2010.01.01  ☆憂楽帳:障害者虐待防止法(福岡の知的障害者施設に関して)
 29日、毎日新聞→

『福岡県飯塚市の知的障害者更生施設「カリタスの家」(現・光ケ丘学園)の虐待事件発覚から5年。取材班は、殴るける▽熱湯のコーヒーを無理やり飲ませる▽布団袋に入れて放置▽唐辛子や炭、菓子の包み紙を食べさせるなどの実態を報じながら権利擁護のための立法化キャンペーンを展開した。

記事は100本を超え、県警は後を追うように元施設長ら6人を逮捕するなど立件。超党派の議員も厚生労働省と勉強会を重ねた。来年早々、虐待の早期発見と救済を図る障害者虐待防止法が成立する見通しだ。

これに対し、県は何をしたか。当時、担当課長らは取材に「我々は警察じゃない」と居直り、泣いて訴える親には「あなたたちにも責任がある」と突き放した。虐待発覚後、全施設の職員研修強化や監査方法の見直しなどを表明したが、成果は聞かれない。別の施設では先月、入所者約10人を一室に就寝させていた問題も判明している。

防止法は、発見者に通報、行政機関に立ち入り調査や被害者の一時保護、行政処分などを義務付けている。リーダーシップを発揮すべき県に、不作為はもう許されない。』
.
■この事件、当サイトでは ここ の7月30日 にあります。
  毎日記事は、同法の成立背景に『権利擁護のための立法化キャンペーンを展開』があったのような書き方をしています。

この事件の発端は、2004年11月下旬、福岡法務局が同施設を立ち入り調査したことに始まります。27日、毎日新聞は以下のように報じています。

  『福岡県頴田(かいた)町の社会福祉法人「かいたっくす」(滑石(なめらいし)七五三夫(しめお)理事長)が運営する知的障害者更生施設「カリタスの家」で、複数の職員が入所者に対して殴る、けるの暴行のほか、炭や唐辛子を食べさせるなどの虐待を繰り返していたことが毎日新聞の調べで分かった。福岡法務局は26日、人権侵犯の可能性が高いとして、暴行や傷害容疑などでの刑事告発を視野に立ち入り調査に乗り出した。【虐待問題取材班】

複数の関係者の話を総合すると、98年9月の開設以降、職員が入所者の下半身をけって重傷を負わせたり、首を絞めるなどの暴行を繰り返していた。また、炭や唐辛子を食べさせたり、木酢(もくさく)液を顔にかけるなどのほか、入所者の食事が遅いという理由で、おかずの一部を犬に与えるなどの嫌がらせをしていた。01年6月から確認できただけで、被害者は入所者中10人以上に上っている。

木酢液は土壌改良や消臭などに利用されるが、タールなどの有害物質を含んでおり、摂取した場合、発がんや頭痛などの恐れがある。

被害者のほとんどは自らの頭を床に打ち付けるなどの自傷や他者にかみつくなどの他傷行為が目立つ重度の知的障害者だった。虐待した職員のうち1人は7月末、責任を取って退職した。

福岡法務局は刑事告発を視野に既に関係者から事情聴取している。虐待の事実関係や背景の把握に施設長の説明が不可欠と判断、立ち入り調査した。26日には約8時間にわたり、施設長らから事情を聴いた。

原田秀樹施設長は25日の毎日新聞の取材に「今年5月、職員から体罰の訴えがあり調べたが、確認できなかった。『暴力に訴えたら解雇する』と日ごろから指導しており、信じられないが、さっそく調査する」と話している。

「かいたっくす」は97年12月、社会福祉法人として認可され、98年、「カリタスの家」を開設した。利用者は男女46人で、うち入所34人、通所10人、短期2人。職員は施設長以下26人。

◇まるで“暴力集団”
「『(入所者に)顔がいいか、腹がいいか』と言っては、ボクシンググローブで殴る職員もいた。暴力集団のように思えた時期もあった」。事情を知る施設関係者が重い口を開いた。

食事が遅いという理由で、たたいたり首を絞めるなどの暴力も横行。虐待の様子を目撃していた入所者もいる。

「『これ、おいしいよ』と言っては唐辛子を、『コーヒーだよ』と言っては木酢(もくさく)液を与える職員もいた。吐き出したり苦しむ姿を見て、(職員は)笑っていた」

度重なる虐待に、入所者数人が一部の職員に改善を訴えていた。しかし、「問題の職員を解雇すると代わりがいない」と不問に付されたという。

虐待の背景には、沈黙せざるを得ない家族の事情もある。ある母親は、帰省した子どもを入浴させた際、胸に青アザがあるのに気付いた。「(職員に)やられた」と直感、施設長に問いただそうとしたが「口を出せば、施設を追い出される」と不安になり、思いとどまったという。』。


この後、同紙は連続してこの事件の報道をすることになります。事件はとんでもないものですが、なんで私がこれを取り上げたか。

同紙の最近の二本の社説、覚えていますでしょうか。誤りだらけの数字を引用した現実から乖離したモノがありました。障害者虐待防止という「法」を成立させたという「力」が新聞記事にあるのなら、まして社説で論じるなら、新聞社の影響力は大きいということを自覚すべきですねこの新聞社。

県を「不作為は許されない」と言うのなら、あなたたちの社説も訂正などをしないではないですか。そういう「不作為」も許されないと思いますけどね。これ以上はもう書きませんが。
(ぶるま)
.
2009.12.21  ☆公務員採用試験:身障者向け、点字実施は20道府県 民間団体が調査「是正を」
  21日、毎日新聞→

『身体障害のある受験者に限定した都道府県の公務員採用試験(特別枠)で、点字受験を認めているのは半数以下の20道府県しかないことが、「障害者欠格条項をなくす会」(東京都)の調査で分かった。既に毎日新聞の調査で、政令市と県庁所在市など計51自治体の一般事務職試験で点字受験できるのは6割未満と判明。身体障害者向けに限った試験でも、多くの自治体が視覚・聴覚障害者の受験を制限している実態が明らかになった。

調査は、各自治体のホームページに公開された身体障害者対象の職員採用試験案内など(一部に学校事務を含む)を確認する方法で実施。特別枠試験がない群馬、富山両県を除く45都道府県が対象。

点字受験ができることを明記するのは、北海道▽青森▽岩手▽宮城▽秋田▽埼玉▽千葉▽神奈川▽静岡▽京都▽大阪▽兵庫▽和歌山▽高知▽福岡▽長崎▽熊本▽宮崎▽鹿児島▽沖縄の計20道府県。一方、東京など多くの自治体が受験資格に「活字印刷文に対応できること」と明記し、視覚障害者を制限している。

手話通訳者の要・不要を問うなどの記述が確認できたのは22道府県。徳島、愛媛両県は受験資格に「口頭による試験に対応できること」などと明記して手話通訳を認めず、それ以外の自治体も大半は手話通訳を想定していない。

同会事務局長で聴覚障害のある臼井久実子さんは「活字や音声を扱えなければ、仕事ができないという思い込みが強いのではないか。明らかに差別で、是正すべきだ」と話している。』
.
2009.12.21  ☆公務員採用試験:身障者職員採用、求められる「職場介助」 神奈川県では6人に各1人
  21日、毎日新聞→

『点字による受験を認めていない自治体が多いことが判明した地方公務員の採用試験。一方で、点字受験を認めるだけでなく、採用後に仕事を手助けする「ワークアシスタント(職場介助者)」を配置する自治体もある。

「これなんだっけ」。「医療機関の一覧ですね」。神奈川県庁(横浜市)の健康増進課たばこ対策室。全盲の職員の岡崎学さん(51)の問い掛けに、隣席のアルバイト職員の増田宏美さん(53)が笑顔で答えた。増田さんは岡崎さんをサポートし、書類などを読み上げて伝えるのが主な仕事だ。

岡崎さんは病気で高校生のころ、ほぼ全盲に。大学に進み、同県の職員採用試験を点字受験して合格、82年春に一般事務職として初めて採用された。当初からアシスタントが付き、増田さんとのペアは01年から。今の職場では、パソコンや点字で記録できる機器を使い、たばこの害を啓発するリーフレットの作成などをしている。

岡崎さんは「アシスタントは(私の)目の代わり。自分の能力を発揮できる可能性が生まれたことがうれしい」と話す。

障害者雇用促進法に基づく同県の障害者職員の雇用率は3・41%(法定は2・1%)で全国1位。障害のある職員247人(重度はダブルカウント)のうち49人が視覚障害で、全盲と強度弱視の6人に各1人ずつワークアシスタントが付いている。全国64団体が加盟する障害者団体「DPI(障害者インターナショナル)日本会議」(東京都)副議長で全盲の楠敏雄さんは「職場介助は必要不可欠な支援だ」と話している。』
.
 2009.12.17 ☆障害者自立支援法:応益負担廃止までの軽減策、実現危うく 財務省が難色
  17日夕、毎日新聞→

『障害者自立支援法で福祉サービス利用に原則1割の自己負担を求めていることに関し、長妻昭厚生労働相が同法廃止までの措置として打ち出した低所得者向け負担軽減策の実現が危ぶまれている。来年度予算の折衝で財務省が難色を示しているためだ。障害者からは「政治が変わっても、障害者の生活は変わらないのか」と不安の声が上がっている。

長妻厚労相は就任直後、同法廃止と4年以内の新制度導入を表明。同法は、障害が重くサービスが必要な人ほど負担がかさむ「応益負担」を求めるが、福祉サービス対象者約51万人の75%は市町村民税非課税世帯だ。

11月公表の実態調査では、同法施行後に非課税世帯の9割で負担が月平均8452円増えていた。長妻厚労相は当面の措置として来年度、非課税世帯の利用料を無料化する方針で、約300億円の財源が必要と見積もるが、見通しが立っていない。

重度の身体障害で車椅子を利用する広島県廿日市市の秋保喜美子さん(60)は作業所に通い、織物などで月3000〜4000円の工賃を得る。非課税世帯だが、同法施行で、ほぼゼロだった施設やホームヘルプの利用料が月2万4600円必要に。前政権時代に軽減措置が2回実施されたが、昼食代などを含めると月3000円を負担する。「1000円、2000円が私たちには大きい。工賃が消え、蓄えに回せず、不安です」と訴える。

重い知的障害と身体障害を抱え、入所施設で暮らす埼玉県川口市の新井育代さん(30)も、負担は食費なども含めると施設分だけで同法施行前の1・5倍の月約5万円。月1万7000円のおむつ代などもあり、母たかねさん(63)は「月約8万円の障害基礎年金では足りない。施設も経営が圧迫されている」と話す。

秋保さんも新井さんも、支援法を違憲と訴える集団訴訟の原告に名を連ねる。「健常者と同じように暮らすための支援は、『益』ではなく当然」との思いからだ。原告弁護団長の竹下義樹弁護士は「財政難はわかるが、それでも財源を組み替えられるか、政権交代の意味が問われる」と指摘する。【野倉恵】』
.
2009.12.17  ☆障害者自立支援法:廃止までの負担軽減を長妻厚労相に要望
  17日、毎日新聞→

『障害者が福祉サービスの原則1割を負担する障害者自立支援法を巡り、障害者団体幹部らが16日、同法廃止までの負担軽減策の予算化を長妻昭厚生労働相に申し入れた。

主な障害者団体が加盟する「日本障害フォーラム」の三沢了副代表らが要望書を手渡した。長妻厚労相は「障害者の負担を減らすべく財政当局に説明しており、厳しい状況だが理解されるよう努力したい」と述べた。』
.
2009.12.15  ☆“障害者支援策 充実検討を” 改革推進本部初会合
  15日午後、NHK→

『政府は、障害者支援策を抜本的に改め充実を図るため、新たに設置した推進本部の初会合を開き、鳩山総理大臣は、障害者の権利を保護するための条約の締結を急ぐとともに、障害者への差別を禁止する法律の検討を進めるよう指示しました。

政府は、今の障害者自立支援法を廃止したうえで、障害者支援策を抜本的に改め充実を図るため、鳩山総理大臣を本部長に、すべての閣僚をメンバーとする「障がい者制度改革推進本部」を新たに設置し、15日、初会合を開きました。

この中で鳩山総理大臣は、推進本部の名称のうち、障害者の「害」の字を、障害者に対して悪いイメージを与えるとして、ひらがなで「がい」と表記したことについて、「この意味を多くの人に知ってもらう必要がある。この推進本部をけん引役として、今の障害者支援策の改革に全力を尽くしたい」と述べました。

そのうえで鳩山総理大臣は、障害者の権利を保護するための国連の条約の締結を急ぐため必要な国内法の整備に取り組むほか、障害者への差別を禁止する新たな法律の検討を進めるよう指示しました。』
2009.12.14  ☆障害者自身が制度改革に参加 内閣に推進本部設置へ(続報)
  14日、朝日新聞→

『政府は8日の閣議で、障害者がかかわる制度を集中的に改革する「障がい者制度改革推進本部」(本部長・鳩山由紀夫首相)を内閣に置く方針を決定した。全閣僚で構成し、下部組織に障害者を入れることで、当事者の意見を制度設計に反映させる。障害者団体が施策立案に加わることを求めていた。

改革推進本部の下に設ける実務組織の障がい者制度改革推進会議(仮称)は、メンバーの半数以上は障害者団体の関係者を起用し、トップには障害者の当事者を充てる方向で調整している。同会議は、本部が決める障がい者制度改革推進計画の案に意見を述べるほか、制度改革に関する事項を調査、審議する。

年内に推進本部の初会合を開き、年明けから本格的な協議を進める。当面5年間を「改革の集中期間」と位置づけて取り組む。障害者施策を所管する福島瑞穂消費者担当相は8日の閣議後の記者会見で、「当事者の意見を大いに反映するようにと考えている」と説明した。

本部の設置方針は、民主党のマニフェスト(政権公約)にも明記されている。政権交代直後に、長妻昭厚生労働相が福祉サービス利用の際に原則1割の自己負担を課す障害者自立支援法の廃止方針も表明。同法に代わる「障がい者総合福祉法(仮称)」の制定や、障害者施策の基本理念を規定した障害者基本法の改正などが検討課題になる。

また、障害者の差別を禁止した国連の障害者権利条約の批准に向けた国内法整備も、優先課題の一つ。自公政権も批准を目指したが、障害者差別禁止法の制定を求める障害者団体などの理解を得られず断念した経緯がある。 』
.
2009.12.10  ☆障害者ら 新支援策を求め集会 東京
  10日夜、NHK→

  『障害のある人や福祉団体の関係者による集会が東京で開かれ、民主党が廃止を表明している今の障害者自立支援法に代わる新たな支援策の実現を訴えました。

  集会には国会議員も含めおよそ80人が参加して、はじめに障害者自立支援法をめぐる集団訴訟の原告を代表して、広島県の秋保喜美子さんが「政権が変わって障害者の支援策はどうなるのか、期待と不安が入り交じった複雑な思いです。どんな障害があっても命の輝く人生が送れる福祉制度を皆さんで作っていきましょう」と呼びかけました。

 障害者への支援策をめぐって、民主党は、福祉サービスを利用した障害者に原則1割の自己負担を求める今の障害者自立支援法を廃止したうえで、障害者支援策を抜本的に改めるとしています。10日の集会では、新たな制度ができるまでの間、暫定的に利用者の負担を減らす措置をとることや、障害のあるすべての人が必要なサービスを受けられるように、障害の定義を見直すことなどを訴える意見が相次ぎました。

  集会に参加した、子どもに重度の知的障害がある福岡県の母親は「自分が死んでしまったら、子どもがどう生きていくのかこのままでは心配です。国の予算も厳しいでしょうが、なんとか負担を軽くしてほしい」と話していました。』
.
2009.12.07  ☆障害者支援策 抜本的に改革へ 改革推進本部設置
  7日、NHK→

『政府は、障害者自立支援法を廃止して、障害者支援策を抜本的に改革するため、鳩山総理大臣を本部長とする改革推進本部を新たに設け、今後5年間で集中的に取り組む具体策の取りまとめに向けて検討を始めることにしています。

障害者への支援策をめぐって、民主党は、さきの衆議院選挙で掲げた政権公約で、福祉サービスを利用した障害者に原則1割の自己負担を求める今の障害者自立支援法を廃止したうえで、障害者支援策を抜本的に改めるとしています。これを踏まえ、政府は、鳩山総理大臣を本部長にすべての閣僚をメンバーとする改革推進本部を新たに設置し、来週初会合を開いて、抜本的な改革に向けた検討を始めることにしています。

この中では、福祉サービスを利用した際の自己負担を現在の原則1割から所得に応じた仕組みに改めることや、障害者の働く場を増やすために「法定雇用率」を引き上げることなどが検討される見通しで、推進本部では今後5年間で集中的に取り組む具体策を推進計画として取りまとめることにしています。』
.
☆障害者:自ら政策立案 改革協議の新組織設置へ
  7日、毎日新聞→

『障害者自立支援法廃止後の法制度全体に当事者の声を直接反映させるため、政府は近く「障がい者制度改革推進本部」(本部長・鳩山由紀夫首相)を設置し、本部内にメンバー20人中11人を障害者や障害者団体幹部とする「制度改革推進委員会」を設けることを決めた。障害者が議論・調査して政策作りに直接参加し、責任も持つ初の仕組みで、支援法に代わる新法など法制度全般を協議。発達障害も対象とするなど障害範囲の見直しや現制度に代わるサービス給付体系の検討も進める。

障害者団体代表らは「責任は重いが、主体となる意味は大きい」と受け止める。01年設置の従来の政府の障害者施策推進本部では、中心は省庁職員らの「課長会議」などで、障害者が主体となる受け皿はなかった。新政権の「本部」に置く推進委は、「ヒアリング対象でなく、政策決定のエンジン役」(民主党議員)を目指す。推進委の下には専門チームを設け▽支援法に代わる「障がい者総合福祉法」▽虐待の早期発見・救済を図る障害者虐待防止法▽08年5月発効の国連障害者権利条約の締結に向けた障害者基本法改正--などを検討する。

障害者福祉サービスを巡っては、利用料の原則1割を負担(応益負担)する現行の自立支援法は長妻昭厚生労働相が廃止を明言。民主党は総合福祉法で所得に応じた応能負担とするとしている。推進委では、制度利用の谷間が生じないよう、対象に発達障害や難病、内部障害などを含めることを検討。6段階の「障害程度区分」に基づきサービス内容を決める現行の仕組みについては、現場から「障害実態や個人の状況を反映しづらい」との訴えが強いのを受け、個々のニーズを反映した認定方法に見直す。

障害者の人権問題に詳しい障害者団体代表の一人は「今までは政府と対立する構図だったが、政府に参画すればどれだけのものができるか。次世代に大きな責任を負うことになる」と話す。』
.
2009.12.07  ☆障害者「自然淘汰」発言 竹原市長「謝罪する気なし」(続報)
  7日午後、J-CASTニュース→

『ブログ市長』の異名を持つ鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が、自身のブログ『さるさる日記』で、見方によっては『障害者浄化』とも受けとれる発言をし、波紋を呼んでいる。スタジオでは「市長をすべきでない」と怒りが爆発した。

「高度医療のおかげで以前は自然淘汰された機能障害を持ったものを生き残らせている。結果、擁護(原文ママ)施設に行く子どもが増えてしまった」
11月8日付で書かれた竹原市長の問題個所は……

竹原市長は、昨2008年8月に市長に初当選。以来ブログで、『辞めてもらいたい議員』のタイトルで市議会議員の不人気投票を市民に募ったり、市職員268人の給与明細を1円単位で公表するなど物議をかもした。

その後、市議会で市長の不信任が可決し、一時失職したが、09年5月に行われた出直し市長選で、562票の僅差で再び当選した。

今回は市民も呆れ顔。「とんでもない。市長が言うべき言葉じゃない」「市民が選んだんだから何とも言いようがないよ」。

では、こうした市民の反応に現在の竹原市長の心境は? と番組レポーターが昨日(12月6日)、市長にインタビューを。

堂々と応じた竹原市長は次のように……
「不適切とは考えていません。いろんな考え方ができる表現だ。生まれてきた人は皆で支えなければ、それは当たり前のことです。しかし、同時に医療という技術の部分にはその思いは伝わらない。自分も家族も苦しいことが人道的なのかどうか……事実は事実としてそのことをタブーにしてはいけないんです」

「謝罪する気持ちは?」に「ありません」と、キッパリ言い切った。

スタジオでは、毎日新聞科学部記者の元村有希子が「デリカシーと作文技術の問題と思う」とコメントしたが、言葉足らずというより基本的な考え方、思想の問題。

キャスターのみのが「おかしいんじゃなくて、狂っていますよ。パラリンピックの障害者はいらないというんですか…」というのももっともだし……

国際金融アナリストの末吉竹二郎も「高度医療の高度化のおかげで命が救われてきた話は逆。市長の立場で許せない。市長を捨てるべきだ」と、怒るのも当然だ。』

■まあ、もうやめようか。こんな市長のアフォ発言、話題にしたくもないしね。(ぶるま)
.
 2009.12.06 ☆鹿児島県教委、阿久根市長のブログを調査開始(続報)
  4日夕、讀賣新聞→

『鹿児島県阿久根市の竹原市長のブログの書き込みに関する報道を受け、阿久根市役所には3日、市内外から多くの抗議の電話やメールが寄せられ、職員が対応に追われた。

竹原市長が「養護学校に勤めている人から聞いた情報をそのまま書いた」と話していることについても県教委が問題視して調査に乗り出すなど波紋が広がっている。

折しも3日は、共生社会の実現を理念とする障害者週間(9日まで)の初日。知的障害者の家族でつくる全国組織「全日本手をつなぐ育成会」(東京都、会員約30万人)は今回の書き込みについて、「障害者の出生を否定するかのような差別的発言で容認できない」と批判している。

阿久根市によると、同日夕方までに約30件の電話があり、ほとんどが「市長は早く辞めるべき」など批判する内容だったという。抗議は夕方以降も続き、民放テレビ局が全国ニュースで問題を伝えた以降は「ひっきりなしにかかっている状態」(市総務課)になった。

また、県内15校の特別支援学校を所管している県教委にも同日、「本当に養護学校の関係者が市長にこんなことを伝えたのか」といった抗議や問い合わせの電話が寄せられた。

県教委は「事実を確認するため、阿久根市に詳細な説明を求めている」と話している。』

■ご自身のブログで反論してますが。とてもぢゃないが、同調なんぞはできねーぞ。
■私の意見はBBSで。皆さまもご意見どうぞ。
.
☆阿久根市長、持論曲げず 「生き残らせる」発言(続報)
  4日午後、朝日新聞→

『鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が自身のブログに「高度医療のおかげで機能障害を持ったのを生き残らせている」と記載し、障害者団体などが反発している問題で、竹原市長は4日、朝日新聞などの取材に応じ、「いつまでも無理やり生かす医療になっている。人間の生まれるところ、消えていくところまでコントロールできる社会となっている。神の領域まで人間が踏み込んでいる」と高度医療のあり方に疑問を呈した。

市によると、今回のブログに対する抗議の電話やメールが4日午前までに110件あったという。竹原市長は「感情的な反応だと思う。一方で私の意見に賛同するメールもきている」と述べた。』
.
2009.12.03  ☆鹿児島・阿久根市長:今度は「医療が生き残らせている」ブログ 障害者団体など反発
  3日、毎日新聞→

  『鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(50)が自身のブログに「高度医療が障害者を生き残らせている」と、障害者に差別的な記述をして波紋を広げている。

  記述は11月8日付。医師不足解消策として勤務医の給与増額が議論されていることを批判する中で「高度医療のおかげで以前は自然に淘汰(とうた)された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果 擁護施設に行く子供が増えてしまった」(原文のまま、以下同)と記述。さらに「『生まれる事は喜びで、死は忌むべき事』というのは間違いだ」と持論も展開した。

  さらに翌9日付では、自身の発言を批判する読者のメールを紹介したうえで「慎重さを欠く見解に見えたかもしれない」と記述。だが「高度医療が多くの人々に高い精神性を追求せざるを得ない機会を与えているのは現実だ」と持論を続けた。

  竹原市長のブログは「やめさせたい市議」実名アンケートなど、たびたび物議を醸した。木下孝行市議は「障害者やその家族に配慮のかけらもない」と批判。14日の12月議会一般質問で追及する構えだ。

  知的障害者の家族でつくる「全日本手をつなぐ育成会」(本部・東京都、会員約30万人)の大久保常明・常務理事は「命の価値に軽々しく差をつけ、優生思想にもつながる危険な考えだ。障害の有無に関係なく生きる権利を否定しており、公人の意見とはとても思えない」と強く反発している。』

■引用すると
 『勤務医師不足を解消する為に勤務医の給料を現在の1500万円程度から開業医(2500万円程度)に近づけるべきなどとの議論が出てきている。
しかしこんな事では問題は解決しない。医者業界の金持ちが増えるだけのこと。

医者を大量生産してしまえば問題は解決する。全ての医者に最高度の技術を求める必要はない。できてもいない。例えば昔、出産は産婆の仕事。高度医療のおかげで以前は自然に淘汰された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果 擁護施設に行く子供が増えてしまった。

「生まれる事は喜びで、死は忌むべき事」というのは間違いだ。個人的な欲でデタラメをするのはもっての外だが、センチメンタリズムで社会を作る責任を果たすことはできない。
社会は志を掲げ、意志を持って悲しみを引き受けなければならない。未来を作るために。』

■ブログはここです(11/8付)
.
2009.12.02 ☆「障害者」→「障がい者」→「友愛者?」 新表記を大阪・吹田市が導入方針 言葉狩りの批判も

 『「障害者」という言葉にマイナスのイメージがあるとして、大阪府吹田市が市の文書などに新しい言葉を使う方針を打ち出し、波紋が広がっている。内閣府によると、「害」の字を避けて「障がい者」と表記する自治体は5年ほど前から増えているが、表現そのものを見直す試みは異例。「障害者と呼ばれるのは嫌ではない」といった声もあり、専門家は「行政の押しつけにならないようにするべきだ」と指摘している。

■言葉狩り…障害者団体から疑問視も
  障害者の「害」はもとは「さまたげ」を意味する「礙・碍」だが、当用漢字でないため「障害者」が使われるようになった。平成16年ごろから「障がい者」と表記する動きが広がり、20年度で10都道府県・5政令市(内閣府調べ)。市町村を含めるとさらに増える。

  吹田市も「障がい者」と表記してきたが、「『障害』は個人ではなく社会に存在する」として新しい表現を検討することに。10月~11月に公募したところ、「愛」や「友」の字を用いるなどした45件の応募があった。一方で、「私は障害者だが気にしていない」「言葉狩りではないか」など市の方針に反対する意見も複数寄せられたという。

  吹田市身体障害者福祉会の小西清会長(87)は「言葉を替えても体は良くならないのに、意味があるのか」と市の方針に疑問を投げかける。障害者や家族からは「障害者問題を考えるきっかけになれば」と期待する声も上がるが、「言葉を替えても偏見はなくならない」「言葉よりも先に障害児教育の施策を充実させてほしい」など、抵抗や反発も根強い。

■専門家「押し付けより市民“啓蒙”を」
  吹田市は「難しい問題であることは承知しており、いろいろな意見を参考にしたい」としている。市民からの応募をもとに、学識者や公募委員による検討委員会を経て、来春までに新しい表現を決める方針。

  峰島厚・立命館大教授(障害者福祉論)は「『障害者』の表現は当事者の間でも賛否が分かれるが、行政の押しつけではなく、障害者たちが自由に選択できるようにするべきだ。たんに言葉を替えるだけではなく、障害者の実態を市民に啓蒙(けいもう)することが重要だ」としている。』

  ■と、報道しつつ「啓蒙」と言ったりする新聞社。この言葉は相当以前に死語になったと思ったが。
「啓蒙」=「無知な人に知識を与えること。」(三省堂辞書)。上から目線の典型ですよ。

.
2009.11.29  ☆障害者虐待防止法:今国会成立に暗雲 政局に揺れて4年
  29日、毎日新聞→

『野党側が法案を提出し民主党も趣旨に賛意を示している障害者虐待防止法は、国会の会期末が迫ったことでその成立が危ぶまれている。与野党は4年以上前から立法化に取り組みながら、政局の余波で頓挫を繰り返してきた。虐待を受けた障害者が国などに損害賠償を求めている裁判では、国側が「(裁判で争われている)関係法に障害者を特別に扱う規定はない」などと主張。障害者や支援者は防止法の早期成立を切実に願っている。【野倉恵】

「自分と同じような目に遭っている人を助けたい」。今月22日、東京都内で開かれた防止法を考える会合で、奈良県大和高田市の湯浅勇さん(54)は参加者約100人を前に訴えた。

知的障害を抱える湯浅さんは、81年から26年間勤めた家具製造販売会社(倒産)で社長らに長年、給与や障害年金を横領された。「頭ごなしに怒鳴られたり、大勢の仲間が殴られたりした」。年金の被害総額は1000万円以上。元社長は刑事事件で実刑が確定したが、湯浅さんは元同僚と共に被害回復を求めて国や自治体、元社長らを相手取り損害賠償請求訴訟を闘っている。

その裁判に提出した書面で国側は「(湯浅さんら労働者からの被害の)申告で労働基準監督機関に監督権行使の義務が生じるものでない」「労働基準関係法で事業所への監督について知的障害者を特別に扱う規定はない」などと主張した。

湯浅さんたちを中心になって支えてきた県内の知的障害者施設の渡辺哲久施設長は「虐待が表面化しても法律がないことを理由に行政が動かない現実がある。『虐待は絶対許されない』と明記し、役所に対応を義務づける法律が不可欠だ」と強調する。

障害者虐待防止法は04年の福岡の知的障害者施設での暴行事件を機に、05年に自民、民主、公明各党が法案作りを模索。しかし、郵政解散で流れ、08年も提出が検討されたが福田康夫首相の退陣で立ち消えに。09年7月には与野党がそれぞれ法案を提出し、ほぼ同じ内容だったことから協議が始まり成立の可能性もあったが、衆院解散で廃案となった。今国会では25日、自公などが法案を衆院に改めて提出。民主党も「党派を超えて成立を目指す」との意向だが、会期末という時間切れが近づいている。

==============
■ことば
◇障害者虐待防止法
7月に当時の与野党がそれぞれ提出した障害者虐待防止法案は、いずれも虐待を身体的、性的、心理的、経済的な虐待および放置(ネグレクト)と定義。家庭内、施設内、職場の虐待を対象とする。発見者に通報を義務付け、通報を受けた行政機関は立ち入り調査や被害者の一時保護、行政処分などを行い救済や再発防止に当たるとしている。』
.
2009.11.26  ☆障害者負担「増えた」9割…自立支援法の施行後
  26日夜、讀賣新聞→

  『2006年4月の障害者自立支援法施行後、福祉サービスの利用時に支払う負担額が、法施行前より増えたと訴える障害者が約9割に上ることが26日、厚生労働省の実態調査でわかった。

同省が今月、札幌、千葉など全国5市の障害者1827人を対象に、法施行前と後の負担額を聞いたところ、87・2%が増加したと回答し、平均増加額は月8518円に上った。市町村民税が非課税の低所得者の場合、93・6%が負担が増えたと答えたのに対し、低所得者以外で増えたとした回答は51・1%で、低所得者にしわ寄せが集まっていることも裏付けられた。

同法は、障害者の支払い能力に応じて負担額を決めていたのを改め、原則、利用料の1割を負担させることにしたため、障害者らが違憲訴訟を起こすなど反発を強め、すでに長妻厚労相が廃止を表明している。』
.
 2009.11.24 ☆障害者支援で推進本部発足へ
  24日午後、NHK→

『鳩山総理大臣は、総理大臣官邸で、障害者の社会参加を支援している団体の代表らと面会し、年内にも政府内に新たな推進本部を発足させ、障害者支援策の充実に取り組んでいく考えを示しました。

鳩山総理大臣は、総理大臣官邸で障害者の社会参加を支援しているNPO法人「日本アビリティーズ協会」の伊東弘泰会長らと面会しました。このなかで、伊東会長は、▽今の障害者支援策を抜本的に改めるため、内閣に新たな推進本部や有識者による委員会を設けることや、▽障害者への差別を禁止する法律の早期成立などを要望しました。

これに対し、鳩山総理大臣は「障害者への支援策は、友愛の精神に基づいて大切に考えていく。新たな推進本部は年内にも立ち上げたい」と述べました。このあと伊東会長は記者団に対し、「友愛とは周りの人たちが障害者の面倒を見るのではなく、障害者が社会人として生きていける環境を作ることだ。鳩山総理大臣の下で障害者福祉のあり方が大きく変わろうとしているという印象だ」と述べました。』
.
☆障害者差別禁止法を首相に要望
  24日午後、時事通信→

『鳩山由紀夫首相は24日午前、首相官邸で日本アビリティーズ協会の伊東弘泰会長らに会い、障害者が就業などで社会的不利益を受けることを禁止する障害者差別禁止法の早期成立などの要望を受けた。首相は「明確にこれから方向性を示す」と強調した。』
.
2009.11.21  ☆障害者雇用率、最高の1.63% 大企業は1.83%初の法定率超え
  21日、日本経済新聞→

『全国の民間企業で働く障害者の全労働者数に占める割合(障害者雇用率)が6月1日時点で1.63%と過去最高だったことが20日、厚生労働省の調査で分かった。従業員1千人以上の大企業は平均1.83%で、初めて法定雇用率(1.8%)を超えた。同省は「景気後退の影響以上に、企業のコンプライアンス意識が強まった結果」と話している。

6月時点で対象となる全国7万2328社が雇用する障害者は約33万2800人で過去最多だった。障害者雇用促進法は従業員56人以上の民間企業に法定雇用率の達成を義務付けており、未達成の場合は納付金を求めている。

法定雇用率を達成した企業は3万2891社で、達成率は45.5%。法定雇用率を達成した大企業に対し、中小企業雇用率が低迷しており、特に従業員100~299人の企業で1.35%と最も低かった。』
.
2009.11.13  ☆障害者雇用:労組結成、解雇撤回勝ち取る 東京の人材派遣会社勤務24人、団結
  13日、毎日新聞→

  『「団結して仕事を守ったぞ」。人材派遣会社「フォーラムエンジニアリング」(東京都港区)の製めん事業部で働いていた知的障害を持つ労働者24人が、会社から解雇を通告されたのに対し、労働組合を結成して交渉、解雇を撤回させた。不況が深刻化する中、障害者の解雇が広がっており、組合員は12日に厚生労働省で会見し「雇用は守れる。障害者解雇の広がりに歯止めをかけたい」と訴えた。【東海林智】

  24人は半年ごとに契約を更新する有期雇用で働いてきたが、会社側から10月、事業部閉鎖と期間満了での雇い止めを通告された。会社は不況の影響と、同社の障害者雇用率(従業員数に対する障害者の比率)が2・7%で、24人を解雇しても法定雇用率(1・8%)を上回ることなどを理由に挙げたという。

 このため、「障害者を一人の人として扱わず、数字や物のように扱っている」と、製めん事業部で働く正社員のスタッフ3人とともに「全国一般東京東部労組フォーラムエンジニアリング支部」(間殿友加利委員長)を結成した。労組結成を通告し、団体交渉を申し入れた際、会社側に障害者雇用の社会的意義や重要性を訴えた。これを受け、会社側は今月11日、事業部閉鎖の撤回と雇用維持を労組に伝えてきた。

 間殿委員長は「グループホームや寮に住んでいる仲間は職を失えば生活できなくなる。多くの人々の支援で雇用を守れて本当にうれしい」と話した。

 厚生労働省によると、08年度に解雇された障害者は07年度の約1・8倍の2774人に達し、今年度も例年を上回るペースで解雇が増えている。結成をサポートした東京東部労組の須田光照書記長は「障害者への解雇の嵐が吹く中、みんなで立ち上がれば雇用は守れることを示せたのは大きい」と話している。

 同社の広報担当は「組合の指摘に、企業の社会的責任も改めて認識し、業務体制の再考をするため提案を撤回した」と話している。』
.
2009.11.12  ☆障害者専門の大学院 設置へ 筑波技術大学
  12日夕、NHK→

  『茨城県つくば市にある国内で唯一の障害者のための大学「(注:国立大学法人)筑波技術大学」に、来年4月、大学院が設置されることになりました。はりやきゅうなどを学ぶ保健科学専攻と、コンピューターシステムなどを学ぶ産業技術専攻の2つの課程を学ぶことができます。

筑波技術大学は国内でただ1つの障害者のための大学で、視覚障害者が学ぶ「保健科学部」と聴覚障害者が学ぶ「産業技術学部」の2つの学部があります。大学では、3年前に入学した1期生が来年3月に卒業するのにあわせ、新たに障害者専用の大学院の設置を文部科学省に申請していましたが、このほど許可されました。

大学院では、▽はりやきゅう、それに理学療法学などを学ぶ「保健科学専攻」と、▽コンピューターシステムや機械工学などを学ぶ「産業技術専攻」の2つの修士課程を学ぶことができます。定員はあわせて7人です。

大学によりますと、障害者専門の大学院は国内では初めてだということで、大学では「専門的なスタッフや設備を使って障害の程度などに応じた高度な専門教育を行い、社会的に必要とされる人材を育成したい」としています。』
.
2009.11.08  ☆大阪・橋下知事が障害者雇用日本一目指す
  7日、産経新聞→

  『障害者の雇用促進策の一環として、大阪府の橋下徹知事は6日、「法定雇用率未達成企業とは取引しないということを府のメッセージとしたい」と述べ、1・8%の法定雇用率を満たさない企業に対して厳しい姿勢で臨むことを明らかにした。府は基準に満たない企業に対し、雇い入れ計画の提出を義務づけるなどした全国初の条例を開会中の9月議会で制定。橋下知事は「障害者雇用日本一を目指す」としている。

  府は法定雇用率に満たない企業に対し、雇い入れ計画の提出などを求めたうえで、専門家を派遣したり、人材情報を提供するなどして、雇用促進をサポート。2年間が経過しても、努力の形跡が見られないなどの場合に事業所名の公表などに踏み切るという。

  そのうえで、府発注の公共事業や物品購入の契約から一定期間、排除といった措置も取る方針。企業が障害者雇用に関係する企業にもかかわらず、法定雇用率に満たない場合は2年の猶予期間なしに厳しい対応を取ることもあるという。
定例会見で橋下知事は「2年間ぐらいはサポートを行い、未達成なら取引はしないという形をとり、法定雇用率を達成するのをサポートしたい」と述べた。

  府によると、法定雇用率を満たす企業は府内で42・8%にとどまっており、都道府県で43位。担当課は「いきなり企業を排除しようというつもりではない。サポート体制も充実させながら、状況を改善していきたい」としている。』
.
2009.11.05  ☆障害者施設1部屋に男女10人、福岡県が立ち入り調査
  5日夕、讀賣新聞→

  『福岡県赤村の障害者支援施設「瑞穂学園」(石田八重子園長)で、入所者の男女約10人が同じ部屋で寝起きし、仕切りのない状態でトイレを共同利用していることがわかった。1部屋の定員は国の基準で4人以下となっており、県は5日午後、障害者自立支援法に基づき立ち入り調査に乗り出した。

  園によると、施設には知的障害者ら約60人が入所。このうち重度の障害者や高齢者約10人(うち男性1人)が夕食後から翌朝まで、1階のリハビリ室(約67平方メートル)で生活している。室内にはベッド10台、簡易トイレ3個を置いている。この状況は少なくとも1年前から続いているという。

  園側は5日、読売新聞の取材に応じ、「夜勤の職員の目が届くよう一つの部屋に集め、排せつが間に合わないと困るので、その部屋に簡易トイレを置いている」と説明した。しかし、「この状態はあまりよくないと考えている」とも話し、改築を計画しているという。

  県は6月、職員の配置や設備の状況について現地で調査したが、「とくに問題点は見つからなかった」としている。障害者福祉課は「劣悪な環境があれば見逃せない」として、改めて立ち入りを行うことにした。』
.
☆1室に障害者10人 赤村の施設 省令違反疑い県調査へ
  5日、西日本新聞(夕刊)→

  『福岡県赤村内田の知的障害者更生施設「瑞穂学園」(石田八重子園長)で、居室定員を4人以下とする厚生労働省の省令に違反し、入所者の男女約10人が簡易トイレのある大部屋での生活を余儀なくされていることが5日、分かった。同施設は「職員が少なく、夜間に十分見守れる状態にしていた」と釈明している。同県は同日午後、障害者自立支援法に基づいて立ち入り調査する方針。

  同施設によると、大部屋に入っているのは重度の障害者や夜間に介助が必要な50-80代の約10人(男性1人)。同園1階の「リハビリ室」と呼ばれる大部屋(約20畳)で生活している。部屋には10床のベッドがあり、夜間は簡易トイレを3基設置。しかし仕切りはなく、男女が共同利用している。

  同施設は、軽度から重度までの知的障害者約60人が入所しており、高齢者も多い。大部屋のほかにも別棟に部屋があり、軽度の障害者たちが生活しているという。

  同学園の副施設長は取材に対し、「5年ほど前、省令で定められた定員で快適に暮らせる部屋を別棟に造る予定だったが、別にケアホームを建て、費用が足りなくなった」と説明。「結果的に申し訳ないことをした。省令違反の認識が薄かった。できる限り早く改善したい」と話している。

  同県障害者福祉課によると、6月末に同園の利用状況を調査。園側は、約10人が寝起きしていた1部屋とは別の複数の部屋に、4人以下の名札を張っており、「リハビリ室」の実態について説明はしなかったという。

  同課は「1部屋で10人まとめて支援するのが常態化していることは、聞いたことがない。トイレの異臭など、利用者の生活状況がどこまで劣悪な状態だったかを早急に調査する」としている。』
.
2009.11.01  ☆障害者自立支援法:廃止求め1万人集会、厚労相初めて出席
  31日、朝日新聞→

  『障害者自立支援法の即時廃止と新法制定を訴えるフォーラムが30日、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂で開かれ、障害者や支援者ら約1万人が参加した。長妻昭厚生労働相が歴代大臣として初めて出席し、同法廃止を改めて明言。新法策定の中で障害者の意見を十分聞く考えも示した。

  フォーラムは障害者団体の主催で毎年開かれ5回目。実行委員会事務局長の太田修平・日本障害者協議会理事が、新法制定にあたっては法的根拠のある当事者との協議機関を設置する▽障害の定義を障害者権利条約に合わせて見直す--などの要望を盛り込んだアピール文を読み上げた。

  長妻厚労相は「4年以内に新制度を創設する。皆さん一人一人の意見をできる限り拝聴したい」とあいさつ。参加者はフォーラム終了後、「新法では私たちの声を聞いて」などと訴えながら国会周辺などを練り歩いた。』
.
2009.10.29  ☆全盲男性に「一人で来て」 神奈川、福祉法人主催の研修会
  29日夜、東京新聞(共同配信)→

  『障害者の移動の課題などをテーマにした「バリアフリーに関する研修会」を主催した社会福祉法人「神奈川県社会福祉協議会」(横浜市)
が、全盲の男性パネリストに対し、最寄り駅から会場まで一人で来ることを求め、男性から抗議を受けていたことが29日、分かった。

  男性は東京都在住のフリーライター川田隆一さん(48)。同協議会や川田さんによると、研修会は23日に横浜市で開かれ、福祉関係者ら十数人が参加した。

  事前打ち合わせでは、JR横浜駅から会場まで職員が川田さんを誘導するはずだったが、直前に担当職員が人手不足を理由に「一人で来ることは可能か」と川田さんにメールで打診したという。

  川田さんは「初めて行く場所で道も分からない。会の趣旨からも本末転倒」と抗議。結局、当日は職員が誘導したが、川田さんは研修会でこの事例を「課題」として報告した。

  同協議会は全面的に非を認めた上で川田さんに謝罪。川田さんは「今の社会では歩道の段差よりも“心の段差”の方が大きい」と話している。』
.
2009.10.08  ☆スクランブル:障害者自立支援法「1割負担撤回」 国動かした固い団結/広島
  8日、毎日新聞(広島)→

『◇廿日市の秋保さん夫妻立ち上がり集団訴訟「2人の決意、うねりに」

  「歴史的な転換になった」。9月下旬に広島地裁で開かれた障害者自立支援法を巡る集団違憲訴訟の弁論。国は初めて、同法が定める福祉サービス費の原則1割負担を撤回すると明言した。民主党政権が打ち出す新政策が動き出した一幕だったが、原告や支援者は「障害者自身が立ち上がって訴訟を起こしたことが社会を変えた」と力強く語った。法のはざまで苦もんし続けた原告や、弁護団の表情を取材した。【寺岡俊、和田武士】

  閉廷後、原告らは中区の弁護士会館で報告集会を開いた。全国弁護団事務局長の藤岡毅弁護士は参加者を前に、国の方針変更を「歴史的転換」と宣言。一方、「(訴訟は)まだ終わったわけではなく、緊張感を持っていかないといけない」と呼びかけた。

  藤岡弁護士が障害者団体などと訴訟の準備を始めたのは、同法が施行された06年。だが、提訴を決意する人はなかなか現れず、一時は「障害者は理不尽な制度も受け入れるしかないのか」と閉そく感が漂っていた。
そんな中、全国で初めて原告団入りに手を挙げたのが、広島訴訟原告の秋保和徳さん(58)=廿日市市=と妻喜美子さん(60)だ。和徳さんは「(同法施行後)負担が増え、旅行も行けなくなった。障害のある人が苦しめられるのが悔しかった」と語る。原告入りした障害者は63人にもなった。

  藤岡弁護士は「2人の決意が大きなうねりの一歩となった。民主政権が自立支援法の廃止を掲げたのは、私たちの運動が起こしたうねりの成果だ」と話す。

  昨秋の提訴から約1年。集団訴訟のきっかけを作った秋保夫妻の目前で、国が表明した福祉サービス費の原則1割負担(応益負担)の撤廃。「2人ではできなかった。全国の人たちが協力してくれた」。和徳さんは笑顔で語った。

交渉これから
 一方、「障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす福岡の会」事務局の赤松英知さん(44)は国の方針転換で、「訴訟は難しい局面を迎えている。原告・弁護団、支援団体で話し合い、皆が納得できる方向性を打ち出したい」と話す。原告団と国との交渉はまだ続く。』
.
2009.10.07  ☆市役所の食堂、障害者支援の場に 大阪・松原
  7日午後、産経新聞→

   『大阪府松原市は、市役所内の食堂を就職が難しい障害者も働けるよう障害者自立支援法に基づく事業所に転換して、8日から営業する。

  食堂の名前は「キッチンはな」。松原市の社会福祉法人が運営を担い、障害がある約10人が接客や調理補助に当たるという珍しい取り組み。

 平日の午前11時半から午後3時半まで営業。職員以外も利用できる。地元産の野菜などをなるべく使い、目玉メニューの一つは「ヘルシー定食」。7日に行われた試食会で、参加者らは振る舞われた定食に舌鼓を打っていた。』
.
2009.10.06  ☆障害者自立支援法:虐待児保護へ新基準 公費入所拡大--年内にも
  6日、毎日新聞→

  『障害児の保護者が福祉サービス費の原則1割などを負担する障害者自立支援法の契約制度について、厚生労働省は子供の事情に応じた新たな運用基準を都道府県に通知する方針を決めた。契約制度を巡っては、虐待で施設入所した子供にも適用し、保護者が負担金を支払わず親元に戻される恐れが出るなど、全国で不適切な運用例が相次いでいた。【夫彰子】

  長妻昭厚労相は同法廃止を明言したが、厚労省は廃止までの暫定的な改善策として、年内にも新通知を出す考えだ。
従来、児童施設で暮らす子供は、生活・医療・教育を公費で保障する「措置制度」だった。しかし厚労省は06年の同法施行で障害児にだけ契約制度を適用し、都道府県に「保護者が不在、虐待、精神疾患のいずれかの場合は障害児も措置(制度の適用)が可能」との判断基準を示していた。

  ただ、厚労省は同時に示した「運用例」で措置制度の適用を厳しく制限。保護者が(1)入院や服役中でも所在が明らかなら不在と認めない(2)成年後見人がいなければ精神疾患と認めない(3)負担を滞納した場合、施設は契約を解除し子供を退所させてよい--などとした。これをどこまで順守するかで都道府県の対応は分かれ、日本知的障害者福祉協会の08年調査では、措置制度が適用された子供の割合は、自治体によって1割未満〜7割超まで大きな差が出た。

  このため厚労省が設置した有識者による障害児支援の検討会は昨夏、格差の是正を提言。厚労省は新通知案で「保護者の契約意思の有無に関係なく、児童の個別事情を勘案し、必要があれば措置にする」と明記した。

  また、契約制度を適用された児童やその家族への児童相談所の支援は、従来「義務ではない」としてきたが、一転「措置・契約に関係なく継続的に適切な支援をする」と事実上義務化。厚労省障害保健福祉部は「新通知はあくまで措置率格差の改善が目的」と話している。

==============
■ことば ◇児童施設
  児童福祉法に基づき原則18歳未満の子供が入所または通所する。入所施設には、親の養育拒否などの事情で家庭で暮らせない子供のための乳児院や児童養護施設のほか、障害児のための肢体不自由児施設や知的障害児施設がある。全国に約1200カ所あり、入所児童数は約5万人。

  うち障害児が約3割を占める。契約制度が適用されるのは障害児施設の子供だけで、他の児童施設の子供は生活・医療・教育費などをすべて公費で保障する措置制度が無条件で適用される。』
.
 2009.09.22 ☆火災警報器 聴覚障害者へ普及進まず 設置1% 高額がネック
  22日、東京新聞→

  『二〇一一年までに設置が義務付けられている「住宅用火災警報器(住警器)」の聴覚障害者への普及が進んでいない。光や振動で火災を知らせる聴覚障害者用は、価格の高さが普及を妨げていると指摘されている。聴覚障害者からは「給付制度を充実してほしい」との声が上がっている。 (佐藤大)

  住警器は、新築住宅への設置が既に義務化され、既存の住宅も一一年六月までに全国で設置が義務付けられている。通常は煙や熱を感知して警報音で知らせるが、聴覚障害者向けとして、点滅する光や振動、においで知らせる機器が市販されている。

  総務省消防庁によると、全国の住警器の設置率は45・9%(今年三月現在)。一方、聴覚障害者の自立などを目指す任意団体「ベターコミュニケーション研究会」(東京都中野区)の推計によると、聴覚障害者の設置率は1%にも満たない。

  「ネックは価格」と研究会。一般的な機器は数千円程度で購入できるが、聴覚障害者用は一万八千〜五万円台と高額になる。すべての部屋、台所、階段に設置が必要になるため、負担は大きい。

  研究会によると、多くの自治体は聴覚障害者の購入費を一部補助する給付制度を導入しているが、東京都の自治体の場合が一戸当たり最大三万一千円で、他県ではこの半額程度という。ただ、給付は聴覚の障害等級で最も重い「二級」に限られたり、健常者と同居の場合は対象から外れたりするなど、制限付き。このため、研究会の中園秀喜会長は「購入に二の足を踏む聴覚障害者も多い」と話す。

  研究会の調べでは、一九八五〜二〇〇五年に火災の被害に遭った聴覚障害者は、全国で少なくとも百五十六人に上る。
自身も近所で発生した火災に気付かなかった経験がある中園会長は「命にかかわる問題なので、障害等級に関係ない給付制度で聴覚障害者も購入しやすくしてほしい」と要望している。

◆制度知らない人も
  聴覚障害教育学が専門の筑波技術大佐藤正幸教授の話 聴覚障害三級以下でも寝る時に補聴器を外せば警報音は聞こえず、健常者と同居していても、いつも一緒ではない。給付制度は現実に対応していない。制度を知らない聴覚障害者も多く、自治体側から働き掛けてほしい。』
.
 2009.09.13 ☆知的障害者の職場体験、コクヨなど3社…埼玉県
  11日、讀賣新聞→

『採用検討 生徒「働けそう」
文具・事務用品大手のコクヨ(本社・大阪市)など三つの企業グループが連携し、今夏、埼玉県内の特別支援学校に通う知的障害を持つ生徒を対象に、職場で実際に仕事を体験してもらうインターンシップを行った。(秋田穣)
不景気で障害者の雇用情勢も厳しい中、学校関係者は今回の試みを歓迎。参加した企業側も「知的障害を持つ人の雇用を検討するきっかけになった」と評価しており、今後の採用計画などに生かしていく構えだ。

■新たな自信
「会ったばかりの人と一緒に仕事をしなければいけないことも多い。初対面でも職場の人と話せるようにしてください」
8月上旬、JR品川駅近くにあるコクヨグループのコクヨマーケティング本社(東京都港区)食堂。同社で1週間のインターンを終えたさいたま桜高等学園(さいたま市)の長瀞陽一さん(16)ら2年生2人は、人材開発部の担当者からこんなアドバイスを受けていた。

 同校は県立の特別支援学校で、知的障害を持つ生徒約220人が通っている。インターン中、2人はパソコンの表計算ソフトを使った名刺の入力、ファイルや取扱商品カタログの整理、テープライターによるシール作成などを行った。スーパーの商品陳列などの経験があり、オフィスで働いてみたかったという長瀞さんは、「慣れないことも多かったが、オフィスで働けると思った」という。大手企業での就業体験が、新たな自信となったようだ。

■社員にも刺激
知的障害者のインターンを企画したのは、コクヨ、クレディセゾン、帝人の3企業グループ。過去にも採用活動で連携した実績があるという。今回は、コクヨマーケティング埼玉支店(さいたま市)が、さいたま桜高等学園に机などの備品を納入していることがきっかけで、企画された。知的障害者のインターンについて、グループを挙げて推進することで企業グループ間での話がまとまり、同校と羽生ふじ高等学園(羽生市)を対象にインターン生を募集した。
その結果、8月中に、コクヨマーケティングが2人、クレディセゾンが1人を、それぞれ都内の本社で受け入れ。帝人は、グループ企業の帝人在宅医療が2人をさいたま市内の支店に迎えた。いずれも、期間は1〜2週間に及んだ。

 企画したコクヨマーケティングの人見泰正・人材開発部長は、「知的障害への偏見をなくす大変さを知った。賛同する企業を一つでも増やし、障害者の皆さんの活躍ぶりを伝え、社会全体の理解を深められるよう貢献したい」と語る。

 クレディセゾンの場合、今年6月現在の障害者雇用率は1・9%だが、すべて身体に障害を持つ人たちだ。同社人事部は、「社内で知的障害を持つ人と働くのは初めてだったが、一緒に働いたチームがまとまり、ほかの社員にもいい刺激になった」と話す。同社は今後も同様のインターンを続けるほか、知的障害者の採用も検討する方向だ。

■就職率は微増
さいたま桜高等学園就労支援室の根岸祐子教諭は、今回のインターンについて、「生徒は大きな自信になった。企業側にも不安があると思うが、大手が受け入れてくれたことで、ほかの企業にも広まり、就職につながれば」と期待する。

 県は2007年4月、知的障害を持つ生徒の就職を増やそうと、軽度の知的障害の生徒を対象に、就労率100%を目指して両校を開校した。

 特別支援教育課によると、08年度の県内特別支援学校30校の高等部の就職者数は156人。卒業生に占める就職者の割合は25・3%で、06年度の22・8%、07年度の21・7%に比べて増えている。同課は、「知的障害者の雇用について、ここ数年、企業の理解が深まっていることの表れでは」と分析しており、今後の企業の取り組みに注目している。』
.
 2009.08.25 ☆重症肝障害、障害者認定へ…厚労省方針 3万人超、来春にも
  25日、讀賣新聞→

  『厚生労働省は24日、重い肝機能障害の患者について新たに身体障害者と認定し、障害者手帳の交付対象とする方針を決めた。

  同日に開かれた同省の有識者検討会が、認定基準案などを盛り込んだ報告書をまとめたことを受けたもので、政令などを改正し、来年春にも実施する。同省によると、障害者手帳が交付されるのは全国で3万〜5万人に上るとみられる。
肝機能障害の身体障害者認定については、薬害C型肝炎集団訴訟の全国原告・弁護団が患者支援策の一つとして要求。厚労省が昨年10月に有識者検討会を設置して議論していた。認定基準は、<1>重症化して、治療による改善が見込めない<2>日常生活に支障をきたしている――患者など。等級は程度により重い方から1〜4級となる。

  C型肝炎などのウイルス性肝炎だけでなく、すべての肝機能障害が対象。手帳を取得すると、公共交通機関の運賃割引や税の減免などが受けられる。』
.
2009.08.13  ☆高齢・知的障害の出所者、支援機関の開設進まず
  13日、讀賣新聞(夕刊)→

『刑務所を出所後、帰る先がない知的障害者や高齢者を、福祉施設などに橋渡しする支援機関「地域生活定着支援センター」の開設が進んでいない。

 厚生労働省は7月をめどに都道府県に設置を求めていたが、自治体側が業務の難しさや今後の負担増を懸念して足踏みしていることもあり、設置されたのはまだ4か所。

 同省は「全国で整備されて初めて連携できる」と早期の開設を呼びかけている。
センターは、身元引受先のない知的障害者や高齢者が、出所後に生活の困窮から再び犯行に走ることを防ぐため、服役中から面接して希望を聞き取り、その人に合った福祉施設を紹介したり、ヘルパー派遣の手続きをとったりする。

  同省は各都道府県に対し、社会福祉法人に業務委託するなどしてセンターを整備するよう求め、今年度は委託先の人件費などとして1か所あたり1300万円を補助する。だが、これまでに補助金を申請したのは9県。うち事業を始めたのは長崎、静岡、山口、滋賀の4県にとどまっている。

 「たとえセンターを作っても、受け入れ先の福祉施設を見つけるのに苦労するのは目に見えている」。補助金を申請していない奈良県の担当者は言う。現在、同県内の知的障害者向けグループホームやケアホーム約40か所はほぼ満員。この担当者は、受け入れ先の調整は難しいと予想する。
愛知県の担当者は「福祉施設への入所を希望している待機者がいる場合、再犯防止のためとはいえ、刑務所の出所者を優先的に入所させられるのか」と懸念する。同省は、センターの紹介で刑務所の出所者を受け入れた福祉施設には、障害者自立支援法に基づく報酬に特別加算(出所者1人につき1日6700円)を行う方針だが、福祉施設の理解が得られるかどうかは不透明な状況だ。

 また、「今後も国の補助が出るのか心配。途中で補助額が減ったり、『後は県の予算で』ということになったりしないか」(鳥取県の担当者)など、将来、自治体の財政負担が増すことを警戒する声もある。
一方、7月にセンターの業務を開始した静岡県。県から業務を委託された社会福祉法人「あしたか太陽の丘」が静岡刑務所などと連携し、これまでに知的障害のある出所者1人について、生活保護やヘルパー派遣の手続きを行った。
センターの男性スタッフ(61)は「刑務所と社会をつなぐ支援は必要。他県にもセンターが設置されないと、静岡刑務所を出た人が他県で再出発を希望した場合に連携できない」と訴える。

 法務省によると、2006年に刑務所を出所した約3万人のうち、親族などの引受先がなかったのは約7200人。この中で障害などにより自立困難な人は約1000人と推計される。

 知的障害者の刑事弁護の経験が豊富な辻川圭乃(たまの)弁護士は、「福祉が行き届かず、再び犯罪に至る出所者がいることを考えれば、地域福祉を担う自治体は、積極的に行き先のない出所者の支援にかかわってほしい」と話している。』
.
2009.08.09  ☆知的障害者:出所後支援、大幅遅れ 施設整備4県のみ
  8日、毎日新聞→

『国が全国で進める、刑務所を出所した知的障害者らの支援センターの整備が、大幅に遅れている。7月までに全都道府県で整備を終える目標だったが、昨年12月に整備主体が厚生労働省から都道府県に急きょ変わったことから、実現したのは静岡、山口両県のみ。その後も滋賀、長崎両県でできただけで、専門家からは早期整備を望む声が出ている。

整備を進めているのは「地域生活定着支援センター」で、今年度計画。出所者に障害者手帳発給や社会福祉施設への入所をあっせんする。運営は地元の福祉団体への委託などを予定。設置予算は国から全額補助される。

しかし、いったん予算計上する必要が生じるなど自治体側に混乱が生じ、補助金申請は9府県だけ。補助金申請している島根県は「変更は唐突で、矯正事業は国がやるべきだ」と不満を漏らす。

法務省の矯正統計年報によると、知的障害の疑いがある「知能指数70未満」の新規受刑者は約6700人(07年)。全体の約2割で、出所後に十分な支援が受けられず再犯に走ったケースが多いとみられている。』
.
2009.08.06  ☆第3種郵便:郵政など、運用で協議--障害者側要望受け
  6日、毎日新聞→

『総務省、厚生労働省と日本郵政グループの郵便事業会社は5日、障害者団体向け郵便割引制度やその運用の改善策を検討する「心身障害者用低料第3種郵便物関係機関連絡会」の初会合を開いた。

低料金に目を付け、制度を悪用した郵便法違反事件を機に、再発防止のため利用時の審査が厳格化された。これに対し、障害者団体約1200団体が所属する全国障害者団体定期刊行物協会連合会などは7月、弾力的な運用などを求める要望書を3者に提出していた。連絡会はこの日、障害者団体から意見を聞いた上で、年内をめどに結論を出す方針を決めた。』
.
 2009.08.06 ☆視覚障害者らハイブリッド車で「人工音」を体験
  6日、讀賣新聞→

『走行音が「静かすぎて危険」と指摘されているハイブリッド車や電気自動車に、メロディー音や疑似エンジン音を付けることで、視覚障害者らが接近に気付くかどうかを試す体験会が5日、東京・調布で行われた。

低速走行時に人工音を付けるなどの対策を考える国土交通省の対策検討委員会が開いた。視覚障害者ら40人を対象に、研究所やメーカーが試作した「チャイム音」「メロディー音」「疑似エンジン音」など7種類の人工音を車の前方から出し、音に気付いた時に手を挙げてもらった。人工音なしでも接近を試したところ、ある車種の電気自動車では、横を通り過ぎたことに40人中、数人しか気付かなかった。

視覚障害を持つNPO法人理事、鈴木登喜雄さん(66)は「人工音は上品な音が多く、騒々しい街中で気付くか、やや疑問」と話していた。検討委では今後、人工音を出すタイミングや音の大きさなどを話し合う。』
.
2009.08.02  ☆障害者自立の道険し 相談支援体制の法整備急務
  1日、讀賣新聞(佐賀)→

『「議論を積み重ねてやっとできた改正法案なのに、一度も審議されず、政争につぶされた」。衆院が解散した7月21日。テレビに映し出される議員たちの「万歳」を見ながら、佐賀市肢体不自由児者父母の会の福市繁幸会長(佐賀市鍋島)は、悔しさで胸がいっぱいになった。
障害者が福祉サービスを受ける際の負担軽減などを盛り込んだ障害者自立支援法の改正案が、解散によって廃案となったからだ。

 同法は2006年4月に一部施行。福祉施設の報酬制度を改め、利用者側が主体的にサービスを選びやすくなった一方で、ほとんど無料だったサービス利用料が原則1割負担となり、施設に通えなくなって生きがいを失った障害者や、生活に窮迫する家族が急増した。
法に基づくサービスを受ける障害者は県内で約4000人。福市さんにも重度の脳性まひの娘がおり、制度の見直しを訴えてきた。各方面からの批判を受けて国は様々な対策を講じ、利用者の負担は大幅に軽減された。

 今回の改正法案には、収入のない障害者に負担を求めない措置や、発達障害も支援対象に加えることなど、当事者らの声がさらに反映されていた。福市さんは「とても期待していたのに。特に相談支援体制の法整備が遠のいたのは痛い」と肩を落とした。


「息子さんの調子はどうですか」「悪くはないけど家ではわがままで……」。
県東部の農村地域の一軒家。70歳代の母、知的障害と精神疾患のある40歳代の息子の2人暮らし。障害者と家族の相談支援に取り組むNPO法人「キャッチ」(鳥栖市)の生野素之(もとゆき)・相談支援専門員は週1回、この家を訪ね、母親や本人の相談に乗る。
相談支援専門員は、家族と役所、施設との橋渡し役となり、「いつ、どの施設でどんなサービスを受けるか」といった計画の策定や、役所への申請手続き、施設・病院との連絡の補助を行う。「ほかに頼れる人が誰もいない。本当にありがたい方」と母親は感謝する。

 息子は以前、施設に入所していたが、そこでの生活を嫌い、今は家から通所施設に通っている。施設利用費、交通費、医療費、食費など出費はかさむ。親子2人の年金を足しても生活費は15万円弱でぎりぎりだ。母親は「私にもしものことがあれば、息子はどがんなるんでしょうか」と目頭を押さえた。

 生野さんは、少人数の障害者が共同生活するグループホームに入ることを勧めたが、見込んでいたホームの設立自体が地元住民の反対で断念に追い込まれた。「障害者への偏見は根強い。その中で自立して暮らすには見守りなどサポート態勢の整備が不可欠ですが、人的にも制度的にも受け皿がないんです」と頭を抱える。
「障害者が地域の中で安心して暮らす」という法の理念と現実との乖離(かいり)。相談支援専門員はその溝を埋めうる存在だが、なり手は少ない。キャッチは自治体からの委託金で運営され、職員4人で約70世帯を担当しているが、年収約300万円で激務に追われる職員もいる。

 相談支援事業に携わる法人の財政支援の充実は急務だが、県は「市町に予算はなく、現状は厳しい」と打ち明ける。』
.
2009.07.30 ☆就労後、障害等級を軽度認定 兵庫で少なくとも13人
  30日、朝日新聞→

  『兵庫県内の複数の知的障害者が就労後、障害等級を軽度に認定されて障害年金を停止されたり減額されたりしていたことが、障害者団体などへの取材で分かった。同団体によると、兵庫県内だけで少なくとも13人いるという。一方、兵庫社会保険事務局は「総合的な判断で等級を決めており、就労だけが理由ではない」と説明している。

障害等級は1〜3級があり、社保事務所が医師の判断をもとに判定する。
知的障害者の家族でつくる「兵庫県手をつなぐ育成会」によると、13人は就労した06年以降に障害等級を軽度に認定された。中には6万円の給与を得るようになったものの、月6万6千円の障害基礎年金がゼロになった人もいたという。一部の障害者は社会保険審査会に再審査を求めたが、棄却された。

育成会側から相談を受けた兵庫県も昨年、厚生労働省に是正を要請。今月17日、社会保険庁は全国の社保事務局に対し、誤解を与えないような審査を求める通知を出したという。 』
.
2009.7.18  ☆車いす少女入学拒否、町が抗告取り下げへ 和解を示唆(続報)
  17日、朝日新聞→

  『車いすで生活を送る奈良県下市(しもいち)町の谷口明花(めいか)さん(12)が、希望した町立下市中学への入学を拒否された問題で、町と町教育委員会は16日、仮の入学許可を出すよう義務づけた奈良地裁の決定を不服として大阪高裁へ申し立てた即時抗告を取り下げる、と発表した。町側は「仮決定とはいえ、すでに生徒が入学している事実を重視した。話し合いで円満解決できるよう努力したい」と和解を示唆した。

明花さんの母の美保さん(45)は「取り下げにほっとしています」と話した。美保さんによると、仮入学が認められた明花さんは3日に初登校してから休むことなく登校しており、「毎日が遠足のように楽しくて仕方がない様子」という。校舎1階の特別支援学級での学習が多いが、朝の読書の時間と下校前のホームルームは、4階にある普通学級に担任に背負われて移動しているという。

明花さんが町側に入学許可を求めた訴訟は、今月30日に奈良地裁で第1回口頭弁論がある。仮入学はこの訴訟の判決が出るまでの措置で、代理人の西木秀和弁護士は「町が争わないのであれば、こちらから訴えを取り下げる可能性もある」と話している。 』
.
2009.07.16  ☆「静かすぎる」HVに発音装置検討 国、障害者指摘受け
  16日、朝日新聞→

『モーターで動くため低速ではほとんど音がしないハイブリッド車(HV)に、警笛よりも小さな音で危険を知らせる装置を装備する検討を国土交通省が始めた。接近しても視覚障害者や子ども、高齢者らが気付かず、事故の危険性があるからだ。HVは「エコ減税」を追い風に売り上げ好調。「静かさ」も長所だが、安全には代えられないと判断した。

HVの「静かすぎる危険」は海外でも問題になっている。米国の運輸省も視覚障害者団体などの要請を受けて調査を開始。国連の自動車基準調和世界フォーラムでも検討課題になっている。日本はHVで世界をリードするだけでなく、危険な狭い路地が多く、対応を迫られていた。

 例えばトヨタ自動車のHVは発進時や低速走行時、電気モーターだけで走る。騒音はエンジン車よりも最大20デシベルも低く、住宅街では通常の生活音でかき消されてしまうほどだ。トヨタなどにも「知らない間に車が近づきハッとした」などの苦情や意見が3~4年で60件程度寄せられたという。

 とくに、目が不自由な人には深刻だ。日本盲人会連合によると、事故に遭ったとの報告はないが、「車が近づくまで気づかず、急にクラクションを鳴らされて驚いた」といったケースは日常的にあるという。

 一方、トヨタの調査では、ドライバーも、発進しようとしても車の目の前で立ち話している人がどいてくれない▽駐車場で遊んでいる子どもが気づかない▽いきなり歩行者が進路に入ってくる――と感じていて、約7割が発音装置が必要と考えていた。

 同社では07年、走行中に「チャイム音」が常に鳴るHVを走らせて効果を検証。一定の効果はみられたが、「音が不快」との意見も多かった。視覚障害者からは「音は聞こえるが、車だと思わなかった」との指摘もあった。
ホンダもHVのインサイトを生産しているが、トヨタと方式が違うため、低速でもエンジンが稼働する。今のところ問題は起きていないが、同社は「将来的には静音性の問題に対応しながら開発を進める必要がある」としている。

 国交省は今月から、有識者や業界関係者を集めた検討会を立ち上げた。運転手が危険を感じたときや発進時などに適度な音を出す「第二のクラクション」を装備する方向で話を進めている。だが、運転手の「鳴らし忘れ」が責任問題に発展する可能性もあり、「常に自動的に音を出すべきだ」との意見もある。

 装備の対象には、すべてモーターで走る電気自動車(EV)も含まれる。音はチャイムのほかブザー、メロディー、疑似エンジン音などが候補で、8月に実験車を使って検証する。装置を法律で義務化するかや音の種類、統一基準作りなどについて、年内に方向性を示す意向だ。』
.
 2009.07.10 ☆障害者の雇用差別禁止を法制化へ 厚労省
  9日、朝日新聞→

『厚生労働省は8日、働く場での障害者差別を禁じる法制度づくりに着手した。日本が07年に署名した国連の障害者権利条約の批准に向けた対応の一環。募集・採用や労働条件、労働環境などで障害を理由にした差別を禁じ、障害者が働きやすいような「合理的な配慮」を使用者に義務づける内容が盛り込まれる。

労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の障害者雇用分科会がこの日、法制化に向けた議論を始めた。新法をつくる案もあるが、企業に一定割合の障害者雇用を義務づけている障害者雇用促進法を改正する案が有力で、来年の通常国会への法案提出を目指す。

焦点になりそうなのは、障害者権利条約が求める「合理的配慮」をどう規定するかだ。職場での合理的配慮は、使用者に過度の負担にならない限り、個々の労働者の事情に応じて必要な環境を整えることを意味し、配慮を欠くこと自体が差別とされる。

国内ではなじみの薄い合理的配慮の概念について、厚労省の研究会は、通訳や介助者らの人的支援▽通院や休暇、休憩など医療面の配慮▽バリアフリーなど施設・設備面の配慮――が必要とした。

条約の批准に向けては、障害者政策の基本理念を定めた障害者基本法の改正に向けた作業も政府・与党で並行して進んでおり、やはり合理的配慮をどう定義するかが焦点の一つになっている。

審議会は今後、障害者基本法の改正論議をにらみながら、職場での合理的配慮の内容をさらに明確化する。』
.
 2009.07.08 ☆障害者用駐車場の利用証発行へ、マナー違反相次ぎ…/鹿児島
  8日、讀賣新聞(九州)→

鹿児島県が11月から導入予定
公共施設の障害者用駐車スペースに駐車する健常者が後を絶たないため、県は障害者や高齢者、妊婦らを対象にした利用証の発行に踏み切る。11月からの導入を予定しており、県は今後、スーパーやホテル、病院など民間にも協力を呼びかける。

新制度では、歩行が困難な人に県内共通の3種類の利用証(縦約20センチ、横約15センチ)を交付する。内訳は▽身体・知的・精神障害や、高齢、難病のため歩行困難な人は5年間有効の緑色▽常時車いすを使う人は5年間有効の赤色▽けがや妊娠・出産など一時的な人は期間限定のオレンジ色。いずれも車内のルームミラーに利用証をかけ、車外から見えるようにしてもらい、提示していない車が止まっていた場合は、駐車場の事業者に別の場所に止めるよう注意してもらう。

県は条例で、事業者が不特定多数の人や高齢者、障害者が利用する駐車場を設ける場合、車いす使用者用の駐車場を1台分以上設けるよう、努力義務を課している。多くは店の入り口近くに配置したり、介助などのため広めのスペースをとったりしているが、健常者が利用するマナー違反が相次いでいる。昨年11月、県がスーパーやホテルなど県内約2000か所を対象にしたアンケートでは、「不適正な利用が見られる」との回答が半数を超え、「身体障害者用駐車場を利用している人がいても、それがマナー違反なのかどうか分からず、注意できない」といった意見が寄せられていた。

利用証の申請は9月から、鹿児島市のハートピアかごしまや、各地域振興局・支庁・離島事務所、県障害福祉課の窓口や郵送で受け付ける。同課は「必要としている人が県下一円で駐車場をきちんと利用できるように、広く協力を求めたい」と話している。問い合わせは同課(099・286・2746)へ。』
.
2009.07.07  ☆保育士採用試験:全盲女性を門前払い 大阪市
  7日、毎日新聞→

『大阪市の昨年度の保育士採用試験で、受験資格を満たしている全盲の女性が点字での受験を認められず、門前払いされていたことが、関係者への取材で7日分かった。同市こども青少年局は「特別の配慮はできない」と説明するが、識者から疑問の声が上がっている。女性は国家資格の保育士資格を持ち、私立保育園で8年にわたる実務経験もある。女性は「今秋の試験に挑戦したい。障害を理由に、受験さえ認められないのは納得できない」と訴えている。【遠藤哲也】

大阪市在住の小山田(おやまだ)みきさん(31)。未熟児網膜症のため全盲になった。幼稚園での楽しい思い出が心に残り、保育士を目指して、京都市の華頂短大幼児教育学科に進学。01年、保育士資格を取得した。小山田さん以外に、全盲の保育士は「聞いたことがない」(厚生労働省)という。同年9月から、大阪市天王寺区の私立「四天王寺夕陽丘保育園」に勤務しているが、契約職員のため、公営保育所を目指すことにした。

大阪市の昨年度の保育士採用試験(短大卒程度)の受験資格は、74〜89年生まれの保育士資格を持つ(見込みを含む)者。条件を満たしている小山田さんは昨年9月、市に点字受験について問い合わせたところ、「視覚障害者が働く職場は確保されていない」などと受験を断られたという。

市長あてに点字受験を求める嘆願書も提出したが認められず、同市は「視覚障害のある保育士が保育業務に従事するにあたって、どんな課題があるか整理していく」(こども青少年局)と回答した。
小山田さんは1年待って今年6月、今秋の受験について同市に尋ねたが、同局は「試験は競争なので、働く条件が同じなのが前提。一部の人を特別扱いできず、点字受験の導入は考えていない」と回答し、受験すらできない状態は変わっていない。

◇仕草やにおいで園児判別
小山田さんが勤める大阪市天王寺区の四天王寺夕陽丘保育園。「見て、見て。新しい本持ってきたよ。お話、始まるよ」。小山田さんがよく通る声で呼び掛けると、園児たちが集まってきた。エプロン姿の小山田さんが、点字の透明シールを張った絵本を右手の指先でなぞりながら朗読を始めると、園児たちは食い入るように聴き入った。
同保育園に勤めて8年目。複数担任制で同僚5人と役割分担し、30人の2歳児の心と体を育てる毎日だ。

小山田さんは見えない分、会話を多くするように心掛けている。砂場の近くでお漏らしをした男児もいたが、小山田さんがトイレまで連れて行き、シャワーでお尻を洗って着替えを手伝った。
動き回り、予期せぬ行動もする幼児。小山田さんは、子どもの声や手、髪形はもちろん、しがみついてくる仕草や服に着いているにおいなどで一人一人を判別している。

同僚の保育士、森山佳代さん(41)は「園児の着替えでも服の着心地が悪くないかなど、一つ一つの動作が丁寧です」と話す。保護者からの不安の声も特にないという。小山田さんは「(大阪市は)私の実際の仕事ぶりを見ることもなく、全盲者は何もできないという机上の空論で判断されているように感じる」と話している。』
.
2009.07.07  ☆「布おむつ離れ」で苦境 障害者作業所
  7日、朝日新聞→

『老人介護施設や障害者入所施設で、布おむつから利便性の高い紙おむつに切り替えるところが増えている。布おむつの洗濯事業を長年請け負ってきた、四街道市の障害者作業所は、そのあおりを受けて受注量が大幅に減った。環境にやさしい布おむつを見直してもらえないものか――。関係者は頭を悩ませている。(有山佑美子)

四街道市大日(だい・にち)にある障害者就労支援センター「サンワーク」。障害者たちが、市内外の特別養護老人ホームや身体障害者施設、計4カ所から回収した布おむつを汚れの程度によって仕分けしている。

後藤恒一所長は「水分を吸っているおむつは重い。仕分けは重労働です」という。仕分けしたおむつは大型洗濯機に入れられ、その後、丁寧に伸ばし、たたんで各施設に戻される。同支援センターでは1日に布おむつ約2千枚をクリーニングしている。

同支援センターは県内唯一の公営身体障害者通所授産施設だ。県内外の企業などから受注した工賃作業を、20〜70代の障害者19人が行う。
布おむつのクリーニングは83(昭和58)年に同支援センターが設立された当初から事業の主体。クリーニング収入は、全事業収入の8割強を占めている。
だが、布おむつの洗濯作業は7、8年前ごろから受注減が目立ち始めたという。得意先の施設が「使い勝手がよく介護の負担も少ない」との理由から紙おむつへの切り替えを始めたからだ。03年度には年間約77万枚だった受注量は5年間で約4割減った=グラフ。

同市は昨年7月から、千葉や船橋、東金の各市などの老人介護施設や障害者入居施設計40カ所に布おむつを使ってもらうよう打診。だが、各施設の反応は、「人件費を切り詰めており、布おむつだと替える人手がない」「介護報酬が上がらないと難しい」などと芳しくなかった。

布おむつの洗濯受注が減少し、同支援センターに入る洗濯事業収入は、03年度に1800万円だったのが、08年度には1千万円に。収入からボイラーの燃料費や洗剤費などの経費を除くと赤字になる事態に陥った。そのため、4月から障害者の工賃が引き下げられることになった。昨年の工賃は上限で月額3万6千円だったが、今年度は上限2万円と4割強減った。

市障害者支援課は「洗濯収入が減れば、工賃をまた見直さざるを得ない」とする。後藤所長は「利用者の就労支援のためにも事業を縮小させたくない。環境の時代だからこそ、使い捨てではなく再利用できる布おむつを何とか見直してほしい」と話す。』
.
2009.07.02  ☆「碍」常用漢字に必要?…障「害」印象悪く、賛否両論
  2日夕、讀賣新聞→

『文化庁文化審議会の国語分科会で論議されている常用漢字の見直し案で、「碍(がい)」の追加を求める意見や要望が目立っている。
「障害者」ではなく「障碍者」と書けるようにするためで、印象の悪い「害」は嫌われているようだ。しかし、「害」も「碍」も、意味はほとんど同じ。障害者団体では「『しょうがい』という言葉そのものの見直しを検討してもらいたい」と訴えている。

文化庁によると、見直し案に対し、約220件の意見が寄せられている。このうち20件が「碍」を常用漢字に加えるよう求めていた。
「害」も「碍」も、「さまたげる」ことを意味するが、「害」は「害毒」「害悪」「公害」などの熟語に用いられ、負のイメージが強い。このため、山形、福島、岐阜、三重、大分、熊本県などの自治体では、担当部署名や広報文の表記を「障がい」に切り替えている。昨年4月から「障がい」を使う岐阜市では、「賛否両論あるが、障害という言葉を考えるきっかけにはなっている」と説明する。
民間会社でも同様の動きがあり、マイクロソフト社(東京都渋谷区)も今年4月から、社内文書では「障碍」を使っている。

しかし、「害」には誤解も多い。その一つが「当用漢字に『碍』が入らなかったため、戦後になって『障害』という書き方が登場した」との説明だ。
ところが、戦前に発行された国語辞典の「辞苑」や「言苑」では、「障害」の表記も示されている。「女工哀史」(1925年)にも「視力および聴力に著しき障害」「身体障害の程度により」とあり、「障害」は必ずしも、戦後に生まれたわけではないようだ。

国語分科会では今月17日から、追加の可否を審議するが、「碍」を加えれば、「障害者自立支援法」などの法律の表記をどうするか、新たな課題も生まれる。
障害者団体の受け止め方は複雑だ。「障害者インターナショナル日本会議」の尾上浩二事務局長は「『障害』とは、社会にあるバリアや差別のことを指す、と考えている。漢字を変えて社会の現実を覆い隠してしまうことを危ぶむ」と批判的だ。

「日本発達障害ネットワーク」の山岡修副代表は「『障害者』という言葉に抵抗はある。ただ、変えるなら、新しい言葉を考えるべきだ」と力説する。日本障害者協議会の藤井克徳常務理事も「『しょうがい』という言葉について、国語学者も交えて新しい言葉を考えてほしい」と求めている。』
.
2009.06.29  ☆障害者への配慮 十分浸透せず 内閣府調査
  29日朝、NHK→

『内閣府が行った調査によりますと、ほとんどの人が障害のある人とともに生活できる社会が望ましいとしながらも、施設のバリアフリー化など、障害者への配慮やくふうがなくても「差別にあたらない」と考えている人が3分の1を超えていることがわかりました。

内閣府は障害者への差別についての国民の意識を探るため、ことし4月から5月にかけて、全国の男女1050人を対象にインターネットで調査を行いました。

それによりますと、障害のある人もない人もともに生活できる環境を整備した「共生社会」について尋ねたところ、「賛同する」と答えた人は89%に上りました。その一方、スロープを設置するといった「バリアフリー化」を進めないなど、障害者への配慮やくふうをしないことをどう受け止めるか聞いたところ、「差別にあたる」と答えた人は53%でしたが、「差別にあたらない」と答えた人も36%いました。

これについて、内閣府は「障害者が暮らしやすい社会を作ることが必要だという認識は、まだ十分とはいえない」として、今後シンポジウムの回数を増やすなど、取り組みを強化したいとしています。』
.
2009.06.28  ☆“障害者雇用”大阪府宣言に暗雲、総務省「まった」
  28日、讀賣新聞(関西)→

『未達成企業の入札制限など、否定的見解
大阪府が、全国最悪レベルの障害者の雇用状況を改善する切り札として10月に予定していた「障害者の法定雇用率未達成企業と取引しません宣言」が、暗礁に乗り上げている。事業者に対する府の入札参加条件に、障害者の法定雇用率(民間企業1・8%)達成を義務づける条例を制定し、その後、同宣言を出す方針だったが、総務省が「入札に公正性を求めた地方自治法に違反する恐れがある」として、条例案に「待った」をかけたため。宣言で下位脱却を目指した府は頭を痛めている。

 法定雇用率を満たす府内企業は昨年6月現在、42・8%で、全都道府県の43位。橋下徹知事が「障害者雇用日本一」を目標に掲げたことから、府は昨年末、未達成企業へのペナルティーを盛り込んだ全国で初めての条例案作成に着手した。

 地方自治法施行令では、入札への参加を制限できる理由について、手抜き工事、談合、契約不履行などの不正、不当行為のほか、「契約の性質または目的により必要な資格を定めることができる」と規定。府はこの規定を根拠に、未達成企業を入札から排除することも可能と考えていた。

 しかし、府と協議した総務省は「発注業務と直接関係がない障害者の雇用率を参加資格に盛り込むのは、安易な制限で問題だ」と否定的な見解を示した。
ほかにも、未達成企業に補助金を支給しないという制限条項も検討したが、やはり同省から「補助金の目的によらず、法定雇用率の達成かどうかで支給しないのは問題」と指摘された。

 代替案として、障害者雇用促進法で規定している未達成企業名の公表で、通常4〜5年かかる手続きを2年程度に短縮する条例案なども検討しているが、府幹部は「これではとても、『取引しません宣言』とはいえず、看板倒れになりそう。効果が上がる仕掛けを作れないか、知恵を絞りたい」としている。
障害者の法定雇用率

 障害者雇用促進法で企業や国、自治体に一定の障害者雇用を義務づけており、民間企業(従業員56人以上)は1・8%、国、自治体(48人以上)2・1%と規定されている。法定雇用率を達成できない場合、雇用計画の作成や実施を命じられ、さらに改善が遅れると、企業名が公表される。』
.
2009.06.22  ☆無保険:鹿児島の障害少女、虐待入所も自己負担 自立支援法運用、「措置」認めず
  22日午後、毎日新聞→

『鹿児島県が障害者自立支援法に基づく「契約制度」を適用し知的障害児施設に入所する高校生の少女(18)が、国民健康保険証を所持せず事実上の「無保険」状態になっていることが、関係者への取材で分かった。少女は従来、医療費が全額公費助成となる「措置制度」の対象だったが、契約では医療費は自己負担で、無保険の場合は10割負担となる。施設側は「病気のリスクが高い障害児もおり、命も守られない契約制度は問題」と訴える。

 少女は母子家庭。00年1月、県の児童相談所がネグレクト(育児放棄)を理由に措置入所させた。しかし児相は06年10月、自立支援法に基づく契約入所に切り替えた。施設は事前に、障害児の保護者が虐待の場合は「措置」にできるとした厚生労働省基準に少女が該当すると県に文書で主張したが、「虐待者でも契約締結は可能」と認められなかった。

 県障害福祉課や施設によると、少女の母親が昨年12月末に郵送してきた短期保険証は3月末で期限が切れた。施設側は保険証の更新のため、電話や家庭訪問で母親との接触を試みたが、連絡が取れない状態。鹿児島市が母親あてに郵送で交付した4月以降の少女の短期証が、施設に届かないままになっている。

 契約入所は措置と異なり医療費が自己負担で、施設に保険証があれば窓口負担の3割を施設が立て替え、保護者に請求。保険証のない少女の場合、同課は「窓口負担は原則10割。短期証交付を確認後に7割を返還する」と説明した。』
.
2009.06.18  ☆景気悪化で障害者の解雇急増
  18日夜、NHK→

『昨年度、職場を解雇された障害者は、全国でおよそ2800人に上り、景気の悪化を反映して、前の年度の1.8倍余りに急増したことが厚生労働省のまとめでわかりました。

厚生労働省によりますと、昨年度1年間に倒産や業績悪化など事業主側の都合で職場を解雇された障害者は、全国で2774人に上りました。これは、1523人が解雇された前の年度の1.8倍余りに急増していて、最悪の失業率を記録した平成14年度以来の水準となりました。月別にみますと、去年10月までは月平均およそ130人でしたが、11月は234人、ことし1月は370人、3月は541人と、景気の悪化した去年秋以降、急激に増えています。都道府県別では、▽東京が205人と最も多く、次いで▽大阪が173人、▽愛知が128人、▽静岡が125人、▽北海道が112人などとなっています。

厚生労働省は「雇用情勢の悪化で、弱い立場の障害者を解雇する動きが広がっている。企業に対し、国の助成金制度などを活用し、雇用を守るよう指導を強めていきたい」と話しています。』
.
2009.06.14  ☆障害者が働く施設 売上高急減
  14日朝、NHK→

『障害者が働く福祉工場などのことし1月の売上高は、景気悪化の影響で3か月前より27%近く減り、障害者の賃金も大幅に落ち込んでいることが、厚生労働省の調査でわかりました。

この調査は、厚生労働省が障害者が働く全国の福祉工場や授産施設を対象に緊急に行ったもので、4453の施設が回答しました。それによりますと、各施設で作られた商品などのことし1月の売上高は、平均で350万9139円でした。これは3か月前の去年10月を26.7%下回り、景気悪化の影響で急激に減少したことがわかりました。

施設で働く障害者が受け取る賃金や工賃も平均で月4万3112円と、3か月前より3381円、率にして7.3%落ち込みました。特に落ち込みが大きいのは、仕事を身につけるための訓練を行う授産施設や作業所で働く障害者の工賃で、平均で月1万2237円と、3か月前と比べ10.9%も減りました。厚生労働省は「製造業を中心とした下請け作業の減少が施設運営や障害者の暮らしを直撃している。取り引き先に発注を呼びかけるなど早急に対策を検討したい」と話しています。』
.
2009.06.14  ☆24時間介護求め市を提訴、重度障害の男性 札幌
  12日午後、産経新聞→

『重度の心身障害があるのに24時間の訪問介護サービスが受けられないのは不当だとして、札幌市の鬼塚朗さん(30)が12日、市と上田文雄市長を相手に、終日介護の利用などを求める訴訟を札幌地裁に起こした。

訴状によると、鬼塚さんはてんかんや両手足のまひなど進行性の障害がある。2年前から一人暮らしをしており、24時間介護が必要で昨年8月、障害者自立支援法に基づき24時間分の介護給付費を申請したが、市は「人工呼吸器の常時装着などの条件を満たしていない」などとして、月330時間分(1日当たり約11時間)しか認めなかった。

原告代理人の弁護士は「自立した生活を送るには自治体の支援が必要なのに、現状はボランティア頼り。最低限の保障もされていない」と主張。
提訴について市障がい福祉課は「訴状をみていないのでコメントできない」としている。』
.
 2009.06.08 ☆授産施設での利用料に懸念 障害者サービスでILO
  8日夜、共同通信→

『福祉労働者らでつくる全国福祉保育労働組合は8日、障害者が働く授産施設などで利用料を徴収している日本の制度に対し、国際労働機関(ILO)が「懸念を表明する」との報告書をまとめた、と発表した。

 報告書は同労組が2007年8月に提出した申し立てに応じたもの。同労組は「日本の制度は『障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約』に違反している」と主張したが、条約違反は認められなかった。

 障害者自立支援法に基づき、授産施設や就労継続支援事業所では、障害者の作業に対し工賃(全国平均で月1万2千円)を支払う一方で利用料も徴収している。障害者団体からは「欧州では利用料を取らずに障害者に支払う賃金は政府が補助している」との批判が上がっていた。

 また、授産施設などでの作業は「訓練」「福祉的就労」と位置付けられ、労働法令や最低賃金が適用されていないが、ILOの報告書はこの点についても「労働法令の範囲に含めていくことが重要」と指摘した。』
.
 2009.06.07 ☆精神科デイ・ケア、「社会的入院と同じ」
  4日深夜、CBニュース→

『厚生労働省は6月4日、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」(座長=樋口輝彦国立精神・神経センター総長)の第18回会合を開き、精神科デイ・ケアの整備や児童・思春期の精神医療のあり方について意見交換を行った。この中で、特定非営利活動法人「ハートinハートなんぐん市場」理事の長野敏宏構成員は、社会的入院と精神科デイ・ケアの問題は同じと指摘し、「ホスピタリズムをつくり出しかねない構造にある」と強調した。

会合ではまず、精神科デイ・ケア、ナイト・ケアなどの現状について、事務局側が日中活動系の障害福祉サービスよりも相当多くの利用者がいると指摘し、「精神障害者の退院後の生活支援を含め、地域移行における受け皿の機能を果たしている」とした。また、デイ・ケアなどは生活支援の役割が大きいとする意見がある一方、より自立した生活を早期から促すべきとの意見があることも紹介。さらに、慢性期においては治療効果のエビデンスは確立されていないと指摘した。

  その上で、検討課題として、「対象、利用期間、実施内容を明確にして、機能を強化したデイ・ケアなどの整備を図ること」「対象者、利用目的、実施内容が福祉サービスと重複しているデイ・ケアなどについて、利用者が徐々に障害福祉サービスに移行できるよう、その充実を図ること」「利用者の地域生活での自立をより促す観点から、デイ・ケアの長期にわたる利用について是正すること」を挙げた。

その後の意見交換では長野構成員が、社会的入院とデイ・ケアの問題は同じと指摘した上で、「地域で生活も含めて支えられる資源がデイ・ケアしかない中で、ホスピタリズムをつくり出しかねない構造にある」と強調した。
また、毎日新聞論説委員の野沢和弘構成員は、福祉サービスの提供者が財政難にあることを問題視。地域生活を支える福祉サービスを充実させた上で、今のデイ・ケアが担っているサービスを福祉サービスに流していくべきとした。

このほか、依存症や気分障害、児童・思春期の精神医療についても意見が交わされた。
全国自治体病院協議会副会長の中島豊爾構成員は、児童精神科医などによる発達障害の早期スクリーニングの重要性を指摘し、「リスクが高い子どもに対して、きちんとした療育をしていくことが必要」と強調した。
また、長野構成員はアルコール依存症について触れ、「予防の視点がとにかく重要」と指摘。治療については「明確なエビデンスを持ち合わせていないため、自助グループに頼らざるを得ない」と強調する一方、こうした自助グループが崩壊の危機にあるとして、支援の必要性を訴えた。』
.
 2009.05.31 ☆穴だらけの障害者福祉政策 小幅修正にとどまる自立支援法「改正」
  29日夜、東洋経済オンライン(週刊東洋経済)→

  『「障害者の自立支援」を掲げながら、福祉施設へ通ったり、自宅で介護サービスを受ける際に、障害者に過大な利用料を課したことが社会問題となった障害者自立支援法――。同法が施行された2006年4月以降、年収80万円足らずの低所得の障害者(障害基礎年金2級の受給者)が、ホームヘルプサービス(介護や生活援助)の利用で年間18万円もの自己負担を強いられる実態が判明した。また、授産施設に通う場合でも、工賃を上回る施設の利用料や昼食代を徴収される人が相次いだ。

  そうした中で、負担の急増に耐えられなくなった障害者が授産施設に通うのをやめたり、生活苦を理由にした障害者の心中事件も多発。障害者施設の経営も悪化し、賃金引き下げや職員の離職も相次いだ。

  自立支援法は、食事や移動、排せつなどへの支援を「受益」と見なし、自己負担を課すという仕組みだ。しかも、障害が重く、利用するサービスの量が多いほど、負担が大きくなる。厚生労働省が介護保険との統合を狙って制度設計をしたこともあり、1割負担など共通の仕組みが少なくない。介護保険との統合は障害者の反対で頓挫したが、定率負担など根幹の仕組みは維持されてきた。

  その自立支援法改正法案が閣議決定され、3月31日に国会に提出された。制定自体が強い反対に遭った中、自立支援法の附則で3年後の見直しが盛り込まれたためだ。改正法案では、「制度全般についての見直し」がうたわれ、自己負担のあり方を、「家計の負担能力に応じたものとすることを原則とする」と明記された。この「応能負担」原則への転換を理由に、「抜本的見直しだ」と与党はアピールしたが、改正法案の内容は現状追認の点が多い。

  「自立支援法はいったん廃止の方向を打ち出し、障害者福祉の理念に立ち返って再出発すべき」(藤井克徳・日本障害者協議会常務理事)との意見も少なくない。
改正法案の内容を点検していこう。法改正の最大のポイントとされたのが応能負担への見直しだ。

年収の1割の負担も
 06年4月の自立支援法施行により、1割の利用者負担が導入されたが、冒頭のような障害者の生活上の問題が噴出したことで、政府与党はすでに施行から1年も経たないうちに「抜本的見直し」に迫られた。

  06年12月の「特別対策」および翌07年12年の「緊急措置」によって、低所得者向けに大幅な軽減が図られた。たとえば住民税非課税の場合、負担上限額は当初の8分の1ないし10分の1に引き下げられた。そして、今回の法改正では、これまでの引き下げを追認し、法律上も能力に応じた負担が原則だと明記された。

  もっとも、自立支援法施行前と比べた場合、年収80万円弱の低所得者の施設利用の際の食費や送迎費は月に5000〜6000円も増加している。これに施設利用料を加えた出費は、自立支援法改正前と比べて6000〜7000円の増加。障害基礎年金(2級年金)6万6008円の1割に相当する。

  施設の経営悪化を引き起こした利用料の日額払い計算方式での徴収の仕組み(自立支援法以前は月当たりの定額払い)も骨格はそのままだ。知的障害者や精神障害者は、体調を理由に通所を休むことも少なくないが、日額払い方式の場合は施設の減収につながる。特別対策などで一定水準まで収入が保障されたものの、施設が受けた打撃は小さくない。

  改正法案で相談支援体制の強化やグループホームなどの入居者への入居費用の助成が盛り込まれたのも前進だ。しかし、民間アパート居住への家賃補助はなく、障害者が地域で生活することは依然として難しい。

  また、自立支援法以前に約6000カ所近くあり、約9万人の障害者が利用していた無認可の小規模作業所は、自立支援法施行により、法定施設への移行の道筋がつけられた。しかし、運営費が十分に保障されていないことから、法定施設に移行したものの運営が困難になったり、定員などがハードルになり、移行できずに存続が危ぶまれる作業所も少なくない。今回の改正法案でどこまで問題が改善されるかも不透明だ。

  懸案だった「障害者の範囲」の見直しでは、発達障害が障害者の範囲に含まれることが改正法案で明記された。その一方で、難病を持つ人の多くが障害者の範囲に含まれず、支援を受けることができないままだ。

  大きな課題である所得保障についても、障害年金の水準引き上げは財源確保が困難であることを理由に、将来の課題として先送りされた。

  所得保障が不十分な一方、過大な負担を課す自立支援法は憲法第13条(幸福追求権)および第25条(生存権)に反しているとして、5月20日までに62人の障害者が全国8カ所の裁判所に提訴している。

手薄な障害者福祉と貧困
 あまり知られていないが、日本の障害者関連予算は先進国でも際立って低い水準だ。対GDP比での障害者分野の社会支出はスウェーデンの約8分の1、米国の約2分の1にとどまる。「障害者の範囲が狭い一方、年金の対象者が少なく、水準も低いためだ。就労や社会参加の場が少ないことも一因だ」(尾上浩二・DPI日本会議事務局長)。

  日本社会事業大学の佐藤久夫教授(障害者福祉)は、「障害者はごく一部の特別な存在であるとの日本人の障害者観は、そうした障害者観に基づく政策の反映だ」と指摘する。

  実は、障害者自立支援法の見直しは、障害者観や障害者福祉政策の抜本的転換の好機だ。というのも、自立支援法施行から1年半後の07年9月、わが国は障害者権利条約に署名し、抜本的な権利保障の拡充を世界に向けて公約したからだ。障害者権利条約は、従来の医学的な観点とは異なり、障害は社会との関係性において生じると見なしている。そして障害のある人が障害のない人と同じように権利を保障されるための「合理的配慮」がなされていることを、条約は締結国に義務づけている。政府与党は、障害者自立支援法を見直す際、障害者権利条約の趣旨をしっかりと受け止め、抜本的な改正を視野に入れるべきだった。

  障害は貧困とも深くつながっている。生活保護を打ち切られ、07年6月に「おにぎりが食べたい」と書き残して亡くなった北九州市の男性は、肝臓に障害があり、寝たきりの生活だった。しかし、肝機能障害は障害者手帳の交付対象でないため、障害者福祉サービスを受けることができなかった。今年4月に東京都内で開催された「派遣村」相談会でも、来場相談した124人のうち47人が疾病や障害を持っていたが、障害者手帳の所持はわずか5人だったという。これは、障害者福祉のセーフティネットが機能していないことを意味する。制度のあり方は再検討を迫られている。』
.