集まらない」と、待遇面での配慮を盛り込んだ理由を説明する。

 同機構では7月末から千葉大医学部や自治医大系の社団法人「地域医療振興協会」などと接触。田中事務局長は「6つの大学医学部と医師募集の具体的な交渉に着手していく」としており、同市によると、大学側との直接交渉も今月から始まっているという。

 機構側の基本方針に対して、野平匡邦市長は「異論はない。病院の新築については、県の補助金制度などを活用し、できるだけ現在の場所に建て替える方向でいきたい」と話した。』
.
 2009.09.28 ☆研修医枠67人減 10年度/北海道
  28日、朝日新聞(北海道)→

『■医師不足さらに深刻
  10年度に医学部を卒業して臨床研修に入る学生について、研修先の病院の募集定員が道内全体では09年度の494人より67人減り、427人になることが分かった。厚生労働省が設定し、24日に発表した。研修医が思うように集まらず、地方の医師不足に苦しむ道内の病院は、さらに厳しい状況になりそうだ。

 これまでは病院が募集定員を決めており、同省が都道府県ごとに定員を設定したのは04年度に臨床研修制度が義務化されてから初めて。首都圏などに研修医が集中している現状を変え、地方に医師を行き渡らせようという狙いだ。定員に基づき、医学生と病院の希望を考慮して研修先を決める「マッチング」の結果は10月末に決まる。

 道内の募集定員が前年度より67人減るのは、47都道府県の中でも5番目に大きい減り方だ。また、研修医を受け入れる臨床研修指定病院も、道内では現在の70から65に減る。

 同省臨床研修推進室は「各病院の採用実績と都道府県の人口、医学部の定員などを勘案してはじき出した適正な数字」と説明している。

 道内の関係者の受け止め方は深刻だ。札幌市内にある指定病院の医師は「選択肢が減ることで、卒業後も道内に残る医学生がさらに減るのではないか」と心配している。

 実際、08年度は募集定員491人に対し、集まった研修医は294人。目標を大幅に下回った。道地域医師確保推進室は、札幌や東京で臨床研修病院の合同プレゼンテーションを実施するなど研修医確保に懸命だが、マッチング数は思うように伸びていない。

 ある指定病院の医師は「大学を卒業した医師が地方で研修できる仕組みを、行政を含めて考えなければならない」と訴えている。』
.
2009.09.24  ☆職員の医療費を長年助成 経営難の浜松市医療公社
  24日、中日新聞(静岡)→

  『浜松市が全額出資する外郭団体の市医療公社が、職員互助会に対する負担金の形で、職員の医療費の自己負担分を長年にわたって全額助成してきたことが分かった。公社自身が経営難にあり、「間接的に税金で支えられている」と指摘される中、多額の経費を要する“手厚い助成”は議論を呼びそうだ。

  公社事務局によると、職員互助会は公社が運営する県西部浜松医療センター(中区富塚町)の開院翌年(1974年)に設立された。当初から「療養給付金」名目で医療費自己負担分の助成制度を設け、家族についても同センターでの受診で助成し、2006年度まで30年余にわたって全額負担してきた。04年度では約3500万円、助成を8割に下げた08年度でも約3000万円。これらを含めた互助会事業費の4割程度を公社が負担し、残りが職員掛け金でまかなわれてきた。

  だが、公社の累積赤字は08年度末で5億円を超え、財政余力に乏しい。医療センターも開設者として運営を委託している市が税金で支えている状態だ。

  公認会計士らによる05年度の市の包括外部監査でも「助成を本来の福利厚生に限定し、公社の経費負担を軽減する必要がある」と指摘されているが、助成率を段階的に8割(家族は5割)まで落とし、そのまま継続されている。

  公社事務局は「福利厚生を受けづらい職員のために続いてきた」と説明する一方「経営再建を目指す中で見直しを進め、掛け金のみで運営する方法を探っている」と話している。

  市側は医療センターについて、抜本的な経営改善策として、来年4月を目標に地方独立行政法人へ移行する準備を進めている。職員数は今年3月時点で、医師や看護師、事務員ら計820人。』
.
2009.09.20  ☆規模拡大し医師確保 東海、知多市境に新施設
  19日、讀賣新聞(愛知)→

『課題@検索「市民病院統合へ」

  医師不足と経営難に悩む東海市と知多市の両市民病院の間で、統合に向けた話し合いが進んでいる。両市では「東海市・知多市病院等連携協議会」(会長=早川豊彦・知多市副市長)を設置、10月に中間報告をとりまとめ、来年3月には最終報告書を提出する計画だ。今後の課題を探ってみた。(松原輝明)

  両病院では医師不足から診療科目が減少し、その結果、患者や入院患者数が減ったため、経営が悪化しており、両病院の累積赤字は、合わせて約100億円(2008年度末現在)にも上るという。

  東海市民病院の病床数は、分院と合わせ353床。これに対し、常勤医師数は32人。昨年の病床の平均稼働率は50%強にとどまる。一方、知多市民病院も、眼科や脳神経外科の常勤医師が不在に加え、今年6月からは産婦人科も常勤医師がゼロになった。昨年の平均稼働率は約80%だが、同病院管理課では「病床数が300から240に減ったことによって、稼働率が上がったに過ぎない」と話す。

 同協議会には両市の関係者のほか、大学病院の院長、副院長、市民代表ら約30人が参加。7月3日と8月17日に開かれ、名古屋大学医学部付属病院の後藤秀実副院長は、最初の会合で「今のままでは二つともつぶれる。規模を大きくし、魅力ある病院に」と提言した。

  協議会事務局では「病床数400〜500で、建設場所は両市境」という試案を作成し、10月の中間報告に盛り込む方針だ。基本構想に1年かけ、基本設計から実施設計、施工、開院まで5年にわたるスケジュールを見込む。経営形態については、「最初から経営統合をするのではなく、事務組合形態も視野に入れて」として、現在、両市がし尿処理で作っている西知多厚生組合を受け皿にする案が浮上している。

  一方、同協議会では、建物以外で160億〜190億円、建物も108億〜132億円が必要だと試算しており、資金の調達方法もこれからの課題だ。また、新病院建設後の各市民病院の扱いについても未定で、課題は山積している。
協議会長の早川副市長は「中小の病院が二つあるよりも、病床500の大規模な病院の方が、医師や看護師の確保をしやすい。できるだけ早い時期に経営統合し、地域医療の存続、向上に努めたい」と強調した。』
.
2009.09.14  ☆産科・救急医確保へ7300万円 道が57病院に手当補助
  14日、北海道新聞→

『医師不足や過重労働が問題となっている産科医や救急医の待遇改善に向け、道は道内の病院に対して医師への手当などを補助する事業を始める。15日開会の定例道議会に提出する補正予算案に約7300万円を計上。延べ57病院が補助を活用する予定で、将来的な医師数増に結びつくか注目される。

補正予算案に盛り込まれるのは、《1》産科医確保支援(約4200万円)《2》救急勤務医支援(約2200万円)《3》女性医師就労環境改善緊急対策事業(約900万円)の3事業。敬遠されがちな分野の医師を増やすことを目的に国が本年度予算に盛り込み、都道府県などに事業化を要請していた。

道内では2006年までの10年間で、医師総数は1300人増えて1万1579人となったが、産科医は80人減の359人。拘束時間の長さや訴訟リスクの高まりから産科離れは顕著になっている。
救急医も不規則な激務が敬遠され、確保が難しくなっているのが現状。医師不足の中、女性医師の離職をどう減らすかも大きな課題となっている。』
.
 2009.09.08 ☆医療費滞納に法的措置 (茨城)県病院局 簡裁に督促申し立て
  8日、讀賣新聞(茨城)→

『(茨城)県病院局は7日、県立中央病院(笠間市)の医療費の悪質滞納者3人に対し、笠間簡易裁判所に支払い督促を申し立てた。電話や文書、戸別訪問など再三の督促に対し、支払うという約束をしながら、1年以上支払いがなかったため、法的措置に踏み切った。

 これまでに、県教委が県立高校の授業料滞納者に対し、支払い督促を簡裁に申し立てた例はあったが、同局では初めて。発表によると、滞納額は3件合わせて計82万5710円。簡裁の支払い督促にも応じない場合、財産を差し押さえる強制執行が可能となる。

 同病院の未収金は年々増加傾向にあり、昨年度は前年度比2000万円増の1億3600万円に上る。ほかの県立2病院でも、友部病院(笠間市)で4000万円、こども病院(水戸市)で1000万円の未収金があった。

 滞納の理由としては、保険に入っていなかったり、生活に困窮していたりすることがあるが、県病院局は、支払い能力があるにもかかわらず応じない場合に限り、法的手段に訴えるとしている。

 県立中央病院は、救急患者の受け入れ強化を図り、昨年度の救急搬送件数が約3800件と、3年前と比べて約1300件も増えている。今年4月からは、病院の会計受け付けを午後6時前後から午後10時まで延長し、医療費の未収発生を防ぐ対策を講じている。』
.
 2009.09.06 ☆外科医:地域密着型で養成、ネットワーク設立 医療機関や大学、自治体連携/島根
  6日、毎日新聞(島根)→

『勤務環境の過酷さなどから外科医志望者が減少するのを防ぐため、県内の医療機関や大学、自治体が連携して地域密着型の外科医養成プロジェクトで医療の充実を図る「島根外科ネットワーク」が設立された。5日、第1回会議が出雲市塩冶町の島根大医学部で開かれた。

 会議は、県と島根大医学部が主催した。県内20の医療機関と県の担当者が参加し、各病院の外科医療の現状や課題など情報を共有した。

 県医療対策課によると、全国的に外科医が不足する中、県内でも病院勤務の外科医が07年度123人だったのが、08年度には10人減少して113人となったという。

 会議では、外科医が働きやすい環境の整備や人材確保の推進▽がんを含めた治療レベルの向上などを目的に、各病院間のネットワーク作り▽県内の外科再編と外科医の適正配置▽地域連携によるがん対策--などを協議した。
協議の中で「外科医不足でも出雲地域と石見、隠岐では雲泥の差がある」といった意見や「外科にとどまらず消化器内科や麻酔科のネットワークも必要ではないのか」といった意見も出た。

 県健康福祉部の木村清志医療企画監は「各病院と連携して外科医を養成し人材確保していくため話し合った。東西のバランスが悪いといったことではなくて長期的に医師をどうやって育てていくか。それぞれ温度差はあるが今後も協議を続けていきたい」と話した。』
.
2009.09.04  ☆大台厚生病院、経営難で公的支援要請
  3日、中日新聞→

『JA三重厚生連が運営する大台厚生病院(三重県大台町)が経営難に陥り、地元の大台町などに、病院建て替えと来年度以降の赤字補てんを要請していることが分かった。必要額は20億円以上の見込み。受け入れられない場合、撤退も視野に入れており、大台、大紀両町の医療の中核を担ってきた病院が消える恐れが出てきた。

関係者によると、三重厚生連は8月、大台町と隣の同県大紀町に「医師不足などで存続が難しい」と公設民営化を前提とした協議を打診。その後、両町側と実務会合を開き、三重県や、医師を派遣する三重大の担当者も参加する協議会を発足させるよう求めた。

厚生連側は、耐震強度不足のため建て替える病院の用地と建設費を両町など行政側がすべて負担することも要請。協力が得られなければ「病院の規模縮小や撤退などの方向で検討する」と伝えたという。三重厚生連の家城幸弘常務理事は「撤退が前提ではないが、黒字化の見通しが立たない。地域で、公的医療機関と同様の役割を果たしてきた病院を支えてほしい」と訴える。

一方、多額の公費投入には町民らも反発しかねず、大台町の尾上武義町長は「町の財政は厳しく、巨額の負担は難しい。大紀町などと話し合って方向性を探りたい」と慎重な姿勢を示している。

大台厚生病院は2007年度に医師不足が深刻化し、翌08年度の単年度赤字は2億円、累積赤字は4億円に達している。』
.
2009.08.30 ☆自衛隊病院を10施設に集約、一般開放へ
  29日、讀賣新聞→

『防衛省は28日、全国に16ある自衛隊病院を10病院に集約し、すべてを一般住民も利用できる保健医療機関とする方針を決めた。
残る6病院は機能を縮小し、診療所とする。自衛隊病院は有事を想定して病床数を設定しているが、大半の病院で利用率が20%前後と低いため、病床数見直しと一般開放を進めることにした。

 現在、一般住民も利用できる自衛隊病院は札幌、横須賀(神奈川県)、中央(東京都)、福岡、富士(静岡県)の5病院だ。ほかに仙台、阪神(兵庫県)など4病院の機能を強化し、関東地区に新病院も作ることで、計10病院を住民に開放する。救急医療にも力を入れる。

 集約時期は未定だが、防衛省は「地域の医療機関などと調整しながら早期実現を目指す」としている。同省は昨年11月、省内に検討委員会を設置し、自衛隊病院の見直しを進めていた。』
.
2009.08.30  ☆公立病院の医師不足など討議
  30日、中國新聞→

『公立病院の将来像を考える地域医療学会が29日、広島市中区の広島厚生年金会館であった。広島県内26の公立病院・診療所でつくる県国民健康保険診療施設協議会(平谷祐宏会長)などの主催。医療関係者たち約300人が参加し、慢性的な医師不足や経営悪化など地域医療をとりまく課題について意見交換した。

 パネル討議では「地域医療再生への道を求めて」をテーマに、県内の医療関係者たち7人が意見交換。全国国民健康保険診療施設協議会の山口昇常任顧問は、「医師不足を解消するためにも、幅広い患者を診察できる『総合医』を大学で育成するべきだ」と訴えた。

 医師不足で診療体制の縮小を余儀なくされ、経営が悪化するケースも相次ぐ。累積赤字を抱え、他病院との統合計画が進む三原市立くい市民病院の弘野正司院長が現状を報告。「経営効率だけを考えて再編を進めると、山間部の医療はいずれ崩壊する」と危機感を強めた。』
.
2009.08.26  ☆『ドクターカー』(栃木)県内初導入 『攻めの救急』 医師が現場へ
  26日、東京新聞(栃木)→

『医師が自ら運転して救急現場へ向かう乗用車型の「ドクターカー」を、足利赤十字病院(足利市本城)が県内で初めて導入し、救命救急センターで運用を始めた。重症患者の早期治療が最大の目的だが、医師不足により崩壊しつつある地域救急医療体制の改善に向けた起爆剤としても期待が掛かる。 (清水祐樹)

ドクターカーは乗用車に赤色灯を付け、緊急自動車として登録。救急車と同じように緊急走行が可能なため、救急専門医や看護師がいち早く直接現場に行って治療できる。
活動範囲は足利、佐野両市に、群馬県桐生、太田、館林、みどり各市を加えた「両毛医療圏」。各消防本部と協定を結び、要請に応じて出動する。
同医療圏唯一の三次救急医療機関に指定されている同センターでは、佐野市民病院の二次救急休止などで軽症患者の搬送が増加。高齢化が進んでこの十年間で救急搬送患者数が五割以上増えたこともあり、重症患者の受け入れが難しくなっている。

このため、プレホスピタルケア(病院前救急診療)の充実が急務に。救急活動の中心になっている救急隊員は処置や薬剤使用に制限があり、医師が現場に駆け付けられるドクターカーが果たす役割は大きい。

また、県内の院外心肺機能停止患者の蘇生(そせい)率は11%(二〇〇六年度)と、全国平均20・5%の約半分。県内十三基幹病院の常勤医が二〇〇〇年から〇七年までで一割以上減ったことが原因の一端とみられている。

ドクターカー導入で蘇生率アップにつながる可能性もあり、同センターの小川理郎(さとお)所長は「救える命を救えない方がつらい。病院で待つのではなくて、外に出て早めに治す『攻めの救急』だ」と意欲を示している。』
.
2009.08.25  ☆医療費抑制へ、久留米市がジェネリック薬利用促進
  25日、讀賣新聞(九州)→

『久留米市は9月から、市内の国民健康保険加入者に対し、ジェネリック(後発)医薬品の利用を促す二つの事業を展開する。年々増加している医療費の抑制を図るのが狙い。

  ジェネリック医薬品とは、先発医薬品(新薬)の特許が切れた後、他の製薬会社が製造した医薬品。先発医薬品と有効成分は同じだが、開発コストが抑えられるため、価格は7〜2割程度も安い。

しかし、日本では普及率が低迷。米、英、独での使用数量は50%程度に達しているのに対し、日本は約17%(2006年度)にとどまっている。国は増え続ける医療費を節減するため、2012年度までに30%以上にする目標を立てている。
同市の国民健康保険の医療費は、05年の約247億円に対し、07年は約275億円と増加傾向。市はこのため、市民の医療費を抑制しようと、ジェネリック医薬品の使用を促す試みを始めることにした。

一つは県のモデル事業で、医療機関から市へ提出される診療報酬明細書(レセプト)を分析し、ジェネリック医薬品に変更すれば自己負担額の削減が多くなる被保険者に対し、削減可能な割合を通知する。毎月、削減額が多い上位1500人の被保険者が対象。

もう一つは、医療機関で提示すればジェネリック医薬品を利用したい旨を伝えることができる「ジェネリック医薬品希望カード」の配布。窓口で言いづらい人などに使ってもらう。カードは縦約6センチ、横約9センチで、市内の被保険者8万7000人に配られる予定。
カードは全国の自治体で導入が進んでおり、通知事業は広島県呉市や一部の民間企業の健康保険組合がすでに実施している。呉市では昨年7月に通知事業を開始し、通知を送った6割の人が切り替え、今年3月までに約4400万円の削減効果があったという。

  久留米市健康保険課は「市の医療費を減らすだけでなく、加入者の医療費負担も同時に減らせるメリットがある」として積極的にPRを行う方針だ。』
.
2009.08.16  ☆大崎市民病院建て替え大揺れ 医療現場、計画に「NO」/宮城
  16日、河北新報→

『宮城県北の地域医療を支える大崎市民病院本院(大崎市古川)の建て替え計画が揺れている。現在地での建設を目指す市に対し、本院の医療スタッフが郊外の市有地への移転を検討するよう求めているからだ。病院建設をめぐり医療現場が行政の方針に異を唱え、代替案まで出す異例の事態。一度は決着したはずの建設地のどこに問題があるのか、経緯を探った。(大崎総局・藤田杏奴)

<郊外移転を提案>
「現在地と(郊外の)市有地、それぞれの長所、短所を比べ、より良い場所に建ててほしい」
医療スタッフを代表して、放射線科長の壷井匡浩医師ら3人が4日、要望書とスタッフ124人分の署名簿を伊藤康志市長に提出し、見直しを求めた。伊藤市長は「本院建設は市の最大の事業。皆さんの声は重く受け止めたい」と答えた。

市は昨年9月、周辺住民の要望を背景に、現在地での建て替え方針を決定。「計画通りの用地確保を前提に」という条件付きだった。

周辺の約1万平方メートルを買収、敷地を約4万平方メートルに拡張して、2013年度に開院する構想で、全地権者の同意を今年3月末までに得るとしていた。だが、買収は難航し、現在も数軒の未同意者がいる。開院は1年遅れ、事業費も当初予定の160億円から200億円に膨らむ見通しだ。

<環境の悪化懸念>
要望書は、現在地建設の問題点として(1)駐車場が不足(2)買収できない土地があり、設計や建設が制限される(2)工事の騒音や振動で環境が悪化する―などと指摘。市有地の事業費は180億円で、現在地より少ないとする積算書も盛り込んだ。

本院では現在も、患者が集中する午前中の駐車場不足と交通渋滞が慢性化。署名に名を連ねた脳神経外科の吉田昌弘科長は「駐車場が満車で、予約時間に間に合わないケースも日常的だ。工事車両が入れば、もっとひどくなる」と心配する。

医療現場が代替案に推す市有地は、古川稲葉の新興住宅地「穂波の郷(さと)」内の約3万平方メートル。1999年に旧古川市が社会教育施設用地として購入したが、塩漬けになっている。医師らは「直ちに建設可能で、交通の便もいい。周辺用地も整地済みで、容易に買収できる」と主張する。

<「なぜ今」困惑も>
住宅密集地にある現在地と比べ、周辺の日照を妨げる恐れは少なく、医療機能を優先した建築が可能とみられる。半面、高層の病棟を建てる際は軟弱な地盤を強化し、都市計画法の用途変更手続きも必要となる。

加えて現在地で買収に同意した地権者への配慮も問題になる。ある市幹部は「市有地に建てる方が制約が少ない」と認めた上で「契約に至っていないとはいえ、同意してくれた地権者に理解してもらえるかどうかが悩ましい」と漏らす。

病院近くに住む無職男性(68)は「どこに建てるにしても、医療スタッフの協力がなければいい病院はできない。なぜ今ごろこんな話になるのか」と戸惑いを隠さない。

市は8月いっぱいは用地買収の交渉を続け、現在地に建てる上での課題を精査する。本院は大崎地域だけでなく、栗原、登米両市からも患者が通う拠点病院。「誰のため、何のための医療施設か」という原点に立った検証が求められる。』
.
 2009.08.16 ☆自治体の一般病院、07年度の黒字は4分の1―厚労省
13日夜、CBニュース→

『自治体が運営する一般病院のうち、2007年度に経常利益が黒字だったのは全体の25.1%と、約4分の1にとどまることが、厚生労働省が8月13日に公表した報告書「病院経営管理指標」から分かった。医療法人の一般病院は71.6%が黒字だった。

報告書は、厚労省が実施したアンケート「病院経営管理指標調査」の結果をまとめたもの。「医業利益率」や「人件費比率」「黒字病院比率」などを、「医療法人」「自治体病院」「社会保険関係団体」、日赤など「その他公的」ごとに比較した。
アンケートでは7146医療機関(医療法人5721病院、公的病院1425病院)に調査票を送付し、2033医療機関(同1204病院、同829病院)から回答を得た。有効回答率は19.6%(同13.9%、同42.6%)。

報告書によると、医業利益率は医療法人が2.0%のプラスだったのに対し、公的病院は自治体病院が14.6%、社会保険関係団体が1.3%、「その他公的」が2.1%のいずれもマイナスだった。
また人件費比率は、自治体病院が63.6%で最も高く、社会保険関係団体は53.0%、医療法人と「その他公的」が52.7%の同率だった。
「医師一人当たりの外来患者数」は、医療法人が13.3人で最も多く、以下は自治体病院12.3人、「その他公的」10.3人、社会保険関係団体9.6人と続いた。
経常利益が黒字だった病院の割合は、医療法人が71.6%で最高。以下は、社会保険関係団体56.8%、「その他公的」46.4%、自治体病院25.1%の順だった。

報告書ではまた、医療法人を病院種別に▽一般病院▽ケアミックス病院▽療養型病院▽精神科病院―に4分類し、黒字病院の割合を比較した。それによると、精神科病院が89.7%で最も高く、次いで療養型病院81.3%、ケアミックス病院74.4%、一般病院71.6%と続
2009.08.16  ☆再生に懸ける銚子病院(下) 盆明けに“暫定開業宣言”へ
  14日午後、CBニュース→

『千葉県の銚子市立総合病院の診療再開をめぐり、銚子市は7月23日、医師や弁護士らでつくる「銚子市立病院再生準備機構」(以下、機構)と委任契約を締結し、病院再生事業は新たな局面を迎えた。来年4月の暫定再開に向け、現在、機構側が再開に必要な医療資源(医師、看護師、医療法人など)の確保を目指している。市立高校の看護学生を新病院に呼び込むため、野平匡邦市長は盆明けにも、事実上の「暫定開業宣言」をしたい考えだ。来年度の暫定再開は実現できるのか。そして、機構は病院再生への青写真を描けるか―。野平市長がキャリアブレインの単独インタビューに応じた・・・』

■つづきは こちら
.
2009.08.13  ☆再生に懸ける銚子病院(上) 波乱の1年
  12日午後、CBニュース→

『千葉県の銚子市立総合病院の診療休止から間もなく1年―。この間、「病院存続」を公約に掲げていた岡野俊昭市長はリコール(解職請求)で失職。5月の出直し選挙では元市長の野平匡邦市長が返り咲き、前市長のもとで進められていた再生構想は、リコール後に誕生した新市長に引き継がれるという波乱の展開となった。

市は7月23日、専門家から成る「銚子市立病院再生準備機構」(以下、機構)と委任契約を締結。来年度の暫定再開に向け、病院再生事業は新たな局面を迎えた。現在、7割以上が赤字といわれる自治体病院。「公設民営」での病院再開は、赤字体質脱却の糸口となるのか。現状を探るため、銚子市に向かった・・・』

■続きは こちら
.
2009.08.05  ☆島根・大田市立病院の外科医3人が全員退職へ
  5日午後、共同通信→

『島根県大田市の大田市立病院(岡田和悟院長)で3人の外科医が全員、来年3月末までに退職する見通しであることが5日、病院などへの取材で分かった。補充の見通しは立っていない。
同病院は入院が必要な患者を受け入れる大田市内で唯一の2次救急病院。1999年の設立当初から広島大が医師を派遣していた。

病院によると、7月に医師不足を理由に派遣打ち切りを伝えられた。医師の引き揚げ時期は1人が9月末、残る2人が来年3月末。
同病院は「ほかの大学にも医師派遣をお願いしており、何とか診療を続けられるようにしたい」としている。』
.
2009.08.02  ☆歯科医SOS 開業医増え減収、患者の受診手控え
  2日、河北新報→

  『歯科医師を取り巻く経営環境が東北で厳しさを増している。特に都市部では開業医が急増しているのに、不況で患者が受診を控える傾向にあるため。国の医療費抑制で、収入源の診療報酬は10年以上も横ばい。歯科医院によっては古い設備を使う不安を抱え、富裕層向け保険対象外医療に向かう流れも強まりかねない。しわ寄せは技術職の歯科技工士にも及んでいる。(編集委員・大和田雅人)

<20年で600人増>
2006年12月現在で宮城県内の歯科医師数は約1750人(うち仙台市内1100人)。口腔(こうくう)ケア意識の高まりなどで20年間で600人増え、人口10万当たりで見ても53人から74.4人へと増えた。

宮城県歯科医師会によると、平均的な歯科医が1カ月に診る患者の実数は約240人。1人が月2回通ったとして1カ月に各種保険から支払われる診療報酬は約300万円で、そこから人件費、医療機器代、技工士に外注する詰め物の技工料などが引かれる。一般に歯科医は高コスト体質だ。

仙台市の40代の開業医は「世界不況以降、患者が減り、高齢者も内科通いが精いっぱい。診療報酬は低く、将来が不安」と語る。

<自費診療に力>
収入減は、耐用年数を過ぎた機器使用、スタッフ削減など安全安心の問題に直結する。こうした中で、医療費が高額な無保険の自費診療を手掛ける医師が増えている。歯が欠損した後に人工歯根を埋め込むインプラント、歯を白くするホワイトニングなどだ。

宮城県歯科医師会の細谷仁憲会長(62)は「パイが小さくなって診療報酬外で賄おうという気持ちは分かるが、患者の富裕度によって治療に差が出る。国民が等しく適切な治療を受けられることが原則」と話す。

インプラントなどは効果が認められているものの、歯科医によって技量のばらつきが指摘される。患者への事前説明が十分に行われず、後にトラブルとなるケースも。

診療報酬に関しては、患者1人の平均額が一定以上を超えると厚生労働省が「指導」を行う。

患者数が少ない歯科医院ほど、1人を月に何度も診る時間的余裕があるため高くなりやすい。「イメージダウンになる指導を避けようと自費診療に走る」(50代の開業医)という側面もある。

<年収は200万円>
患者の減少などは技工士業界も直撃。技工所1軒当たりの歯冠修復や義歯作成の受注が激減し、単価も引き下げられた。

宮城県歯科技工士会の佐藤誠会長(61)は「若手の年収は200万円ほど。量をこなそうと深夜まで作業に追われ、離職者が絶えない」。全体の3割が60代以上で「10年後には歯科医を下支えする人材がいなくなる」と危機感をあらわにする。

全国の歯科医らでつくるNPO法人「みんなの歯科ネットワーク」理事の山田真氏(39)=仙台市=は「国の低医療費政策は見直す時期にきている」と訴えている。』
.
 2009.07.16 ☆応援診療 待機時間も報酬 釜石 県病院支援で補正予算案
  16日、読賣新聞(岩手)→

『釜石市は、県立釜石病院に1人しかいない消化器科医師の不在時に、応援診療にあたる地元医師の待機時間についても報酬を支払うことを決めた。今月21日開会する臨時市議会に関連予算80万円を含む補正予算案を提出する。

 釜石医師会は6月から、1人しかいない釜石病院の消化器科の医師が、出張などで不在の際、緊急の患者が発生した場合には、地元の開業医らが応援診療に駆けつける当番制をスタートさせた。

 当番医が患者を治療した場合には、釜石病院から医師に処置料は支払われる。しかし、当番医が自宅などで待機している時間は、事実上の拘束時間となっていても手当は支払われていなかったため、市は当番医の負担を軽減するため、待機時間への手当て支給を検討していた。

 補正予算案が市議会で可決され次第、当番医には1日当たり2万円の待機料が支払われる。同医師会の小泉嘉明会長(63)は「協力してくれた市に感謝する。地域医療の連携がより強まる」と話している。』
.
2009.07.12  ☆自治体病院 常勤医200人不足 充足率も71%止まり 県国保連調べ/青森
  10日、讀賣新聞(青森)→

『(青森)県内25か所の自治体病院の常勤医師数は計494人(今年5月1日現在)で、運営上必要な医師数より203人も不足していることが、県国民健康保険団体連合会の調べでわかった。充足率は70・9%で、深刻な医師不足が裏付けられた。
調査は、同連合会が毎年実施している。滞りない医療を提供するために必要な常勤医師数の合計が697人であるのに対し、現員は研修医を含めて494人にとどまった。充足率70・9%は、前年より0・2ポイント上昇したが、5年前の2004年の81・4%からは10・5ポイントも低下した。

 充足率を病院別にみると、国保三戸中央病院が最も低い46・7%。続いて国保平内中央病院、公立金木病院、国保鶴田町立中央病院が、それぞれ50%だった。充足率が100%だったのは、六戸町国保病院と国保名川病院だけだった。
診療科別では、麻酔科が29・2%と最低で、眼科41・2%、放射線科41・7%と続いた。全国的に医師不足が指摘されている産婦人科・婦人科と小児科は、それぞれ69・7%、66・7%だった。
一方、医療法の規定に従って算出される最低限必要な医師数は計約444人。これに対し、常勤医師と、非常勤医師の常勤換算数は、合計約549人。必要数を約105人上回り、充足率も123・7%だった。

 だが、25か所のうち17か所は、医療法上の充足率も100%を下回った。特に、公立金木病院は、診療報酬の減額対象となる70%を割り込み、64・6%だった。
厚生労働省の06年末の調査によると、県内の医療機関で働く医師数は人口10万人あたり170・5人で、全国ワースト5位。

 このため県は、弘前大医学部入学生を対象とした修学資金援助や、自治体病院の再編などに取り組んでいるが、目立った成果があがっていない。
県自治体病院開設者協議会の中野司?会長(鶴田町長)は、「04年度に始まった臨床研修制度や、勤務医の開業志向の高まりで、県内の都市部でも医師確保が困難になってきている」と分析している。』
.
 ページの先頭へ
2009.07.10  ☆社保浜松病院の譲渡条件に合意得られず―RFO
  9日夕、CBニュース→

『3月にすべての診療科を休止した社会保険浜松病院の譲渡先などをめぐり、同病院を管轄する独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)」は7月8日、静岡県浜松市内で「第一回社会保険浜松病院譲渡検討委員会」を開いた。RFO側は新病院の開設時期などの譲渡条件案を提示したが、委員の合意は得られなかった。

17日に開かれる次回会合で、今後の対応策などについて詰める方針。同委員会は非公開で、RFOでは今回の条件案について、「一般競争入札の公平性を保つため、答えられない」としている。』
.
 2009.07.08 ☆お産の安心、揺らぐ都政 病院統廃合で分娩数激減
  8日、日本経済新聞→

『2008年10月の東京都立墨東病院(墨田区)での妊婦死亡事故から9カ月。都は3月、緊急時には指定病院が妊婦を必ず受け入れる新制度を導入した。深刻な産科医不足の中、崩壊寸前とも指摘される周産期医療体制をどう立て直すか。都政の負う宿題は重い。

「都立産院の復活も検討すべきではないか」。江戸川区で産科クリニックを営む鈴木国興医師(62)は語気を強める。』
.
 2009.07.07 ☆鳥取大で軽症救急受診に特別料金 8月から、診療費とは別に
  7日夜、共同通信→

『鳥取大病院(鳥取県米子市)は7日、夜間や休日に救命救急センターを受診した軽症患者から、診療費とは別に5250円の特別料金を徴収すると発表した。8月1日から実施する。

同センターは地域の中核となる3次救急医療機関だが、時間外受診の85%を軽症患者が占める。特別料金の徴収は、入院を要するかどうかで判断し、軽症患者を減らして重症患者の治療態勢を充実するのが狙い。

同センターでは3月末、教授を含む救急専門医4人全員が激務による心身の疲労や人員不足などを訴え一斉辞職。4月から医師を増員したが、軽症患者の時間外受診は一向に減らず、課題となっていた。』
.
2009.07.05  ☆社保病院の存続、与党マニフェストに明記へ
  4日夕、讀賣新聞→

『与党は、売却を目指している全国63の社会保険病院・厚生年金病院について、売却先が見つからなかった場合も公的な病院として存続させることを次期衆院選の政権公約(マニフェスト)に明記する方針を固めた。地域医療の維持を図る姿勢を明確にするのが狙いだ。

53の社会保険病院と10の厚生年金病院は、小泉政権下の2004年、年金福祉施設が保険料の無駄遣いと批判されたのを受けて整理合理化が決まった。社会保険庁が所管していたが、昨年10月には独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)に移された。当初は一部を廃止する方針だったが、地域医療に支障を来さないようにするため、現在は同機構の存続期限である来年9月末までにすべて売却することにしている。

しかし、これまでに売却先が決まった病院はなく、先行きが見えないことで医師や看護師が病院を辞めて経営が悪化する例も出ている。こうした事態を受け、与党としては地域医療の維持を優先する必要があると判断し、病院が売却できなかった場合でも存続させることにした。具体策は今後、協議することとし、公約には盛り込まない方向だ。』
.
2009.07.02  ☆銚子病院問題 専門家の『機構』設置へ 来春再開向け、市長方針
  2日、東京新聞(千葉)→

『銚子市立総合病院の診療休止問題で野平匡邦市長は一日、市役所で記者会見し、医師や弁護士ら専門家でつくる「(仮称)市立病院再生事業機構」を設置し、医師や看護師の確保を任せ、来春の診療再開を目指す方針を明らかにした。今月中旬にも臨時市議会を開き、同機構に支払う着手金などの補正予算案を提案し、再開に向けた取り組みを本格化させる。

野平市長の示した素案によると、同機構は東谷隆夫弁護士を代表にし、公認会計士や企業経営者、病院理事経験者ら十人ほどがメンバーとなる。
同機構は東京都内を拠点にし、再開後の診療科や病床数などについて経営的な観点から再考、適正規模の医師をそろえる。交渉先は市長が協力を取り付けたとする社団法人「地域医療振興協会」や大学、個人の医師らを想定している。

市は今月中にも同機構と委任契約を結んで着手金を支払い、診療再開が実現した場合、報酬金を払う。着手金と報酬金で億単位になる見込み。機構とは別の組織が病院運営に当たる計画だ。
野平市長は「事実上の随意契約の要素を含んだものになるが、そうでなくては再開できない。今年末までに工程表を明らかにしたい」と述べた。

また、前市長時代から進めてきた病院の指定管理者の公募で、市は二十六日の選定委員会が出した報告に基づき、法人側に「不適切」との結論を通知した。選定委は休止になった。』
.
ページの先頭へ 
2009.06.28  ☆会津統合病院:12年度新設予定、医師不足解消に高額の「医療職」給与適用/福島
  26日、毎日新聞(福島)→

『(福島)県立医科大(福島市、菊地臣一理事長)は25日、付属病院として12年度に新設予定の「会津統合病院(仮称)」(会津若松市)の医師の給与について、国公立大学付属病院で適用される「教育職」より1・5〜2倍高い「医療職」を適用すると発表した。全国初の取り組みで、へき地の医師不足解消を狙うという。

新病院は、「会津総合」と「喜多方」の両県立病院を統合して発足させる。両県立病院の定員である44人以上の医師の採用が目標。病床数は約230床の見込みだ。
同大によると、大学付属病院は教育研究機関であるため、医師は従来通りに教員として採用するが、給与は公立病院で適用される医療職扱いとする。県立病院の医師が付属病院に転籍し、給与が下がるのを理由に勤務をためらうのを防ぐ狙いもある。

また、他大学や病院を退職した優秀な医師を確保するため、希望する医師は65歳の定年を超えた後も任期付きで雇用する。給与のダウンもない。
同大の丹羽真一副理事長は「画期的なシステムで、全国的な関心を集めることを期待する」と話した。』
.
2009.06.18  ☆「PFI契約」解消へ 経営難の高知医療センター
  17日朝、共同通信→

『民間資金やノウハウを活用して公共施設を建設、運営する「PFI方式」を導入した高知医療センター(高知市)が経営難となり、運営委託先の特定目的会社(SPC)と運営主体の高知県・高知市病院企業団が、PFI契約の解消を前提に協議することが16日、分かった。

同日開かれた企業団議会臨時会で、山崎隆章(やまさき・たかあき)企業長が明らかにした。
山崎企業長によると、SPCと企業団は今春から、経営改善に向けた検討に着手。今月8日にSPCが「合意によるPFI事業契約の終了」を提案し、企業団もこれに応じた。今秋をめどに合意に向けた協議を進める。

病院は来年4月を目標に企業団の直営とし、これまでSPCに包括委託していた薬品の納入などについては、業者との個別契約に移行する。

医療センターは2005年、全国で初めてPFI方式を導入した病院として開院。直営方式と比べてコスト削減が見込まれていたが、医業収益に占める薬品などの調達コストが、当初の見込みより大幅に上回るなど赤字で推移。08年度には約7億6千万円の運営資金不足に陥るなど、経営難が深刻化していた。
公立病院のPFI契約をめぐっては昨年12月、滋賀県の近江八幡市立総合医療センターが、経営難を理由に、全国で初めて契約を解除。市直営に切り替えている。 』
.
2009.06.16  ☆神奈川県内の産科病床、3年で6%減 09年4月時点
  16日、日本経済新聞(神奈川)→

『神奈川県が15日まとめた県内の産科医療調査によると、2009年4月1日時点で分娩(ぶんべん)を扱う病床は2634床となり、3年間で6%(164床)減少した。常勤医の不足から病床の縮小・廃止が目立つ。来年度は11施設が「出産を扱うか未定」としており、産科病床の不足感が一段と強まる懸念もある。

分娩病床数は病院と診療所の合計。病床の内訳は横浜市が1091床と全体の約4割を占める。川崎市は404床、相模原市や湘南など、その他地域が1139床となった。

病床数は3年連続の減少で、昨年4月1日に比べ24床減った。分娩を扱う病院と診療所などは162施設と前年度に比べ2施設減った。

背景には、医師不足で医療サービスを維持できず、病床を廃止せざるを得ない病院が増えていることがある。大和市立病院は08年末、医師が足りず医療サービスを維持できなくなったため出産の受け付けを休止。09年春に医師を2人確保して受け入れを再開できた。』
.
2009.06.16  ☆医療クラークに「医師激務緩和」期待 徳島
  16日、朝日新聞(徳島)→

『(徳島)県内の医療機関で「医療クラーク」と呼ばれる職種が注目されている。診断書の作成などの事務作業を補助するスタッフで医師の秘書ともいえる存在だ。すでに導入している病院では好評で医師の激務を軽減できると期待されている。

県立中央病院(徳島市蔵本町1丁目)の臨時職員、大上典子さん(51)は医師の指示で、診断書や紹介状の返事を下書きしている。作成した書類は医師がチェックしたうえで、患者らに渡される。

患者から得られる医学的なデータを統計用に整理するのも仕事の一つだ。同病院救命救急センターの三村誠二医師(43)は「任せている仕事は、本来なら診察の合間に自分でやらなければいけないものばかり。とても助かっています」。

県立病院を運営する県病院局によると医療クラークには資格が必要ない。08年度から採用しており、計12人(5月1日現在)が3病院に配置されている。

徳島市民病院(徳島市北常三島町2丁目)でも08年7月から導入され、6人の職員が医師の代わりに電子カルテの入力や診断書の下書きなどを担っている。病院の担当者は「この1年足らずで、医師たちにとっても欠かせない存在になっている」と話す。

各医療機関が医療クラークを導入する目的は事務作業に追われる医師の負担を軽くし、医師にしかできない診察や手術に力を入れてもらうためだ。実際、医療クラークがいれば、医師は書類に間違いがないかを最終的に確認するだけでよく一から書類を作るよりも手間が省ける。激務といわれる勤務環境を改善することで、病院側は医師の定着にもつなげたい考えだ。

08年度から医療クラークの配置を厚生労働省に届けると病院に診療報酬が加算されるようになった。同省によると、県内では8医療機関(5月1日現在)が医療クラークを届け出ている。』
.
2009.06.14  ☆診療報酬 病院でなく医師に直払い ハイリスク分娩 富士市立中央病院が待遇改善策
  13日、讀賣新聞(静岡)→

『(静岡県)富士市は、同市立中央病院に勤務する産科医が、早産など出産時の危険性が高い妊婦の入院や出産を扱った場合、加算される診療報酬の半額を医師に直接支給することを決めた。医師の待遇を改善し、医師確保につなげるのが狙い。関係する条例改正案を、16日に開会する市議会6月定例会に提出する。

  診療報酬が加算されるのは、「ハイリスク分娩(ぶんべん)管理加算」と「ハイリスク妊娠管理加算」。妊娠22〜32週未満の早産や、合併症のある妊婦、40歳以上の初産など、母体や胎児の危険性が高い出産を扱った場合に加算される。これまでは加算報酬分は病院の収入になることが多く、医師に直接支払われるようにするのは全国的にも珍しいという。

 支給額は、加算される診療報酬の半額で、妊娠管理が1日につき5000円を最大20日間分、分娩管理が1日につき1万円を最大8日間分、それぞれ月給に上乗せする。市議会で条例改正案が可決されれば今年4月にさかのぼって実施する。

  同病院は2008年4月、産科医の派遣元だった東京慈恵会医科大から、4人の産科医全員を08年度いっぱいで引き揚げると通告された。09年度からは新たに浜松医科大が産科医3人を派遣し、慈恵医大からの1人と合わせて4人体制が維持されることになった。その交渉の中で産科医の待遇を改善するよう医大側から要望があり、市が対応を検討していた。』
.
2009.06.14  ☆無料低額診療事業:岐阜勤労者医療協会が開始 一般病院では県内初/岐阜
  12日、毎日新聞(岐阜)→

『雇用環境の悪化が続く中、岐阜市の岐阜勤労者医療協会は、経済的に苦しい人の医療費を減免する「無料低額診療事業」を今月1日から始めた。社会福祉法に基づき1951年に始まった同事業について、国は01年、所得水準の上昇などを理由に抑制方針を打ち出している。同協会に加盟するみどり病院(岐阜市北山)の松井一樹院長は「不況で医療費を払えない人が増える中、少しでも役に立ちたい」と話す。【山田尚弘】

事業は、同病院のほか、同協会が運営するすこやか診療所(同)、華陽診療所(同市祈年町)、こがねだ診療所(関市上白金)で実施。内科・外科を備えた一般病院での事業の運用は県内で初めて。
収入が生活保護基準の1・2倍までの来院者の医療費は入院・通院とも全額免除(入院の場合は高額療養費の自己負担額を上限)。収入が生活保護基準の1・4倍までの来院者は入院・通院費の1割を免除する。無保険者の場合は国保法に定める医療費窓口負担の減免措置など公的制度への申請が条件。無料診療の期間は原則1カ月間、最大3カ月間を限度とし、1割免除は最大半年延長する。

みどり病院の場合、年間の来院者約3000人のうち年間50人ほどは生活保護受給者。国の抑制方針について、同病院のソーシャル・ワーカー、林信悟さん(38)は「経済的理由で医療を受けられないとの相談電話が、最近は毎日1、2本かかってくる。制度は必要とされているはず」と訴えている。

県によると、県内の生活保護受給者は3月末時点で7600人以上。08年9月時点で、国民健康保険料の滞納により保険証の代わりに資格証明書を交付されている世帯は6389世帯あった。
事業は、DV被害者や外国人労働者も対象。』
.
2009.06.14  ☆県立地域診療センター無床化:花泉センター、公募で介護事業併設の民間運営へ 県と一関市/岩手
  13日、毎日新聞(岩手)→

『 ◇「病床復活が住民の意向」
4月に無床化された県立花泉地域診療センターについて、県医療局と一関市は12日、センターを廃止し、介護施設を併設した有床診療所を運営する民間の事業所を公募することで合意した。8月末までに選定し、来年1月には新体制に移行させたいという。

同局管理課は同日、一関市を訪れ、7月下旬に公募条件を住民へ説明、公募を始め、9月県議会で設置条例の改正案を提案する日程を示した。建物は事業者に賃貸する。浅井東兵衛市長は「病床復活が住民の意向だ」と、受け入れた。
ただ、特別養護老人ホームや老人保健施設など介護施設を開設するため、地域に提供できる福祉サービスが増える。このため、一関市と平泉、藤沢両町の介護保険料を算定し直す必要がある。県保健福祉部は、今年度から11年度まで増額分を補助し、利用者の負担が増えないようにする方針だ。

市一関保健センターの小島富士男所長は「入所待機者もいる。12年度以降負担は増えるが、住民の理解を得たい」と話した。』
.
2009.06.11  ☆岩手県 病院無床化から2ヶ月医師 負担は減少 住民 不安消えず
11日、讀賣新聞(岩手)→

■地域懇談会
「地元の皆さんに、不安を抱かせたことを申し訳なく思っています」
紫波町桜町の集会施設で先月7日に開かれた懇談会の冒頭、出席した200人近い住民を前に、達増知事は頭を下げた。
懇談会は4〜5月、今年度から無床化が実施された地域診療センターがある県内5か所で開かれた。地域医療のあり方を巡り、住民と知事がひざを交えて意見を交換するのが目的だった。

  紫波町の懇談会では、知事のあいさつが終わると、住民グループ「県地域医療を守る住民組織連絡会」の及川剛代表が、「今さらなんで出てきたのか」とすぐさまかみついた。その後も、「どうすれば入院ベッドが復活するのか」「医師不足、赤字経営というが、県は解消のための努力をしたのか」と、厳しい口調の発言が続いた。
知事は「無床化案がベスト。負担を分かち合わない限り、医療は5年以内に全面崩壊する」と説明したが、その言葉は会場のヤジにかき消された。

  「多くの人が納得していないことはよくわかった」。平行線のまま2時間に及んだ懇談会を終えた知事は、不機嫌な表情をあらわにして会場を後にした。
県医療局の細川孝夫次長は「住民の反応にも温度差がある。次の手を考えようとする地域もあれば、まだ無床化に気持ちの整理がつかない地域もあった」と振り返る。

■対応策空回り気味

病院側は無床化の実施を一様に歓迎している。
二戸病院長も務める九戸地域診療センターの佐藤元昭センター長は「当直医を派遣しないですむようになったことで、医師の負担は確実に減った」と語る。九戸センターには、4月から新たな常勤医が着任したこともあり、「患者にかける時間が増えたし、今後は訪問診療にも力を入れられる」と効果を強調する。

  一方で無床化実施に伴う対応策として始めた取り組みは空回り気味だ。
休日・夜間にセンターに医師が不在となる代わりに、看護師が待機することになった。しかし、実際にセンターを訪れた人は1日平均0・7人で、電話での問い合わせが1日平均3件。風邪の症状や診療時間の問い合わなど緊急性の低いものが多かった。
無床化で他の病院へ通院しなければならなくなった人のために用意した無料送迎タクシーは、約2か月間で1日平均1・3人。住田と大迫では当初、1日3往復の定時運行だったが、申し込み制に切り替えた。

■空き施設の民間委託

医師不足に歯止めはかかったのか。
県医療局によると、今年度に入って辞めた医師は5月までに7人で、今後さらに3人が退職する予定。ただ、いずれも無床化前から退職が決まっていて、「今年度末の退職希望が出始める秋以降にならないと、効果はわからない」(県医師支援推進室)とする。

  夏を前に不安材料もある。夏場には食欲不振などで短期入院する高齢者が増える傾向がある。大迫センターの星晴久センター長は「そうした高齢の患者を、遠方の病院に入院させるかどうかは正直迷う。車などの移動手段を持たない患者に、毎日通院させるわけにもいかない」と頭を悩ませる。
一方、花泉センターの地元では、廃止になった入院ベッドなどの空き施設を民間委託する動きが加速している。県医療局は今月、住民からの要望を受け、入院ベッドの確保を条件に民間委託を認める方針を明らかにした。一関市と協議の上、早ければ

7月にも公募を実施し、年明けに医療・介護併設型の民間施設としてスタートさせたい考えだ。
細 川次長は「ほかの地域でも、地元とじっくり話し合い、実情にあった活用策を考えていきたい」とする。』
.
2009.06.11  ☆医師不足「認識に甘さ」 愛媛・八幡浜(地方)
9日、産経新聞(愛媛)→

『医足が深刻な愛媛県八幡浜市立病院に3人の医師確保を公約として4月に初当選を果たした大城一郎市長(44)は6月定例市議会初日の8日、補正予算案の総括説明のなかで医師不足問題に触れ、「目標を高く掲げすき、十分な詰めができていなかった。認識の甘さがあった」と述べた。
3人で争われた市長選では、他の2人が「医師確保に全力で臨む」と発言する中、大城市長は「(当選後)直ちに3人の医師を確保する」などと訴えた。

 大城市長のこれまで説明に市民からは「選挙戦を有利にするための公約だったのでは」と批判の声が上がっており、今後について大城市長は「市民の期待に現時点では応えることができない。国や県の協力をいただきながら医師の確保を最優先に取り組みたい」と理解を求めた。』
.
 2009.06.08 ☆公立病院、赤字減らし懸命…診療業務以外での増収策など
  8日、讀賣新聞(関西)→

『各地の公立病院が診療業務以外での増収策や経費節減策に取り組み、赤字削減を進めている。相部屋だった病室を個室化して差額室料を徴収したり、医療費の領収書に企業広告を載せたり……。医療費抑制を目的に診療報酬のマイナス改定が相次いだのに加え、医師不足から診療を縮小する病院も多く、医業収入が大幅に落ち込んだためだ。2008年度決算からは「地方自治体財政健全化法」の施行で、病院会計の赤字が自治体破綻(はたん)を招きかねない状態で、各病院とも生き残りをかけた努力を続けている。

「患者に好評で、常に満室です」。大阪府の枚方市民病院は2人用病室(15平方メートル)からベッドを一つ運び出し、個室にした。計8室が年間1000万円前後の差額室料(1日1室5100円)を生み、貴重な病院運営費になっている。

同病院の07年度の医業での収入は、03年度より9億円減り58億円にとどまった。担当者は「運営は綱渡り。『焼け石に水』として努力を怠れば、切り捨てられる」と危機感を隠さない。

鳥取県立中央病院(鳥取市)は、地方銀行に任せてきた診療報酬などの短期預金について、3金融機関に金利を競わせ始めた。以前の倍以上の0・5%を超えることもあり、金利だけで年約300万円をひねり出した。

広告収入に着目したのは、香川県立中央病院(高松市)と愛媛県立中央病院(松山市)。駐車場の金網に看板を掲げたり領収書に宣伝を載せたりして、年間約50万〜60万円を得ている。

涙ぐましい経費節減も。大阪府の東大阪市立総合病院は、医師詰め所(320平方メートル)内に一つだった室内灯スイッチを三つに分離。必要な個所だけ点灯し、電気代を節約する。京都府の京丹後市立弥栄(やさか)病院は、1台2億円近いMRI(磁気共鳴画像装置)を丁寧に補修し、買い替え目安の10年より4年“延命”させ、約5000万円を浮かせた。

総務省によると、07年度は全国に957ある公立病院の8割が赤字。年間20億円前後の赤字を計上する病院も多く、同年度だけで総額2006億円に上った。大阪府松原市は病院を維持すれば、病院会計の赤字で市財政が破綻しかねないとして、今年3月末、市立松原病院を閉院した。

武田裕子・三重大教授(地域医療学)の話「医業で収益構造を築けるのが基本だが、自治体にとって公立病院も聖域でなくなった今、様々な経営努力が必要。ボランティアとして運営にかかわるなど、地元住民もいろいろな形での協力を模索してほしい」』
.
2009.06.04  ☆67病院「患者が迷惑行為」 過去1年間、(徳島)県内119院調査
  3日、徳島新聞→

『徳島県内にある全119病院の56%に当たる67病院で、過去1年間に患者側からの暴力行為や不当要求などがあったことが1日、県の調査で分かった。これらの迷惑行為は計218件に上り、患者のモラルの低さが浮き彫りになった。診療行為やほかの患者に影響を与える恐れもあり、病院は対策を迫られている。

調査は、年1回行っている医療監視に合わせ、2008年11月中旬から09年3月末まで、各病院の院長や事務長との面談形式で、初めて実施した。

主な迷惑行為(複数回答)は「大声で騒ぐなど粗暴な行為」が60件でトップ。「治療費の未払い」57件、「自分だけ特別扱いすることを要求」40件、「暴力行為」22件、「医療従事者や職員へのセクハラ」14件-と続いた。職員が少ない夜間や休日に増える傾向があった。

悪質な事例は、「救急車で搬送された患者が帰りのタクシー代を要求」(県南部の民間病院)、「受付職員が患者に胸ぐらをつかまれた」(徳島市の民間病院)、「看護師がストーカー行為を受けた」(同)、「患者の家族が病室のドアガラスを割った」(徳島市の公立病院)-など。

患者の迷惑行為に対して、81病院(68%)が院内の報告制度を設けており、88病院(74%)が担当部署などを決めていた。一方、対応マニュアルを策定していたのは45病院(38%)で、医療従事者や職員の研修を実施しているのも48病院(40%)にとどまった。

ほかの対策では、48病院(40%)がトラブル発生時の「所轄警察署との連携」を挙げ、警察官OBを警備員に採用している病院もあった。

県医療政策課は「迷惑行為は診療の妨げになり、院内の医療安全を脅かしかねない。迷惑行為を容認しない姿勢を職員に周知徹底してほしい」としている。』
.
 2009.06.01 ☆花巻の福祉施設入所者が遠野病院に入院…職員が無償支援
1日、河北新報→

『岩手県医療局が4月に踏み切った地域診療センター無床化の影響をカバーしようと、花巻市大迫町の福祉施設が奮闘している。県立遠野病院(遠野市)に入院せざるを得なくなった入所者の身の回りの世話に、職員が片道約30キロの道のりを通い続ける。「頻繁に通えない家族の負担を減らしたい」との思いが、介護報酬もない無償活動の支えになっている。

<4人見舞い世話>
「具合はどうですか」。佐々木一広さん(50)は病室に入ると、ベッドのお年寄りの手を取り、優しく声を掛ける。
佐々木さんは花巻市大迫町の介護老人保健施設「桐の里」の主任生活相談員。4月から同僚2人と交代で週に3回、遠野病院を訪れている。
見舞うのは施設から入院した70〜90代の4人。大迫のほか盛岡市にしか身寄りがいない人もいる。洗濯物交換やおむつの補充、病状確認など家族代わりを果たしている。
遠野病院までは車で45分もかかるが、「家族のため、最大限の協力をしたい」。佐々木さんの表情には命と向き合う使命感がにじむ。

<はしご外された>
福祉の現場は無床化で一変した。これまでは入所者の病状が悪化しても、車で2分の大迫地域診療センターが受け入れてくれた。その後ろ盾がなくなった。医療局は家族の見舞い用に無料タクシーの運行を決めたが、家族は仕事などで頻繁に通えないのが現実だ。
入院した入所者は施設の手を離れるのが一般的だ。「あとは家族に任せる」と知らぬふりもできたが、桐の里は「身寄りのない人が入院する可能性もある」などと無償活動を決断。2人だった身の回りを世話する担当職員を1人増やし、病院までの交通費も身銭を切ることにした。
「家族の負担増を見過ごせなかった。遠野病院が患者受け入れに全面協力してくれていることも大きい」と園長の佐藤忠正さん(59)。
「後ろ盾を失った福祉施設としては『医療局にはしごを外された』との思いもあるが、できる限り踏ん張る」とも語る。
「大変ありがたい」と家族から感謝の声が届く桐の里。一方で、無床化によるもう一つの課題が浮上してきている。

<あふれる待機者>
長期と短期で計66床の施設は満杯だったが、4月以降、入所希望者が相次ぎ、待機者が約110人に達した。
大迫診療センターは無床化に伴い、夜間診療も廃止した。高齢者を抱える家族らが「いざ」という時の事態を不安視し、施設を頼りにする傾向が強まったという。
花巻市は民間移管も視野に、診療センターの空き病床を医療、福祉施設として活用する検討を始めた。ただ「採算重視の民間をあてにできるのか」と、実現性や効果を危ぶむ声も地元にはある。

市健康子ども部の佐藤格部長は「課題や住民の意向を共有したい」と言うが、猶予はない。

「福祉と介護を支える地域医療という受け皿機能が後退する中で、住民の間に在宅介護に対する意欲が下がっている」。無床化のしわ寄せが広がる現場で、桐の里園長の佐藤さんがつくため息は深い。』
.
 2009.06.01 ☆診療費回収民間委託へ (富山)県立中央病院 1年超未収が対象
  1日、讀賣新聞(富山)→

『(富山)県立中央病院が来年1月から、1年以上経過した未収診療費の回収を民間委託する。未収診療費の累計額は、2007年度末時点で約7800万円に達しているが、人員は限られているほか、3年で時効を迎えてしまうため、回収は難航しているのが現状だ。県や同院は、民間のノウハウを活用することで、少しでも回収額を増やしたい考えだ。

未収診療費は経済的な理由で払えない人が多いが、中には生活が困窮していないのに、意図的に払わない悪質な例もあるという。

これまでは支払いがない場合、3度にわたり書面で請求。3〜6か月が経過しても対応がない場合は、県職員ら7人が手分けをして自宅訪問などを行ってきた。1年を経過した時点で、差し押さえなどの法的措置もしてきたが、件数が多すぎることや引っ越しなどで所在不明となることもあり、1年以上経過した未収診療費の回収はほとんど有効策がない状況だった。06年度は4785万円、07年度は1766万円が不納欠損として処理された。

このため、住所不明者の所在調査など、債権回収のノウハウを持つ債権回収会社(サービサー)などに、回収を委託することにした。回収額に応じて成功報酬を払うことで、回収率向上も期待する。ただ、法的措置は今後も県が行うほか、通院・入院中の患者や分納希望者などは民間回収の対象としない。

民間委託は、民間の知恵を活用して公共サービスの充実を図る「富山県版対話型民間提案制度」の一貫として事業化され、5月18日から募集を開始した。7月10日が締めきりで、具体的な回収方法の提案を受け、入札で決定する。
同院は「病院経営の改善が進むことを期待している」としている。』
.
2009.05.31  ☆産科医不足に助産師が立ち上がる 横浜に助産院オープンへ
  31日、産経新聞→

『周産期医療の厳しい現状に、神奈川県助産師会が立ち上がった。6月1日に同会立の助産院「とわ助産院」(横浜市鶴見区、山本年映院長)をオープンさせる。助産師会が助産院を立ち上げるのは全国的にも極めてまれという。現状を打開する切り札となるか-。
同院は、同区で長く開業していた「鈴木助産院」の閉院に伴い、施設を引き継ぎ横浜市の助成や会員からの貸し付け、寄付を受けリニューアル。助産師は常勤2人、非常勤3人を確保し、ベッド数は9床。嘱託医師は「池川クリニック」(同市金沢区)の池川明医師、嘱託医療機関は同市立市民病院(同市保土ケ谷区)で、月10〜15件の分娩(ぶんべん)取り扱いを目指す。

 同院では産後の母親の不安解消や子育て支援などといったケアも行うといい、現在、お灸の教室やマタニティーヨガ、ベビーマッサージなどを検討している。
さらに、院内には研修会施設や実習受け入れ施設を併設、助産師育成の場として活用し、人員確保や質の向上を図っていきたい考えだ。6月からは早くも県助産師会主催の講習や研修が予定されている。来年度からは学生の実習も受け入れも開始するという。
山本院長は「助産院は個人の開業がほとんどで、引き継ぎがない。会立であれば会員で持ち回ることができ、なくすことなく維持できる」と助産師会立のメリットを強調。今後については「(研修などを通じ)きちんとした助産院を増やしていきたい。(とわ助産院を)これからの助産院のモデルになるようにしたい」と話す。

 また県助産師会の山本詩子会長は「昭和30年ごろまでは自宅出産が主流で助産師会も地域で大きな役割を果たしていた。バトンを受けた私たちは、次代の助産師につないでいく役割がある」としている。

県では県立の養成所1施設と4大学で助産師を養成しており、平成20年は72人が助産師となった。ただ県の需給見通しでは、21年は1845人の需要に対し供給は1706人で、139人足りない状況だ。
この状況を受け、県では平成19年から「助産力再開発事業」と銘打ち、県内に約1000人いると推計される、免許があっても就業していない助産師の掘り起こしに力を入れている。講習会や臨地実習などで、19年には14人、20年には12人が就業した。

 だが、徐々に増えてきてはいるものの、「地域で偏りがあり、充足しているわけではない」(県の担当者)。産科医不足も叫ばれる中、県の担当者は「正常分娩が引き受けられる助産師は貢献度が高い」とした上で、とわ助産院について「周産期医療を担っていこうとしてやっている。実習の場が増えるなど養成にも貢献できるだろう」と大きな期待を寄せている。』
.
2009.05.28  ☆僻地医療でお見合い大作戦 奈良県がイベントで大阪の医師射止める
  28日、産経新聞→

『医師の高齢化や減少が著しい僻地(へきち)の医師確保に全国の自治体が頭を悩ます中、奈良県が温泉宿などを舞台に僻地医療の関係者を集めた、初の“お見合い”形式のイベントを開催したところ、人口約5000人の同県山添村が大阪市内の病院に勤務していた30代の若手医師に猛アタックし、“結婚”に成功した。医師は今年4月から診療所で勤務を始めている。県は医師確保の打開策になると期待して今年もお見合いを開催予定で、厚生労働省も「ユニークな試み」と注目している・・・』

■続きはこちら
.
2009.05.25  ☆医師配置、新機関で…厚労省研究班が提言 地域ごとに専門医定数
  25日、讀賣新聞→

『医師不足や地域、診療科による偏在を解消するための抜本対策として、医師の計画配置がクローズアップされている。

多くの先進国が何らかの計画的な医師配置策を取っているなか、厚生労働省研究班(班長=土屋了介・国立がんセンター中央病院院長)もこのほど、日本でも第三者機関が診療科ごとの専門医数などを定める計画的な医師養成を行うべきだとの提言を打ち出し、さらに論議が高まりそうだ。(医療情報部 坂上博、利根川昌紀)

厚労省研究班は、舛添厚労相の諮問機関である「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化検討会が2008年9月、医学部定員の1・5倍増などの提言を打ち出したのを受け、発足。質の高い専門医を養成するための制度改革などについて検討を重ねた。

報告書では、<1>専門医の質の向上を図る<2>患者を幅広く診ることができる家庭医・総合医を養成する――ことなどを掲げたが、その具体策として打ち出したのが、専門医の定数を定め、計画的に養成するための第三者機関の設立だ。

現在の専門医制度は、各診療科の学会が独自に認定。選考基準もまちまちで、定数も決まっていない。これが、産科や小児科、外科など激務の診療科で医師が不足する原因にもなっている。

研究班は、専門病院や学会、医学部、開業医、自治体らで組織する「卒後医学教育認定機構(仮称)」の設立を提言。地域ごとに、患者数に応じた適正な数の専門医が養成されるよう、研修病院に対し定員枠の策定を求める。

先進諸国の多くは、診療科や地域ごとに専門医の数を決めるなど、医師を計画的に配置する何らかの仕組みを設けている。フランスなどでは国による専門医数の規制が行われているほか、米国では医師らで作る第三者機関が専門医の養成数を定めている。

医師に診療科や地域ごとの定数を設けることについては、「職業選択の自由を奪うのではないか」、「居住地の自由もないのか」など、医師の自由意思を無視した強制的な配置ではないかとの誤解に基づく、反発の声も一部に聞かれる。

研究班では、医師が診療科や勤務場所を自由に選べる日本のように「市場に委ねる方法では、医師の配置は最適化されない」としたうえで、「強制的に行われるものではなく、患者数などに基づいて必要な専門医を養成することで、適正な医師配置に結びつけようとするもの」(土屋班長)と説明する。

国は今年度の医学部入学定員を昨春より693人増やし、過去最高の8486人に増員。また初期研修について、来年度から都道府県ごとの募集定員の上限を設けるなど、「医師不足対策」を講じているが、いずれも診療科別の定数などを規制するものではなく、医師不足・偏在解消の抜本策とはならない。

厚労省は、「今回の研究班提言を踏まえながら専門医のあり方を検討していきたい」(医政局総務課)としている。

医師不足 2004年度から医学部卒後2年間の初期研修が義務化され、研修医の多くが一般病院を研修先に選んだことから、大学病院の人手が不足。大学の医局に医師派遣を頼っていた地方の病院などで顕在化した。日本医師会の08年の調査によると、大学医局の77%が約3000病院への派遣中止や減員を行い、約500施設が診療科の閉鎖を余儀なくされた。

◇ ◇ ◇
研修先、国が定員枠…読売新聞社提言
  医師不足などによる医療崩壊を防ぎ、信頼できる医療体制を確立しようと、読売新聞は昨年10月、医療改革提言を公表した。「医療は公共財である」との基本的視点に立ち、医師不足の地域や診療科に若手医師を計画的に配置する仕組みを作ることなどを柱に掲げた。

提言では、自治体や大学、地域の基幹病院、医師会などで作る第三者機関を設立し、大学の医局に代わって、医師派遣の調整を担う。
また、2年間の初期研修を終えた若手医師が、専門医を目指した後期研修(3〜5年目)へと進む際には、診療科や地域ごとの定員枠を国が定め、若手医師の希望を第一に優先しながら、希望が重なる場合には調整するなど適正に配置する。

後期研修先となる地域の基幹病院に若手医師がバランス良く配置されることで、中堅・ベテラン医師を医療過疎地域へ派遣することが可能になる。

◇ ◇ ◇

救急医4人一斉辞職…鳥取大病院 医師集まらず激務…「心折れた」
医師不足や偏在の影響は、とりわけ地方の救急現場などで深刻な人手不足となって表れている。鳥取大病院(米子市)救命救急センターでは今年3月末、人手不足などによる激務を理由に、八木啓一教授以下4人の医師が一斉に辞職する事態に見舞われた。

同センターは専任の救急医7人に応援医師を加えた9人態勢で、年間約900人の救急患者を受け入れていたのが、2006年秋に2人が退職。月6回の宿直回数は10回ほどに増え、残った医師の負担は大きくなった。現在、横浜市立みなと赤十字病院救命救急センター長を務める八木医師は「救急専門医を育てようと頑張ったが、医師が集まらず心が折れた」と振り返る。

厚生労働省による06年の調査によると、日本の医師数は27万8000人と10年前に比べ約15%増えているのに対し、勤務が厳しいとされる外科、産科医は8〜10%減少。また救急医は、最低でも約5000人が必要との試算もあるのに対し約1700人しかおらず、慢性的な医師不足状態にあえいでいる。

鳥取大病院救命救急センターは現在、新しい救急医1人に、外科や整形外科などからの応援で急場をしのいでいる。豊島良太・同大病院院長は「何らかの医師配置の仕組みがないと、地方での医師確保は難しい」と話す。』
.
 2009.05.12 ☆救急休止相次ぐ 民間病院/医師不足で 沖縄県内“黄信号”
  12日、沖縄タイムズ→

『民間病院で救急診療の休止が相次いでいる。今年4月から5月にかけて4病院が医師不足を理由に救急診療の一部や全部を休止した。各病院は「新たに医師を募集しても集まらない」と窮状を訴える。救急診療については県立北部病院が産科救急の再休止を発表したばかり。今回休止した病院の中には、救急病院として県の認可を受ける「救急告示病院」2カ所も含まれており、県内の救急医療に黄信号がともっている。

内科、外科、心臓血管外科など5診療科で救急を受け入れていた北部地区医師会病院(名護市)は今月1日から、医師1人の退職に伴い、救急のうち脳神経外科の診療を休止した。

同病院は、NPO法人が運営する民間救急ヘリを支援しており、「現在休止中の救急ヘリが近々活動を再開する予定で、ヘリ活動への医師派遣も必要になってくる」と説明。「後任の募集をかけたがなかなか集まらない」とも話す。

海邦病院(宜野湾市)と嶺井第一病院(浦添市)は時間外の救急診療をすべて休止した。

内科と小児科を受け付けていた海邦病院は地域のニーズに応える形で20年間救急外来を行ってきた。休止理由を「時間外診療の減少と、医師の負担軽減のため」と説明した。

脳神経外科の救急を受け付けていた嶺井第一病院も「救急体制に必要なマンパワーの確保が厳しい」と医師不足を指摘した。

那覇市の小禄病院も医師1人の退職で、これまで実施していた内科と整形外科の救急診療のうち、4月30日から整形外科の救急診療を休止している。

病院の救急体制は、一定の医療機器を備えるなどの条件をクリアして県が認可する救急告示病院(2009年4月現在、県内で26カ所)と、任意で救急を行う病院の2種類ある。』
.
2009.05.10  ☆追跡京都2009:舞鶴の公的4病院再編問題 安定した医療提供必須/京都
  10日、毎日新聞(京都)→

『◇一つの基幹病院と幾つかのサテライトに集約 医師配分など利害絡み曲折
舞鶴市で設置母体が異なる公的4病院を一つの組織に統合、再編するという全国でも例がない動きが進んでいる。市立舞鶴市民病院、日本赤十字社の舞鶴赤十字病院、国立病院機構の舞鶴医療センター、国家公務員共済組合連合会の舞鶴共済病院の四つ。市公的病院再編推進委員会(座長・浅井孝司副市長)は先月、4病院を一つの基幹病院といくつかの小規模なサテライトに集約し、1組織で運営する構想をまとめた。今後は、市が各病院の設置母体から合意を得られるかどうかがポイントとなる。経緯や課題を整理した。【珍田礼一郎】

◆一斉辞職
再編の大きな要因となっているのが医師不足だ。人口約9万人の市で、四つの大型病院という充実した医療環境を誇ってきたが、診療態勢の維持が困難になった。
04年3月、舞鶴市民病院で、内科医14人中13人が一斉辞職した。以後、民間委託を模索するが頓挫。常勤医の確保が困難となり、休止したり手薄となった診療科で患者が減り、病院経営を圧迫するという悪循環が続いている。病床利用率は08年度で18・1%と低水準。市は赤字補てんのため、09年度予算で9億6000万円を同病院に繰り入れる。

他の3病院も常勤医の不足で、診療科を休診や縮小させている。例えば、交通事故で重いけがを負い、脳神経外科や整形外科、神経内科を受診する必要があるとしても、医療センターは整形外科、共済と赤十字病院は脳神経外科と神経内科の常勤医がいない。チーム医療ができないのだ。
一方、4病院の常勤医師数は計106人(07年度)で、患者数が同じぐらいで病床利用率85・8%の京都第一赤十字病院の118人(同)と比較しても、そん色がなかった。そこで、市は「トータルで安定した医療を受けられる基幹病院への統合」を構想し始めた。

◆再編プラン
07年5月、齋藤彰市長の私的諮問機関「舞鶴地域医療あり方検討委員会」が発足。同11月の最終答申で、4病院を1、2施設に再編する方向が示された。
今年1月、市内の公的4病院長らが委員を務める市公的病院再編推進委を設置。府中丹東保健所長や舞鶴医師会長らも名を連ね、再編へ向けた実質的な協議を重ねた。

推進委は2回目の会議(今年4月)で、東地区に二次救急(入院や手術が必要となる医療)機能を持つ1基幹病院、西地区に療養機能を持つサテライト病院を設置することを目指すことで合意。基幹病院の規模は、4病院の急性期病床数1005床の病床利用率60・5%を反映し、500〜600床程度。建物は既存利用と新設の両面から検討するとした。

◆設置母体と協議
市は「医師が四つの病院に分散している状態を解消したい」と必要性を強調し、先月下旬から東京都内の各病院の本社、本部へ出向いてプランを説明している。しかし、医師数の配分や派遣元大学をどうするのか、といった問題で利害は一通りではない。

新病院建設の場合は、資金も課題。市は約75億〜198億円の建設費を予想するが、市が全額負担することは、一般会計からの多額の繰入金がある現状では議会からの強い反発が予想される。
市は各母体との協議を進め、早ければ年内に合意を取り付けたい考え。「1病院だけでは舞鶴地域の医療を担えないのが現況。他の病院があって安定した医療を提供できる。これは、どの病院も同じ」としている。』
.
2009.05.04  ☆時間外診療費、(滋賀)県内初の徴収へ 彦根市立病院 軽症患者から
  30日、京都新聞→

『滋賀県彦根市の彦根市立病院は、午後10時以降に受診した軽症患者から、保険料以外に「時間外選定診療費」を徴収する方針を固めた。来年度からの実施を目指す。額は未定。医師の疲弊を招くとして問題化する「コンビニ受診」を抑制する狙い。患者負担の増加につながり市民からの反発も予想される中、医師確保の環境を整えようと、滋賀県内の病院では初めて決断した。

同病院は入院治療に対応する2次救急を担い、2007年度の救急センター利用者は2万4600人。うち、午後10時から翌朝8時半の時間外受診者は4000人に上るが、大半が軽症で入院に至るのは少ないという。
同病院は近年、医師不足による診療制限を余儀なくされ、経営難が深刻化。医師確保策として勤務環境の改善を検討する中、時間外選定診療費の徴収を決めた。生活保護者、交通事故の場合は免除する。議会での条例改正が必要になる。

時間外選定診療費を徴収する動きは、全国に広がっている。静岡県の焼津市立総合や藤枝市立総合など公立4病院は昨年度から、診療報酬の時間外加算分(650円-4800円)を自己負担にした。時間外患者数が3割減少し、コンビニ受診の抑制効果があったという。滋賀県内では公立甲賀病院も検討している。

彦根市立病院の堤健郎事務局長は「本当に必要な人が救急を活用できるようにしたい。当直医の負担を軽減し、大学医局が医師を派遣しやすい勤務環境をアピールする狙いもある」と話している。』
.
2009.04.26  ☆愛育病院が総合周産期継続 OB雇用で当直を強化(続報)
  25日、共同通信→

『総合周産期母子医療センターの指定返上を東京都に打診していた愛育病院(東京都港区)は24日までに、非常勤のOB医師を新たに雇用して当直に組み入れるほか、医師側と残業などに関する労使協定(36協定)を締結したことを都などに報告。総合周産期の指定が継続される見通しとなった。

労使協定の不備などをめぐり、愛育病院は三田労働基準監督署から是正勧告や指導を受けていた。勧告を順守すると、総合周産期としての機能を維持できなくなるとして返上を打診後、都に判断を委ねていた。

愛育病院の当直態勢は現在、常勤医師1人、非常勤医師1人だが、今後2人とも非常勤になった場合、1人はOB医師になるように勤務を組むという。 』
.
2009.04.23  ☆産科医割増賃金訴訟:県、不備認め待遇改善へ/奈良(続報)
  23日、毎日新聞(奈良)→

『◇原告側「労働時間明示、画期的」
県立奈良病院(奈良市平松)の産婦人科医2人が、夜間や土曜休日の宿日直勤務に対し、割増賃金などの支払いを求めた民事訴訟。奈良地裁の判決は、原告の主張を一部認め、県に厳しい内容となった。判決を受けて、記者会見した武末文男・健康安全局長は「日本の医療のあり方に一石を投じた。判決を重く受け止めます」と述べ、今後、待遇改善に取り組む意向を示した。

武末局長は「控訴については今後検討したい」と述べたが、「労務管理や勤務状況を把握しなければなかったという点では問題があった」と、不備があったことを認めた。
一方、これまでの県の取り組みに触れ、宿直勤務や分べん、時間外呼び出しなどへの特殊勤務手当の支給▽同病院産科の産科医や後期臨床研修医3人の増員▽医師の業務負担を軽減する事務員「メディカルクラーク」の導入--などを進めてきたことを強調した。

原告側は、異常分べんなどに備えて自宅で待機する「宅直」も労働時間に含めるよう主張したが、判決は「病院の指揮命令下にあったとは認められない」として請求を退けた。

宅直について、武末局長は「根本的には2人当直にできない医師不足がある。また、自分が主治医をしている患者の具合が悪くなったら、どんな場所に居ても呼び出される慣習があった」と指摘。「今後は当直勤務の翌日は休みが取れるような勤務態勢の導入を検討したい」と述べた。

原告側の藤本卓司弁護士は「宿日直勤務の始めから終わりまでが労働時間だと明示した画期的な判決だ。全国の多くの病院も同じような実態で、国や行政が産科医不足の対策を取ることが求められる」と述べた。』
.
 2009.04.23 ☆松江日赤が夜間の軽症患者から特別料金
 23日、山陰中央新報→

『松江赤十字病院(松江市母衣町)は六月から、夜間・休日に受診した軽症患者から医療費に加えて三千百五十円の特別料金(時間外選定療養費)を徴収する。時間外受診の約八割を占める軽症患者数を抑制し、重症患者に対する医療体制の充実や医師の負担軽減につなげるのが狙い。救命救急センターを担う医療機関では山陰初の導入となる。

時間外選定療養費は、六月一日午前零時から適用する。平日の夜間(午後四時五十分から翌日午前八時半)と休日(終日)に受診した患者のうち、入院が必要な人や紹介状持参者、同病院医師から注射などのため救急外来の受診を指示された人などを除いた軽症患者が対象。

松江地区で唯一の救命救急センター機能を併せ持つ同病院の救急外来受診者は二万八百六十九人(二〇〇八年度)。うち、夜間・休日の受診者は一万四千八百八人(一日平均四十人)を占め、その八割が軽症だった。

このため、四-六人態勢で対応している医師は軽症患者の処置などに忙殺され、慢性的な過重労働の主因になっており、現状では本来の救命救急センター機能が果たせなくなる恐れがあるという。

特別料金の徴収について、秦公平院長は「医師確保が難しく、勤務医の高年齢化も進んでいる中で、業務は増えている。安全で質の高い救急医療を提供するためにやむを得ない」とする。

厚生労働省によると、時間外選定療養費を徴収している医療機関(届け出は約二百二十施設)は増加傾向にある。』
.
2009.04.16  ☆名古屋市立病院再編、医師不足の特効薬か?
  15日、中日新聞→

『名古屋市内に5つある市立病院が、医師不足にあえいでいる。計199人の定員に17人が足りない。特になり手が少ない産婦人科医や小児科医は、過酷な勤務に疲弊している。市が病院再生の策として打ち出した病院の再編計画には「地域医療切り捨て」との批判も。市長選の候補者たちは、どんな解決策を提示するのか。

「こんな姿を見たら産科医のなり手がいなくなるわな」。城北病院(名古屋市北区)第一産婦人科の柴田金光部長(55)は自嘲(じちょう)した。
当直は月に6回。さらに月2回は、別の市民病院に当直の応援に行く。深夜に呼び出されたり、当直で未明に出産に立ち会った後、日勤で手術を数件こなすことも珍しくない。

同病院の産科医は5人。5病院では最多とはいえ、13人いる名古屋第一赤十字病院(同市中村区)と比べれば、差は歴然だ。
2004年に始まった臨床研修制度で研修医に病院選択の自由を認めたため、都市部の民間病院に研修医が集中。公立病院は軒並み医師不足に陥った。5病院も収入が激減し、累積赤字は計167億円に上る。

医師が減り救急対応も十分にできない。症例も増えず、経験を積みたい若手医師が来なくなる悪循環を生む。城北病院の研修医採用数は昨年、本年度ともゼロ。市は「医師に選ばれる病院を目指す」と3月末、2病院を中心に医師を集約し各病院に特長を持たせる改革プランを発表した。

11年度に北区に完成する「クオリティライフ21城北」には城北、城西病院の医師を集め、24時間体制で重篤な出産を扱う体制を目指す。一方、守山市民病院では昨年4月に出産の取り扱いをやめた。城西も2年後にやめる。

こうした動きに「地域医療を考え守山市民病院を守る会」の幹事、橋本克己さん(67)は「市立病院の役割を放棄している。採算だけを追求する姿勢はおかしい」と反発する。
城西病院に通う、妊娠5カ月の妊婦(26)は「病院が遠くなるのは困る。民間産院も、予約を早めに取らないと産めないと聞く。どの市立病院でも産める方がいい」と話す。

市病院局の上田龍三局長(64)は「集中と選択で魅力ある病院にしないと、医師は集まらない。今の状況では、すべての病院で何もかも診療するのは不可能」と理解を求める。』
.
 2009.04.14 ☆都市部の看護師を地方に派遣 不足深刻化、道が新制度
 14日、北海道新聞→

『道内の地方の小規模病院で看護師不足が深刻化していることを受け、道は十三日、都市部の大規模病院から地方に看護師・助産師を派遣する制度を設け、二〇一〇年度から運用する方針を固めた。北海道看護協会なども含めた協議組織を年度内にも発足させ、各地の大学病院や赤十字病院などの公的病院を中心に「オール北海道」の派遣制度を目指す。実現すれば全国的にも珍しい取り組みとなる。

道は、地方に比べて看護師・助産師の確保が容易な都市部の大学病院やセンター病院などに人材を多めに採用してもらい、その一部をローテーションで一、二年間、地方の病院に派遣してもらう仕組みを想定。給与は受け入れ先の病院が負担し、道が看護職員への補助など待遇面で支援する案を検討している。
〇六年度の国の診療報酬改定で看護師を多く配置した病院の診療報酬が高く設定されたことから、都市部の大規模病院が採用を強化、看護師は都市部に集中している。

道によると、道内に二十一ある二次医療圏別の看護師・准看護師の就業者数は、札幌や上川中部、南渡島などで人口十万人あたり千人を超える一方、日高や根室は七百人台と少ない。
地方の小規模病院では、看護師不足のために病床を減らすなどの影響が出始めており、道は「このまま事態を放置すれば、地域医療の崩壊を招きかねない」と危機感を募らせている。
派遣制度創設を要望していた北海道看護協会の高橋慶子常任理事は「多くの分娩(ぶんべん)を扱うなど、看護師や助産師にとっても小規模病院で勤務する利点はある」と話す。

看護師の地方派遣では、長崎県が県立病院と離島の公立病院による病院企業団を発足させて、人事交流を行うなどの取り組みがある。

日本看護協会(東京)は「都道府県下の広範囲の医療機関が携わる形で看護師派遣を行う例は聞いたことがない」としている。』
.
2009.04.13  ☆「夕暮れ診療」経営難に光 横手市立大森病院が赤字脱却
  12日、河北新報→

『秋田県横手市大森町の市立大森病院で導入している「夕暮れ診療」が好評だ。日中と同じ診療費で夕方以降に受診可能とあって、勤め人や学生らを中心に外来患者が増加。全国的に自治体病院が経営難に直面する中、赤字から脱却する原動力にもなった。病院側は「全国的にも珍しい医療サービス。これからも地域のニーズに応えたい」と意気込んでいる。

夕暮れ診療は平日午後5―7時に受け付けを済ませると、当日に受診できる。当直医1人に加え、内科と外科の医師が毎日1人、交代制でサポート。臨床検査技師や放射線技師ら医療スタッフのほか、院外の調剤薬局も対応している。

診療費も割高な時間外ではなく、通常の費用が適用される。はしかの予防接種で訪れた高校2年の男子生徒(17)は「陸上部に入っているため、脚のけがでよく来院する。夜でも診てもらえるので助かる」と話す。

夕暮れ診療は1997年に始まった。当時は外来患者が少なく、病院は約3億円の累積赤字を抱えていた。前年に就任した小野剛院長(51)が、患者の受け入れ拡大を目指して実施に踏み切った結果、仕事帰りに子どもを連れてくるなど、日中に多い高齢者以外の患者が増えたという。

2007年度の外来患者は6万9026人。1割以上の8161人が夕暮れ診療で、1日平均約33人だった。

2000年度まで赤字経営が続いたが、患者の増加で01年度から黒字に転じた。07年度は夕暮れ診療だけで1300万円、全体で2200万円の収益を確保した。現在は累積赤字が解消され、医師の増員も果たした。

軽症患者が夜間などに救急外来に駆け込み、各地の医療機関を悩ませている「コンビニ受診」も、夕暮れ診療の開始後は目立って減ったという。

経営立て直しに成功した大森病院には全国から視察が相次ぎ、秋田県内では同様の診療体制を導入する動きが出ている。大館市立扇田病院は昨年10月、「夕やけ診療」としてスタートさせ、週3日実施している。

小野院長は「病院全体に危機感があったため、夕暮れ診療が実現できた。職員の考えや組織を時代に沿った形で変革することが大切だ」と強調している。

[横手市立大森病院] 1959年に秋田県大森町立大森病院として開設され、2005年の市町村合併で現名称に変更した。内科、整形外科、小児科など9診療科があり、泌尿器科は休止中。常勤医11人、研修医1人。女性専用外来の診療時間も設けている。敷地内には介護老人保健施設、特別養護老人ホームなどもある。』
.
☆ニュースの現場)「中核病院」自治体綱引き
  7日、朝日新聞(新潟)→

●県央の緊急医療
県央地区の救急医療体制の整備が、なかなか進まない。三条、燕などの県央4医師会は今月、夜間や休日の患者に対応する応急診療所を開設。泉田裕彦知事には中核病院の早期建設を要望するなど、活発な動きを見せるが、自治体間の対立が依然続き、県は慎重姿勢のままだ。(渋谷正章)


●医師会率先し応急診療所
クリーム色で統一されたロビーに、多くの患者が集まっていた。1日、三条市興野1丁目にオープンした県央医師会応急診療所。内科、外科のほか、小児科や整形外科もあり、夜間(通年)は午後7時〜同10時に、休日は昼休みをはさんで午前9時〜午後4時半に、急患に対応する。

県央では、これまでもJR三条駅近くの三条市医師会館で夜間診療が行われていたが、施設が古く、外科系の診察はしていなかった。
急に発熱した子どもを連れて訪れた三条市内の女性は「子どもはけがも多い。外科も診てくれるのは心強い」と話した。

三条、燕、加茂、見附南蒲原の4医師会からなる県央医師会が応急診療所を作った背景には、現状への危機感がある。
救急医療は軽い症状を診る「1次」、24時間体制で検査、入院に対応する「2次」、ICUなどを備え、重い患者を診る「3次」に分けられる。県央には3次救急病院はなく、2次救急病院が内科系で6、外科系で7ある。

しかし、軽い症状の患者が夜間、休日に2次へ集中し、重い症状の患者に対応できないケースが相次ぐ。医師不足も深刻で、勤務環境も厳しい。今回オープンした診療所には1次の患者を受け入れ、2次病院の負担を軽くする役割が期待されている。
三条市医師会の草野恒輔会長は「1、2次救急が整備されれば、次は3次救急の話になる。この診療所は3次救急整備へ向けた我々の強いメッセージでもある」と話した。


●行政と「ねじれ現象」
「県央28万の人々は大変な思いをしています。ぜひ病院をつくってほしい」。3月26日、草野会長ら県央4医師会長は県庁を訪れ、泉田知事に救急救命センターを備えた中核病院建設などを訴えた=写真。
「猶予のない課題。迅速に対応したい」と早期の取り組みを約束した泉田知事。「体制づくりに邁進(まいしん)したい」という力強い言葉とは裏腹に、実は話し合いは進んでいない。

昨年明らかになった自治体間の対立が、影を落とす。JR燕三条駅周辺での病院建設を求める三条、燕、田上、弥彦の4市町村に対し、加茂市は同市内への立地を求める。

昨年10月、知事と5市町村長は県庁近くで会談した。病院建設を目指しつつ、意見が分かれる立地や運営主体についての議論は当面先送りし、話し合っていくことで一致したものの、検討会のメンバー構成で再び対立。医療関係者を含めるべきだと主張する三条など4市町村に対し、加茂は県が主導して立案すべきだとし、検討会は発足できないままだ。

「今、やらないと何も話が進まない」。知事へ要望した草野会長は、現状への強い焦りを口にした。自治体間では他市町村と対立する加茂市だが、医師会は協調路線を取り、行政側と医療側で「ねじれ現象」が起きている。加茂市医師会の五十嵐隆夫会長は「市民を思う市長の気持ちは痛いほど分かる。ただ、あまりに進展がないと、県央医療圏が新潟、中越に吸収されて消滅しかねない」と話す。


●再編警戒検討進まず
「私のせいで話が進まないというのは心外。私は話し合おうと呼びかけている方だ」。加茂市の
小池清彦市長は強調する。小池市長が求めるのは、昨秋に開いた知事と5市町村長の会談再開だ。「トップ」による話し合いで状況を打開しようとする。

だが、県関係者は「今開催すれば、地元の住民に不安を与える恐れがある」と話す。24時間、365日の救急医療体制をつくるには多くの医師が必要になる。勤務環境を整えるには100人近い医師と、500〜600床のベッド数が要るという。だが、2次医療圏のベッドは定数が決まっており、県央はすでに余裕がほとんど無い。既存病院の統合再編を抜きには語れず、「トップ会談」をすれば建設が具体化しない段階で、病院の再編話が独り歩きしかねないという。

県央医師会の応急診療所についても、小池市長は「今後、高い維持費がかかる一方、加茂からの利用が少ないと予想される。救急で多い脳梗塞(こうそく)に対し専門医もおらず、病状を判断するのは危険」と主張する。他市町村がしている費用負担に加茂市だけは応じていない。
周囲からは「交渉上手とも言えるが……。全く先が見えない」とため息も漏れる。

泉田知事は検討会のメンバーについて「よりよい地域医療体制をつくるには、行政だけでは不可能。医師会にも入ってもらいたい」と4市町村の側に立つ。ただ、「対立構造を残したまま話を進めるのはよろしくない」とも言い、融和の道を探る。

◇◇◇
【県央2次医療圏の現状】
  救急病院は三条市に4、燕市に2、加茂市に1あるが、救急救命センターを伴う中核病院がない。このため新潟2次医療圏の新潟市民病院、中越2次医療圏の長岡日赤病院などに患者が運ばれるケースが多い。07年、県央の救急患者7305人のうち、圏外搬送は
1372人で全体の約19%にのぼった。他の2次医療圏は新潟が6・5%、中越が2・4%などと軒並み低く、県央は突出している。 』
.
2009.04.07  ☆四国医新(5)医師不足
  7日、朝日新聞(徳島)→

『3月下旬、高知市の高知会館に、高知県外の大学の医学部生3人の姿があった。待ち構えたのは高知医療センターや高知赤十字病院など、県内8病院の医師や職員ら約30人。各病院の担当者はブースに分かれ、研修プログラムの内容を説明した。

学生が順番にブースを回る中、県西部の宿毛市にある病院の担当者は「働く環境がいいことをアピールした。見学だけでもいいから来てもらいたいのだが」と漏らした。

説明会は、病院や県でつくる県臨床研修連絡協議会が開いた。将来、県内で働く医師を確保しようとの狙いだ。人口10万人あたりの医師数で全国4位(06年12月末現在)の高知県。だが、その8割は高知市や南国市など県中央に集中する。

「従来は大学が中心になって病院に医師を派遣してきたが、臨床研修制度ができて、それができなくなった。県内に研修医が残ってもらえれば、医師不足を解消する原動力になる」。高知大医学部付属病院の瀬尾宏美・卒後臨床研修センター長は”スカウト”に力を入れる理由をこう説明する。


県東部の安芸市にある県立安芸病院では、04年度に33人いた医師が3年後には23人に減った。医師が足りず、病床258床のうち、運用しているのは約6割の154床。07年度からは麻酔医が他病院との併任になり、手術は予約制になった。「麻酔医がいないので緊急手術ができない。うちでカバーできない患者は県中央に行ってもらわざるをえない」と同病院の福田道則・前事務部長は話す。
「安芸病院改築に関する母親の会」の横山芳子さんは「ここで診てもらいたくても診療科が限られている。医師不足の影響は大きい」と不安を訴える。


医師の都市偏在は四国の共通課題だ。各県は大学医学部の定員増、地域で従事する意思のある医学生向けの奨学金、結婚や育児で職場を離れた女性医師への再就業支援など、医師確保のための方策に取り組み始めている。

そんな中、徳島県では民間の開業医が地方病院を応援する試みが動き出している。同県医師会は1月、会員約1500人に、応援に行くことができるかを問うアンケートを実施した。この結果、35人が応援可能と回答した。

「思ったよりも多かった。開業医の中には1人でやっている方も多く、休みをつぶして応援に行ってもらうことになるのにありがたい」と県医師会の担当者。「公立病院を地域の医師会が助ける例は他県にもあるが、県レベルでやるのは珍しいのでは」とも話す。新年度の早い段階で、会員を応援に出す活動を始めたい考えだ。』
.
2009.03.31  ☆医療クライシス:コストカットの現場で/1 総務省「3年で経営改革」要求
  31日、毎日新聞→

◇「黒字化」苦しむ公立病院
「予算計上を認めていただきたい」。今月6日の岩手県議会。達増(たっそ)拓也知事が議員に向かい、じゅうたんに額をこすりつけるように土下座した。

県立の1病院と5診療所の入院用ベッドを休止(無床化)するなどとした、県立病院・診療所計27施設の経営改革計画。反発した議会は、関連予算を認めなかった。無床化した診療所から、入院の必要な患者を病院へ送るマイクロバスの購入予算だった。

県の狙いは27施設の黒字化だ。経営に年141億円を出しているが、合計収支は年10億円余りの赤字。県の試算では、6施設の無床化で年約12億円の節減になる。他の策も合わせ13年度には県の支出を123億円に減らし、10億円の黒字にするという。議会は土下座後もバスの予算を認めなかったが、結局は無床化を容認した。

北海道に次ぐ広さで過疎地も多い岩手県。診療所周辺の住民は「開業医もなく、夜間・休日は無医村になる」と反発した。4万2653人の反対署名を知事に出したが、県は「医師不足が危機的で医師負担軽減も必要だ」と強調し、バスの代わりにタクシーを借りて計画を進めるという。

■ ■
総務省は07年12月に出した「公立病院改革ガイドライン」で自治体に対し、病院経営を3年程度で黒字化する案を08年度中に作るよう求めた。小泉内閣から続いた構造改革路線の一環だ。
総務省によると、07年度は全国957の公立病院に自治体から計約7000億円が支出された。それでも計約2000億円の赤字。公立病院はコスト意識の薄さを指摘され、効率化は欠かせない。だが、救急、へき地など不採算医療を担い、黒字化は簡単ではない。

■ ■
兵庫県北部の但馬地区。豊岡市と朝来(あさご)市で作る「公立豊岡病院組合」が5病院を経営し07年度は約19億円の赤字だった。3年での黒字化は無理とみて、17年度までの9年で黒字化する計画を立てた。

赤字の主因は医師不足という。組合の試算では、医師1人が年約8000万円稼ぐが、03年度に113人いた常勤医は07年度には102人に。医業収支(医療での収入と経費の差)の赤字は、03年度は約8000万円だったが、07年度には約17億円に拡大した。
計画によると、10年度から毎年、組合の奨学金を受けた医師が5病院に順次着任する。17年度に15人に達し、黒字化を見込む。

だが、前途は険しい。手厚い看護体制にすると診療報酬が増えるため、08年度に看護師70人の確保を目指したが50人にとどまった。医師の突然の退職もある。昨秋、公立豊岡病院の麻酔科医5人のうち3人が辞めた。4月にやっと4人に戻る。

同病院の竹内秀雄院長は「地方は不便で子供の教育にも困り、医師が定着しにくい。経営は大事だが、(総務省には)医療の質という視点がない。小児科など不採算な科も縮小はできない」と訴える。

× ×
先進国で最も厳しいコストカットにさらされてきた日本の医療現場。相次ぐ公立病院の閉鎖や、産科・救急を巡る問題の続発に象徴されるように、厳しい状況は一向に改善に向かわない。現状と改善策を追う。』
.
 2009.03.31 ☆【主張】銚子市長解職 自治体医療存続に知恵を
  31日、産経新聞→

『千葉県の銚子市立総合病院の診療休止問題をめぐり、休止に反発する住民が起こした市長のリコール(解職請求)が成立した。公的医療の存続を求める住民の意思が示された格好だ。
財政難や医師不足の解決は難しいだろうが、住民に安定した医療を提供するのは自治体の責務だ。銚子市は経営立て直しの方策をなんとか探り出してほしい。

リコール運動を起こした住民団体は「休止は公約違反であり、市民の声を聞かずに休止を強行した市長の下では地域医療の再生は不可能だ」と訴え、市長選の候補者の擁立を探っている。

これに対し、医師不足の深刻化で「病院存続」の公約が果たせず失職が決まった岡野俊昭市長は「反対運動ばかりでは将来プラスにならない」と診療科目や病床数を縮小し、民間病院などに経営を任す方向で有識者を集めて検討を進めている。出直し市長選への出馬にも前向きだ。公職選挙法によると、リコールの賛否を問うた住民投票日の翌日から50日以内に出直し市長選が行われる。

人口約7万2000人の関東平野の最東端に位置する銚子市にとって市立総合病院は、地域医療の拠点のひとつだった。だが、累積赤字は18億円と多額だ。こうした経営破綻(はたん)は銚子市に限った問題ではない。全国各地の自治体病院も赤字経営に苦しんでいる。背景には救急、産科、小児科といった不採算医療も引き受けなければならない自治体病院の宿命や、公務員による素人経営もある。これらをひとつひとつ解決していかなければ自治体病院の未来はない。

昨年末に厚生労働省がまとめた医療施設動態調査によれば、自治体や日赤などが運営する公的医療機関の数は、平成19年に1325病院で、前年に比べて26病院(1・9%)減った。その半面、民間医療法人の病院は5702病院で、前年比8病院(0・1%)の増だった。「全国の自治体病院の75%が赤字経営に陥っている」と指摘する医療関係者もいる。

同じ問題を抱える自治体病院同士が合併することによって人件費を削減し、医師不足を補い、経営効率化を図るケースも出てきた。例えば山形県酒田市では昨年4月、県立病院が市立病院を吸収する形で日本海総合病院を誕生させた。自治体の病院経営は難しいといわれるが、あらゆる工夫を生かして医療崩壊を食い止めたい。』
.
2009.03.30  ☆橋下改革 医師職ソッポ 給与、予算減「思う仕事できない」
 29日、讀賣新聞(関西)→

保健所長ら11人退職
  医師の資格をもって公衆衛生政策を担当する大阪府の医師職の職員45人のうち、4分の1にあたる11人が3月末に中途退職することがわかった。橋下徹知事の財政再建策に伴う給与カットや担当分野の予算削減に対する不満などを退職理由に挙げ、「橋下府政では思うような仕事ができない」と明かす退職予定者もいる。橋下改革への不満が府庁内部から噴き出した形で、府は「職員の士気が落ちている証し」と危機感を募らせている。

  府によると、医師職は医師免許を持ち、府健康福祉部で医療行政を所管するほか、14か所ある府保健所で衛生や保健業務を担っている。例年、医師職の中途退職者は2〜3人だが、今春は11人が退職を希望。行政事務を担う3人と保健所長ら出先機関の8人で、部次長級の幹部職員も含まれている。退職後は、民間病院で働いたり、他の自治体に転職したりするという。

 府は昨年8月から医師職を含めた一般職員の基本給を最大16%カットし、都道府県で最低水準にまで下げた。また、生活習慣病の研究や循環器疾患の予防などに取り組む府立健康科学センター(大阪市)の新年度運営事業費を前年比約4000万円減の6億7000万円にカットするなど、医療対策費の削減も進めた。

 退職予定者はこうした財政再建策に不満を漏らしているといい、退職する課長級職員は「すぐに結果を求める橋下知事の下では、成果が見えにくい研究や、予防業務に、十分な予算措置を期待できない」と話す。

 府は大量退職を受けて、府内の自治体に派遣している医師職を引き揚げる一方、医師職採用の年齢制限を従来の「40歳」から「64歳」に引き上げ、随時採用する方針。府幹部の一人は「予算のカットで、仕事へのやる気を失わせてしまったといえる。当面は、残されたぎりぎりの人数の医師職でやっていくしかないが、これ以上辞められると、組織がもたない」と話した。

 府職員の人件費削減を巡っては、退職金の5%カットを実施する直前の昨年7月、カット前の金額を受け取るための「駆け込み退職」が続出。前年の3倍を上回る33人が府庁を去った。入庁希望者も減り、高校卒業者を対象にした今春の募集では志願者が前年度比36%ダウン。府立5病院の看護師採用でも応募数が定員割れした。』
.
2009.03.29  ☆鳥取大の救急医4人が一斉辞職へ 激務や人員不足理由に
  28日、共同通信→

『鳥取大病院救命救急センター(鳥取県米子市)の八木啓一教授(54)ら救急医4人全員が3月末、一斉に辞職する。激務による心身の疲労や人員不足、病院への不満などが理由。八木教授は「体力、気力が限界。辞めて訴えるしかなかった」としている。

センターは、生命の危険がある重症患者を24時間態勢で受け入れる3次救急医療機関。
八木教授と准教授、若手医師2人が所属する救急災害科は、2006年秋に医師2人が辞職して以降、負担が増加。若手医師は、地域の病院への応援を含め月約10回の当直が常態化していたという。

04年から臨床研修先を自由に選べるようになった影響で、鳥取大病院は研修医が都市部に流出するなどして激減。研修後に救急災害科を希望した医師は「1人だけ」(八木教授)だった。
ほかの診療科からの応援医師3人と計7人で当直を回していたが、若手医師2人が昨年夏「ここにいたら忙殺される。外で腕を磨きたい」と辞職を申し出て、八木教授と准教授も辞意を固めた。

八木教授によると、ほかの科には応援医師を出すことに不満もあり「大学病院に救急なんかいらない、おまえたちは大学のがんだ」と言われたこともあったという。「病院は休日や時間外のお守り(おもり)が必要なだけで、救急の専門家を求めていると思えない」と八木教授。』
.
2009.03.26  ☆厳しい現実どう支える 診療センター無床化 岩手
  26日、河北新報→

『岩手県医療局の地域診療センター無床化の4月実施が25日、正式決定した。医師の過酷な勤務の改善策として計画が公表されて4カ月余り。達増拓也知事が県議会議場で土下座する異例の展開の末、浮かび上がったのは地域医療の厳しい現実だ。無床化しても医師不足は解決するわけではない。県民ぐるみで地域医療を支える体制をどう整えるか。県、県議会、医師、住民の動きが真に問われるのはこれからだ。(盛岡総局・安野賢吾)

「(地域医療を守るという)議論が高まり、厳しい医師不足などの情勢について、県民が深い認識を持つようになった」。達増知事は25日の定例会見で、4カ月余りの議論を総括するように語った。

昨年11月に公表された計画は、6カ所の県立病院と診療センターの入院施設をなくすのが柱だが、地元自治体は「唐突だ」と一斉に反発。野党系会派を中心に県議会の過半数が一時凍結を求め、関連予算を修正したり、達増知事が議場で土下座して再議権を行使するなどの事態に発展した。

<県議会の関与重要>
異例の展開は達増知事が総括したように、診療所の当直応援をしている基幹病院の相次ぐ医師退職の実態が明るみに出るなど、医師不足の深刻さを鮮明にした。

その効果をどう生かすか。県側には無床化対象地域を中心に住民の不安を解消する丁寧な説明を繰り返すとともに、医師不足解消に向けた議論の輪を広げることが求められる。

「住民と対立していたのでは他県との医師確保競争に負けてしまう」。県南で独自の地域医療を実践し、黒字経営を続ける藤沢町民病院の佐藤元美院長は指摘している。

県議会の責任と役割も大きい。計画の一時凍結を求めた過半数の県議は「計画を強行すれば、無床化問題をきっかけに勤務医の負担軽減策を考え始めた地域の芽を摘むことになる」と口をそろえるが、事態を混乱させたとの印象も抱かせた。

誤解を解くなら、「県の取り組みを監視する」(野党系会派)だけでは不十分。まずは議会の予算修正動議を受け、県が運営費を予算化した2次保健医療圏ごとの協議会に積極的にかかわることが重要。県立病院関係者らと地域医療のあり方を議論し、具体化する努力が必要になる。

<傍観者から脱却を>
県立病院長らの姿勢も問われる。全病院長会議で無床化計画の原案を決めるまで、SOSを十分に発信してこなかった。

ある院長は県議会会派の勉強会で「医師はバッシングに不慣れで、コンビニ受診抑制を訴えられない」と話した。それが事実としても、本音で向き合わない限り、住民と病院の新しい関係は築けない。

そして何より、県民には当事者意識が求められる。無床化問題では計画撤回を求める住民の動きばかりが目立った。コンビニ受診などで基幹病院の勤務医環境を悪化させている都市部の住民は傍観者でいた。

無床化問題を地域医療再生の契機にできるかどうか。「医師と患者が納得できるシステムのある地域に医師は集まる」。千葉県東金市のNPO法人地域医療を育てる会の藤本晴枝理事長は語っている。

◇岩手県医療局の無床化計画をめぐる動き
<2008年>
11.17 医療局が無床化計画を公表
12.3 地元市町村が計画見直しを県などに要望
10 県議会が無床化撤回を求める請願を採択
<2009年>
1.9 医療局が無床化対象地域での地元説明会をスタート。19日までに6市町村で開催するが、達増知事は出席せず
2.16 野党系会派など26人の県議が計画の一時凍結を県に要請
17 県が無床化計画を了承
26 達増知事が県議会で「地域に不安や心配を掛けていることにおわびする」と陳謝
3.5 県議会常任委員会が2月補正予算で無床化を前提にしたマイクロバス購入費を減額する修正案を可決
6 県議会が本会議で補正予算の修正案を可決。達増知事が議場で土下座し、再議権を行使。審議は7日未明まで続き、再議の結果、修正案を否決
11 達増知事が地域説明に出向くことを表明
16 県議会が予算特別委員会で、予算修正か補正予算の提案を求める動議を可決
19 県が動議に応じて補正予算を提案。これを受け県議会は当初予算案を可決。無床化の4月実施が確実に
23 県議会常任委員会が補正予算案を可決。マイクロバス購入予算は否決
25 県議会が本会議で一般会計など関連予算案を可決し、無床化の4月実施が正式決定』
.
 2009.03.17 ☆岩手県政、暗礁乗り上げる 医療機関の入院扱い中止で
  17日、共同通信→

『複数の県立医療機関で入院患者の受け入れをやめる「無床化」をめぐり、岩手県の達増拓也(たっそ・たくや)知事の県政運営が暗礁に乗り上げている。無床化に向けた費用を含む補正予算案に議会が反対し、達増知事が議場で土下座。無床化が前提の2009年度当初予算案も「否決を視野に入れている」と議会の反発が強まっている。

 知事が土下座したのは、無床化の代替策とする、入院が必要な患者らを遠方の基幹病院に無料送迎するマイクロバス5台の購入費に議会がストップをかけたからだ。
23日の議会常任委員会でバス購入費をあらためて盛り込んだ新たな補正予算案の審議があるが、議員数47の県議会は自民、社民など野党側が26議席と多数派。常任委員会でも否決の可能性がある。

それに先立つ16日の予算特別委員会で県医療局が当初予算案の関連部分を説明予定だが、審議は自民など野党側の攻勢で長時間にわたるとみられ、19日の予算特別委採決、25日の本会議採決で過半数が得られるかは見通せない状況だ。

野党側が勢いを得ているのは、県が4月からの無床化計画を、県民の「拙速すぎる」「住民を見捨てるのか」などの批判が強いまま、ほぼ原案通り決めたことがある。

無床化計画を進める県にも理由がある。
03年に535人いた県立医療機関の常勤医が07年は460人に減少。県立医療機関の06、07年度分決算は、それぞれ一般会計から約140億円の繰り入れを受けても、ともに約10億円の赤字で「現状の医療体制の維持はもう限界」(医療局)のためだ。

21議席を持つ民主系会派は「このままでは医療機関は立ちゆかない。計画は必要だ」と、民主党員である達増知事の方針に理解を示すが、自民系県議は「地元住民は無床化に反対。計画自体の凍結も求める」と息巻いており、達増県政は難航が想定される。 』
.
 2009.03.17 ☆譲渡先、市内法人に限定へ いわき市立常磐病院施設
  17日、讀賣新聞(福島)→

『いわき市は16日、現在2施設ある市立病院の統合を柱とした「(仮称)いわき市市立病院改革プラン(案)」の修正案を明らかにした。市議会市民福祉常任委員会などで、議員側に説明した。

統合後に市立常磐病院を民間に譲渡する案について、「譲渡先による医師、看護師の引き抜きで、地域医療が崩壊する」という市医師会などの声に応え、応募資格を市内の医療法人などに限定する基本方針を明示。当初は「早期」としていた2施設統合後の新病院建設については、2011〜20年度内の実施を目指すとした。

来年4月とした統合スケジュールについては、そのまま残したが、鈴木正一病院局長は「議論を延ばさざるを得ない時は、その時の判断になる」と述べ、延期になる可能性にも言及した。

プランは昨年11月に公表され、市では、市議会での議論や市民意見(パブリックコメント)などを受けて見直したとしている。

修正案は今後、市議会地域医療対策特別委員会などの議論を経て、今月下旬までに最終案を策定し、年度内に総務省に提出する。』
.
2009.03.15  ☆教授ら救急医4人全員が辞職 鳥取大・救命救急センター
  14日、朝日新聞→

『鳥取大医学部付属病院(鳥取県米子市)の救命救急センターに勤務する救急医4人全員が3月末で辞職する。4人には医学部の教授と准教授も含まれ、教授らは「地方の救急医療の現場は体力的にも精神的にも限界」と訴えている。同センターは同県西部で、重篤患者に対応できる唯一の救急施設。後任の救急医はまだ2人しかめどがたっておらず、4月以降のセンターの機能に不安の声が上がる異例の事態となっている。

辞職するのは、同センター長で鳥取大医学部救急災害科の八木啓一教授(54)と中田康城准教授、若手医師2人の計4人。若手医師は昨年夏に年度末での退職を申し出て、教授と准教授は昨年末から今年1月にかけて辞職の意思を大学に伝えた。

同センターは04年10月に開設。06年前半には専任の救急医7人と付属病院の他科からの応援医師2人の9人態勢だったが、退職が相次いで昨年4月から専任救急医師が4人、応援医師が3人の7人態勢に減り、年間900人の患者を受け入れてきた。

センターによると、当初1人月5〜6回だった当直勤務は月8〜10回まで増え、1人当たりの夜間・休日の緊急呼び出しも急増。若手2人の辞職理由は「体がもたない」だった。
同センターが後任を探したが、希望者はなく、付属病院の他科も人手不足で応援を増やすのは難しかった。教授と准教授は「センターが壊れるぐらいのショックがないと現場の窮状が伝わらない」と辞職を決めたという。

救急医不足の背景には、04年度に始まった「新医師研修制度」もある。研修医が自由に研修先を選べるようになったことで都市部の病院に移るケースが相次ぎ、年間四十数人いた同大医学部での研修医は06年には半分以下に減少。研修後、救急災害科の希望者は5年間で今回辞職する若手医師2人だけだった。さらにセンターは老朽化した処置室の整備を大学側に要求したが実現していない。

付属病院の豊島良太院長は「04年の国立大学法人化以降、補助金が5年で計約10億円減額された。設備の更新もままならず、民間病院のように高報酬で医師を招くこともできない」と話す。

同病院によると、教授と若手医師1人の後任しか決まっていないという。4月から他科の医師約10人が交代でセンターに入るため、受け入れ自体には支障はないとしている。だが、他科で対応してきた時間外の軽症患者(年間約1万2千人)もセンターで受け入れる運用になる予定で、医師の負担がさらに重くなる恐れがある。』
.
2009.03.13  ☆社保浜松病院の譲渡先 住民「長期継続、条件に」市へ要望
  13日、讀賣新聞(静岡)→

『社会保険浜松病院(浜松市中区中島)の第三者への譲渡が厚生労働省から認められたことを受け、病院の地元住民らが12日、浜松市役所を訪れ、医療機能を今後長年にわたって維持できる法人を譲渡先とするよう国に要望することなどを求める要望書を飯田彰一副市長に提出した。

同病院は医師不足などを理由に今月いっぱいで休診することが決まっているが、浜松市が診療の継続と早期の売却を国に求めていた。同省は今月6日、全国の社会保険病院の譲渡先を探す独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」に対し、浜松病院を優先的に譲渡することを認める通知を出した。同機構は、病院の地元自治体の意向をふまえながら、2009年度の早期に入札を行って浜松病院の譲渡先を探すことになっている。

市役所を訪れたのは、「社会保険浜松病院の診療を継続し駅南地域の医療を守る会」の三浦宏之代表ら。鈴木康友市長あての要望書で、<1>医師を安定的に確保でき、医療機能を長年維持できる<2>診療休止期間を短くできる<3>小児科、産婦人科など地域医療に欠かせない医療を提供できる――ことなどを譲渡先の条件とするよう国に要望することを求めている。』
.
 2009.03.13 ☆常勤医減員12機関 27の岩手県立病院・診療センター
  13日、岩手日報→

『常勤医不足が深刻化している(岩手)県立22病院と5地域診療センターのうち、12医療機関が退職や異動する常勤医の補充がなければ2009年度からの診療への影響を懸念していることが、岩手日報社の調べで分かった。

中には病院の要となる内科医が不在に陥りそうな病院もある。県立病院は常勤医の不足で診療科が休診になったり、ほかの病院からの応援診療に依存するケースもあるため、地域の病院や開業医との「病診連携」など、地域一体となった取り組みも必要になりそうだ。

年度途中での退職も含め常勤医が減るのは10病院、2診療センター。このうち病院は▽異動のため常勤内科医が不在となる山田病院▽2人が退職し常勤内科医が1人になる千厩病院▽20人前後が退職し常勤医の補充見込みが10人程度の中央病院-など。』
.
2009.03.10   ☆知事土下座賛否割れる 岩手県地域医療(続報)
  10日、河北新報→

『岩手県医療局の県立病院・地域診療センターの無床化計画で、達増拓也知事が県議会の議場で土下座したことに対し、県民から県に36件の意見が寄せられたことが9日、分かった。土下座に否定的な声が肯定派をわずかに上回った。

県広聴広報課によると、9日夕までに寄せられたのは電子メール34件、電話2件。知事が土下座を行った6日から翌日に集中し、大半が匿名だった。

このうち否定的な意見は19件で、「がっかりした」「恥ずかしい」「パフォーマンスだ」などと指摘する内容。計4度も床に頭をこすりつけた県トップを批判した。

これに対して肯定的な意見は17件。「人間性を感じた」「思いが伝わった」などと、医師不足から無床化に理解を求めるため、「身も心もなげうってお願いした」という知事の姿勢を評価した。

達増知事は6日、無床化を前提に患者家族送迎用のマイクロバスを購入する一部予算を減額する2月補正予算の修正案が可決されたのを受け、議会に再審議を求める再議権行使に際し、議場で計4回土下座。修正案は再議で再可決に必要な3分の2以上の同意を得られず廃案になった。

県がその後に再提案した無床化前提の補正予算は2月定例会最終日の25日、一般会計と県立病院事業会計の当初予算案とともに採決される。

達増知事は9日の予算特別委員会でも、「無床化を見送れば、医師に失望感を与えて医師不足が加速し、県全体の医療体制が崩壊しかねない」などと、4月から無床化を始める方針をあたらためて強調した。』
.
☆過酷な医師の勤務 無床化、首長反対根強く(続報)
  10日、岩手日報→

『(岩手)県議会は9日、予算特別委員会が始まり、県立6医療施設の無床化をめぐる議論が大詰めを迎えた。議会内には県医療局の新経営計画に反発の声が依然根強く、地元市町村にも反対意見が続く。しかし、議論が平行線をたどる中で県立病院の勤務医たちは、医師不足を背景に「36時間勤務」といわれる過重勤務を黙々とこなしている。医療現場が疲弊する中、勤務医からは建設的な議論を求める切実な声が上がっている。

9日午前9時。県立中央病院(盛岡市)循環器内科の花田晃一医師(38)は今月2回目の当直明け勤務に入った。

前日は約60人いる入院患者の回診や検査結果の確認、治療の指示-。当直中も未明に心不全で運び込まれた急患の治療に追われた。十分な睡眠を取れないまま当直明けで外来業務に入ると、狭心症や不整脈など多くの患者が診療を待っていた。
外来業務を終えて病棟に戻ったのは午後4時。再び入院患者の回診を行い、同6時からは学会の打ち合わせ。連続勤務時間は36時間に上った。当直は月6回。当直明けに休める日はほとんどないという。

勤務医の過酷な現実。しかし、無床化の対象市町村からは新経営計画に反発の声が上がる。多田欣一住田町長は「医師に重い負担がかかっている状況は認識しているし、何とかしなければならない。しかし、県は事前に説明し対策を立てた上で進めるべきだった」と疑問を投げ掛ける。

岩手町の民部田幾夫町長は「無床化しても医師不足が即解決されるわけではない。こういう課題こそ互いに話し合うスタンスでなければ県民の一体感や『結い』の県政運営などは醸成できない」と指摘する。

藤原孝紫波町長は「医師不足について県医療局から町に情報が公開されず、問題が投げかけられることは一切なかった」と県の姿勢を批判。「県地域医療を守る住民組織連絡会」の及川剛代表は「勤務医の勤務環境は厳しいが、無床化は間違っている。外来の診療に制限を設けるなどの緩和策を行って、その間を試行錯誤する時間にしてもいい」と提案する。

36時間勤務を終えた花田医師は「医師の勤務状況は限界に近い。県の計画に反対するならば、代替案を示してほしい」と指摘。「医師は患者を診るのが仕事。医師や患者がつぶれないようにするのは行政や政治の仕事だ」と建設的な議論を求める。』
.
2009.03.10  ☆社保浜松病院を先行売却 舛添厚労相が指示
  10日、共同通信→

『舛添要一厚生労働相は6日、全国計63カ所の社会保険病院と厚生年金病院の整理・売却計画に関し、社会保険浜松病院(浜松市中区)を先行して売却するよう保有主体の独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)に指示した。

浜松病院は医師不足を理由に3月末で休診することが決まっており、このままでは廃院となる恐れもある。浜松市がほかの病院より先に対応するよう要望していた。

また厚労相はRFOに対し、全体の整理・売却方針も通知した。地域医療を確保することを基本に据え、地元自治体の意見を聴いた上で売却先を選定することが柱。

個別の病院ごとに売却を進めるが、複数の病院を一括して売却することも認める。売却先は自治体、公益性のある法人、医療法人に限定する。 』
.
2009.03.09  ☆初の区立病院 高齢者に特化、台東病院が完成
  7日、東京MXTV→

『台東区に都内初の区立病院となる台東病院が完成しました。高齢者に特化したユニークな病院です。4月の診療開始を前に、きょう地域住民に公開されました。

台東区は区民のうち65歳以上の割合が24%を越える都内屈指の高齢地域ということから、地上8階・地下1階からなるこの施設は「医療から介護まで」というテーマでつくられました。5階までが病院、6階から8階が老人保健施設となっています。病院を感じさせない内装、徹底したバリアフリー構造の院内には最新医療機器が備えられ、診療科の表示も大きく見やすくなっています。

台東区では1996年に都立病院が閉鎖されてから住民たちは病院にかかることにとても不便を感じてきたといいます。きょうの見学会でも「ようやくできた」「安心した。よくできている」といった声が聞かれました。台東区地域医療課の加藤克典課長も「地域の医療機関や介護事業者と連携をとって、地域や高齢者にとって必要な病院となるように頑張りたい」と話しています。

高齢化に対する行政の新しい取り組みとして区内外から注目を集めています。』
.
2009.03.08  ☆広島市立4病院:人手不足深刻 1カ月無休の医師6.8% 1日含め14%/広島
  8日、毎日新聞(広島)→

『広島市の市立4病院で、1カ月に休日が取れない医師が正職員、嘱託合わせて全体の6・8%に当たる25人に上ることが分かった。月に1日しか休みを取らなかった医師は27人おり、合わせて14・1%にも上る。市は「人手不足や医療への熱意で休日にも出勤している医師が多い。医師数を増やしたいのだが、経営面や人材面から難しい」と頭を抱える。

6日、この問題を松坂知恒市議が市議会予算特別委員会で質問した。同市は広島市民(中区)、安佐市民(安佐北区)、舟入(中区)、総合リハビリテーションセンター(安佐南区)の4病院を運営。4病院で368人が昨年11月1日現在で在籍している。08年10月5日から11月1日までの4週間で休みが0日だったのは、広島市民14人▽安佐市民9人▽舟入2人の計25人だった。1日しか休みがなかった人も27人いた。

08年4月から09年1月では、月100時間以上の時間外勤務を行った医師は安佐市民14人▽広島市民と舟入で各1人の計16人いた。
6日の市議会で、大庭治・広島市民病院長らは「医師たちが休みがまったくない状態だったとは知らなかった。これから改善していきたい」などと答弁した。』
.
 2009.03.08  ☆前代未聞捨て身の懇願 議場は騒然 岩手知事土下座
  7日、河北新報→

『岩手県医療局の県立病院・地域診療センターの無床化計画で、窮地に立つ達増拓也知事が6日、県議会本会議で議員に向かって土下座した。無床化を前提にした予算の減額を突きつけられ、プライドをかなぐり捨てた前代未聞の行動。「知事は本気だ」「いやパフォーマンスだ」。議場、県庁は終日、騒然となった。

「再議に移る手続きをさせていただきたいので、暫時休憩をお願いいたします」

一般会計と県立病院事業会計の2月補正予算修正案の可決後、知事は議決結果の妥当性をあらためて審議してもらう再議を申し出た。直後、突然、席の前にひざまずき、頭を床にこすりつけた。

休憩を挟んだ再開後、またも土下座した。修正案の撤回を求めて再議の説明を終えると、3列ある議席の前で1回ずつ、ひざを折って深々と頭を下げて回った。

修正案は、4月から無床化する5診療センターに配置予定のマイクロバスの購入費2300万円を削る内容。修正案がそのまま通れば、計画実施への影響は避けられない。

計画の一時凍結を求める議員らは、知事の土下座にあっけにとられた様子だったが、「われわれは謝罪を求めたわけでない。意味不明だ」「県議会史上に汚点を残すぶざまな姿だ」と猛反発。

一方、県政与党の第1会派、民主・県民会議の女性議員は「よく土下座した。涙の出る思いだ」と知事を擁護し、佐々木順一代表は「びっくりしたが、選挙の時には見たことがある。それぐらい真剣なんだ」と理解を求めた。

県幹部によると、知事は朝の庁議で「何でもやる」と言っていたという。とはいえ、土下座までは想定外で、当事者の田村均次医療局長は「医療局の問題なのに…。ショックだ」と動揺を隠せなかった。

達増知事は「身も心も投げ出してお願いするということで、礼を尽くさせていただいた」と報道陣に説明。「議員に理解されるのか」との質問に対しては「もう伏してお願いするところです」と述べた。』
.
☆「病院無床化」再議に知事、バス予算削除で 岩手県政史上初(地方)
  7日、讀賣新聞→

『県立6医療施設の「無床化」問題で、県議会は6日の本会議で、無床化される医療施設と基幹病院を結ぶ無料送迎バス5台の購入費用2300万円を、2008年度一般会計補正予算案から削除する修正案を賛成多数で可決した。これに対し達増知事は、議会の議決に対する「拒否権」にあたる再議を行使。これにより、修正案は一転して廃案となる見通し。県政史上初という強硬手段に訴えた達増知事は、その直後に本会議場で土下座し理解を求めるという異例ずくめの展開となった。

 達増知事は、本会議の冒頭、環境福祉、総務両委員会が5日に可決した修正案が、賛成多数で可決されたのを受け、直ちに再議を申し入れた。
再議を行使した理由について達増知事は、「県立病院の現状は医師不足が危機的な状況」と説明。「修正された議決では、交通手段の確保ができなくなるので、ぜひともマイクロバス購入費用の予算をお認め頂くようお願いする」と訴えた。

 県議会は、知事の再議を受け、修正案の扱いについて審議し、6日夜の段階でも結論は出ていない。

 ただ、再議に基づく採決では、修正案の再可決に、議長を除く46議員中31人以上の賛成が必要。知事与党で最大会派の民主・県民会議(議長を含め21人)は修正案に反対しており、修正案は否決され、廃案となる見通しだ。

 廃案となれば、バス購入費用を盛り込んだ補正予算案を巡る審議は振り出しに戻り、再び原案を審議する。県側が原案を一部修正して提出する案も浮上している。
修正案に賛成し、無床化の4月実施に反対の県議は、原案を否決する方向で動いており、バス購入費用を巡る攻防は、さらに緊迫することが予想される。

 また、達増知事による「拒否権」行使に対し、無床化の4月実施に反対する議員からは「議会と全面対決する意思表示」とする声も上がっており、来週から本格化する新年度予算案の審議にも影響を与えるのは必至の情勢だ。

 焦点のマイクロバス購入費用は、入院ベッド廃止対象地域住民の声を聞き入れ県が導入を決めたもので、国の「地域活性化・生活対策臨時交付金」を活用し、全額国の補助金を充てる。』
.
2009.03.05  ☆塩谷総合病院:JA栃木厚生連、国際医福大と譲渡契約を締結/栃木
  4日、毎日新聞(栃木)→

『(栃木)県は3日、JA栃木厚生連(鈴木宗男理事長)が塩谷総合病院(矢板市)を国際医療福祉大(大田原市、高木邦格理事長)に譲渡する契約が、同厚生連と同大の間で結ばれたと発表した。締結は先月28日付。譲渡金額は、同病院と併設の塩谷看護専門学校を合わせて21億円で、4月1日に同大へ経営権が移譲される。

塩谷総合病院は、医師不足による患者の減少や診療報酬の引き下げなどが原因で経営が大幅に悪化し、昨年12月、同厚生連から同大に移譲することが決まっていた。

県は来年度一般会計当初予算案に同大への補助金8億円、貸付金15億円を計上。矢板市など地元の2市2町も8億円を補助する。補助金や貸付金は、病院の土地・建物の取得費用や移譲後の運営資金、建物の修繕費用などに充てられる。

同病院はベッド数300床。今年1月の県議会生活保健福祉委員会では、移譲後は12人いる医師のうち、約半数が残るとの見通しが県から示されていた。不足する医師は、同大からの非常勤医師の派遣などで補うことになる。』
.
 2009.03.03 ☆鎌倉の医師会立産院 所長、早くも辞意 人事に不満
  3日、朝日新聞→

『約2週間前に診療を始めたばかりの神奈川県の鎌倉市医師会立産科診療所の所長・雨森良彦医師(77)が2日、朝日新聞の取材に対し、医師会が行ったスタッフ人事の不満を理由に辞意を表明した。医師会によると、雨森所長以外に常勤医が2人おり、診療に問題はないという。

同診療所の運営は医師会が担当し、財政面を鎌倉市が支援する全国的にも珍しい取り組みで、注目を集めている。

雨森所長は「所長はすべてに責任がある立場。しかし、人事を医師会が握り、一部の医師の人事について納得できないので辞める」と述べた。
雨森所長は2月17日から、別の医師と診療を担当。さらに医師1人が3月1日付で就任し、2日から勤務を始めた。このほか助産師9人、看護師3人、事務職3人が常勤として働いている。

雨森所長は日赤医療センターの元副院長で、1月1日付で所長に就任した。3月2日は朝から診療に当たり、同日正午前に診療所を去った。

同医師会の細谷明美会長は「先週末に副会長とともに所長にお会いして、今週中に医師会側の考えを伝えて協議することになっていた。医師会として検討し、対応することになる」と話した。』
.
2009.02.26  ☆広大病院:小児科医局の医師10人が辞職 医療体制に懸念--今年度末 /広島
  25日、毎日新聞(広島)→

『広島大学病院小児科医局の医師10人が今年度末で辞職することが24日、分かった。ほかに昨年9月から既に2人が辞職し、今年4月以降も1人が辞める見込み。10人以上の医師が辞めるのは異例。同医局は県内の病院に小児科医師を派遣しており、地域の医療体制に支障が懸念される。

広大によると、同医局には約130人の医師がおり、うち約100人を県内の公立と民間の30病院に派遣している。3月末で辞職するのは、広島市立舟入病院や呉共済病院に派遣した8人と、広大病院で勤務する2人の計10人。開業や、結婚に伴う県外への移転などが理由という。通常、年間の退職者は6〜7人という。また、4月に後期研修医7人が入局する。

広大の小林正夫教授(小児科学)は「従来は4人を派遣していた地域へは3人に削減することで、新年度は対応できる」と説明。ただ「今回のようなペースで退職者が続けば各地域に派遣するのは難しくなる」という。

呉共済病院では、広大からの1人が3月末で辞職する。呉市や県、県医師会などは呉市の3病院で実施している小児科の夜間救急輪番制を存続させるべく医師の勤務態勢などについて検討している。』
.
2009.02.24  ☆医師不足:都会の医師「代打の切り札」 1日単位で支援、秋田県が「バンク」来月にも発足
  24日、毎日新聞(秋田)→

『医師不足の中で激務をこなす地元勤務医の負担を軽減しようと秋田県は、首都圏の医師に登録してもらったうえで、1日単位で支援に入ってもらう「ドクターショートサポートバンク」を3月にも発足させる。県内の開業医も登録対象となるが、最初から県外での医師確保に重点を置くのは全国的にも珍しいという。【百武信幸】

県によると、県東京事務所に担当2人を配置して人材確保にあたる。労働局の許可を得たうえで無料職業紹介所としてバンクを開設。医療機関から医師派遣の要請があったとき、登録者の中から診療科目や日程が合う医師がいれば仲介する。

06年末の厚生労働省調べでは、県の人口10万人当たりの医療施設従事医師数は188・9人で全国34番目。過疎化や高齢化も急速に進んでおり、慢性的な医師不足対策として常勤医や数カ月勤務の非常勤医師確保に力を入れてきたが困難な状況。地元の開業医による支援にも限界があり、過酷な勤務状況に耐えられずに勤務医が辞めて現場の負担がさらに増えるという負の連鎖を生んでいる。

バンクは、勤務医が休養したり学会のため出張できる環境を作ることで、医療現場の崩壊を食い止めることを目指す。秋田組合総合病院(秋田市)の坂本哲也・名誉院長は「猫の手も借りたいほど厳しい。実現すれば大変ありがたい」と話す。

県内の医師を登録対象として同様の制度を07年4月に始めた新潟県医師会の場合、県外の医師も含めて21人が登録。07年度に3件、08年度は18件の利用があった。』
.
2009.02.22  ☆医療クライシス:北海道緊急事態/6止 医師不足招いた「臨床研修制度」 /北海道
  20日、毎日新聞(北海道)→

◇大学病院が人材難に 医学部定員増など対策も後手
「ドレーン(排液管)はどこに入れたの?」「化膿(かのう)性脊髄(せきずい)炎の原因は?」。研修医から矢継ぎ早に質問が飛ぶ。

 札幌市手稲区の手稲渓仁会病院で10日午前7時半から始まった指導医と研修医約30人の勉強会「モーニングレポート」。実際の症例を題材に治療方法を検討しスキルアップを図ろうと毎朝、開かれる。この日は転倒して救急搬送された患者の治療内容が担当の研修医2人から報告された。

 大学を卒業した医師が研修先を自由に選べる「臨床研修制度」の導入から5年。教育体制が整い、風邪から重病まで数多くの症例を診られる都市部の病院に人気が集まる一方、下積み期間が長く「実践」の機会が少ないとされる大学病院は研修医から見放された。

 手稲渓仁会病院で研修3年目を迎えた和田進さん(28)は「これまで80件近く手術を執刀した。大学だったら1件もできなかっただろう」と満足そうに語る。研修2年目の長谷田真帆さん(26)は「実践に加え学習の機会も充実している。将来も大学に戻ることは考えていない」と言い切った。ともに北海道大医学部の出身だ。


各地の病院で相次ぐ休診や分娩(ぶんべん)中止、救急当番からの撤退、搬送患者の受け入れ拒否--。その元凶となっている医師不足を深刻化させたのが、04年度から導入された臨床研修制度だ。
それまで新米医師たちは出身大学の付属病院で研修するのが一般的だった。大学は潤沢な人材を背景に地方へ医師を派遣し、地域医療を支えた。しかし、臨床研修制度の導入で大学に残る卒業生が減り、道内で今春卒業予定の医学生のうち大学病院以外の医療機関を研修先に選択する学生は6割近くに達する。人材難に陥った大学が医師を地方から引き揚げている。

 危機感を強めた北大、札幌医大、旭川医大は研修を終えた若手医師を呼び戻す共同事業に着手。これまで医師を派遣する地方病院は大学ごとに系列化されていたが、今後は3大学で共有し、医師たちの「修行の場」となる病院の選択肢を増やすという。旗振り役の近藤哲・北大教授(腫瘍(しゅよう)外科学)は「若手医師はメリットがない限り戻らない。大学が選ばれるようなシステムを作るしかない」と力を込める。


臨床研修制度について、厚生労働省は10年度から必須科目を減らし、2年目の大半を希望の診療科での研修に充てられるよう見直す方針。専門医を早く育て、医師不足解消につなげるのが狙いだが、手稲渓仁会病院の酒井圭輔・臨床研修委員長は「医師に広い知識を身につけさせるという当初の理念はどこに行ったのか。促成栽培で医師は育たない」と批判する。北大病院の筒井裕之・卒後臨床研修センター長も「(10年度の研修医が)一人前になるのは3年後。その間に医療は崩壊してしまう」と悲観的だ。
道や道内3大学は、医学部の定員増や将来の地方勤務を条件にした奨学金制度の導入など「あの手この手」を尽くす。しかし、こうした対策の効果が表れるのも数年先。目前の「医療クライシス」を解消する抜本策は講じられないまま、医療の現場は綱渡りの状況が続く。=おわり
× ×
この連載は高山純二、鈴木勝一、本間浩昭、山田泰雄、横田信行、横田愛、坂井友子が担当しました。

==============
■ことば
◇臨床研修制度

04年度から始まった新人医師対象の研修制度。最低2年間で7診療科・部門を経験することが義務づけられている。従来は新人医師の大半が大学病院の各診療科(医局)に進み専門分野のみを学んでいたため「幅広い知識に欠ける」「患者との対話が不得手」などの批判があった。道内では3大学と67病院が臨床研修病院に指定されているが、都市部の大病院に研修医が集中する傾向が強く、志願倍率が約3倍になる病院がある一方、20病院は今春入る研修医がゼロとなる見通し。』
.
2009.02.19  ☆「医師不足の中、いい計画」 県立病院無床化で 岩手県知事(続報)
  19日昼、IBC岩手放送→

『6つの病院の無床化を含む県立病院の新しい経営計画が今日、正式に策定され達増知事は、「医師不足の中でいい計画ができた」との考えを示しました。

これは今日の定例会見で述べたものです。県立沼宮内病院と5つの地域診療センターの無床化が盛り込まれた新しい経営計画は、今日正式に策定されました。達増知事は「医師不足に直面している中でいい計画ができた。入院ベッドを『廃止』ではなく『休止』とするなど、関係する地域や団体の意見を反映した項目が盛り込めたことを評価する」と述べました。

今日から始まる2月定例県議会でも、無床化問題は大きな議論となる見込みですが、達増知事は「県民の理解が深まるように務めたい」と述べた上で、県立病院に関係する予算の審議については、「非合理的な結論にならないと思うと期待する」と述べました。』
.
 2009.02.19 ☆県立4病院:改革「避けて通れぬ」 知事が強調 /三重(続報)
  19日、毎日新聞(三重)→

『基本方針案を17日に明らかにした県立病院改革について、野呂昭彦知事は18日の定例会見で「避けて通れない課題」だとし必要性を強調するとともに、民間事業者への移譲を打ち出した一志病院(津市)については、県として移譲先の事業者に一定の支援を行う考えを示した。

野呂知事は、医師不足や赤字が膨らむ県立の4病院について「このまま放置すれば、4病院とも総崩れになり存立できなくなる」と改革の必要性を指摘。その上で「各地域に必要な医療ニーズは確保しなければならない。民間事業者に移譲をしても医療確保のために一定の支援を行っていかなければならない」と述べた。

一志病院の移譲先について「(意欲のある)事業者の情報は得ている」とし、移譲後の赤字補てんなどについて、正式決定後の交渉で話し合っていく考えを示した。』
.
2009.02.19  ☆医療クライシス:北海道緊急事態/5 縮小続く拠点病院 /北海道
18日、北海道新聞→

『◇公的サポート薄く
◇「使命」と「経営」のはざまで苦悩


市立釧路総合病院(647床)や釧路赤十字病院(489床)などの大病院が集まる道東の医療拠点・釧路市。ここで20年以上、夜間・休日の救急医療を担ってきた釧路市医師会病院(126床)の運営から市医師会が撤退することになった。非営利の社団法人が運営する公的性格の強い病院だが、救急医療の負担に耐えきれず、医師不足の大波にのみ込まれた。

同病院は85年12月設立。地域の医療機関と連携して入院患者の受け入れや救急医療を行う「地域医療支援病院」に指定されているほか、災害時の救急医療を担う協定を市と結ぶなど、公的役割を果たしてきた。06年度までは釧路市から救急医療負担金として毎年1億4700万円の補助を受けていたが、救急当直などの激務が敬遠され医師不足が深刻化。07年度からは救急医療の「拠点」を返上せざるを得なくなり、救急医療の3分の2をほかの病院が肩代わりするようになった。

さらに収入の6割を占める循環器内科の医師が08年4月から2人に半減。09年3月末の累積債務が6億円に膨らむ見通しとなり、医師10人のうち8人が今春までに大学病院に引き揚げられることが決まった。医師不足が収入減につながり、さらなる医師不足を招く悪循環に市医師会の西池彰会長は「今後の医師確保の見通しが立たなくてはどうしようもなかった」と肩を落とす。

病院経営の有力な譲渡先も見つからず、今年1月に行われた入札では西池会長自らが経営する医療法人が落札、経営を引き継ぐことになった。廃院という最悪の事態は回避されたが、現状通りの救急医療体制が維持できるかは不透明な状況。市からは病院存続へ向けたヒトやカネなどの公的支援は最後までなかった。


医療法第31条に基づく「公的医療機関」に位置づけられるのは自治体病院のほか、道内では「日本赤十字社」「恩賜財団済生会」「厚生農業協同組合連合会」「北海道社会事業協会」の4法人が25市町で運営する計32施設。医師会の運営する病院も公的性格を持ってはいるが、正式な公的医療機関には含まれない。
公的医療機関はへき地医療や救急などの不採算部門を担うことで公的助成を受けているが、それでも道内22施設が赤字運営となっている。北海道社会事業協会の岩内協会病院(後志管内岩内町)では06年度以降、赤字決算が続き、07年度には常勤の内科医がゼロとなるなど医師不足も深刻だ。

水谷保幸院長は「このまま赤字が続けば、近い将来、病院をやめざるを得ない」と危機感を強める。同協会の高橋透理事長は「責任と負担は自治体病院と同様に増大して倒れる寸前なのに、公的なサポートは手薄い」と訴える。
地域医療の「社会的使命」と「経営」のはざまで苦しむ病院は多い。=次回は20日に掲載します

==============
◇道内の主な病院の診療休止・縮小◇
06年 4月 市立小樽病院 小児科入院休止
道立紋別病院 精神科・神経科入院休止
7月 小樽協会病院 消化器内科一時休止
9月 根室市立病院 分べん休止
10月 江別市立病院 内科一時休止
道立羽幌病院 分べん休止
07年 1月 道立江差病院 分べん休止
2月 釧路労災病院 小児科・産婦人科休止
3月 羅臼町国保病院 救急外来停止
4月 夕張市立病院 公設民営の診療所化
日鋼記念病院(室蘭市) 産婦人科休止
遠軽厚生病院 呼吸器科休止
08年 3月 北見赤十字病院 内科一時休止
3月 日鋼記念病院 救命救急センター廃止
4月 道立紋別病院 救急受け入れ態勢を縮小
羅臼町国保病院 病床(48床)廃止、診療所化 』
.
 2009.02.19 ☆無床診療所計画案:無床化、4月実施 県推進本部決定、地元の反発必至/岩手
  18日、毎日新聞(岩手)→

『◇県立病院・地域診療センター
  県医療制度改革推進本部(本部長・達増拓也知事)は17日、県立病院・地域診療センターの無床化を柱にした県医療局の新経営計画を表現など一部修正し、了承した。無床化の時期や対象施設などは最終案通りで、4月に実施されることが決定した。県議26人や地元首長、住民団体は実施を凍結し協議を続けるよう求めており、反発は必至だ。

新計画では、夜間・休日に当直看護師を当面、配置し、地元医療関係者らと協議する場も設ける対応策を盛り込む。18、19の両日中には正式に決定する。

このほか、地域説明会などでの意見を受け、▽入院が必要な患者の受け入れ先確保▽無床診療所と基幹病院を結ぶ交通手段の確保▽県立病院の運営について市町村との連絡協議会の設置--を示した。田村均次局長は「医師不足は大変な状況だ。地元での経過措置も最善を尽くす」と理解を求めた。

新経営計画は、県立沼宮内病院と▽紫波▽大迫▽花泉▽九戸▽住田--の5地域診療センターの無床診療所化のほか、8病院で病床を削減。09、10年度に計396病床を減らし、経営の適正化を図るなどとしている。【山口圭一】

==============
■解説
◇地域の声、真摯に

県立病院・地域診療センターの無床化が、2月県議会を待たずに事実上、決定した。策定過程や県医療局の姿勢に最後まで疑問が残る。
医療局は医師不足と経営悪化を理由に掲げる。確かに県立病院では、04〜07年度で定年以外に計140人が退職。「安易な救急利用などが過酷な勤務を招いた」と分析するが、患者に責任を押しつけたようにも聞こえる。

高橋博之県議が1月、医療局の常勤医に実施したアンケートでは、「本庁が医療現場を分かっていない」などの不満が寄せられた。全国的な医師不足は、ここ1、2年で起きた問題ではない。現状を招いた医療局自身も検証する姿勢が必要ではないだろうか。
計画の策定過程にも批判が集まった。非公開で議論し、案を公表したのは計画実施の約4カ月前。その後、住民らを対象にした説明会や懇談会で、地元医師から入院機能を維持するために当直協力の申し出もあったが、反映されなかった。最後の懇談会から最終案提示まで約1週間。「無床化ありき」という印象がぬぐえなかった。

最終案を示した今月10日、地元首長らの「空きベッドの福祉施設への活用と言うが、検討する材料もなかった」との苦言に、医療局幹部は「もっと早く言っていただければ、いくらでも示した」と返した。自治体に責任を転嫁するような発言に首をかしげた。
地域医療に携わる医師や住民からは、無床化が与える悪影響を懸念する声が根強い。医療局は無床化後
1年間をめどに地元市町村、医療・福祉関係者らと協議する場を設け、地域の個別課題を話し合う考えを示した。2月県議会でも論点になるだろう。医療局には地域の声に耳を傾け、真摯(しんし)に応える姿勢が求められる。【山口圭一】』
.
 2009.02.17 ☆「地元で出産したい」市民の声受け、医師会が産科診療所 鎌倉(続報)
  17日、産経新聞→

『神奈川県鎌倉市の市医師会が設立した産科診療所「ティアラかまくら」が17日、開院した。2月中は外来診療と妊婦健診のみで、3月から分娩(ぶんべん)を扱う。
日本医師会によると、医師会独自で産科診療所を開設するのは全国で初めて。新たな取り組みとして注目を集めそうだ。

開設のきっかけは平成18年秋、市からの「お産施設ができないか」という相談。市内には分娩を扱う医療機関が最近まで1カ所しかなく、19年度に市内で生まれたのは、出生者全体の約3割。市民から「地元で安心して出産したい」との要望が市に多く寄せられていた。

医師会は昨年5月、早期の産科診療所設立に向け市と協定を締結。運営や医師の人員確保は医師会が担い、市は運営費などを補助するほか、トラブルや訴訟への対応について積極的に支援することが協定に盛り込まれた。』
.
 2009.02.17 ☆医療クライシス:北海道緊急事態/4 赤字に苦しむ自治体病院 /北海道
  17日、北海道新聞→


◇医師・看護師確保へ市民団体も
◇地域覆う「不安」「不満」


「近くに総合病院があるのは何より安心。もし病院がなくなったら、市外への通院なんて無理」

厳冬期を迎えた留萌市。市立病院(同市東雲町)の外来診療に訪れた市内の独り暮らしの70代女性は不安そうに語る。08年度末で35億円に達する累積赤字が市財政を破綻(はたん)寸前に追い込んでいるからだ。

同病院は01年の新築・移転を機に健全経営を目指したが、診療報酬引き下げなどの影響で02年度には6億6900万円の赤字が発生。その後も診療報酬の引き下げが続いたうえ、臨床研修制度の改正で全国的に医師不足が深刻化。同病院でも03年に34人いた常勤医が25人に減った。

さらに重くのしかかるのが、留萌管内をカバーする第2次医療圏のセンター病院という位置付けだ。09年度は経費削減のため形成外科の休診が濃厚になっているものの、不採算部門の救急、小児、産婦人科を閉鎖するわけにもいかず、負債が膨らみ続ける。

隣接する増毛町の医療関係者は「市立病院がなくなれば地域医療は崩壊する」と懸念するが、留萌市が周辺町村に病院運営費の負担を求める交渉は難航。一方で同市が1月に策定した財政健全化計画には市税の引き上げや温水プールの休止などの行政サービス縮減が盛り込まれた。病院の負担が生活を圧迫する現状が市民をいら立たせ「病院は民間に売ればいい」などの声もくすぶる。


留萌市立病院に限らず、道内80市町が運営する93の自治体病院は地域の基幹病院として民間が敬遠する不採算部門を担うケースが多い。医師不足や患者減少もあって経営は悪化傾向にあり、全体の約7割が赤字。07年度末の累積赤字は合計1460億円に上り、留萌市の27億円のほか、函館市38億円▽小樽市37億円▽赤平市29億円▽釧路市24億円▽美唄市23億円と財政難に苦しむ自治体がずらりと並ぶ。

国が07年12月に策定した「公立病院改革ガイドライン」は病床利用率の低い病院に対し病床数の削減や診療所化などの規模縮小・合理化を求めており、道も昨年1月、「自治体病院等広域化・連携構想」を策定。自治体病院の機能を近隣自治体同士で集約するよう提案している。


「財政難の原因は行政の見通しの甘さにある。しかし、批判は簡単。市民も病院の現状を知ろうとしていなかった」
窮地の留萌市立病院を救おうと08年5月に結成された市民団体「留萌がんばるかい」(会員19人)の代表、沢田知明さん(41)=元留萌青年会議所理事長=は市立病院の存在を「街の魅力」として再評価するよう市民に呼びかける。

病気になると札幌や旭川の総合病院を受診する市民も多く、そうした傾向が病院の赤字に拍車をかけていると考えた沢田さんたちは独自の広報紙を08年10、12月の2回、各1万2900部作成し新聞折り込みで配布した。さらに会員の人脈を頼りに研修医を1人確保。札幌の看護学生を対象に見学ツアーを企画したり、道立留萌高校に説明に行くなど看護師確保にも奔走している。

地域医療を住民の手で守ろうとする新たな取り組みだ。=つづく

==============
■ことば
◇公立病院改革ガイドライン

  総務省が07年12月、病院事業を行う市町村に対し(1)経営の効率化(2)ほかの自治体病院との統廃合(集約化)(3)民間譲渡など経営形態の見直し--などの「改革プラン」を08年度末までに策定するよう求めた指針。プランを策定すれば、累積債務について返済期間7年間で無利子の「病院特例債」への借り換えが認められるメリットもある。対象となる道内80市町のうち、08年12月末現在6市町が策定済みで、残る市町も年度内に策定する見通し。ただ、指針が求める集約化に対しては、住民の通院が難しくなる地域に慎重論が根強い。』
.
 2009.02.17 ☆一志病院、民間譲渡へ 三重県立4院 改革方針案
  17日、中日新聞(夕刊)→

『三重県は、県立一志病院(津市)の民間譲渡など県立4病院の改革方針案をまとめた。公立病院の民間譲渡は東海地方では例がなく、全国では昨年3月までに19病院で実施。県は県議会や病院職員と協議して改革方針を正式決定し、決定から3年以内に新たな運営形態に移行する。

一志病院は「診療圏が津市内に限定され、県立病院としての位置付けが不明確」とされた。2008年度は8700万円の経常赤字見込みで、収益の悪化も指摘されていた。

志摩病院(志摩市)は指定管理者制の導入、総合医療センター(四日市市)は地方独立行政法人への移行を進める。精神科の「こころの医療センター」(津市)は県立のままとする。』
.
 2009.02.15 ☆関西医科大学が付属男山病院を経営譲渡 深刻医師不足
 13日、産経新聞→

『大阪府守口市の学校法人関西医科大学(塚原勇理事長)が、大阪、京都両府で経営する3病院のうち、京都府八幡市の付属男山病院を閉院し、医療法人に経営譲渡することを検討していることが12日、わかった。医師不足が深刻化していることが背景にあり、男山病院のスタッフを大阪府内の他の病院に振り向ける。文部科学省は「系列病院を経営譲渡して、医師不足を補うケースは珍しい」としている・・・』

■続きは こちら
.
 2009.02.11 ☆岡山県が医師不足解消へ奨学金 09年度から岡山大医学部に地域枠
  11日、山陽新聞→

『岡山県は2009年度から、岡山大と連携し、医師不足が深刻な過疎地に勤務する医師の養成に乗り出す。同大医学部の今春入学定員に5人の「地域枠コース」を確保、学生に月20万円の奨学金を支給する。
国の緊急医師確保対策で同学部の入学定員が増えるのに伴う措置。奨学金は貸与の形をとるが、卒業後に県が指定する県北部などの医療機関で9年間勤務すれば返還を免除する。9年間継続し、45人の医師を養成する計画。予定通りに定着すれば、県北部の医師が約1割増えると見込んでいる。

初年度の出願は4日に締め切られ、52人が申し込んだ。入試は25、26の両日。

同県は09年度当初予算要求に事業費1251万円を計上。全学年に「地域枠」がそろう14年度には7200万円に増額する方針だ。』
.
2009.02.10  ☆岩手県医療局 4月無床化変更せず 計画最終案 反発必死(続報)
  10日、河北新報→

『岩手県医療局は9日までに、6カ所の県立病院・地域診療センターの無床化を含む「新しい経営計画」の最終案をまとめた。住民が求める無床化撤回や実施先延ばしは行わず、当初案通り4月から無床化を進める内容。医療局は10日、県議会に説明するが、反発を招くのは必至で、19日開会の県議会2月定例会最大の争点になるとみられる。

最終案は花泉(一関市)、住田、大迫(花巻市)、紫波、九戸の五診療センターと沼宮内病院を無床診療所にする内容。県議会の議決が不要な五診療センターは4月から、条例改正が必要な沼宮内病院は12月定例会での議決を経て、2010年4月に始める。17日にある県の医療制度改革推進本部会議に最終案を報告し、正式決定する。

医療局は入院ベッドの維持や無床化実施の先延ばしは「医師の負担が大きく、医師不足を加速させる」と判断。無床化対象を一部にとどめることも「地域を選別することになる」と一律実施を決めた。

当初案からの変更は「転院先の確保」「転院を余儀なくされる患者と家族の足の確保」などを盛り込む程度。無床化などに伴う空き病床の介護施設などへの活用では「(賃貸料減免など)支援策を講じる」と明記する。

無床化をめぐっては、対象の6市町村の住民らが強く反発。9日にも住民団体でつくる「県地域医療を守る住民組織連絡会」が県と医療局に計画凍結を求める要請書を提出した。

住民の要請に対し、医療局病院改革室の根子忠美経営改革監は「最終案は10日に県議会に説明する。内容についての発言は差し控えたい」と言うにとどまった。

◎地域医療市民が守る 釜石病院の支援組織発足
 地域医療を守るため、無駄な診療を減らし、厳しい医療環境への理解を深めようと、釜石市民有志が岩手県立釜石病院の支援組織を立ち上げた。育児サークルや市母子保健推進員など160人による「病院サポーターズ」。今後は市民対象の勉強会や医師との交流会を開催するほか、パンフレット配布などの啓発活動を行う。

県立釜石病院は現在、27人の勤務医が在籍するが、呼吸器科と産婦人科は不在で消化器科の医師は1人だけ。診療科の偏在や勤務医の過重労働が指摘されている。

県の統計によると、2006年度の釜石市民1人当たりの医療費(国民健康保険加入者のみ)は42万2000円で、県内13市のうち盛岡に次ぎ高額となっている。

サポーターズのメンバーは9日、釜石病院を訪問し組織の立ち上げを報告。代表の主婦菊池美和さん(37)は、軽症患者が夜間救急を利用する「コンビニ受診」などを踏まえ、「医療現場への負担がこのまま続き、医師に辞められては困る。健康づくりなどを呼び掛けながら、市民自らが地域医療を守る意識を醸成したい」と話した。』
2009.02.07  ☆産科診療所建設 自治体が助成 東京・中央区の聖路加病院
 6日朝、NHK→

『東京・中央区で、お産ができるただ1つの医療機関となっている総合病院が新しい産科の診療所を建設することになり、東京・中央区は最大で1億2000万円を助成することを決めました。自治体が民間病院の建設費などを助成するのは異例だということです。

 東京・中央区では平成8年以降、出生数の増加傾向が続いており、去年1年には10年前の2倍以上の1222人の赤ちゃんが生まれています。しかし、区内で出産ができる医療機関は聖路加国際病院だけで、妊娠した区民の女性の4人に1人しか地元で出産できない状態です。

 このため区と聖路加国際病院が協議した結果、出産可能な施設を充実させることで一致し病院が産科の新しい診療所を建設することになりました。診療所のベッド数は19あり、3人の医師と45人の助産師が原則、自然分べんだけを扱うということです。一方、中央区は建設費などとして来年度から2年間で最大、1億2000万円を助成します。

 中央区民が新しい診療所を優先的に利用することはできませんが、診療所の開設で区民2人に1人が地元で出産できるようになるということです。自治体が民間病院の建設費などを助成するのは異例だということです。これについて聖路加国際病院の日野原重明理事長は「住む場所の近くで出産できるという安心感を病院として提供していきたい」と話しています。

 また、中央区の矢田美英区長は「身近に出産できる医療機関を整備することは区民のニーズに沿うことで税金を投入するのは当然だと考えている」と話しています。』
.
2009.02.07  ☆常勤医20人以上退職か 岩手県立病院
  6日、河北新報→

『医師不足が深刻な岩手県立病院で、20人以上の常勤医が3月末までに退職する可能性のあることが5日、分かった。既に辞めた医師も含めると、年間退職者は50人前後に上ることになる。入院患者受け入れの縮小を迫られる病院も出るとみられ、22病院5診療所を抱える県医療局は医師の引き留めに懸命だ。

<入院・外来の縮小必至>
医療局によると、退職の可能性があるのは、定年(65歳)の5人を除き20―30人。病院や岩手医大など派遣元の医局に退職を申し出たり、相談したりしている。
既に退職した24人を含めると、年間退職者は全常勤医(530人)の約1割に達する。2006年度は30人(うち定年2人)、07年度は39人(同)で、増加傾向が進む形となる。

退職意向を示している医師はほとんどが内科医で、30代後半から40代が中心。退職後の進路は開業医や専門性の高い他県の民間病院勤務などを考えているという。
千厩病院(一関市)では内科医3人のうち、後期研修医の1人が3月末に大学に戻る。もう1人も4月末に県内の公立診療所に移る意向で、「入院や外来を抑制せざるを得ない」(医療局)状況になっている。

大学病院も医師不足で後任の医師派遣は期待できない状況。医師が多い中央病院(盛岡市)が応援診療するしかないが、既に重い負担になっており、千厩病院以外にも診療縮小が広がりそうだ。
前年度の47人から59人に増えた後期研修医も、指導する中堅医師の退職増が続けば、減少に転じる恐れもある。

医療局の岡山卓医師対策監は「退職者増に医師確保が追い付かない。最後まで引き留めに努め、退職者を一人でも減らすしかない」と危機感を募らせている。』
.
2009.02.03 ☆産科、救急医の処遇改善/県が国に上乗せ
  3日午前、KFB福島放送→

  『医師不足が著しい産科医と救急医の処遇改善に向け、県は新年度、医療機関に対する国の助成に県単独で上乗せする方針を2日までに固めた。

  国は新年度当初予算案に医療機関が産科医らに支給する手当の3分の1相当額を助成する事業を盛り込んでいるが、県の上乗せによって助成率を2分の1まで高めるもよう。助成総額は国・県支出分を合わせて1億8千万円規模となる見込みだ。

 国、県が助成する対象は、産科医にはお産1回当たり1万円までの手当。
 救急医の場合は1日の勤務につき夜間が約1万9千円、休日の日中が約1万4千円までの支給額に対して行われる。
 国の助成事業で県に負担義務はない。

 しかし、県は医師不足が深刻な県内の実情を重くみて上乗せが必要と判断。
補助を手厚くすることで県内医療機関に手当の支給を促し医師確保に結びつける。
処遇改善は、県が1月下旬に示した「緊急医師確保対策プログラム」の素案で柱のひとつに位置づけられている。』
.
 2009.01.31 ☆三条の厚生連病院で院内処方復活検討/新潟
  31日、新潟日報→

『病院や診療所が外部の薬局で薬を提供する「院外処方」が全国的に主流となる中、(新潟)県厚生連が三条総合病院で院外処方を改め、以前の「院内処方」に切り替える方向で検討していることが30日、分かった。収益向上などが理由で、全国的にも異例。国は医師と薬剤師が役割分担する「医薬分業」の観点で院外処方を推進しており、県薬剤師会が反発するなど波紋が広がっている。

厚生連は取材に応じていないが、県薬剤師会によると、厚生連が先月、4月から患者の希望に応じて院内処方に切り替える方針を伝えてきた。厚生連は収入増や患者の自己負担軽減を理由に挙げ、他病院に広げる意向も明かしたという。

県薬剤師会は「院内処方に戻す動きは他県でも聞いたことがない。医薬分業の理念に逆行する」と撤回を求めている。

国は約20年前に院外処方推進の姿勢を打ち出した。薬局が患者の薬の服用歴を管理することで、掛け持ち受診による薬の重複、複数の薬を使う際の副作用をチェックでき、医療費抑制にもつながるとしている。

診療報酬も、院内処方より院外の方が収入が多くなるよう、政策誘導してきた。ただこの分、患者の自己負担は多くなる。医療機関には卸業者が薬を公定価格から値引きして販売することによる「薬価差益」があり、厚生連は診療報酬の優遇より、大量に薬を仕入れることに伴う薬価差益の方がメリットが大きいと判断したとみられる。

県によると、処方せんの発行枚数から見た本県の「医薬分業率」は2007年度、69・4%で、全国で4番目に高い。』
.
2009.01.29 ☆無床診療所計画案:対象に花泉センター 医療法人引き受け提案 地元住民反発/岩手(続報)
  29日、毎日新聞(岩手)→

『(岩手)県医療局の新経営計画案で入院ベッド廃止(無床化)の対象になっている一関市の花泉地域診療センターについて、同市沢の医療法人・白光(橋本暁夫会長)が28日、無床化後の施設を活用し有床診療所を併設した特別養護老人ホームを運営する考えがあることを明らかにした。同局や県保健福祉部は民間移管の支援を検討しているが、地元の一関市は反発。同日開かれた住民らとの懇談会でも「民間移管では十分な医療が受けられない」と根強い反対意見が出た。

白光の橋本会長は取材に「黒字化し、地域の医療福祉を維持する」と説明。有床診療所に20〜30床の特養ホームを併設して整備する案を示し、県医療局が移管先を公募した際は応じる、と述べた。

一方、既に地域で提供する介護保険サービス料を積算する第4期介護保険事業計画(09〜11年度)の策定作業は最終調整の段階。無床化を予定する4月に特養ホームを新設するには、計画を作り直す必要がある。

一関市保健福祉部の阿部照義部長は「市議会で無床化反対の意見書も全会一致で決議されている。市から民間移管を提案できる状況にない」と憤る。

これに対し、県保健福祉部は、県立病院の空きベッドを特養ホームなど介護保険施設として活用する場合、介護保険サービス料で市町村負担が増額する分を県が補助する支援策の検討を進める。介護保険サービス料の財源は、国や都道府県、市町村による公費45%、保険料45%、利用者の自己負担が10%。公費のうち市町村が12・5%を負担している。

県医療局も、施設の使用料を減免する支援策を提示している。
ただ、同局が28日開いた住民団体の代表らとの懇談会でも「民間移管しても維持される担保がない」「介護施設にいる患者も終末期の受け入れ先は必要だ」と無床化案の白紙撤回を求める意見が多数を占めた。』
.
2009.01.28 ☆岡山県内の病院で看護師不足が深刻化 都市圏に人材流出 「大規模」志向強まる
  28日、山陽新聞→

『慢性的といわれる看護師不足が岡山県など地方で深刻化している。2006年4月の診療報酬改定で、手厚く看護師を配置した病院の報酬を増やす「7対1基準」が創設されたのを境に、東京など都市圏の大規模病院に人材が流れるなどしたためだ。看護師も働きやすい環境を求めて大規模病院志向が強まっており、地域の中でも“偏在化”が進んでいる。

岡山県北にある病床数約80の病院。一般・療養病棟合わせて約30人の看護師が働く。一般病棟は患者13人に看護師1人の配置になっている。入院患者の9割近くが65歳以上。病院長(63)は「1人当たりの介護、看護業務量は確実に増え、看護師は足りない」とぼやく。

06年の診療報酬改定は看護師の負担軽減が狙い。入院患者7人に看護師1人を配置した病院に、最高ランクの報酬をつけた。だが、体力のある病院が増収をもくろんで人材を囲い込み、結果として中小病院の人手不足に拍車を掛けた。

この病院は現状を上回る「10対1」を目標に、4月採用予定の看護師を08年8月と12月に2度募集。隣県の看護学校にも足を運び、ホームページなどでも呼び掛けたが、応募はゼロだった。

しわ寄せ
岡山県内で働く看護師は約1万6600人(06年12月末現在)。10年前の約1・4倍に増えているが、病院間の格差は徐々に顕著となっている。
関係者の話では、診療報酬改定間もない06年秋、東京や大阪の病院関係者が岡山市内に泊まり込み、面接だけで看護学生を大量に採用。医療機関が集中する県南でも人手不足から07年度以降、病床を半減させたり、一部病棟を閉鎖したケースもあるという。
岡山県病院協会の土井章弘会長は「100床前後の中小病院にしわ寄せがきている。看護師不足が深刻化すれば医療サービスの低下を招きかねず、経営の根幹にかかわる」と県内格差を指摘する。
一方、看護師の現状をよく知る看護関係者は「人手不足は経営だけでなく、現場の看護師に大きな負担を強いている」と言う。

掘り起こし
「超過勤務は当たり前。夜勤の看護師も少なく、いつミスをしないか不安」。50床規模の岡山市内の病院で働く看護師(27)は話す。肉親の介護などを理由に3月末で退職するが、「現状から解放されると思うと、ほっとする」と本音が口をついた。
日本看護協会の調査(06年)でも、未就業の看護職員の21・9%が「勤務時間が長い・超過勤務が多い」を離職理由に挙げた。
このため、現場を離れた「潜在看護師」の掘り起こしが重要視され、岡山県も本腰を入れ始めた。
8年度から未就業者らを対象に岡山市で毎月、看護技術講習会を開催。県ナースセンターに委託し、意欲がある女性をサポートしている。今後は県北でも開く予定だ。
看護師の確保・定着対策を推進する行動計画(06年12月―10年3月)を策定した県看護協会も、各病院の職場環境整備の実態把握へ調査を始めた。

環境整備を
「多様な働き方をどれだけ許容できるかが問われている」。30年のベテラン、児島中央病院(倉敷市児島小川町)の福田正子看護部長(54)は言う。

同病院は子育てしながら働けるよう、約25年前に24時間体制の院内保育所を整備。医師も含めて延べ161人が利用してきた。自身もその1人という福田部長は「看護師が子育てなど家庭と仕事が両立できる環境整備へ、より力を入れたい」と話す。』
.
2009.01.27 ☆医療の地域差浮き彫り 岩手県立病院の新経営案(続報)
25日、朝日新聞(岩手)→

『地域診療センターなどの無床化を盛り込んだ県立病院の新しい経営計画案は、住民の理解を得られないまま6会場の説明を終え、各地域ごとの懇談会に話し合いの場を移した。これまでに浮き彫りになったのは、医療体制をめぐる地域差。開業医らが連携してセンターを支えようとする動きも出る中、県は4月からの計画実施にこだわる姿勢を崩さず、住民側にはせっかくの提案が十分に検討されないまま「時間切れ」とされる懸念が広がる。

◇6会場の説明終了 「4月実施」へ時間切れ懸念◇
「県民が平等に医療を受ける権利を奪うのか」「公的医療が赤字になるのは当たり前だ」。満席の会場から次々と手が挙がり、計画案への反対論が噴きだした。
今月9〜19日、地域診療センターと県立沼宮内病院の地元6市町村で行われた一連の住民説明会。昨年11月の計画案公表以来、住民から県医療局に直接意思表示できる初めての機会だ。

患者数の減少、医師不足、収益悪化を「トリプルパンチ」と表現し、県立病院を取り巻く環境の厳しさを強調する医療局。しかし、住民らは県の「有無を言わせない強引な進め方」に反発。あくまで無床化撤回の原則論で応じ、議論がかみ合うことはなかった。達増拓也知事も結局どの会場にも姿を見せず、住民を失望させた。

◇維持へ住民模索◇
計画案の公表から2カ月。地域によっては、診療所を自らの手で支えようとする動きも出始めた。一関市花泉町では、一部の住民がセンターに来てもらえる民間医師を捜している。岩手町では、開業医らが当直を肩代わりする考えを表明。紫波町ではセンターの外来を廃して入院専門の医療機関とし、地元医師会が交代で夜間当直や休日の診療を担う形を提案をした。

紫波郡医師会の渡辺立夫副会長は「民間の医院が複数あり、外来の需要をおおむね賄える紫波地域では、むしろ入院施設が必要だ。センターが無床化されれば存在意味がなくなる」といい、医師会で協力を申し出た。
田村均次医療局長は「詳しい提案を聞きたい」としながらも、「計画の2月策定、4月実施」のスケジュールは変えない方針だ。県が日程を改めない限り、医師からの提案も検討する時間はほとんどない。住民は「医療局は意見を聞いて反映する気があるのか」と不信感を募らせている。

◇一律の計画疑問◇
一方で民間の医療機関のない花巻市大迫町や九戸村、少ない住田町では、医療局に対案を示すことも難しい。交通条件なども悪く、状況の異なる施設を一律に同じ計画で無床化することにも問題がある。
県保健福祉部の六本木義光・公的医療改革担当技監も20日の県議会環境福祉委員会で「各センターの役割や状況が地域ごとにかなり違う」と述べた。

◇時間かけ検討を◇
「医療局は、行政というより病院事業の管理者の立場だった」。紫波町での説明会で田村医療局長は、強い反発の原因が住民不在の医療行政にあったことを認めた。今後は6市町村ごとに設けた「地域診療センター等懇談会」が話し合いの場になる。
県は昨年11月、医師不足の深刻化を受け、医療の供給体制の縮小を進める一方、県民にも医療の担い手として節度ある受診を求め、「県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議」を発足させた。

 紫波地域の医療と福祉を守る連絡会の及川剛代表は、医師不足は医療制度改革など国の政策ミスにあったとして、「国の体制を改めさせるということであれば、県民と県は一緒になって運動できる」と言う。
紫波町の説明会で、渡辺副会長の提案を受けて住民から「4月実施を撤回し、皆でよりよい方向性を追求するのが医療局の仕事ではないか」と意見が出たときには、この日最大の拍手が沸いた。
.
2009.01.23 ☆岩手県立6医療機関 無床化説明会 地元は猛反発(続報)
  22日、讀賣新聞(岩手)→

『(岩手)県が4月からの実施を目指す県立6医療施設の「無床化」を盛り込んだ県立病院等の新しい計画案を巡り、対象施設がある地元での説明会が19日までに終了した。計画実施まで半年足らずというタイミングで出されたこともあり、説明会では「あまりに唐突で拙速」と反発する声や、無床化方針の撤回を強く求める意見が大勢を占めた。20日からは説明会での要望をもとに、県側と地元とが話し合う懇談会もスタート。医師不足、赤字経営の改善――。課題が山積する地域医療をどう立て直すのか、議論は新たな段階を迎えた。

■6か所とも満員
無床化問題についての住民説明会は、9日の一関市花泉町から、19日の紫波町まで、6か所で実施された。出席した住民は計1640人に上り、いずれも満員となる関心の高さだった。
昨年4月に病院から地域診療センターに縮小されたばかりの住田町。県は14日、深刻な医師不足に加え、赤字が続く苦しい病院経営の現状を説明し、「このままでは県全体の医療崩壊につながる」と理解を求めた。

その後の質疑応答では、男性住民は居並ぶ県医療局の幹部に向かって、「診療所になって1年もたたないうちに、今度はベッドをなくせという。都会に暮らす人も、山に暮らす人も、同じ人間のはずだ」と声を荒らげた。
花巻市大迫町の説明会(16日)に出席した63歳の女性は「開業医がいないこの地域では、無床化は年寄りに死ねと言うようなものだ」とため息をついた。

無床化すれば、地域にとって医療サービスの低下は避けられない。そもそも受け入れがたい提案を、実施まで半年を切った中で出されたことで、住民側の県に対する不信と、将来への不安はより強まった。
13日の九戸での説明会。県側の説明が終わった質疑応答で、住民からは「計画ありきで進めようとしている。地元の実情に耳を傾けようとする姿勢が感じられない」との声が上がった。

■交錯する思惑
県側が、医師不足のほか「採算性」という尺度を基にしている点も議論の的になった。
岩手町の説明会(15日)では、男性が「そもそも公立病院は、利益を追求するのではなく、地域の命を守るためにある。赤字が出たからと言って、トカゲのしっぽ切りのように切り離すのはおかしい」と批判。
住田町の説明会でも、「金の勘定だけで心の優しさの勘定がない」との声が上がった。
これまで採算性と関係なく入院できる施設を維持してきた県。住民は、「なぜ今になって」という思いがなかなかぬぐえない。

■地元からの提案
説明会では、地元側から入院ベッドを維持するための提案も出された。
岩手、紫波両町の会場では、地元の開業医が宿直応援を申し出た。岩手町では、佐渡医院の佐渡豊院長が郡内の開業医に働きかけ、沼宮内病院の当直や日直の一部を肩代わりする考えを示した。

紫波町では、紫波郡医師会の渡辺立夫副会長が、センターの当直を引き受ける用意があると表明し、「あれもこれも望もうとは思わない。外来と救急はやめてもいいが、地域としては、お年寄りを迎えられるベッドだけは維持したい」と呼びかけた。
一方、9日の花泉の会場では、地元から要望があがっているセンターを民間医療法人などに移譲するアイデアについて、県は、借り手が付きやすように施設使用料を減免するなど、後押ししていく意向を明らかにした。

■患者減と医師不足
県立の医療施設は、22の総合病院と5地域診療センターの計27施設で、全国の都道府県で最も多い。2000年以降、県立医療施設の患者数は急激に減少し、入院ベッドの利用率も大幅に低下した。
これに対し、県は03年11月、5県立病院を04年から順次、無床化する改革プランを公表。しかし、地元からの猛反発を受け、無床化を棚上げする代わりに、県立5病院を地域診療センターに縮小させた。

しかし、その後も患者数の減少は予想を超え、加えて医師不足も深刻化。その間、地域診療センターに応援医師を派遣する他の病院の負担も増大していった。県立中央病院では07年度、他病院への応援回数が2000回を超え、3年前より約250回増えた。

■総務省の運用指針
県が新計画の策定を急ぐ理由の一つに、総務省の「公立病院改革ガイドライン」の存在がある。ガイドラインは、公立病院を運営する自治体に対し、08年度中に、経費削減や収入確保などの数値目標を盛り込んだ計画を作るよう求めている。
県は今月13日にも、西和賀町の国保沢内病院(病床40)の診療所化検討など、県内7市町村が運営する病院についての改革指針案も公表している。

一方で、医業収入につながる診療報酬は02年以降、2年ごとの改定で4回連続で前回比マイナスだ。患者数に応じた医師数が基準を下回った病院には、報酬を引き下げるというペナルティーもある。このため「今の医療制度は、地方の小規模医療施設には不利な仕組み」と指摘する声も強い。

■施設の存続に不安
無床化の次は、施設そのものがなくなるのではないか――。県側の対応を見ていると、住民側の不安も理解できる。
自分が住む地域に病院があるかどうかは、重要な問題であることはだれでも同じだろう。命にかかわることだから、感情抜きで考えることができないのも当然のことだ。人としての当たり前の気持ちに、県はきちんと向き合うべきだ。
理屈のみで、役所の都合を優先した話し合いでは、住民は納得しない。(山口正雄)

■県立病院等の新しい経営計画案
県医療局は、昨年11月に公表した「県立病院等の新しい経営計画案」で、当直医の確保が難しくなっている紫波、大迫、九戸、住田、花泉の5地域診療センター(いずれも病床19)と、病床利用率が7割を切る沼宮内病院(病床60)の無床化を打ち出した。
5センターの職員給与と、医業収益との比率は、125.9(2007年度)となっており、100円の収益を上げるのに、人件費だけで125円がかかっている計算。無床化後は50前後に改善するという。

その他の病院のベッド数削減も打ち出された。過去5年で空きベッドの比率が高くなった遠野や千厩、大船渡、高田、宮古、久慈、二戸の7病院が対象。13〜53床減る見込みだ。』
2009.01.21 ☆無床化6機関に財政支援策 岩手県、介護保険施設利用で
  21日、岩手日報→

『(岩手)県と県医療局は、県医療局の新経営計画案(2009―13年度)で、入院ベッドを廃止する無床化計画が示されている県立6医療機関について、介護保険施設として活用する場合などの支援策をまとめた。施設使用料の減免に加え、介護保険施設として利用する自治体などに対し、新たな財政支援制度を設ける。具体的な支援額については、県内部で調整を急いでいる。

支援策は20日夜、九戸村で開かれた県医療局の「地域診療センター等懇談会」で示された。

施設の活用支援策を大まかに分けると@無床診療所化後、民間などが介護保険施設を併設する形式A病院、有床診療所の維持を含め、施設をすべて民間などで活用する形式―の2つ。』
.
2009.01.18 ☆市立松原病院:閉院で市長リコール運動 市民団体「早期辞職へ」/大阪
 17日、毎日新聞(大阪)→

『3月末での閉院が決まっている松原市の市立松原病院(桑田博文院長、162床)を巡り、市民らが閉院を決めた中野孝則市長のリコール(解職請求)運動を始めた。16日に会見した市民団体「『とりもどそう住んでよかった松原を』市民の会」の代表らは「リコール運動を通じ、(中野市長の自主的な)早期辞職に追い込みたい」と話した。

リコールは地方自治法で定められ、首長については、有権者の3分の1の署名により、解職の是非を問う住民投票を直接請求できる。住民投票で有効投票の過半数が賛成すればリコールは成立する。同市の有権者数は10万2057人(先月2日現在)。

同会の大内康夫事務局長らによると、会には閉院反対運動を続けてきた「市立松原病院の存続・充実を求める会」の関係者らが参加。来月半ばにも署名活動を始めたいとしている。ただ、中野市長は6月16日に任期満了を迎えるため、必要な署名が集まっても次の市長選までに住民投票が実施できるかは不透明だ。

中野市長は「(運動について)直接コメントする立場ではない。今は地域医療確保に全力を尽くしており、その結果をみてほしい」とコメントした。』
2009.01.15 ☆赤字、医師不足とは無縁 岩手・藤沢町民病院
  15日、河北新報→

『県立病院・地域診療センターの無床化計画が問題になっている岩手県で、黒字経営を続ける公立病院がある。宮城県と接する県南の藤沢町が運営する藤沢町民病院。山あいのへき地にありながら、医師不足とも無縁だという。「外来と入院患者を増やさない」。素人目には収入減につながるとさえ思える方針を掲げ、住民と寄り添う地域医療を実践する現場を取材した。(盛岡総局・安野賢吾)

<120人を訪問診療>
医師と看護師を乗せた乗用車は県道から山側の脇道へ。未舗装の悪路に変わったさらに先に、訪問する民家はあった。
9日午前、退院した患者を定期的に回る訪問診療に同行した。

「お正月に風邪はひきませんでしたか」。内科医の松嶋恵理子さん(33)が笑顔で聴診器を手に取る。「ひいたような気もするな。せきが出たから」と佐藤新三郎さん(92)が言うと、居間の雰囲気はさらに和んだ。

佐藤さんは4年前、前立腺がんを患った。長男の妻とみ子さん(60)は「夫は長距離運転手で帰宅は週に1度。なかなか病院に行けないので、訪問診療は助かる」と言う。

町民病院の経営は表のように、設備投資がかさんだ開院2年目(1994年)を除いて黒字を計上。

訪問診療は開院から続く。対象患者は120人に上るが、1日に回れるのは5、6軒。取材した日は4人しか診察できなかった。
「医師、看護師、運転手まで必要。極めて非効率に見えるが、この在宅医療こそが黒字要因になっている」。佐藤元美院長の説明だ。

現在の医療制度では入院が長期に及ぶと診療報酬は下がる。利益につながる新規入院を増やすには、一定の空きベッドがなくてはならない。

「病床利用率80%ぐらいが理想。それには入院患者を在宅医療に切り替えることが必要だ」と佐藤院長。患者が安心して自宅に帰れるように、家の改修助言やヘルパーとの協力など福祉と連携した包括医療に力を注ぐ。

<研修先に恩返し>
95年に始めた「ナイトスクール」も経営を支える活動になっている。
佐藤院長らが地域に出向き、理想の病院像を住民と考える。「外来が多すぎても病院はもうからない。じっくり診察できず、診療報酬の高い複雑な治療はできない」「安易な夜間診療はマナー違反」と説明してきた。

その結果、1日300人だった外来は半減。「30人が来てお祭り騒ぎだった」(佐藤院長)時間外も4、5人に減った。
地域医療の実践は医師不足の解決策にもなっている。54床の町民病院に必要な医師は6人とされる。これに対して常勤医は5人で、非常勤や宿直応援などで10人の医師もかかわり、充足率100%を維持している。

常勤医や応援医師の大半は研修や派遣による町民病院の勤務経験者。栃木県で子育てしながら、訪問診療の応援に通う女医の松嶋さんも、自治医大在学中に2年間、町民病院に派遣されていた。

「患者に合った医療を提供する地域医療の原点を学んだ。病院にも住民にも育ててもらった藤沢に恩返しがしたかった」と松嶋さんは言う。
町民病院は昨年から新たな試みも始めた。研修医の報告会を公開の「意見交換会」に変えた。

医師の卵の成長を見てもらう取り組みは、住民意識を変えるきっかけになりつつある。住民側から「皆さんが藤沢に戻る上で、何が障害になるか」などの質問が出るようになり、敬遠されていた研修医の診察を率先して受ける患者も増えた。

「若い医師を育てる意識が住民に芽生えている。地域に育てられた医師はきっと戻ってくる」と佐藤院長は期待する。

「地域に合った特徴的な医療の実践が、経営安定にも医師のやりがいにもつながる。すべての医師が東大病院や聖路加国際病院など東京の有名病院勤務を目指しているわけではない」。佐藤院長は地方の公立病院の可能性を確信している。

◇藤沢町民病院の経常損益
1993年3313万円
94年▲5809万円
95年849万円
96年3134万円
97年1343万円
98年2636万円
99年5363万円
2000年5013万円
01年5002万円
02年3644万円
03年3453万円
04年1758万円
05年1億636万円
06年1940万円
07年7950万円
【注】▲はマイナス

[藤沢町民病院]
  1993年開院の地域病院。前身は国保藤沢診療所。診療科は内科、小児科、外科、整形外科の4科で、ベッドは54床。予防医療の健康増進外来、禁煙専門外来も行う。2005年度からは老人ホームなどを含む7事業に地方公営企業法を全部適用し、病院長が管理者を務める。スタッフが患者と一緒に支払い計画を立てるなど、診療費の未払い解消でも独自の努力を続ける。町内にはかつて県立病院があったが、経営悪化、医師不足から68年に廃止された。』
.
2009.01.12 ☆大阪府、医療費助成の患者負担800円に引き上げ提案
  9日、産経新聞→

  『大阪府の橋下徹知事が財政再建のため、平成21年度から患者の自己負担額見直しを示していた障害者や乳幼児に対する府独自の医療費助成について、府は1回の診療の患者負担を500円から800円に引きあげる案をまとめ、9日、府市長会と府町村長会に提案した。案には、所得制限の変更も盛り込まれている。今後、府、市長会、町村長会の3者で協議し、21年度中に新制度の実施を目指す。

 府独自の医療費助成は高齢者、障害者、乳幼児、ひとり親を対象に、月額2500円を上限に1回500円の自己負担で受診できる制度。年間約400億円を府と市町村が半額ずつ負担している。府は20年度予算に216億円を盛り込んでいるが、今回の案が実現すれば府は約17億円削減できるという。

 橋下知事は財政再建の一環として、医療費助成の見直しを表明し、知事直轄の改革プロジェクトチーム(PT)がまとめた財政再建プログラム試案(PT案)では、月額上限はそのままで1回の負担を医療費の1割とする案を示していた。
ところが、PT案の内容では、医療費の償還業務が増えるため市町村の事務コストが増えることから修正が求められていた。

 今回の案が実施されれば、患者1人の負担は年間5900円増となるが、橋下知事は「ここまでなら府民にお願いしてもギリギリで許される範囲と思う。今の財政状況で制度を維持するためには我慢も必要だ」と述べた。』
.
2009.01.07 ☆三菱自動車経営の病院 閉院へ 倉敷
  7日夕、NHK→

  『三菱自動車工業が経営する岡山県倉敷市の病院が、自動車の販売不振による経営悪化のあおりを受けて、ことし3月末で閉院することになりました。

 岡山県倉敷市の三菱水島病院は昭和17年に設立され、三菱自動車工業水島製作所の従業員をはじめ地域住民の医療を担ってきました。しかし、経営の悪化や医師不足で厳しい状況が続き、去年からは規模を縮小して運営を続けていますが、さらに自動車の販売の落ち込みで三菱自動車自体の経営が悪化し、病院への新たな設備投資が難しくなりました。このため、会社と病院で協議した結果、ことし3月末で閉院することになりました。

 水島製作所では去年から派遣社員を削減したり工場の休日を増やして生産調整を行ったりしていますが、会社の経営悪化が地域の暮らしを支える病院の閉院にまで及ぶ事態となりました。三菱自動車工業水島製作所は「病院の黒字転換を目指し検討を続けてきたが、設備投資などで医療のニーズに応えられないと判断した」と話しています。』
.
2009.01.05 ☆地区の命綱、86歳医師走る /静岡
  5日、毎日新聞(静岡)→

◇置いてきぼりの山間地医療
  静岡市葵区相俣の「秋山医院」の薄暗い待合室で、お年寄りの男女3人が1時間以上世間話をしていると、医師の秋山邦夫さん(86)が往診先からやっと戻ってきた。市中心部から北西に約20キロ離れた清沢地区(旧清沢村、1969年に静岡市に編入合併)唯一の病院で、戦後間もないころから60年間、秋山さん一人で担ってきた。訪れた80代の女性は、「先生の顔を見るだけで元気になったようで」と笑顔を見せる。

 秋山さんが往診に向かう細い林道沿いには、雑草が生え荒れた茶畑が目立つ。同地区は茶栽培が盛んで、50年代は人口約3500人。「サラリーマンの2倍稼ぐ」と言われた農家ばかりだった。
だが、20年ほど前から缶やペットボトル茶が普及し、中国や豪州などからの輸入緑茶に押され始めた。県経済連の統計では、県内の荒茶の1キロあたり平均価格は89年の1903円から、07年には1588円まで下落した。味が濃い清沢産は高級茶としてもてはやされたが、今は普通のお茶並みの価格になった。

  廃業する農家や、市街地に出稼ぎに行く人が増え、同地区の人口は89年には約2000人、昨年は約1300人にまで落ち込んだ。秋山医院でも1日40〜50人いた患者数が、今は10人余り。患者は高齢者が多いが、地区の3分の1は近くにバス停がなく、月に1回しか病院に行けない人もいる。秋山さんは「年金暮らしで生活が苦しく、来たくても来られない人もいる」と顔をしかめる。

 実は、秋山さんは耳が遠くなった07年ごろから引退を考え始めている。夜間の運転は危ないため、夜の往診は迎えに来てもらう。「あと1年ぐらいかな」。だが、後継者を探すにも、設備を整えた新医院を開業するには億単位の費用がかかる。到底経営は成り立たず、ただでさえ医師不足とあってメドはない。

 往診できる医師の存在は地区の命綱だ。清沢に嫁ぎ、2人の幼い子供を抱える40代の女性は、「誰かいい後任の先生はいませんか」と真剣なまなざしで訴える。今秋、97歳になる女性の義父が39度の熱を出した。肺炎の一歩手前だったが、数回の往診で回復した。秋山さんの姿を見て感謝すると同時に、医師不在の地区を想像してぞっとした。秋山さんは「後任が見つかるまで、辞められないな」と遠くをみつめる。

 昨年末、意を決して地区に公立診療所を設置して医師を確保するよう、市に手紙を書いた。書いている途中、「2年だけ」と思って来た自分を60年間同地に引き留めてきた地区の人々の顔が浮かんだ。「ここは人が良いものだからね」。不安を抱えながら、また新たな年が始まった。』
.
2009.01.04 ☆働く:第1部 逆風の中で/1 産婦人科医 /広島
  4日、毎日新聞(広島)→

『急激に悪化した経済状況の中、労働環境は逆風の中にある。解雇、低賃金、長時間労働、人手不足、経営難……。厳しい環境の中で人々は今、何のために働くのか。さまざまな「働く現場」をルポすると同時に、人々が生きる姿を通して「働く」意味を考えたい。

◇出産・子育て、悩む女医
「元気に育ってますよ」。妊婦の腹にエコーを当てると、画面に赤ちゃんの成長が映し出される。「ほっとしました」。妊婦が柔らかな表情で答える。広島大学病院(南区)の産科婦人科で働く中前里香子さん(35)=中区=の表情もほころぶ。産科婦人科は女性医が多く、医師不足が深刻だ。
中前さんは、07年6月に長女を出産し、1年間の産休・育休を取得。現在は、外来・入院患者を診察すると同時に、新生児脳障害の研究に取り組む。

県内の病院で勤務していた04年、整形外科医の夫と結婚。当初から仕事を続けようと考え、06年に広大病院に移って以降も旧姓の「島筒」で働く。今は子育てと仕事の両立に悩む。

出産前は当直勤務があった。深夜、仮眠中に入院患者の胎盤はく離が。赤ちゃんの心拍数が低下した。緊急手術だ。中前さんが帝王切開し、赤ちゃんを取り出した。「夜の緊急手術はよくあります」
復帰後は当直免除だが、午前1時まで東区の実家に子どもを預けて働いたこともある。腹痛を訴える急患が来院、午後9時に緊急手術が決まった。手術が終わると、日付けが変わった。一息つく間もなく、携帯電話で「もう寝ついた?」。子どもを迎えに走った。病院は実家の近く。「自分はまだ恵まれている」と思う。

高齢出産や低体重児など医療高度化が、訴訟リスクを高めた側面もあり、現場に無言の圧力を加える。
近年、医師の国家試験合格者の3割が女性だ。小児科や産婦人科だと、20〜30代前半の約半分を占める。県医師会によると、出産を機に女性医師の半数が辞職や休職、パートなど勤務形態を変える。医師不足で産休は取りにくく、退職する人も多いという悪循環。全国の産科救急病院で患者を十分に受け入れることができない原因の一つが、女性医師の早期退職。一方で、患者すべてが女性ということもあり、女性産婦人科医は患者に好評だ。

「先生の名前を付けていいですか」。妊婦検診から出産まで担当した患者の一言が忘れられない。中前さんの職場は“いのち”の現場だ。生命の誕生に立ち会い、患者と喜びと苦しみを共有する。死にも立ち会った。障害を持って生まれた赤ちゃん、がんを患った女性……。
「新しいことを知ったり、目標とする先輩に近づいていく。それがやりがい」。自分の成長が分かるのが働く喜びだ。
気持ちがへこんだ時、携帯電話の待ち受け画面を見る。長女がほほ笑む。保育園に迎えに行けば、待ちきれずに走って抱きついてくる。その姿で、仕事のストレスはすべて癒やされる。【大沢瑞季】

==============
◇データ
  県によると、県内の産科・産婦人科医で1カ月の当直回数が10日以上が34・1%だった(06年)。県内の産科・産婦人科医は229人(06年)で、98年の279人に比べて約2割減少。県内4市6町では、分娩ができる病院がない。』

  県内の女性医師数は990人(06年)で全体の約15%。育児休業制度や短時間勤務、院内保育所の整備などの支援策はあるが、現実は制度はあっても利用しにくいという。
.
2008.12.25 ☆医師不足:麻酔医3人が退職、常勤2人に 年末年始、転院要請も 公立豊岡病院/兵庫
  25日、毎日新聞(但馬版)→

『◇補充4月以降
  公立豊岡病院は24日、麻酔医5人のうち3人が年末までに退職し、1月以降は常勤医2人体制になることを明らかにした。これまでのところ手術や救急対応に影響は出ていないというが、「年末年始に緊急手術が重なった場合などは、転院をお願いする可能性もある」としている。

  麻酔科は部長1人、医長2人、医師2人の常勤医5人体制で、年間1800〜2000件の全身麻酔の手術を担当してきた。
10月末に医長2人が退職。12月末には部長も辞める予定で、1月以降は若手医師2人だけになる。退職理由はいずれも他の病院に移るためという。

  同院は、京都大に後任の派遣を要請しているものの、麻酔医は全国的に不足しており、京大からの補充は4月以降になる見通し。手薄になる1〜3月は麻酔科の開業医や大学病院の応援医師を加えるなどで、待機も含め3人以上の体制を組んでしのぐことにしている。竹内秀雄院長は「予定された手術の変更などで患者に迷惑をかけることもありうる。退職が重なったことは残念。病院運営や処遇に対する不満で辞めるのではないと聞いている」と話した。』
.
2008.12.23 ☆周産期医療 現場からの報告<上> 疲弊する医師/埼玉
  23日、東京新聞(埼玉)→

『「二十四時間、三百六十五日の周産期母子医療センターとは名ばかり。それでも補助金をもらっているのかと問われれば、今すぐにでも県に指定返上願を出す用意はある」

本紙が(埼玉)県内の各周産期母子医療センターに周産期医療の現状をアンケートをしたところ、深谷市の深谷赤十字病院からの回答には悲痛な現場の叫びが書かれていた。同病院は県北地域で唯一、地域周産期母子医療センターに指定されている。当直を二人体制にしたいが常勤医師不足でままならない。「センターとして機能しているのは平日の日勤だけ」という。

県内の周産期医療は、設備が充実しリスクの高い救急医療ができる総合周産期母子医療センターに指定されている埼玉医大総合医療センターと、産科と小児科を併設し比較的高度な医療ができる地域周産期母子医療センター五カ所の計六医療機関が中核を担う。来年度には地域センターが一カ所増える見通しだ。

地域センターでは常勤医師は五人が多く、休日夜間の当直体制は多くが一人で対応している。埼玉医大総合医療センターは四人で当直しているが、それでも「三十六時間勤務はざら」(関博之教授)という。

厚生労働省の二〇〇六年の調査では、県内の産科医は出産適齢人口十万人当たり二七・六人と全国で二番目に少ない。施設面では今年四月一日現在、人口七百万人で総合センター一カ所、地域センター五カ所だが、東京都は人口千二百万人で総合九、地域十三、人口二百万人の栃木県は総合二、地域八。県内の医療資源がいかに貧困かが分かる。

「行政は、新生児集中治療室(NICU)と総合周産期母子医療センターを充足するための対策を放置している。妊婦に『野垂れ死にしろ』と言っているに等しい」と話すのは、埼玉医大病院(毛呂山町)の岡垣竜吾准教授。

県はNICUの増床を目指すが、医師不足で既存のNICUの運営すら厳しいのが現状といい、同病院の板倉敦夫教授は「設備を充実してもマンパワーが追いつかない。医師の養成はお金ではカバーしきれない」と、効果を疑問視する。

関教授は県内の施設、医師数不足を考えると「これまで救急の妊婦の死亡例が県内でなかったのは奇跡だ」と話した。ある関係者はつぶやいた。「厳しい勤務で医師が次々に辞めている。県内六カ所の周産期母子医療センターで、撤退する病院が出てくるかもしれない」


全国で周産期医療が崩壊の危機に瀕(ひん)している。もはや、一医師や一病院の努力で患者の命を守ることができる状況は超えており、国全体で医療を立て直さなければならないところまで来ている。一方で、救急搬送で妊婦の受け入れ拒否が各地で問題化するなか、県内では救命が必要な妊婦を原則受け入れる母体救命コントロールセンターが二十四日にスタートするなど、新しい取り組みも始まりつつある。県内の周産期母子医療の現状と課題を探る。』
.
2008.12.18 ☆病院の民間活用破たん、近江八幡市が契約を解除へ
  18日、讀賣新聞(関西)→

  『滋賀県近江八幡市は17日、公共施設の運営などに民間資本を活用するPFI方式を導入している市立総合医療センターについて、経営悪化に陥ったため、ゼネコン大手・大林組が100%出資するセンター運営の特別目的会社(SPC)と、解決金20億円を支払って契約を解除することで合意したと発表した。PFI方式による病院事業の破綻(はたん)は全国初めて。公立病院の経営が厳しさを増す中、コスト削減策としてPFI方式に注目する自治体も少なくなく、影響を与えそうだ。

  市は、旧市民病院の老朽化に伴い、SPCと30年間で建設費や運営費など計682億円を支払う契約を結び、2006年10月にセンターを開院した。

  当初、PFI方式の導入で、市直営より30年間で68億円の経費削減になるとしていたが、医療制度改革による診療報酬の伸び悩みなどで、年間100億円と見込んでいた医業収益が07年度は84億円にとどまった。同年度は27億円の赤字を計上し、08年度も9億円の赤字が見込まれている。試算では、直営に戻した場合、PFI方式を継続するより約113億円節約できるという。

  解決金の内訳は、SPCへの逸失利益補償8億9500万円、センターの運営に携わっている受託企業の解約補償2億2500万円など。また、118億円の病院事業債を起債し、SPCが所有する病院施設を一括購入する。18日の市議会に関連議案を提案し、可決されれば、センターは来年度から市直営に移行する。

  冨士谷英正市長は記者会見し、2年半での契約解除について、「最大の原因は収支の見通しの甘さだった。今後、しっかりした病院経営をしたい」と話した。
  長瀬啓介・金沢大教授(医療経営学)の話「短期間で変更される医療制度などに即応できないと病院経営は安定しない。先進国の英国でも、多くの失敗を重ねて制度を作り上げており、安易にPFIを導入しようとしている他の自治体への警鐘となるだろう」

  PFI方式 民間資本を活用した社会資本(基盤)の整備を意味する「プライベート・ファイナンス・イニシアチブ」の略。民間手法を導入して無駄を省き、サービスも向上させるのが狙い。病院事業では9月末現在、高知市の高知医療センター、大阪府八尾市立病院など計12か所で実施・計画中。』
.
2008.12.12 ☆塩谷総合病院、移譲先なければ閉鎖も/栃木
  12日、讀賣新聞(栃木)→

JA厚生連会見 債務超過3億1600万円
  JA栃木厚生連塩谷総合病院(矢板市)の経営移譲問題で、同厚生連の鈴木宗男理事長が11日、経営撤退を打ち出した今年1月以降、初めて記者会見し、厳しい経営状態を説明した。ただ、移譲交渉については「県に仲介をお願いしている」と述べただけで、条件や見通しには触れず、移譲先が決まらなかった場合、来年4月以降の一時閉鎖の可能性も示唆した。

  鈴木理事長は、経営難に陥った最大の理由として、2004年度からの新臨床研修制度の影響などによる医師不足を挙げた。大学病院から派遣されていた医師の引き揚げが進み、05年度に28人いた常勤医は、06年度に21人に減少し、今年8月時点で13人。医師不足に伴い、患者数も減少し、05年度には約1億4000万円の利益を上げていたが、06年度は約2億円の赤字に転落、07年度も2億4000万円の赤字で、今年度は上半期だけで4億2000万円に赤字が膨らんだという。

  鈴木理事長は、同厚生連が現在、塩谷総合病院の建設費などで39億円の有利子負債を抱え、3億1600万円の債務超過状態にあることも明らかにした。職員109人、約4億3000万円の退職金支払いの先延ばし、役員報酬の辞退などで資金難をしのいでいるものの、県が12月県議会に提案している3億円の無利子融資がなければ年明けにも運転資金が足りなくなるとの見通しを示した。
移譲交渉は、県が仲介して済生会宇都宮病院を軸に進めているが、鈴木理事長は、移譲先が決まらなかった場合、「(病院の一時閉鎖の)可能性は排除できない」と述べた。

  厚生連では、これまで公の場で病院の経営について説明することを避け続けていたが、県から融資を受けるにあたり説明責任を求められ、ようやく重い口を開けた形だ。報道陣からは、地元への説明不足や、鈴木理事長の経営責任について質問が相次いだ。これに対し、鈴木理事長は「地域の皆さんに厚生連の現状が十分に伝わらなかったことは一つの反省だ」、「当面課せられた責任は、移譲を一日も早く解決し、地域の皆さんに安心していただくことだ。ただ、こうした状況になり、私の経営能力に不足があったと自覚している」と答えた。


  塩谷総合病院に勤める医師や地元医師会などは、病院存続に向けて努力を続けている。同病院のある医師は「今年度限りで退職を決めている医師もいる。早急に結論を出してもらわないと、残りたい医師も残れなくなる」と悲痛な気持ちを訴える。

  同病院の常勤医のうち5人が中心になり、今月初め、現在の規模の3分の1程度に縮小して診療・救急機能を維持するという「再生プラン」を済生会に提出した。プランは、<1>内科医、外科医など常勤医5人が残り、済生会から内科医2人の応援を受ける<2>病床数は現在の一般病床250床、療養型50床を計110床に縮小する――という内容。

  地元の矢板市医師団や塩谷郡市医師会は協力姿勢で、同医師会の尾形直三郎会長は「地元の医師が診療に協力する考えも持っている」と話す。

  ただ、プラン作成にかかわったある医師によると、済生会側からは「プランは受け入れられないとの回答が内々にあった」という。』
.
2008.12.11 ☆13自治体病院、不足の医師23人/宮崎
  10日、朝日新聞(宮崎)→

  『(宮崎)県内の各市町村が運営する19の病院・診療所のうち13の施設で医師不足を実感していることが、9日、県の調査で明らかになった。合わせて、23人の医師が足りないと訴えている。県は、医師を採用・派遣するなどして「2018年には24人の医師が確保される見込み」と説明。不足解消には少なくとも10年はかかる見通しだ。

  同日の県議会本会議で図師博規県議(愛みやざき)の一般質問に対し、県側が答弁。福祉保健部の宮本尊部長が今年6月、県立病院を除く県内の自治体が運営する病院と診療所全19カ所を対象にした医師不足に関する調査の結果を公表した。

  調査結果では、「医師が不足している」と答えた病院・診療所は13カ所。不足数は計23人で、医療薬務課によると、約半数は中山間地域を含む自治体が占めた。診療科別では、内科が最多だったという。

  調査は、病床数や患者数に応じて法令で定める医師数とは別に、医療現場で「不足している」と感じる数を聴取。各施設の事務長にアンケートを発送して回答を得る調査は07年に始め、前回の不足数も今回と同じだった。

  県は医師不足対策として、県採用の医師を自治体病院に派遣する制度を06年度から導入。すでに2人を派遣している。ほかにも、大学卒業後も県内に勤務することを条件に、返済を免除する修学資金の貸付制度で現在、20人以上の学生に資金を貸与。この学生らが臨床研修を終える時期などから、医師不足の解消は早くても10年後とした。』
.
2008.12.07 ☆退職相次ぎ常勤医師ゼロも 釧路の夜間救急、後任未定
  6日、共同通信→

  『北海道釧路市で夜間救急医療の中心的役割を担っている「釧路市夜間急病センター」が、医師の相次ぐ退職により年明け以降、常勤医師がいなくなる可能性のあることが4日、分かった。
  斎藤孝次(さいとう・こうじ)センター長は「常勤がいなくなっても救急患者には(非常勤で勤務する)開業医などで対応する」としているが、地元からは懸念の声も出ている。

  センターの運営を委託されている釧路市医師会によると、常勤医師は男性と女性の2人いたが、先月末、男性医師(43)が「実家の病院を継ぐため」と退職。女性医師(50)も、実家に戻ることを理由に退職届を提出し、年内限りで辞める意向を示している。

  センターは、これまで1次救急を担ってきた医師会病院など総合病院の負担を解消しようと4月に開設された。午後7時-午前7時、内科と小児科の1次救急を担当し、常勤医師が一人当たり月10日、残りは地元の開業医らが当直している。

  釧路市の医療をめぐっては、夜間救急の負担が大幅に減った医師会病院も医師不足に陥り、市医師会は先月28日、同病院の経営から撤退する方針を決めている。 』
.
2008.11.30 ☆釧路市医師会が病院譲渡へ 医師不足で
  29日、産経新聞→

  『北海道の釧路市医師会(西池彰会長)は28日の臨時総会で、「医師確保が困難で、将来的にも確保が見込めない」などとして、医師会病院の経営を手放す方針を決めた。来年3月末まで経営を続けるが、今後、医師会に検討委員会を設置し、現在の機能をできるだけ残せる形で譲渡先を探すという。

  医師会の説明では、病院には循環器内科と消化器内科、外科があり、これまで各科5人ずつで計15人医師がいたが、現在10人に減っている。
  道内の大学病院から派遣されていた循環器内科の医師4人のうち、2人が4月に抜け、来年4月にもさらに1人減ることも決まっており、同科の診療が維持できなくなる。

  また医師の減少などで約20の病床も約6割しか埋まらず、本年度は約5億円の赤字が見込まれるという。』
.
2008.11.30 ☆田川市立病院:7億2600万円赤字 患者数減、医師不足響く--08年度末/福岡
  29日、毎日新聞(福岡)→

  『田川市の市立病院(同市糒)は28日、08年度末に単年度で7億2600万円の赤字を計上するほか、4年ぶりに不良債務約2億円が生じるとの収支予測を明らかにした。累積赤字は同年度末で約72億円に達する見込み。病床利用率が過去最低となるなど患者数の激減が主な原因という。

  同病院によると、今年4〜9月の病床利用率は77・7%。前年同期(93・0%)より約15ポイント低く、過去最低だった02年度(91%)も大幅に下回った。外来患者も昨年度比60人減の1日平均673人。今年度の患者総数は当初見込みを3万2500人下回る29万1900人となりそうで、334床のうち45床は休床にしている。
  この結果、診療報酬など医業収益は当初見込みの6億円減の47億円。短期借入金の返済が焦げ付き、実質的な資金不足額を示す不良債務が2億円に上る見込みとなった。

  経営難は全国的な医師不足の影響が大きいとされる。04年度に国が導入した臨床研修制度の影響で派遣元の大学医局が医師を次々と引き揚げ、同病院では3年前に45人いた医師が31人にまで減っている。15診療科のうち外科、眼科など6科は常勤医1人体制だ。

  開院(99年)以降、赤字続きのため、職員の削減や薬品費の圧縮など経営改善策を毎年のように進めており、病院事務局は「合理化は限界に達している。まずは医師の確保を急ぎたい」と話す。

  病院など企業会計との連結決算が義務付けられ、5年後には破たん寸前の「早期健全化団体」に陥る可能性がある田川市にとっても病院の経営改善は急務。松岡博文副市長は「病院の経営悪化は連結赤字に直結する恐れがある。今のうちに何とか建て直しを図りたい」と話している。』
.
2008.11.30 ☆市立松原病院を来春に閉院へ 松原市「改革プラン」断念/大阪
  28日、朝日新聞(関西)→

  『大阪府松原市は、来年3月末に市立松原病院(桑田博文院長、162床)を閉院する方針を決めた。医師不足や患者の減少により、07年度末の累積赤字は40億円近い。財政難で老朽施設の建て替えもできず、再建は難しいと判断した。

総務省は全国の自治体に今年度中に公立病院の改革プランを策定し、経営を改善するよう求めているが、財政難の自治体が医師不足による病院経営の悪化を食い止めるのは容易でなく、閉院や機能の縮小が各地で進む恐れがある。

  同病院は大学病院の医師派遣の減少や激務による退職などで01年度に12診療科に38人いた常勤医が27人に減り、900人以上いた1日の外来患者も500人近くになった。24時間救急については、04年に内科、07年に小児科で断念し、病床も07年に221床から162床に減らすなど経営改善を図ったが、病床利用率は70%を割り、「医師不足と患者減少の悪循環を断ち切れなかった」(長谷川修一事務局長)。

  老朽化した本館と北館など4病棟の建て替えも、約100億円かかる見込みで、財政上難しい。こうした現状から、同市は黒字化は現実的でないと判断した。

  中野孝則市長は「不採算でも必要な医療の確保に努めてきたが、これ以上の経営改善は難しい」と話す。12月議会に病院廃止を諮り、近隣病院と病床の割り振りなどについて調整するという。』
.
2008.11.30 ☆丸田病院:都城の産婦人科が倒産 /宮崎
  28日、毎日新聞→

  『都城市の産婦人科「丸田病院」を経営する医療法人「豊徳会」は27日、宮崎地裁に民事再生手続きの開始を申し立てた。負債総額は約3億8000万円。同法人は「産科医師と看護師不足に加えて、診療報酬の減少が経営悪化を招いた」と説明している。
同法人によると、資金・経営面で支援を受けるスポンサーが既に内定しているという。』
.
 ページの先頭へ