
| 2006.09.30 | ☆高齢者医療費 場当たりの凍結でなく 30日、信濃毎日新聞→ 『来年4月に予定している高齢者医療費の自己負担引き上げを「凍結」する方針を与党が固めた。野党も見直しを強く求めている。 年を取れば病気になりやすく、医療費の支払いはかさみがちだ。高齢者の負担増が避けられることは、歓迎したい。 しかし、参院選の惨敗、安倍内閣の退陣を受けて「凍結」を打ち出したのは、余りにも唐突だ。財源をどうするのか。いつまで先延ばしするのか-。人気取りではなく、医療費全体の枠組みを踏まえ、高齢者医療の在り方を見直すべきだ。 医療制度改革は昨年6月に決まった。医療費を抑えるために、高齢者を中心に負担増を求めるものだ。 昨年10月から、現役並みの所得がある70歳以上の人は、窓口負担が2割から3割に増えている。慢性の病気の患者を長期間受け入れる療養病床も、食費などが全額自己負担となった。 来年4月には、所得の少ない70-74歳の人も、窓口負担が1割から2割になることが決まった。75歳以上が対象の「後期高齢者医療制度」もつくり、新たな保険料を徴収する予定だった。 それが、自民党総裁選を機に「見直し」が浮上した。福田康夫氏の公約でもあり、新政権誕生後は一気に具体化しつつある。高齢者の医療費の引き上げが続き、介護保険の負担も大きくなった。医療費が上がらずに済めば、ほっとするお年寄りは多いはずだ。しかし「凍結」という中途半端な施策で片付く問題だろうか。 厚生労働省の試算によると、窓口負担を今のままにした場合、1300億円前後の財源が必要になる。後期高齢者医療制度の新たな保険料負担も凍結すると、約400億円を国が肩代わりしなくてはいけない。この金額を誰が、いつまで、負担するのか。あいまいな検討で踏み切るのでは後で困らないか。 一部の窓口負担は既に引き上げられている。来春の引き上げ分だけの凍結では、高齢者の間でも不公平が生じることになる。 これまで診療報酬の引き下げなど医療費抑制策が続いてきた。その一環で高齢者の医療制度を変えたのに“朝令暮改”では、選挙目当ての対応としか受け止められない。高齢化に伴い、今後も医療費は増える見込みだ。無駄をはぶき、質の高い医療を提供するにはどうするのか。十分に検討してから、国民に理解を求めるのが筋だろう。 場当たり的な対応が続けば、国民皆保険の制度も揺らぎかねない。』 . |
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| 2006.09.30 | ☆無年金障害者 司法が閉ざす救済の道 30日、北海道新聞→ 『二十歳以上の学生の国民年金加入が任意だった時代がある。当時、年金に加入しないまま重い障害を負って障害基礎年金をもらえない制度でも、違憲ではなく違法性もない-。いわゆる学生無年金訴訟で最高裁が初の判断を示した。 一審では東京地裁が「差別を是正する措置が可能だったのに放置した」と違憲判断し、新潟、広島両地裁も同様に政府の怠慢を断罪した。 世論の後押しもあって、学生無年金者のための特別障害給付金制度が二○○五年に議員立法でつくられ、救済に向けた流れができていた。 新しい制度はまだ不完全だ。そんななかで司法による救済の道を閉ざしてしまった最高裁の判断は残念だ。 札幌など全国九地裁に起こされた訴訟のうち、東京、新潟の両地裁にかかわる裁判の上告審で、元学生五人が年金不支給処分の取り消しと一人当たり二千万円の損害賠償を求めていた。 国民年金法は成人の学生を一九九一年まで強制加入とせず、未加入で障害を負うと障害基礎年金が出なかった。学生の加入率は1%程度だった。 一方、二十歳前に障害を負った学生は「働く機会がずっと奪われ、所得保障の必要性が高い」として、保険料を払っていないのに特例で支給された。 原告側は「二十歳を境に扱いを差別するのは『法の下の平等』を定めた憲法に違反する」と主張していた。 最高裁第二小法廷は、当時の法制度について「立法府の広い裁量に委ねられている」として合憲の判断を示したうえで、原告敗訴の東京高裁判決を支持し、原告の上告を棄却した。 訴訟の舞台は大阪高裁分を除き最高裁に移っている。今回と別の判断が示されることはまずないだろう。 最高裁は無年金障害者の置かれた境遇を直視せず、型通りの立法裁量論に終始して訴えを退けたと言えないか。 今回の判断は、国民のセーフティーネット(安全網)であるべき制度の趣旨に照らしても大いに疑問がある。 被告と同様の立場に置かれた学生無年金障害者は全国に四千人いる。 特別障害給付金の額は月額四万-五万円で、障害基礎年金の六割程度にとどまっている。 年金未加入の学生の救済策を初めに規定せず、たび重なる法改正でも放置してきた立法府と政府の責任は重い。 政府は残る裁判の判決を仰ぐのではなく、各地の原告を含むすべての無年金障害者の救済を急いでほしい。 該当者について障害基礎年金の満額支給に向けた仕組みをつくり、過去の未支給分については解決金の一律支給を検討すべきではないか。 「国民皆年金」と言われながら、制度の谷間で不利益を被る人たちが現実にいるのだ。弱者の格差を見過ごすわけにはいかない。』 . |
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| 2007.09.27 | ☆療養病床削減 患者が「介護難民」になる恐れ 27日、宮崎日日新聞→ 『介護難民。何という残酷な響きなのだろう。だが、この言葉が医療・介護現場では公然とささやかれている。 政府が医療費抑制のため療養病床を削減し、患者を介護施設や自宅などに移そうとしているからだ。 当然ながら長期療養向け病床の入院患者や家族は不安を募らせている。しかし受け皿となる介護施設は足りず、在宅医療も十分とはいえない。 このままでは患者が行き場を失い、介護難民、医療難民が多数出る恐れがある、という現場の指摘もある。 国民の健康と命にかかわる医療費を必要以上に抑えれば、医療制度そのものが国民の信頼を失いかねない。 ■背景に国の歳出抑制■ 厚生労働省の方針はこうだ。 全国に約37万床ある療養病床を2011年度までに15万床まで減らす。医療の必要度の低い患者が退院の対象になる。 県内には医療療養病床約3千床、介護療養病床が約2千床あり、方針によれば介護病床は11年度までに全廃、医療病床は縮減されることになる。 患者は老人保健施設や特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、自宅、新型の老人保健施設などに移る。 厚労省は削減の理由について「他の先進諸国と比べ、人口当たりの療養病床数が多い上、患者の平均在院日数が長く医療費がかかる」と説明する。 要は、医療費のかかる療養病床を減らし、より安くすむ介護施設や在宅医療に移すことで医療費の伸びを抑えようというものだ。背景に歳出抑制という国の財政再建策がある。 問題は山積している。まず肝心な介護施設が足りない。 有料ホームは低価格化が進んでいるが、誰もが月額十数万円以上もする利用料(介護保険利用料の自己負担などを含む)を払えるわけではない。 ■少ない医師・看護師数■ そこで厚労省は支援金を出し、療養病床の一部を、今の老人保健施設より治療や看護を手厚くした「医療機能強化型老人保健施設」に転換。受け皿を増やす考えだが、多くの医療機関は納得していない。 多くの患者が自宅療養を望んでいるのは確かだが、核家族化で家族の協力が難しい。 24時間体制の在宅介護や在宅医療も十分でないから、多くの患者が療養病床などで「社会的入院」を余儀なくされている。 他の先進諸国と比べ療養病床が多く平均在院日数が長いのは、貧弱な住宅政策や在宅医療の整備の遅れなど国の施策に問題があるためで、そのツケを患者や家族が負わされているのだ。 厚労省や財務省は強調しないが、病床当たりの医師数や看護職員数は、他の先進国の数分の一にすぎない。 それでも日本が健康寿命で世界トップレベルを維持しているのは、誰もが平等の医療を受けられ、安上がりな国民皆保険制度による点が大きい。 だが財政再建を優先し、医療費の自然増を必要以上に抑え、その尻ぬぐいを患者に回すようなやりかたを、このまま続けていいのだろうか。 超高齢社会を迎え、医療費の増加は避けられない。国民皆保険制度を維持するには、若者も高齢者も企業もさらなる負担を迫られている。 負担の在り方については国民的議論が必要であり、療養病床削減は患者や家族の理解を得るのが先決だ。』 . |
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| 2007.09.26 | ☆高齢者虐待 防止は地域の連携手厚く 26日、山陽新聞→ 『家庭内で六十五歳以上の高齢者が家族から暴行や暴言などの虐待を受けていたケースは昨年四月から一年間で一万二千五百七十五件に上っていることが厚生労働省の調査で明らかとなった。介護施設など施設内は五十三件だった。 虐待発見者に市町村への通報を義務づけるなどした高齢者虐待防止法が昨年四月に施行されたのを機に全国自治体を対象に初めて調査した。 国内の高齢者人口は約二千七百万人おり、高齢者約二千人に一人が虐待を受けている計算だ。専門家は水面下に隠れた虐待がもっとあるとみており、相談・通報体制の充実が大切だ。 家庭内の虐待についてみると、身体的虐待が64%と最も多く、次いで暴言などの心理的虐待、介護などの放棄、財産を勝手に処分する経済的虐待が続く。 虐待を受けた高齢者は、男性23%に対し女性が77%と圧倒的に多い。全体の約四割が介護の必要な認知症だった。 虐待していたのは息子が37%で、夫と娘がそれぞれ14%、息子の妻は10%だった。男性が多いのをみると介護に不慣れなことも要因となっているとみられる。認知症への家族の理解を深めるとともに介護技術を学ぶセミナーなどの取り組みが有益だろう。 虐待の三件に一件は自治体が一時保護したり、介護施設に入所させるなど家族から引き離す措置を取っている。分離しないケースでは介護保険の利用やケアプランの見直しを行ったが、四割は助言や指導で対応している。 虐待防止のため、介護する家族の負担を少しでも軽くする取り組みが重要だ。行政だけでなく、自治会やボランティア、介護施設などの連携強化が求められる。』 . |
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| 2007.09.24 | ☆自治体病院 集約に知恵を絞る時だ 23日、北海道新聞→ 『道と関係機関でつくる道医療対策協議会が道内の自治体病院を再編・集約する「広域化・連携構想」のたたき台をまとめた。 構想では、全道を三十の区域に分けてそれぞれに中核病院を設け、医師と医療機能を集約する。 経営難にあえぐ自治体病院の規模を適正化し「共倒れ」を防ぐとともに、勤務医の過酷な労働環境を改善して医師の定着を図りたい考えだ。 住民の意見を広く聴いたうえで、道の成案を年内に示す。その後、関係市町村で協議を進め、合意が得られた地域から実施する方向だ。 中核以外の病院は、病床数が十九以下の診療所として存続する選択を迫られるかもしれない。 とはいえ、手をこまねいていれば、病院だけでなく自治体の財政そのものに深刻な影響を与えかねない。再編・集約はもはや避けられないだろう。 道内には市町村立と道立合わせて百四の自治体病院がある。道は、日赤などが経営する三十三の公的病院を含めて、患者の通院動向を調べ、全道百八十市町村を三十区域に分けた。 中核病院に想定しているのは病床数がおおむね二百床以上の病院で、入院治療を賄える二次医療機関かそれに準じる機能を求めている。 問題は中核以外の自治体病院の医療機能をどこまで維持できるかだ。 住民が危惧(きぐ)する医療面の地域格差をできるだけ生まないように、病床を減らしてでも外来機能を残し、初期診療体制を確保する努力をしてほしい。 中核病院などから医師を定期的に派遣できるかどうかが鍵を握る。対策として、若い医師の臨床研修の場として自治体病院を積極活用する取り組みを真剣に考えるべきだ。 再編・集約化は各医療機関の連携と機能分担なしにはあり得ない。 軽症の患者は最寄りの開業医・診療所を受診し、入院が必要になれば中核病院などに回るといった自治体の枠を超える連携を強めねばならない。 たたき台によると、中核病院まで二時間以上かかる例も出そうだ。住民の意向と利便性を最優先し、区域分けのあり方を見直す柔軟さが必要だ。 中核病院までの交通手段の確保と救急搬送体制の充実、公的病院と医師養成大学の協力を得ることは行政の重要課題だ。病院には経費削減による経営健全化が引き続き求められる。 再編・集約化には市町村の利害が絡む。現実に、首長が自ら、病院の診療所化を提案するのは難しいだろう。 調整の難航も予想される。ここは道の出番だ。 診療報酬の減額をはじめ、政府の医療費抑制政策が自治体病院の経営を圧迫したことは否めない。政府には、再編・集約に伴う財政支援や医師確保のための施策を求めていきたい。』 . |
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| 2007.09.24 | ☆高齢者虐待 地域の態勢づくりを急げ 23日、信濃毎日新聞→ 『家庭内での高齢者に対する虐待が、2006年度に1万2000件を超えたことが厚生労働省の調査で明らかになった。 水面下にはもっと多くの虐待が隠れているとの指摘もある。さらに詳しく調査を進める一方、市町村を中心に早期発見や予防に向け、態勢を強めていかなければならない。 昨年4月に高齢者虐待防止法が施行されて以来、厚労省が行った初の調査である。東京23区と全国の市町村、都道府県を対象に実施し、すべての自治体から回答を得た。 それによれば、65歳以上の高齢者が家族から暴行や暴言などの虐待を受けていたと自治体が確認したケースは、1万2575件に上った。介護施設などでの虐待は53件だった。 高齢者の約2000人に1人が虐待の被害に遭っている計算になる。介護施設での虐待を含め、「氷山の一角」との指摘も出ている。国や自治体は調査の手を緩めず、実態解明になお努めるべきだ。 家庭内の虐待についてみると、虐待された高齢者のうち、約40%が介護の必要な認知症だった。より弱い立場にあるお年寄りが、虐待を受けている。認知症に対する家族の理解を深めるとともに、介護する側を支える視点が欠かせない。 虐待していたのは息子が約37%、夫と娘がそれぞれ約14%、息子の妻が約10%だった。ほぼ半数が息子と夫ということになる。 家事に不慣れな男性に介護ストレスが高まり、加害の側に回りやすくなっていることも考えられる。若いころからの男女の固定的な役割分担の見直しも含め、幅広い観点から対策を検討したい。 高齢者虐待防止法は、対策の窓口を市町村に置いている。重大な危険が生じるような虐待を発見した場合には、市町村への通報を義務付けている。ケースによって市町村は一時的な保護や立ち入り調査をすることもできる。家族の相談、助言などの役割も担っている。 介護行政とも併せて、市町村の役割は極めて大きい。今回の調査で明らかになった虐待問題に対して、どう対処していくのか、早急に検討を進めなければならない。 そ の際大事なのは、警察や介護施設など関連機関やNPO法人、ボランティア団体、地域の自治会などとのネットワーク態勢の強化である。日ごろからのきめ細かな連携によって家族を支え、虐待の芽をつみ取ることが重要だ。 都道府県や国は、財政、マンパワーなどの面から、市町村を積極的に支援し補完する責任が重い。』 . |
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| 2007.09.24 | ☆高齢者虐待 深刻さに見合う支援の充実を 23日、愛媛新聞→ 『六十五歳以上の高齢者が家庭内で家族らから虐待を受けた件数が一年間で一万二千五百件余りに上ることが、厚生労働省の全国調査で分かった。 この調査は高齢者虐待防止法が昨年四月に施行されたのを受け、全市町村と都道府県を対象に行われた。これほど家庭内の高齢者虐待が広がっているとは驚きだ。 法施行から一年半になるが、深刻きわまる実態は早期発見や支援対策の充実強化を迫っていることにほかならない。 防止法は高齢者虐待に気付いた場合は市町村へ通報するよう規定している。昨年度、全国の市町村が受け付けた相談や通報は計一万八千件を超えた。訪問調査などの結果、この七割近くが虐待と確認された。 三年ほど前に厚労省の委託で行われた民間機関の調査結果では市町村への相談件数は約六千件だったから、急増ぶりが分かる。防止法効果で虐待が表面化した部分もあるだろう。 ただし、一方では水面下での虐待が依然として多いのではないかとの指摘もある。虐待を隠す傾向が根強くあったり、虐待された意識が薄い高齢者が少なくなかったりするためだ。防止策を充実させる前提として、さらにきめ細かい実態把握が必要なことを指摘しておきたい。 今回の調査結果にはいくつか特徴がうかがえる。 虐待の内容は、たたいたりする身体的虐待(64%)が最も多く、ついで暴言などの心理的虐待(36%)、介護などの放棄(29%)、財産を勝手に処分するなどの経済的虐待(27%)などと続く。 虐待する側は同居の家族が大半で、息子が37%、夫が14%、娘が14%、息子の妻が10%などの順だ。男性による虐待が目立つのに対し、虐待された高齢者は女性が77%と圧倒的に多い。こうした特徴にも目を向ける必要がある。 県内の市町で確認された百九十一件についても、ほぼ同様の傾向となっている。 では、どうして虐待が起きるのか。さまざまの要因が複雑に絡み合ってはいるが、介護負担の問題や、高齢者と虐待する側との人間関係の問題が大きなポイントだろう。 なかでも、虐待の背景にある介護の厳しい現実を見過ごせない。虐待を受けた高齢者の四割は介護を必要とする認知症であったし、別の調査では虐待した側の六割までが介護の主たる担い手だった。そこからは負担の重い介護に悩む家族の「介護疲れ」も浮かび上がる。 その意味でも虐待の未然防止が非常に重要であり、地域、福祉機関、自治体による相談・支援体制の強化が欠かせない。警察や医療機関も含めた関係機関の機動的な連携を一層進める必要がある。 虐待防止法では、とりわけ市町村に対して重要な役割が求められている。虐待やその危険が大きい場合、家庭や施設への立ち入り調査、一時保護、介護施設への入所など迅速で効果的な対応が肝要だ。』 . |
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| 2007.09.19 | ☆人工透析で収賄 医師紹介 不透明さ排せ 19日、中国新聞社説→ 『県立広島病院(広島市南区)の前副院長(65)が収賄の疑いで逮捕されたのに続いて、後輩の開業医(55)もきのう、贈賄の疑いで逮捕された。人工透析の患者紹介の見返りとして多額の商品券を授受した疑いだ。患者をめぐる不明朗なやりとりがあったとすれば、徹底的に究明しなければならない。 前副院長は、広島県内では人工透析や腎臓移植などの第一人者ともいわれる。一九九六年、広島病院に腎臓総合医療センターが開設されるとともに、初代センター長に選ばれた。 その在任中の二〇〇五年七月から〇六年一月までの間に、後輩の開業医から、四回にわたって郵送された百数十万円の商品券を謝礼として受け取ったとされる。 腎臓の働きが落ちてくると、排出されるべき老廃物や毒素が体内にたまってくる。それを、おおむね週三回の「血液濾過(ろか)」によって取り除くのが人工透析だ。大きな病院が初期治療をした後に、開業医などが患者を引き継ぐ。 開業医はかつて、透析患者がいれば経営に心配はいらないとまで言われていた。治療は一生続く。しかも当初は診療報酬が高かったからである。 ところが今や患者は全国で二十六万人に達し、それにつれて増えた開業医の競合も激しい。一方で医療費抑制というブレーキ。診療報酬は一カ月で一人約四十万円と半減し、経営も大変だ。一人でも患者を確保したい気持ちが、事件の根にあったのだろうか。 広島病院は、年間六十人程度を市内七区と二市町の十七医療機関に紹介している。だから極端な優遇はできず、贈賄側の収容能力もそこまで大きくないはず、との見方もある。先輩後輩の儀礼の範囲ではないか、との声もある。 しかし市民感覚では、儀礼にしては高過ぎる。患者からすれば自分の処遇に金銭が絡んでいたようで不愉快だろう。これ以外にも不明朗なやりとりがなかったかどうかも含めて、解明を急いでほしい。病院が近く設ける検証委員会による調査結果も待たれる。 近年、主治医の紹介にそのまま従うのではなく、インターネットなどで集めた情報と考え合わせて「行き先」を決める透析患者も増えている。 ところが法的な規制もあり、設備やサービスなど欲しい情報が必ずしも得られない。「選びやすい環境」を整えて紹介の透明化を図ることも考えたい。』 . |
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| 2007.09.17 | ☆敬老の日 社会保障の安定が老後の安心に(読売新聞) 介護保険制度も、コムスンの不祥事を機に、介護現場の低賃金と、それに伴う人材不足という問題が浮かび上がった。不正請求を一掃し、無駄な給付の削減に取り組むなどしても、介護ヘルパーの待遇を十分に改善するのは難しい・・・(9/17) . |
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| ☆敬老の日 安心できる長寿大国に(中国新聞) 介護保険も同様だ。厚生労働省は〇六年度から事業者に支払う介護報酬を引き下げる一方、要介護度の低い人に対する家事援助などのサービスも制限している。単に介護費用の削減だけでなく、サービスと報酬のあり方を含め、このままでいいのか議論が要る・・・(9/17) . |
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| 2007.09.15 | ☆「介護放棄死」判決 「公」の責任も見逃せぬ/広島の事件 15日、中国新聞→ 『寝たきりなどの人の世話を続けていると家族にもストレスがたまる。ひどい場合には虐待にも至りかねない。そうした悲劇を防ぐ意味も込めて始まったのが介護保険制度である。介護を家族だけに押しつけず、社会全体で支えていこうという理念に基づく。 広島地裁で出された「介護放棄死」判決は、あらためて社会での介護の在り方を考えさせる。 事件は昨年末に発覚した。広島市安芸区で男性(60)が遺体で見つかり、一緒に住みながら十分な食事を与えなかったとして、妻(63)と長男(37)が保護責任者遺棄致死罪に問われた。 奥田哲也裁判長は「家族としての情愛や、身体障害者に対するいたわりの気持ちがみじんも感じられない」と妻に懲役六年、長男に同五年の判決を言い渡した。 男性は脳出血の後遺症で寝たきりに近かった。家族から見放されて死を迎える心情はいかばかりだったか。 ただ家族は最初から見捨てていたわけではなかった。自宅を車いす用に改造したり、デイケアに連れていったりもしていた。それなのになぜここまで追い詰められたのか、なぜ第三者が介入できなかったのかをこそ、考えなければなるまい。 公判などで経緯が明らかになっている。妻は毎日きつい職場でぐったり疲れていた。長男は介護タクシーの起業に失敗し、職探しで頭がいっぱいだった。その中で次第に介護の「押し付け合い」「手抜き」が始まり、ケアマネジャーも訪問できない状態になった…。 こんな場面に遭遇したら、ケアマネは「おかしい」と気付き、介護サービス事業者か地域包括支援センター、区健康長寿課に知らせ、複数の人で「介護者をサポートする」または「家族から分離する」などの対応を考えることになっている。 今回この仕組みがうまく働かなかったために事件につながったとも考えられる。判決は「公のシステム不全」にも触れて警鐘を鳴らしてほしかった。 判決を受けて、広島市は裁判資料を取り寄せるなどして事件の背景を探るという。男性の情報が市にまで届かなかったのは、ケアマネが気付かなかったのか。気付いたのに受け皿やルートに不備があったのか。同様の事件が再び起こらないように、書類だけでなく当事者の聞き取りも含めて検証をしなければならない。』 . |
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| 2007.09.07 | ☆コムスン譲渡 介護保険を見直す契機に 7日、山陽新聞は社説で以下、論じている。 『介護事業の不正で行政処分を受けた訪問介護最大手コムスン(東京)の事業譲渡をめぐり同社の第三者委員会は、訪問介護などの在宅事業について四十七都道府県の全事業所の売却先を決定した。 コムスンの在宅サービス事業所は全国で千百カ所ある。介護大手ジャパンケアサービスが東日本の十三都道県、セントケア・ホールディングが四国、九州を中心に香川など十二県、ニチイ学館が五府県で選ばれ、大手企業を中心に十六事業者に分割される。岡山、広島など中国地方の四県は、サンキ・ウエルビィ(広島市)が引き継ぐ。 有料老人ホームなど施設事業は、ニチイが二百十億円で買収することが既に決まっており、六カ所ある高級有料老人ホームを除けば、コムスンの介護事業すべての売却先が決まったことになる。 引き受け手が現れずにサービスの受けられない「介護難民」が発生する事態は避けられる見通しとなった。不安を抱えていた利用者にとって、まずはひと安心である。 在宅介護を引き継ぐ事業者は、サービスの質を維持することに努力しなければならない。コムスンの売り物であった二十四時間訪問介護や離島、過疎地での事業、障害者支援などは、利用者にとって生活を維持するための「命綱」だ。社会的責任をしっかりと認識してほしい。 コムスンは、ホームヘルパーの名義借りなどの虚偽申請で介護保険の事業所指定を不正取得した。発覚後はグループ内の別会社に事業を譲渡して「処分逃れ」を図り批判を受けた。介護事業からの退場は当然である。 介護事業者は、不正が発覚すれば今回のように厳しい処分を受けることを肝に銘じる必要がある。法令順守を徹底させねばならない。 コムスンの問題は、現在の介護保険が抱えている制度の不備も浮かび上がらせた。名義借りなどの不正の背景には、慢性的な人手不足がある。介護労働者の多くが過酷な条件で、低賃金労働に甘んじている。離職率も一般労働者より高い。介護福祉士の資格を取った人の多くが、別の業界に職を求める傾向がある。待遇改善は急務である。 介護報酬は三年ごとに改定されるが、昨年の介護報酬の改定では、重度に厚く軽度に軽くなり、在宅介護中心の事業者は苦しい経営を迫られた。効率的人員配置を妨げる硬直的な配置基準なども福祉関係者から指摘されている。報酬体系も含め制度全体にわたって見直しが求められる。必要な財源についても論議が避けられない。』 . |
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| 2007.09.06 | ☆コムスン譲渡 サービスが滞らぬように 6日、信濃毎日新聞は、社説で以下、論じている。 『介護事業から撤退するコムスンの事業譲渡先がほぼ決まった。長野県内は大手のニチイ学館が引き継ぐ。全都道府県で引き受け手が決まり、お年寄りがサービスを受けられなくなる事態は回避できる見通しとなった。 まずはひと安心だが、問題は解決していない。コムスンの不正をきっかけに、介護業界の深刻な人手不足が明るみにでた。民間事業者が競いつつ質の高いサービスが提供できるよう、保険制度の見直しにも踏み込む必要がある。 コムスンの事業譲渡先は、有料老人ホームなどの施設事業と、主力である訪問介護などの在宅サービスに分けて公募した。有識者でつくる第三者委員会が、その中から現在のサービスを継続することなどを条件に選んだ。 施設事業は一括してニチイ学館に譲渡する。在宅サービスは都道府県単位で売却先を選んだ結果、大手企業を中心に16事業者が引き受けることになった。 長野県で事業を引き継ぐニチイ学館は、コムスンと並ぶ介護業界の大手だ。既に県内で在宅事業を展開している。コムスンのグループホームも運営することになる。 選ばれた事業者には大きな責任が生じる。引き受けたものの「採算が合わないので止める」のは許されない。お年寄りの生活環境を考えれば、できる限りいまの職員がそのままサービスを続けられるよう、配慮を尽くしてほしい。 売却先が決まっても、問題は積み残したままだ。ごまかしを防ぐ第一は、新たに事業者を指定する際に人員配置などの確認をきちんとすることだ。広域で事業展開する企業の検査態勢も考える必要がある。 さらに、介護報酬の問題にも踏み込まねばならない。ヘルパーの名義借りなどコムスンが不正を重ねた背景には、訪問介護の経営が苦しいという事情がある。 ホームヘルプサービスで受け取る報酬は保険で決められ、経営努力を反映しにくい。保険支出を抑えるために、国は報酬単価を下げており、ヘルパーの待遇は悪化している。離職率も年間2割に達し、人手不足は深刻になる一方だ。 経営が厳しくなれば、不正が繰り返される心配がある。小規模事業者が撤退し、大手だけが生き残って選択肢が減るのは、利用者にとっていいことではないだろう。 財源の問題はあるものの、介護報酬と労働実態を踏まえた論議を急がねばならない。担い手が減り続ければ、介護を社会で支える保険制度の根幹が崩れてしまう。』 . |
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| 2007.09.06 | ☆コムスン譲渡 介護職員の人材確保策も必要だ 6日、読売新聞社説は、以下、論じている。 『必要な介護サービスが打ち切られたり、低下したりすることが、あってはならない。 虚偽申請などの不正行為で、介護事業からの撤退を迫られた訪問介護大手「コムスン」の事業譲渡先が決まった。 訪問介護などを行う全国約1000の事業所とそのスタッフは、都道府県単位で、同業大手の「ニチイ学館」など16事業者に譲渡される。 コムスンに対する厚生労働省の“退場処分”から約3か月でめどがつき、引き受け手が現れない地域もなかった。大きな混乱は、とりあえずは回避されたと言えよう。 問題はこれからだ。7万人に上るコムスン利用者の不安が、ぬぐい去られたわけではない。 コムスンは24時間いつでも応じる介護サービスが売り物で、多くの利用者が頼りにしている。他に同様のサービスをする事業者がほとんどないためだ。これが今後も継続されるのかどうか。 引き受ける事業者は、コムスンが取り組んできた「24時間介護」をきちんと継承することが重要だ。 不祥事を起こしたコムスン経営陣の姿勢は問題だが、現場のヘルパーへの評価は高い。その能力を生かし、各事業者は24時間介護を積極的に拡大することで、利用者の不安を一掃すべきだ。 コムスンの不正は、事業所を開設する際に、規定の人員がいないのに基準を満たしているように虚偽申請したもので、順法意識を欠く悪質な行為だった。厚労省と都道府県は、監視や指導を強化して再発を防止しなければならない。 ただ、背景にある問題として、現行の介護報酬では職員の待遇を改善できず、その結果、業界全体が深刻な人手不足に陥っていることも指摘されている。 介護職場の平均月給は約21万円にすぎない。介護保険制度が始まった2000年当時は不況で、低賃金でも人材は集まったが、景気回復とともに他業種に流出している。介護福祉士の国家資格を持つ人は47万人もいるのに、実際に介護分野で働いている人は27万人しかいない。 虚偽申請は論外だが、退職者の穴を埋められず、結果的に基準違反が続いている事業所は少なくないと見られる。 高齢化が進行して介護を必要とする人が増える中で、介護職員を十分に確保していくには、一定の給与水準を保証できるように介護報酬を組み立て直すことが必要ではないか。 介護保険の無駄な給付や不正請求の一掃にも、同時に取り組むべきであることは言うまでもない。』 . |
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| 2007.09.04 | ☆産科医不足 役割分担を急がねば 3日、信濃毎日新聞は社説で以下、論じている。 『(長野県)須坂市の県立須坂病院など、県内の総合病院でお産の受け入れを休止する事態が相次いでいる。産科医不足はここ数年で急速に進み、身近な場所でお産ができなくなる状態が広がっている。 お産の場を維持するには、医師を増やすとともに、医療機関の連携や助産師の活用など緊急対応が必要だ。このまま医師不足が進めば、世界でもトップレベルの周産期医療を揺るがしかねない。 2001年にお産を取り扱う医療機関は、県内に68あった。急速に医師不足が進み、今年8月には51施設に減っている。 さらに、9月から松本市の国立病院機構松本病院が産科を休止する。駒ケ根市の昭和伊南総合病院、県立須坂病院は、来年4月以降のお産の受け入れを取りやめる。年間4-500件の出産を扱ってきた産科の休止は、地域に与える影響が大きい。 全国的に産科医不足は深刻で、大学の医局に派遣を求めても、募集をしても医師はなかなか集まらない。国は医学部定員を増員する方針を打ち出したが、効果が見えるのは随分先の話になる。 これ以上産科を減らさないためには、医師の負担を軽減するよう、役割分担を急がねばならない。 一つは医療機関の連携だ。飯田・下伊那地区ではお産を主に飯田市立病院で、妊婦健診を他の病院や診療所で分担するシステムを行っている。妊婦にとって複数の病院にかかる負担はあるが、やむを得ない措置だ。地域の実情に合わせて、医療機関のネットワークを整えたい。 二つ目は助産師がお産にかかわる場を広げることだ。正常産は助産師だけでも対応できる。医師に代わって妊娠の経過を診る助産師外来も広がってきた。 県は助産師支援検討会を開き、本年度中に助産師対象の研修会を開く予定だ。超音波診断など助産技術の向上を図り、いずれは県内の病院でも助産師の介助で出産できる院内助産所を開設できるようにしたい。数は少ないが、開業助産所と医療機関の連携も大事になる。 産科医は女性の割合が高くなっている。妊娠、出産をはさんでも働き続けられるよう、時短勤務やワークシェアといった工夫も必要だ。 奈良県では腹痛を訴えた妊婦の搬送先が決まらずに、赤ちゃんが亡くなる悲劇が起きた。長野県では県立こども病院を中心とした周産期医療システムで空きベッドを把握し、母子を受け入れる仕組みになっているものの、産科を持つ病院が減れば、システムが揺らぐ。手をこまぬいてはいられない。』 . |
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| 2007.08.31 | ☆妊婦たらい回し 一刻も早い産科救急の整備を 31日、読売新聞社説は以下、論じている。 『産科の緊急医療体制の欠陥がまた、悲劇を招いた。 奈良県の妊娠7か月の女性が大阪府の病院へ運ばれる途中、救急車内で死産した。九つの病院に受け入れを断られ1時間半も搬送先が決まらなかった。 奈良県では昨年8月、公立病院で分娩(ぶんべん)中に意識不明になった妊婦が19病院に受け入れを拒否され、死亡している。 妊婦のたらい回しは、首都圏をはじめ全国で起きている。今回のような例は氷山の一角ではないか。一刻も早く、妊婦や新生児の緊急搬送システムを構築し、お産の安全を確立することが必要だ。 奈良県の妊婦は未明に出血した。通報を受けた消防は、奈良県立医大病院に受け入れを要請したが、宿直医が診察中などという理由で要請を3回断られた。 しかし、空きベッドはあった。なぜ受け入れられなかったのか。窓口の職員と医師が十分に意思疎通できていたのかどうか。仮に医大病院が無理だったとしても、消防と協力して、別の受け入れ先を探すことができたのではないか。 やっと40キロ離れた大阪府高槻市の病院を見つけたものの、搬送中の救急車が事故に遭い、到着は通報から3時間後になった。もっと早く搬送できていれば、胎児は助かったかもしれない。 奈良県や大阪府は、空きベッドの有無や医師が対応可能かどうかをパソコンで確認する産科病院の相互支援ネットワークを、それぞれ設けている。 だが、ネットワークは、病院間での搬送が前提になっていて、医師が病状を確認していないと、搬送のシステムが動き出さない。今回の妊婦のように、かかりつけの医師がなく、消防から直接要請を受ける場合は想定していなかった。 重篤な患者については、救急車からの要請にも対応できるよう、運用を改善すべきではないか。 奈良県は、リスクの高い妊婦や胎児を専門的に診療する「総合周産期母子医療センター」の設置も遅れている。 厚生労働省は、今年度中に全都道府県が整備するよう求めてきたが、奈良県は医師不足から、山形、佐賀、宮崎の3県とともに来年度以降にずれ込みそうだ。こんな地域格差があってはならない。 産科医不足は深刻だ。2004年までの10年間で7%も減り、1万人余になった。出産を扱う医療機関も05年までの12年間に1200施設が閉鎖された。 厚労省は来年度予算の概算要求に医師不足対策費160億円を盛り込んだが、養成には時間がかかる。当面の対策として、自治体や医療機関が緊密に連携した広域的な救急体制を整備すべきだ。』 . |
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| 2007.08.27 | ☆介護労働者 仕事に見合った待遇を 27日、信濃毎日新聞は社説で以下、論じている。 『高齢者を支える介護の現場は、やりがいがあるものの負担が大きい仕事だ。そこで働く3割が、利用者から暴言やセクハラ(性的嫌がらせ)を受けたことがあるとの調査結果がまとまった。けがや事故に遭った人も12%に上る。 介護の職場で人手不足が深刻になっている。仕事に見合った報酬や、長く続けるための研修など、職場の魅力を高めないとますます人は集まらない。介護保険の報酬見直しを含め、踏み込んだ対応が必要だ。 調査は厚生労働省所管の財団法人「介護労働安定センター」が昨年秋、高齢者施設や訪問介護の事業者と職員に対して行った。 仕事内容の割に賃金が低い、休憩が取りにくい、健康面の不安がある-。働く側の悩みとしてこんな答えが上位を占めている。とりわけ、入所型の施設で働く負担感は大きく「夜間や深夜に何か起きるのではないか」と不安を訴える声が多い。 仕事中のけがや事故も、入所型施設の職員が多い。危うく事故になりかけた「ヒヤリ・ハット」を経験した人は約7割に上る。一方、家庭内で介護するホームヘルパーは、家族や利用者とのトラブルを訴える人の割合が施設職員より高い。 事業者からは、今の介護報酬では十分な賃金を払えない、サービス提供に関する書類作成が煩雑で時間がかかるといった声が出ている。「経営が苦しく、労働条件や福祉環境の改善をしたくてもできない」というのも本音だろう。 厚労省の05年の調査では、全労働者の平均年収が約450万円なのにヘルパーは約260万円。年間の離職率も2割に近い。 介護サービスの需要の拡大に、担い手側の供給が追いついていない。景気の回復で一般企業の求人が増えていることも背景にある。長野県の調査では、施設や訪問介護の事業者の約9割が、人材の確保が難しいと答えている。 厚労省はようやく人材不足に目を向けるようになった。能力に応じた賃金体系の導入や職員の情報交換の場作りなどを事業者に提案。施設職員の配置増の検討といった人材確保の指針案もこのほどまとめた。 しかし、保険給付を抑えるため、介護報酬が06年4月に引き下げられている。昨年度は初めて介護サービス全体の費用が前年を下回った。その分、経営は苦しくなる。 蛇口を締めながら、労働者の環境を良くせよ、といっても限界がある。費用を抑える努力は必要だとしても、質の高いサービスを育てるために、財源の在り方も含めて掘り下げた議論が必要になる。』 . |
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| 2007.08.27 | ☆コムスン施設譲渡 再発防ぐ検証は十分か 27日、中国新聞は、社説で以下、論じている。 『虚偽申請などの不正で処分を受けて二カ月余り、訪問介護最大手のコムスンの有料老人ホームなど施設事業は、介護大手のニチイ学館に譲渡する方向が固まった。コムスンの第三者委員会がきょう正式決定する予定だ。 不正の再発を防ぐための態勢は万全になっているのか。国は検証を十分にしたうえで、これまでのサービス水準を維持するよう働きかけ、利用者に不安のないようにしてほしい。 応募した五十二業者の中から、なぜニチイが選ばれたのか。コムスンが抱える二百を超す有料老人ホームやグループホームを運営するには、ある程度の事業規模が必要だ。ニチイは通所ケアなどを含めた介護サービスでは最大手であり、グループホームなどの運営実績が評価されたようだ。 その一方、最大手のニチイが事業規模を一段と拡大することは「ガリバー化」の心配もある。コムスンと同じような処分をもし受けるようなことになれば、影響は計り知れない。ニチイは昨年末、不適切な介護報酬請求があったとして、東京都から業務改善命令を受けたことがある。その後は、人員配置が適正か定期点検し、自治体への報告についても態勢の整備に取り組んできた、という。譲渡後もチェックは欠かせない。 コムスンの介護事業には、有料老人ホームやグループホームなどの施設事業と在宅介護サービスがある。今回決まるのは二百九カ所の施設事業の譲渡先だけだ。在宅訪問介護事業の譲渡先は、都道府県ごとに分割譲渡する業者の選定が進められ、第三者委は来月中旬までに決めたいとしている。 高齢者を介護する家族の負担を軽減しようと、介護保険制度がスタートして七年になる。予想以上に利用が伸び、財源が心配されるようになってきた。昨年の制度見直しでは、介護度が進まないよう高齢者の自立を促す試みもあったが、国の支出を抑える介護報酬の引き下げばかりに目が向いている印象が強い。 介護事業が、民間で安定して運営できるには、チェック機関の設置など監視体制の確立が欠かせない。人材確保への対策も要る。介護現場は低賃金で働く職員で支えられており、待遇改善がなければ今後の存続さえ危ぶまれる。 そのための負担はどうするか。コムスン問題は、介護保険制度を根本的に考えなければならないことを、一人一人に迫っている。』 . |
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| 2007.08.22 | ☆介護労働者 職場環境の改善が必要だ 22日、山陽新聞社説は以下、論じている。 『老人ホームや訪問介護などの介護職場で、過去一年間に業務中にけがをしたり事故に遭った経験がある介護労働者は12%もいることが、厚生労働省所管の財団法人「介護労働安定センター」の調査で分かった。利用者から暴言や暴力、セクハラ(性的嫌がらせ)を受けた人は30%に上った。 同センターによるこうした調査は初めてで、昨年秋に全国の特別養護老人ホームなどの施設職員や訪問介護にあたるホームヘルパーらを対象に実施し、二万九千百二十四人から回答を得た。 体が不自由なお年寄りを抱えたり、移動させなければならない介護の仕事は重労働だ。けがや事故と隣り合わせの上、利用者と良好な人間関係を保つのも大変な実態が浮き彫りになったといえよう。 「けがや事故を経験した」という人の内訳は、入所施設が18%と高く、通所施設13%、訪問系8%だった。「事故になりかけた」ヒヤリ・ハットは50%もあった。 事故などの形態は調査していないが、同センターによると入浴介助中に浴室で転倒したり、廊下や階段で移動中に高齢者と一緒に転んで窓ガラスを割って負傷するケースなどがあるという。 事故につながらない場合でも、重労働の影響で腰やひざなどの痛みを訴える人は多い。安全管理の問題とともに、体への負担を軽くして長く続けられる介護技術などの導入も大きな課題である。 また、暴言は16%、暴力とセクハラがそれぞれ7%だった。ほかに「利用者や家族の誤解・無理解で不愉快な思いをした」が20%、ひぼう中傷を受けたが12%、盗難のぬれぎぬも3%あった。 利用者からの暴言などは表面化しにくく、根深い問題だろう。しかし、トラブルを相談できる窓口の設置は63%にとどまった。トラブル解消だけでなく、介護労働者の悩みを受け止め、精神的負担を軽減するためにも各職場での相談窓口の設置は不可欠ではないか。 高齢者介護では、コムスンの事業所指定打ち切りを機に、低賃金など介護労働者の待遇問題がクローズアップされた。今回の調査では、心身への負担を減らす対策強化の必要性も痛感させられる。 介護への高い志があっても、低賃金や重労働などに耐え切れず辞めていく人は少なくない。人手不足は慢性化しているとされ、こんな状態では介護の質を高めることはおぼつかない。行政や事業者らには人材確保に向け、経済的な待遇改善に加え、健康で安全に働ける態勢整備が早急に求められる。』 . |
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| 2007.08.01 | ☆コムスン譲渡 利用者に不安を生じさせるな(社説) 1日、読売新聞社説は、以下、論じている。 『介護サービスの利用者に不安を生じさせることがあってはならない。 グッドウィル・グループの子会社で訪問介護大手「コムスン」が、事業の譲渡計画を厚生労働省に提出した。 問題はこれからだ。グッドウィルとコムスンは、介護サービスを優良事業者に円滑に引き渡す責任がある。 訪問介護など在宅系サービスの約1200事業所とスタッフは、都道府県ごとに分割して他の事業者に譲渡する。具体的な譲渡先は、社外の専門家で作る第三者委員会の意見を聞き、9月上旬までに決定する。 グッドウィルは当初、コムスンを一括譲渡する方針を示していた。その結果、同じ業界大手のニチイ学館やワタミが名乗りを上げ、商社も関心を示すなど、一時は買収合戦の様相を呈した。 だが介護保険制度には、悪質な不正があった法人の事業所はすべて指定更新しない、という連座規定がある。コムスンは、この規定が適用され、全面撤退となった。一括譲渡では同様のリスクがあり、再び混乱が繰り返されかねない。 また、全国展開する大手の介護会社に人材が集中してしまっては、地域の事情で異なる介護ニーズに応えにくい。 こうした点を考慮すれば、都道府県単位で譲渡する、という今回の方針は妥当であろう。 ただ、地域によっては引き受け手が見つからないこともあり得る。その場合は地元の社会福祉協議会が受け皿になるなど、介護サービスが途切れぬように手立てを講じる必要がある。 地域の事業者が一体となった協力体制作りも大事だ。厚労省と都道府県は適切な指導をすべきだろう。 コムスンは、24時間いつでも応じる介護サービスが売り物で、多くの利用者が頼りにしている。他に同様のサービスをする事業者がほとんどないためだ。 譲渡にあたっては、「24時間介護」にきちんと取り組むことが求められる。コムスンの“長所”を継承し、発展させられる事業者でなければならない。 コムスンの不正は、勤務実態のないヘルパーを登録して事業所を開設するなど悪質だった。今回の“廃業”は当然と言えよう。 だが、背景にある問題として、現行の介護報酬の仕組みでは職員の待遇を改善できず、業界全体が深刻な人手不足に陥っていることが指摘されている。 介護にたずさわる人材の確保策を、長期的な視野に立って検討することも急ぐべき課題である。』 . |
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| 2007.07.28 | ☆介護員の養成*欠陥制度の見直し急務 28日、北海道新聞は、社説で以下、論じている。 『訪問介護員(ホームヘルパー)の養成校の指定を道から受けた旭川の事業者が研修を完全に終えていない受講者八十二人に修了証を交付し、「研修を終えた」と道にうその報告をしていた。 講義や実習が中途半端なまま「ヘルパー」のお墨付きを与え、介護の現場に送り出していたわけだ。あまりのいいかげんさにあぜんとする。 事業者はヘルパー養成部門をすでに廃止しており、道は厚生労働省と協議して今後の対応を決める。 何人がヘルパーとして働いているか現段階では分からないが、事業者の責任において他の養成校で補習を実施するような救済策を講じるべきだ。 ホームヘルパーは高齢者や障害者宅を訪ねて介護や家事援助のサービスを提供する介護保険の担い手だ。 ヘルパー自体は国家資格ではない。都道府県か都道府県指定の事業者が行う研修を修了すれば、ヘルパーとして認められる。 事業者は履修計画や講師の履歴などを都道府県に届け出て、書類の内容が整っていれば指定を受けられる。 道外では過去、虚偽のカリキュラムを提出していた養成校の下で五百人の修了証が無効になった例がある。 だが、現行制度では、行政には指導や指定取り消しの権限しかない。 政府が介護保険制度を二○○○年に導入してから七年。ヘルパーの養成を民間にほとんど任せ、悪質な事業者を排除できない欠陥制度をいまだに温存しているのは怠慢ではないか。 厚労省は指定事業者の資格要件を厳格に規定すべきだ。都道府県がいったん指定した後も監査を定期的に実施したり、履修の事実を確認したりすることを義務づける必要がある。 問 題の背景には、介護保険導入に当たり、厚労省が民間事業者の参入を奨励したことがある。 その結果、ヘルパー養成分野にも多様な業種が参加した。長引く不況と公共事業の削減が拍車を掛けた。 質より量を重視した結果、福祉の理念を持たない事業者が「商機」ととらえて集まった側面はないのか。 指定事業者は全国に三千、道内に二百二十ほどある。研修修了者は全国に三百万人いるが、介護の仕事に就いている人は四十万人にとどまる。 このうち、四人に三人はパート労働を中心とする不安定な非正規雇用だ。しかも、仕事がきつい割に収入は少ない。定着率は決して高くない。 厚労省は福祉・介護従事者を安定的に確保するため、給与や待遇を含めた労働環境を整備し、質の高い人材育成の仕組みをつくる方針を決めた。 介護の従事者は将来、国家資格である介護福祉士に統一する考えだ。 これを機会に、介護の担い手の位置づけを明確にすべきだ。』 . |
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| 2007.07.28 | ☆コムスン譲渡 介護保険にもメスを 28日、信濃毎日新聞は、社説で以下、論じている。 『事業所指定の打ち切り処分を受けた訪問介護のコムスンについて、複数の事業者に事業を分割譲渡する方針が固まった。 在宅介護を続けている家庭にとって、ホームヘルパーは欠かせない存在だ。単純に“問題業者”がいなくなればいいという問題ではない。採算が取れない地域は切り捨てという結果にならないよう、国や地方自治体は受け皿作りに目を配ってほしい。 同時に、コムスンのような不正が繰り返されないよう、介護保険制度の見直しを急ぐべきだ。 厚生労働省から処分を受けたコムスンは当初、グループ内の企業に事業を譲渡する方針だった。処分逃れだと批判されたため、介護事業からの撤退を決め、一括して譲渡できる事業者を探していた。 分割譲渡へと方針転換した背景には、厚労省などの意向があるとみられる。民間企業への不信感が高まっている中で、一企業への集中を避けたいとの判断である。 地域に密着した事業者がコムスンの事業を引き受ければ、プラスの面が期待できるかもしれない。小回りの利く運営なら、「慣れたヘルパーさんにずっと来てもらいたい」といった利用者の声に応えられる。 だが一方で、採算が取りにくい地域や事業ではスムーズに引き継げるか、という問題がある。 都道府県を対象にした共同通信の調査によると、コムスンの事業所が廃止されると、少なくとも全国54の市町村で延べ760人がサービスを受けられなくなる見込みだ。県内でも伊那市のグループホームに通うお年寄り20人が、行き場を失う心配があるという。 事業を円滑に引き継ぐ責任はコムスンにある。ただ現実的には、行政や他の事業所がきめ細かい心配りをすることが求められる。 厚労省は今回の処分を受けて、介護事業者の規制などを見直す有識者会議を開いた。まずは、処分逃れを許さない法規制が必要だ。 さらに、不正請求の背景にある介護保険の問題に踏み込むべきだ。 急速に膨らむ介護報酬を抑えるため、単価が引き下げられている。事業者の経営は厳しい。ヘルパーの大半は低賃金で働いている。利用者の立場でサービスを決めるケアマネジャーも、現実には事業者とのはざまで難しい立場に置かれている。人手不足も広がりつつある。 介護報酬の引き上げは簡単ではないが、働き手の待遇改善に国はもっと知恵を絞るべきだ。低賃金、不規則な労働時間で支えているのでは、制度そのものが崩壊する。』 . |
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| 2007.07.28 | ☆高齢者虐待/まず情報の共有を急ぎたい 28日、河北新報は、社説で以下、論じている。 『高齢者に対する虐待が、東北でも深刻化してきた。23日には、実母(78)に対する傷害容疑で、山形県最上町の男(45)が逮捕された。日常的に虐待を繰り返していた疑いがある。 暴力や介護放棄からお年寄りを守り、尊厳を保持しながら健やかな生活を送ることを支援する高齢者虐待防止法が施行されたのは昨年4月。この間、幾つかの課題も浮上してきた。 法では要介護施設で虐待があった場合について都道府県に公表義務を課しているが、虐待の大部分を占める最上町のような家庭でのケースは一部市町村を除いて明らかにされていない。 そんな中、山形県が市町村の協力を得て、6月に独自に集計した家庭での虐待件数が注目を集めている。2006年度に通報があった65歳以上を対象にした虐待は、179件。被害者の8割が女性、虐待者の7割近くが息子と息子の配偶者という構図が浮かび上がった。 179件という数字が多いのか、少ないのか―。初めての統計である上に、他県とも比較のしようがない。 そもそも、虐待という病理に問題意識を持ち、積極的に対応している自治体ほど件数が上がる傾向にあり、件数の多寡だけで判断することはできない。 虐待の態様は千差万別といわれる。山形県の集計で見えてくるのも大まかな「傾向」にすぎず、実態や解決策を一般化することはかえって危険だろう。 だが、高齢者虐待防止法で「市町村相互間の連絡調整、情報の提供、助言」などを期待されている都道府県が、情報収集のキーステーションとなることには何の違和感もない。 付則では法施行後3年をめどに問題点を検討することになっている。プライバシー保護に最大限留意しつつも、対策の前提となる情報の共有について一層、意を用いるべきだ。 早い段階から社会的関心を集めてきた児童虐待と比べ、高齢者虐待は知見、対策、人材育成面などで後れを取っている。 マニュアルを作成している自治体もあるが、都市部と農村部などの地域特性、家族構成、経済状態、関係者の性格などが違い、画一的な答えを見いだすのが困難な場合がほとんどだ。 分かっているのは民生委員、NPO、介護保険サービス事業者、警察、医療関係者など、あらゆる地域資源を動員して早期発見、解決に当たるしかないということだ。 神奈川県横須賀市や東京都北区は、虐待をしている介護者を対象にメンタルヘルス相談を実施することで、心理的負荷を軽減する取り組みを続けている。 虐待は「する―される」という閉じた関係に、第三者が介入することによってしか解決されない。 山形県は27日、弁護士や学識経験者からなる東北では初の「高齢者虐待防止県民会議」を創設した。個別の具体策については専門部会を設けて、検討していくという。高齢社会に一足早く突入した東北であればこそ、「虐待防止モデル」を全国に先駆けて発信していきたい。』 . |
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| 2007.07.22 | ☆コムスン分割譲渡 利用者が困らぬように 22日、中国新聞社説は以下、論じている。 『介護は何より「人と人」の信頼関係が前提のサービスだ。事業所指定の打ち切り処分で、訪問介護大手コムスンの親会社ク ゙ッドウィル・グループ(GWG)は事業を複数の業者に分割譲渡する方向で最終調整に入った、という。利用者が困らないよう、業者と行政が連携し、地域ごとにきめ細かな対応をするべきである。 GWGの折口雅博会長らは当初、一括譲渡を優先する考えを表明していた。ハンドルを分割譲渡へ切るよう促したのは、一括譲渡で独占的なガリバー企業が誕生すれば再びコムスンのような不正につながる恐れがある、という国や自治体の強い懸念だ。 ただ、コムスンの事業を地域別やサービス内容ごとに分割した場合、介護報酬が比較的多く稼げるサービスや、収益性の高い 都市部に買収の希望が集中するといった事態も考えられる。 共同通信社が、都道府県を対象に今月実施したアンケートでも、中山間地での不採算事業所や深夜まで対応する訪問介護などコムスンが独自に提供してきた地域やサービスについては、代替が不可能という回答が目立つ。都市部でも、認知症のグループホーム利用者らが他のホームに収まりきらないのでは、という声があった。 二〇〇〇年度に介護保険制度がスタートしたのは、家族介護で困窮した状況を「社会的に支える」のが原点だった。 民間競争力の導入で、福祉サービスを質量とも高める方向が打ち出され、コムスンなどが進出した。もともと介護サービスは大きな利益が上がる事業ではない。折口会長が陣頭指揮するようになってリストラで人件費を極限まで抑え、無理な売り上げ増を図った末に、事業所の不正申請にまで走ってしまった。 一方で、国は介護保険の利用が予想以上に増えて財源不足が生じたため、〇四年度から保険制度を見直し、介護報酬の抑制を進めてきた。だが、介護現場の大半はパート従業員が頼り。低収入で社会保障も十分でないケースが多い。十分な処遇ができる仕組みを保障しなければ、今後ヘルパーなど働き手の確保は難しくなるだろう。 介護は、国や自治体が責任を持つべき問題である。民間に「丸投げ」ともいわれるような状況で、不正が十分チェックできなかった点には反省が必要だ。コムスンに代わる「受け皿」を、地域の実情に合わせて整備してほしい。 . |
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| 2007.07.20 | ☆07参院選 医療崩壊をどう防ぐ 20日、信濃毎日新聞は以下、論じている。 『医師不足が深刻さを増している。千曲市の長野赤十字上山田病院が、来年3月で閉院になる見込みだ。最初のお産と同じ医療機関で2人目の出産を希望したら、産科がなくなっていたという話も珍しくない。生活への影響がじわりと広がっている。 産科、小児科に限らず、多くの診療科で勤務医が足りない。このままでは病院から診療科がさらに減り、病院自体がつぶれていく医療崩壊につながりかねない。医師不足対策は、参院選で有権者の関心が高いテーマの一つだ。 医師不足が深刻になったきっかけは、2004年度から始まった臨床研修制度である。研修医が地方の病院や負担の大きい診療科を敬遠するようになった。加えて、勤務医の開業も増えている。厚生労働省は、医師が足りないのではなく、“偏在”が問題だとしている。 こうした問題に、国レベルでの医師派遣システムで当面の解決を図ろうというのが自民、公明党の立場だ。問題が深刻な地域や診療科では医師の養成数を増やすことも認めている。だが、原則的にはいまの医学部定員を維持していく姿勢だ。 一方、野党は医師の絶対数を増やすことが必要だと訴える。 医療費抑制のため、医学部の定員はピーク時の約8300人から約1割減らされたままだ。 この数字を元に戻すべきだというのが民主党だ。経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でも日本の人口10万人当たりの医師数は少なく、他国並みにするには10万人足りないと指摘する。 共産、社民党も医療費や医師数を抑制する政府の方針を批判。共産党は薬剤師、助産師ら医療従事者も増やし、医師の負担を減らすと訴える。社民党は小児科、産科医を拠点病院に集める方針にも反対する。 国民新党は臨床研修制度の見直し、新党日本はこどもの心の専門医不足に触れている。 医師の仕事は質、量ともに増大している。医療の高度化などで、患者への説明に費やす時間も増えた。過労死になりかねないほど働いている医師は珍しくない。 まずは緊急対策が必要だが、与党がうたう国の派遣制度がどこまで機能するかは未知数だ。野党が主張する医師の増加は医療費の伸びにつながり、財源をどうするかが避けて通れない問題になってくる。 地方の病院が悲鳴を上げている状況に、どんな処方せんを出すのか。目先の対策を並べるだけでなく、掘り下げた論議を聞きたい。』 . |
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| 2007.07.17 | ☆07参院選 医療 根本からの論議尽くせ 17日、中国新聞社説は以下、論じている。 『安倍政権は医療費削減を主眼とする「小泉改革路線」を受け継ぎ、診療報酬の見直し、療養病床の大幅削減を進め、さらに七十五歳以上を対象とする新医療保険制度も二〇〇八年度から始める。高齢者の負担が増えるだけでなく、病床削減で行き場を失う入院患者が「医療・介護難民」になる恐れもある。 一方、産科、婦人科など深刻な医師不足が、離島や中山間地の病院を直撃し、お産や救急医療ができなくなる地域も出てきた。国民が安心して暮らせるには、緊急対策だけでなく、制度の根本的な再構築が必要だ。どういう方向をめざせばいいのか。 自民党は、医師確保のため六つの緊急対策を掲げる。都道府県からの求めで国が病院に医師派遣を要請、研修を受ける病院の定数見直し、勤務医の待遇改善、大学医学部の定員増など―。だが財源はどうするか。医学部定員の削減をはじめ、自民は改革大綱などを基に、医療費の抑制を積極的に進めてきた。緊急手直しにしても、これまでの検証をした上でなければ、場当たり的と見られても仕方あるまい。 公明党は、救急現場へ医師や看護師が同乗し駆け付けるドクターヘリの全都道府県への配備を法制化した、連立与党としての実績をアピール。産科、小児科の診療報酬アップなどを提示する。 これに対し民主党は、日本の医師数は十万人当たり二百人で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均二百九十人に比べ全体としても不足、と主張。まず約10%減となっている医学部定員を元に戻し、地域枠などを設けるとしている。 共産党は、国保の滞納世帯急増の現状から保険料引き下げを提案。窓口負担増の見直しを求める。社民党は、地方交付税の充実で自治体病院を守る、療養病床削減のストップなどを提起する。また、国民新党は過疎地での診療体制充実に目を向ける。 医療に今以上、国費を振り向けるのかどうかで政策選択は変わってくる。たとえ一時的に増えても、医師養成や治療法開発などに効率的に配分する方が、将来の削減につながるという見方もある。 医学部の地域枠にしても、地域医療を本来担うべき自治医大の現状分析のほか、防衛医大、産業医大の役割の見直しなど、もっと突っ込んだ制度論議が必要ではないだろうか。』 . |
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| 2007.06.25 | ☆医師不足対策 勤務医の負担軽減から 25日、信濃毎日新聞は、社説で以下、論じている。 『待ち時間が長くなって困る。近くの病院で診てもらえなくなった-。 医師不足を実感している人が4割以上に上ることが、日本世論調査会が行った面接調査で明らかになった。とりわけ、小規模の自治体に住む人の心配が強まっている。 地方の医師不足は深刻で、住民の関心が高い問題だ。政府・与党は国が医師を派遣する制度など医師確保対策を選挙公約の柱に掲げるが、実効性に疑問がある。目先の対策を並べただけでは、絵に描いたもちになりかねない。 調査によると医師不足を「大いに感じる」人は全体で16%に上り、都市の規模や地域によって差が広がっている。郡部で19%に上り、有権者人口10万人未満の都市では27%とさらに高い。地方の中核病院で医師不足が深刻な状況を裏付ける。 足りないと感じる理由は▽待ち時間が長くなった▽病院や一部の診療科が閉鎖した▽救急の対応が遅れた-など。お産ができる場所や小児科が足りないと訴える人もそれぞれ2割近い。 政府・与党がまとめた緊急対策の柱の一つは、国レベルの医師派遣システムを作ることだ。国立病院機構などに医師の派遣機能を持たせ、都道府県の要求に応じて、医師を送り出す。 世論調査の中でも、国や自治体が医師配置を調整することを求める声は強い。ただし実効性は疑われる。昨年秋に国立病院同士で地方の病院に医師を派遣する制度を始めたが、断られるケースが続出。半年で中止した例もある。国が掛け声をかけても、どれだけの医師を動かせるのかは未知数だ。 緊急対策は中期的な課題として、国家試験の合格者が3割を占める女性医師の活用をうたう。出産や育児で職場を離れた女性医師が復帰しやすくなるよう、研修や院内保育所の整備を挙げている。 女性たちが復帰したくてもできないのは、子育てしながら月何回もの夜勤や残業が当たり前の職場で働き続けることが難しいからだ。病院内に保育所をつくれば解決する問題ではない。男女ともに働きやすい環境をつくらなければ、地方の病院を離れる医師は増える一方だ。 何よりも、勤務医全体の負担を軽くすることが大切だ。診療行為に専念できるよう、看護師、助産師らとの仕事の分担の見直しは当然のことだ。開業医との収入の格差も縮める必要がある。 徹夜明けで疲れ切った医師が患者を診ている状況が当たり前、では医師不足は解消しない。』 . |
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| 2007.06.10 | ☆清濁ある介護保険業者 10日、宮崎日日新聞社説では以下、論じている。 『女性がお立ち台に上り、派手な扇子を振り回していたディスコはジュリアナ東京。バブルの末期を象徴するその仕掛け人は、グッドウィル・グループの折口雅博会長だった。 なぜ生き馬の目を抜くような世界から、事業所指定の打ち切り処分を受けるコムスンなどの福祉事業へ乗り出したのか―多くの人が違和感を持ち続けていた。折口会長はいろんなメディアで「父が失禁する姿を見て参入を決意した」とその理由を語り続けていた。 虚偽申請で指定を取り消される前、組織ぐるみで廃止届を出し処分を逃れていた。看板の掛け替えと批判されたグループ内企業への事業譲渡も凍結することを明らかにした。いずれも違法ではないが企業としての倫理観は欠如している。 処分を受け初めて行った会見で折口会長は「福祉をボロい商売だと思ったことは一度もありません」と話した。東証一部上場会社の経営者、それも日本経団連理事の言葉遣いとは思えない。図らずも怒りを抑えようとして「ボロい」という本音の反語に聞こえた。 昨年春から介護保険制度が見直され国は給付費を抑制している。ヘルパーの報酬も高くはなく人手不足の所も多い。介護保険制度の始まった2000年からこれまで、虚偽申請や不正請求で県内で十事業者が取り消し処分を受けている。 清濁あわせのむ形で制度が始まったからだろう。そういえば介護保険の発案者は収賄罪が確定した元厚生事務次官だった。折口会長は著作にこう書いている。「正しくないことをしたら損になる」。自分の将来を暗示していたのだろうか。』 . |
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| 2007.06.10 | ☆受け皿づくりを早急に/コムスン問題 10日、東奥日報社説は、以下、論じている。 『訪問介護最大手のコムスンが介護事業所の指定を不正に取得していた。厚労省は、全国にある同社の介護事業所の八割に当たる約千六百カ所について、来年四月から二〇一一年度までの間に順次、指定を打ち切るよう都道府県に通知した。県内は五事業所が対象になっている。 指定打ち切りは介護保険サービスからの撤退を意味する。コムスンの親会社のグッドウィル・グループの折口雅博会長は、コムスンの売却についてグループ外の同業他社へ一括譲渡し、従業員全員もそのまま移す案を最優先に検討しているという。当たり前のことだ。 サービスを利用している人の不安をなくすために、自治体や厚労省とも連携して、受け皿づくりを急いでもらいたい。 高齢化時代を支える介護事業は、「経営第一主義、福祉は二の次」であってはならない。 コムスンは、二十四時間三百六十五日体制の老人介護サービスを掲げて急成長した。一方では、なりふり構わない営業方法や成果主義を展開したといわれている。同社の不正は、全国の八事業所で発覚していた。そのなかには、弘前市にあったヘルパー派遣事業所も含まれている。この事業所は〇六年七月の県への指定申請時に虚偽報告していた。県がことし立ち入り調査したら、三人必要なヘルパーが二人しかおらず、一人は雇用契約自体が結ばれていなかった。 県は介護保険法に基づく指定取り消し処分に当たると判断し手続きを進めたが、直前に同社は事業所の廃止届を出した。東京など他地区でも同様のやり方で処分を免れていた。厚労省が悪質な処分逃れに当たると判断したのは、当然だ。 二〇〇〇年度から始まった介護保険制度は、民間からの参入を積極的に促してきた。業者の数やサービスの量を確保することを優先したきらいがある。 問題はコムスン一社だけにとどまらない。別の大手二社も介護報酬の不正請求で、東京都から業務改善勧告を受けている。今後は、サービスの質の重視へ向けて監査体制の強化が不可欠といえる。 グッドウィル・グループは当初、コムスンの全事業をグループ内の企業に譲渡すると発表した。厚労省はこの譲渡について違法ではない、との見解を示した経緯がある。指定取り消し処分を逃れるために事業所の廃止届を出すことの是非も含めて、制度上の問題点を洗い出す必要がある。場合によっては、法改正も視野に再発防止策を考えていくべきだ。 介護の現場の労働環境は、かなり厳しいといわれている。低い賃金で、長時間働かざるを得ない状況では、退職者も多くなる。人手不足がますます深刻になる。 総人口に占める六十五歳以上の割合は、〇五年には20.1%と五人に一人だ。五五年には、40%を超え二・五人に一人になるという。「前例のない高齢化社会が現出する」と、政府の白書はいう。こうした超高齢化社会の到来を見据えれば、介護事業者の質の向上や人材確保のほか介護保険制度の在り方も問われよう。』 . |
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| 2007.06.07 | ☆コムスン不正 悪質事業者に“退場処分”は当然だ 7日、読売新聞社説では以下、論じている。 『こんな不正がまかり通るようでは、介護保険制度の根幹が揺らぐ。当然の措置であろう。 厚生労働省は、訪問介護事業大手の「コムスン」が全国に展開する約2000事業所のうち1600余りについて、介護事業所としての指定を更新しないことを決め、都道府県に通知した。 コムスンの事業所は、指定の有効期間6年を過ぎた所から順次、介護保険業務ができなくなる。2011年末までは再指定も認められない。事実上の“退場処分”である。 コムスンの不正は、まず東京都で発覚し、青森、群馬、岡山、兵庫の各県でも見つかった。訪問介護などの事業所を新設する際、勤務していない職員を常勤ヘルパーに登録するなど虚偽書類を提出し、各地で事業所指定を受けていた。 それだけではない。各都県が問題事業所の指定を取り消そうとするや、先手を打って廃業届を出し、処分を逃れた。 業界大手としての自覚はもちろん、順法精神すら欠く行為だ。これでは、ほかにもさまざまな手口で介護報酬の不正請求を行っているのでは、と疑われてもやむを得まい。 06年に施行された改正介護保険法で、一つの事業所に重大な不正が見つかった場合、同じ法人が経営する他の事業所も指定更新しない、との連座規定が設けられた。厚労省はこれを初めて全国規模で適用した。法に則(のっと)った妥当な措置だ。 コムスンの利用者は6万5000人もいる。その大半は、事業所の指定期間が切れる前に、代わりの事業者を探さなければならない状況に追い込まれる。 だが、コムスンの親会社グッドウィル・グループはコムスンの全事業を別の連結子会社に譲渡する方針を発表した。 顧客へのサービスの継続と従業員の雇用確保を最優先するため、と説明しているが、事業譲渡でビジネスの実質的存続を図ろうとする意図が透けて見える。 介護という公共的な事業で、こうした法の裏を突くような手法を認めていいものか、厚労省は慎重に検討すべきだ。 業界大手の不祥事を機に、行政の姿勢も根本から改める必要がある。 介護保険は、サービスの担い手を確保するため、営利目的の事業者の参入も認める形でスタートした。行政は事業者の質より量を優先し、甘い指導を続けてきた。その結果、介護保険の総費用は7兆4000億円まで膨らみ、なお肥大化しつつある。 悪質事業者につけ込まれぬためには、厳格な処分とともに、制度全体の不断の点検も必要だろう。』 . |
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| 2007.05.27 | ☆週のはじめに考える 医療崩壊を食い止めよ 27日、東京新聞社説では以下、論じている。 『医療の崩壊とかクライシス(危機)といった言葉を耳にするようになりました。私たちの健康といのちを託す病院や医療の世界で何が起きているのでしょうか。 「医者がね、コンサートや寄席に通っているといったら、それだけで名医だと思ってもいいよ」。永六輔さんの著書「大往生」(岩波新書)で見つけた言葉です。 医療は患者と医師との人間的なかかわりの中で行われます。それだけに、医師には技術だけでなく、名曲を聴いたり落語を楽しんだりする心のゆとりを持って、治療に当たることが求められるのでしょう。 産科や小児科の医師不足 病院の勤務医がこれを聞いたらどんな反応を示すでしょうか。苦笑するか、または怒るかもしれません。「忙しくてそんな余裕はない」と。 医療の「崩壊」や「危機」とは、病院の医師が激務を理由に次々に辞めてしまい、産科や小児科などの診療科や外来の閉鎖が相次いでいる実情にあります。地元で出産できず、また小児科救急に対応できない地域が増えているのです。辞めた医師の多くは開業医に転じているそうです。昨年の開業件数は六千件以上といいます。 どうして、こんな事態になってしまったのか。前名古屋大病院長で国立長寿医療センター総長の大島伸一さんにうかがいました。四月に大阪で開かれた日本医学会総会で同じテーマで基調講演した大島さんは、医療制度の構造的な問題に踏み込んで説明します。 勤務医の過重な労働環境は、大学病院による医師引き揚げ問題が影響しています。二〇〇四年度から実施された新臨床研修制度で、研修医が自由に研修先を選べるようになり、研究が主体で症例の少ない大学病院に残る研修医が減りました。 大学病院が人手不足を補うため、地域の関連病院から医師を引き揚げるようになり、結果的に残された勤務医の労働環境がより厳しくなるという悪循環が始まったのです。 こうした状況を招いたのは、医師の養成、配置を大学の医局任せにしたからだ、と大島さんは言います。 人口動態、疾病構造、科学技術の進歩によって変わる医療需要に対して、医師、看護師など「ひと」、建物、機材など「もの」、医療費など「かね」の医療資源を適正に準備し配置していく国のグランドデザインがなかったというのです。 徒然草の第百二十三段に「第一に食ひ物、第二に着る物、第三に居る所なり。人間の大事、この三つには過ぎず。ただし、人皆病あり。病に侵されぬれば、その愁い、忍びがたし。医療を忘るべからず。この四つ欠けざるを富めりとす。この四つの他を求め営むを奢(おご)りとす」(一部略)と書かれています。 衣食住と同じ生活条件 医療とは古来、人間が生きる上で衣食住に匹敵する必須条件です。これを国民が等しく受けられないとすれば、やはり危機と呼ぶべきです。 政府も医師不足の解消に乗り出しました。「拠点病院から医師派遣」「医師確保法(仮称)制定」などが検討されているそうです。 しかし、医師を増やし待遇を改善すれば解決するほど単純な話ではありません。今こそ、医師を国民の共有財産として考え、あすの超高齢化社会への長期戦略を練るときです。 もう一つ、医療危機の大きな背景があります。あるいは、こちらの方が深刻かもしれません。現場の医師たちが使命感や誇り、自信を失いつつあるというのです。 肺結核で入院療養中だった石川啄木がこんな短歌を作っています。 そんならば生命(いのち)が欲しくないのかと、/医者に言はれて、/だまりし心!(「悲しき玩具」) 威圧的な医師に対する患者の無言の憤り、反発が読み取れますが、現代はどうでしょうか。 近ごろは、医師と患者の関係が逆転したといわれます。わがままで身勝手な患者や家族が増えたとも聞きます。現場の医師が、ささいなことで怒鳴り込まれ、訴えるぞと迫られる。そうした状況が日常化し、さらに医療事故で刑事責任を問われるケースも増えました。医師は自信を失って委縮し、ときにおびえているようにさえ見えるそうです。 医師側にも責任があります。医療ミスを隠したり、治療費を不正請求したりと不祥事が続出しています。医療の権威の低下が、医師への尊敬を損ねているのも事実です。 使命感支える社会の敬意 でも、医師の生きがいや喜びは、プロとしての能力を発揮し、患者から感謝されるという使命感の達成にあり、その使命感を支えるのは社会からの敬意、信頼です。これは教師や警察官にも共通の支えでしょう。 「医師を甘やかせという意味ではない」と断ったうえで、大島さんは語りかけます。 「人には生老病死がある。医療にはリスクがあり、医療はまた不確実だという悲しい側面もあることをご理解願いたい。医療側と患者側との間に良好な関係が築かれない限り、先には悲劇、不幸しかない」』。 . |
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| 2007.05.26 | ☆地方の医師不足 解消へあらゆる手だてを尽くせ 26日、愛媛新聞は社説で以下、論じている。 『地方の医師不足が大きな社会問題になっている。本県でも病院や診療所の休廃止、入院部門の取りやめ、診療日の削減などが続いている。特に南予では医療体制が急速に弱体化している。事態は深刻だ。 もともと過疎地域では医師確保が難しかったが、それに輪をかけたのが二〇〇四年度に始まった新臨床研修制度だ。 それまで新人医師の大半は出身大学に残り、大学病院や関連病院で研修に励んだ。大学は豊富な人材を抱え、過疎地に医師を送り出す余裕があった。 ところが新制度では新人医師が自由に研修先を選べるようになり、待遇が良く研修機会の多い都市部へ流出するようになった。大学は過疎地に医師を派遣する余裕がなくなった。 新制度は診療能力を幅広く身につけられるほか、自由意思の尊重、処遇の改善などで確かに有意義だろう。が、その陰で地域医療が崩壊しかけている現実を見逃すわけにはいかない。 対策として政府、与党は受け入れ病院の総定員を削減する方向で検討している。研修医が集中している大都市圏の定員を減らし、研修医を地方へ誘導する狙いだ。地域に定着する可能性も強まる。しかし、やり過ぎれば新制度の目的がゆがめられる。注意も必要だ。 臨床研修を終えた医師を対象にした調査では、大学病院について「雑用が多い」「待遇が悪い」などの不満が多かった。こうした点も改善しなければ地方への誘導は難しい。 ほかにも国公立大学の医学部に、卒業後に過疎地勤務を義務付ける「へき地枠」を創設する方向で政府、与党は調整に入った。入学定員百人当たり五人程度を同枠として増員する案が上がっている。 本県が提案してきた制度だという。実現すれば有効な対策となり得る。授業料の貸与や免除など財政的援助の仕組みが必要だが、ぜひ前向きに取り組んでほしい。 産科医や小児科医の不足に関しては、厚労省などは昨年まとめた「新医師確保総合対策」で出産時の事故に対する無過失補償制度創設や、小児科医、産科医を重点配置する拠点病院づくりなどの施策を打ち出した。医師の負担をできるだけ軽くする必要がある。 本県は人口十万人当たりの医師数が約二百二十四人(〇四年末)で、全国平均をやや上回っている。総体として特に不足はないものの偏在が目立つ。 このため県は過疎地の医療対策を本格化させており、昨年度は医学生への奨学金制度を導入した。地域医療を希望する医師を登録するドクターバンク創設の検討も進めている。 即効薬や特効薬はないにせよ、行政当局は今後もあらゆる手段を尽くし、地道に成果を積み上げていく必要がある。 自民党などは参院選の公約に医師不足対策を掲げる方針だが、これは政争の具にするような問題ではない。選挙に関係なく、可能なものから迅速に実行に移していくべきだ。 . |
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| 2007.05.23 | 介護保険 『障害者』との統合を | ☆介護保険改革 『障害者』との統合を 23日、東京新聞は社説で以下、論じている。 『介護保険制度の被保険者(保険料負担者)と受給者の範囲の拡大について、厚生労働省の有識者会議の意見が割れた。財源問題を正面から議論せずには前へ進まないことを厚労省は認識すべきだ。 有識者会議の中間報告は、介護保険制度の被保険者と、介護サービスを受ける受給者の範囲について「将来の拡大を視野に入れ、その見直しを検討すべきだ」という点では一致した。だが、具体的な拡大範囲では二案に分かれた。 二〇〇四年から始まった介護保険は、被保険者は四十歳以上、受給者は原則六十五歳以上となっている。 一つの案は、高齢や老化に起因する疾病を対象とした現行制度の基本的な仕組みを維持したうえ、被保険者と受給者の年齢を「三十歳以上」に引き下げる。 別の案は、年齢制限を撤廃するとともに受給者を高齢、障害など「要介護状態」になった理由を問わずに広げ、介護保険と障害者福祉政策を統合し「普遍化」を目指す。 介護保険論議が始まった十年前と比べ高齢化は進行し、若い世代の高齢者への理解が以前よりも深まったことや、被保険者と受給者の範囲を一致させるべきとの保険原理に立てば年齢引き下げは理解を得やすい。 意見が対立するのは「普遍化」だ。「社会連帯」の立場からの賛成に対し、反対意見は医療保険料に上乗せして保険料を徴収する現行方式では、負担増を嫌う若い世代の未納・滞納が増える恐れや、若年者は要介護状態になる確率が低いから障害者福祉を保険で賄うことへの抵抗感があることなどを挙げている。 厚労省のいうように「普遍化」は、介護保険創設時から目指していた理念だが、今回「普遍化」が浮上した背景には、要介護高齢者の増加のほか、障害者福祉政策の財源の不足を捻出(ねんしゅつ)しようとの狙いがある。 障害者福祉政策では財源確保の見通しの甘さが指摘されてきたが、財政の辻褄(つじつま)合わせを優先させ「はじめに普遍化ありき」で進めようとするから障害者団体も「個々人によって異なる障害者福祉の多様性が損なわれかねない」と懸念するのだ。 厚労省がまずすべきことは、高齢者介護、障害者福祉のそれぞれの過去の財政検証、将来見通しを正直に示すことである。 そのうえで障害を特別視するのではなく「社会連帯」の立場から国民共通の課題ととらえ、できるところから介護保険との統合を目指すべきである。 社会保障は、保険原理とともに所得の社会的再分配で成り立つ。この原則を忘れないようにしたい。』 . |
| 2007.0522 | 医師不足 制度再構築は国の責任 | ☆医師不足 制度再構築は国の責任 21日、中国新聞は、社説で以下、論じている。 『深刻な医師不足にどう対処するのか。先週末に開かれた政府、与党の「医師確保対策に関する協議会」で、総合対策を六月上旬までにまとめ、政府の骨太の方針に盛り込むことになった。 (1)国公立大学の医学部定員に、へき地勤務を条件に入学を認める「地域枠」を新設する(2)国立病院など中核的な拠点病院から、不足地域の病院、診療所へ医師を一年程度の期限付きで派遣する―などが対策の柱。地域枠は四十七都道府県にほぼ五人ずつ、全国で二百五十人程度定員を増やす。 これまで厚生労働省は「医師の総数は足りており、将来は過剰になる」としてきただけに、定員増を認める方向は一歩前進だが、それにしても遅すぎる。地域で診療できる医師を養成するには、最低でも十年以上はかかるからだ。 一方で、日本病院会の調査では、宿直をしている全国の病院勤務医のうち、約九割が翌日も通常に仕事をせざるを得ない状況がある。長時間の過酷な労働実態を放置したままでは、不足地域への医師派遣もそう簡単とは思えない。 そこで、開業医を幅広い疾患に対応できる「総合医」として養成し、救急や往診などもこなしてもらい、病院勤務医の負担を軽減するプランも浮上している。だが、日本医師会は「医師不足は国の責任」と反発しており、難航しそうだ。二〇〇四年からの国の研修制度改革で都市部に若手医師が集中し、過疎地などの不足を招いた背景があるからである。 リスクが大きいため敬遠され、病院の診療科閉鎖などが起きている小児科や産科には、特に「即効薬」が必要だ。出産・育児などでいったん退いた女性医師の復職を促進する対策や、診療報酬の加算などが検討されている。 問題は、誰が責任を持って制度の再構築を進めていくかである。診療報酬の見直しや療養病床の削減など、国は自らの医療費負担の削減ばかりに目を向けてきた。これまでの手法を改めるのでなければ説得力に乏しい。思い切って国費を投入し、企業にも負担を求める覚悟がなければ、抜本的な仕組みの実現は難しいだろう。 医師確保のための法案を、参院選後の臨時国会に提出することも考えられている。国の責任の取り方によっては、地方自治体の財政を一層圧迫することにもなりかねない。本当に実効性のある対策にするには、医療現場や患者らの声も聞き、論議を深めるべきだ。』 . |
| 2007.05.20 | 医師不足 増やすことも選択肢に | ☆医師不足 増やすことも選択肢に 20日、信濃毎日新聞は、社説で以下、論じている。 『担当科の医師が1人で60日連続勤務した。医療が高度化して診療時間は増えているのに、医師の数が増えない。女性医師が働きやすい職場は少なく、このままではさらに医師不足が進む。 いずれも、病院に勤務する医師の生の声だ。日本医労連が全国の病院勤務医の労働実態についてまとめた調査から、負担の重さが浮かび上がってくる。 長野県内では医師79人が回答を寄せた。時間外労働では、過労死認定基準の「月80時間」を超えた医師は24・6%もいた。1カ月に休んだ日は1日もない医師が15・2%。平均は3・7日だった。 県内でも医師がいなくなって診療科目を減らしたり、診療日数を減らす病院が相次いでいる。医師の数が多く1人の負担が軽い都市部の病院に移ったり、開業医に転じる医師が多くなるのも無理はない。 政府与党は18日、医師不足に関する協議会を開いた。6月上旬にも対策をまとめ、参院選公約の「目玉」にする意向でいる。 命に関わる重要な課題を、小手先の論議で終わらせてはいけない。いま、抜本的な対策を打ち出さないと地方の医療崩壊はますます進む。 厚生労働省は中核病院への医師の重点配置、出産時の事故に対する無過失補償制度創設などの対策を打ち出しているものの、思わしい成果は上がっていない。今後の論議の重要なポイントは、医師はどれだけ必要なのか、ということだ。 厚労省は、医師不足は都市部や一定の診療科目に集中する「偏在」が問題だとしている。一部の大学で医学部定員の増員を認めたが、あくまでも暫定措置である。昨年まとめた需給見通しでも、年々医師は増えており長期的には需要と供給のバランスが取れるとしている。 しかし現場からは、医療の高度専門化で患者や家族への説明に時間がかかる、治療以外の事務仕事や研修の負担が大きい、といった声がある。妊娠や子育てで休む女性医師への対応も考えなければならない。医療訴訟が増え、丁寧な診療が求められている時代には、より多くの医師が必要になる。 日本はOECD(経済協力開発機構)の加盟国の中でも、人口当たりの医師数が最低クラスだ。このままではいけない。 厚労省は医療費を抑えるために、医師の増員には慎重だ。医療へのニーズが変わりつつある中、無駄を見直し、医療費の配分をあらためて検討したい。医師の増員も選択肢の1つになる。』 . |
| .2007.05.16 | 赤ちゃんポスト に3歳児 | ☆赤ちゃんポスト こういう使い方をされるとは 16日、読売新聞は社説で以下、論じている。 『新生児の生命を緊急避難的に救済するための施設が、無責任な保護者によって“悪用”されてしまった。きわめて残念な事態である。 熊本市の慈恵病院に設置された「赤ちゃんポスト」に、3歳とみられる男児が預けられていた。 男児は、父親に連れて来られたと話している。県警は、男児の身元を特定した上で、保護者から事情を聞く方針だ。 「赤ちゃんポスト」の正式名は、「こうのとりのゆりかご」。病院の外壁に小さな扉を設け、保育器に子が置かれるとブザーが鳴り、医師が駆けつける。 救いの手を差しのべようとしたのは、中絶せず、お腹(なか)の中で幼い生命を育(はぐく)んできた母親たちに対してである。出産直後には動揺もあろうが、後に名乗り出るよう促していく趣旨もある。 乳児ではなく幼児が預けられたのは、想定外のことだ。父親は本来、児童相談所に相談すべきだった。こうしたことが何度も繰り返されれば、運用に悪影響を及ぼすおそれもある。 「ポスト設置」にあたり、厚生労働省は児童虐待防止法や刑法の保護責任者遺棄罪などの関係法令に「直ちに違反しているとは言い切れない」との見解を熊本市に伝えた。これは、あくまでも新生児の救済を前提にした判断だった。 法的問題とは別に、「無責任な養育放棄を助長しかねない」と懸念する声は根強くある。今回の事態に、高市少子化相は「子供を産み育てることは親の責任でこれを軽視されては困る」と語った。 全国の児童相談所に寄せられる捨て子発見の相談は年間200件程度ある。警察庁のまとめによると、毎年20〜30件の嬰児(えいじ)殺しが起きている。 ドイツでは、全国80か所の病院や保育所に「赤ちゃんポスト」が設けられ、年間40人程度の乳児が託されているが、賛否は分かれている。 日本でも、今回の件だけで、スタートしたばかりの「赤ちゃんポスト」の是非は評価出来ない。 あってはならない子供の遺棄を防ぐため、子育てが困難な親を支援する様々な制度を周知させることが必要だ。 児童相談所を通じて一時的に乳児院に預け、後で引き取ることも出来る。 日本産婦人科医会岡山県支部では、子供を養育できない親と、養子を求める夫婦の仲介に取り組み、15年間に約300組の特別養子縁組を実現させてきた。 そうした制度を知らない母親にとって「赤ちゃんポスト」は、一時的な“避難所”となり得る。本来の趣旨に沿って、適切に運営されることを期待したい。』 . |
| 2007.05.07 | 頼れる医師の育成急ごう | ☆危機の北海道医療*頼れる医師の育成急ごう 6日、北海道新聞は社説で以下、論じている。 『北海道の地域医療に「赤信号」がともっている。 最大の問題は、医師が札幌に集中し、地方の医師が足りないことだ。 国が二○○四年度、新人医師に二年間の臨床研修を必修化したことで、医師不足に拍車が掛かった。若い医師は希望する医療機関で数多くの診療科を回り、基本的トレーニングを積む。 医師を養成する北大など道内三大学でも研修医が他の病院に流れている。医師の派遣要請があっても十分に応えられないのだ。事情は理解できる。 医師が大学の医局と地方病院を行き来して経験を積む時代は終わった。自治体は、大学に依存して医師を単に集めればよいとの考えを改めるべきだ。 臨床研修を利用して医師を集める工夫をしてはどうだろう。 *予防医療の大切さ認識を 後志管内寿都町にある町立寿都診療所は、保健・医療・福祉の一体的取り組みで地域医療を支えている。 多額の累積赤字を抱えた道立寿都病院が○五年四月、町立に移管した。 町は病床数を六十から十九に減らしたが、二十四時間対応可能な有床診療所として存続させた。医師は三人体制で、道立時代より逆に一人多い。 日鋼記念病院などを経営するカレスアライアンス・北海道家庭医療学センター(室蘭)が町と業務提携し、医療スタッフ十六人を派遣している。 所長の中川貴史さんは家庭医療学を学んだ「家庭医」だ。風邪から急性胃腸炎、骨折、高血圧症まで、あらゆる症状の患者に対応している。 重症度の高い患者を二次、三次の医療機関に送ることも重要な仕事だ。 残る二人の医師は研修医で、中川さんの指導の下、地域医療の実際を学びながら治療に当たっている。 力を入れているのは、介護施設や保健師と連携した予防医療の実践だ。患者の家族の様子、生活環境といった疾患の背景を探ることに腐心する。 ○五年度、国民健康保険の一人当たりの医療費を見ると、全道平均で前年度を2%上回ったのに、寿都では5%下回った。札幌など都市部の病院との多重受診が減った結果でもある。 中川さんは「医療は地域のインフラ(社会資本)です。利益は生まないけれど、なくしては困る」と話す。 町は、診療所を持って初めて、地域医療の大変さを理解した。診療所への支援は惜しまない。自治体と医療機関の連携が奏功している好例だろう。 規模は小さくても、地域密着型の医療機関が地元にある意義は大きい。 寿都の先進的な取り組みが、今後、どのように結実するか見守りたい。 *待ったなしの病院集約化 医師不足同様、自治体病院の経営問題も深刻だ。百十余りある道立、市町村立病院の累積赤字は総額千七百億円に膨らみ、自治体財政を圧迫する。 医療圏ごとに拠点病院を設け、機能と人材を集中させなくてはならない。周辺の病院には拠点病院から医師を派遣し、外来機能を残す工夫が要る。 近年、医師が辞めたり、大学に戻ったりした結果、診療科を閉鎖する病院が相次いでいる。拠点病院に医師を集めれば、医師が交代で休みを取れ、過酷な労働条件が緩和される。 集約化によって、医師が地域に定着する環境をつくることが大切だ。 自治体間の利害が絡むだろう。医療として、何を提供できて、何ができないのか、住民に十分な情報を提供し、納得してもらうことが肝心だ。 ここは、高橋はるみ知事がリーダーシップを執り、道や市町村、道医師会、三大学などでつくる北海道医療対策協議会として集約化を決めるべきだ。 同時に、医療機関の役割分担を明確にする必要がある。大学病院には、難病やがんの治療・研究といった最先端の医療分野での成果に期待したい。 民間の協力は欠かせない。夜間・休日の救急体制を確保するため、開業医との連携が検討課題だ。 ドクターヘリ体制の充実、拠点病院と地域を結ぶバスの運行など、行政の支援のあり方が集約化の鍵を握る。 *自治体病院で医師研修を 少子高齢化が進む。地域医療が赤字を生むのは構造的な問題だ。広い北海道では往診一つにしても効率が悪い。 「同一診療=同一報酬」の原則は崩せないだろうが、公益性の強い自治体病院・診療所への助成措置を政府は真剣に検討してほしい。 厚生労働省は、新人医師対象の臨床研修をすぐに見直す考えはない。 いま、医療現場では、二年間の初期研修を終えた三年目以降の研修をいかに充実させるかが問われている。 そうであれば、三年目以降は道内の自治体病院で地域医療を学んでもらう戦略を組み立ててはどうか。 大学病院と違って、自治体病院ではさまざまな疾病を臨床体験できる。 ベテラン医師と組んで地域医療を学ぶ充実したプログラムを病院側が用意すれば、若い研修医を道外からも集められるかもしれない。 自治体病院だけの力では難しいだろう。第三者機関をつくって、プログラムのあり方を検討し、全国の研修医の意向を探るのも一つの方法だ。 問題は自治体の首長や職員が当事者意識をきちんと持てるかどうかだ。 地域で安心して暮らすため、頼れる医師を育てていく方策を模索したい。』 . |
| 2007.04.25 | 「特養」以外も調査を/高齢者虐待 | ☆「特養」以外もぜひ調査を/施設内の高齢者虐待 21日、岩手日報社説では以下、論じている。 『県老人福祉協会と県立保健大学の大和田猛研究室が協力し、県内の特別養護老人ホームの職員を対象に実施した「施設内の高齢者虐待調査」の結果が公表された。 家庭内での高齢者に対する虐待の実態は、国や県、研究者などの調査によってある程度明らかにされている。 しかし、高齢者の生活をケアしている施設が、虐待の調査・公表に協力したことは、全国的にも貴重なデータを提供したと言えよう。 施設の透明性を自ら高めることは大切なことだ。こうした調査が、他の老人関係施設にも広がることを望む。 介護されている高齢者を虐待から守り権利を擁護する、いわゆる「高齢者虐待防止法」は、二〇〇六年四月に施行された。法では虐待の種類を身体的虐待、ネグレクト(介護・世話の放棄)、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待に分類、定義づけている。 調査は法施行を受けて、昨年十月から十一月にかけて実施した。九十一の特別養護老人ホームの施設長、生活相談員(介護支援専門員)、介護職員ら千百六十二人が回答した。回答率は85.1%と高く、虐待問題への関心の高さがうかがわれる。 調査結果からは、心理的な虐待やネグレクトが比較的多いことが分かった。「排せつの失敗をちょう笑したり、人前で話し恥ずかしい思いをさせた」という質問に、24.8%が「ある」「たまにある」と答えている。 頻繁にナースコールを押し続ける利用者に対して「鳴らないようスイッチを切ったり無視することがある」との回答は29.3%に上る。身体的虐待についても、質問項目によっては20%を超すものもあった。 なぜ虐待が起きるのか。「職員数が不足」「認知症を正しく理解していない」「職員のモラルや士気の欠如、不足」などが原因だとする職員が多い。 職員の半数以上は、利用者から殴られたり、つばをかけられたことがある。「夜勤で全く仮眠できず、十七時間連続勤務する」過酷な労働実態のほかに、こうした受忍しづらいことも起きる中で、職員たちは懸命に働いている。 今回の意識調査は、自由に意見を述べられるよう封入し回収、報告書には出された意見すべてを記載している。職員たちの本音が詰まっている。 県と県人権啓発活動ネットワーク協議会は、「高齢者虐待防止読本」を作成した。虐待の加害者、被害者双方に「虐待の認識」がない場合もあるため、早期発見へのサインなどを例示している。 高齢者虐待防止法は高齢者に対する虐待防止に加えて、加害者となりうる家族や施設職員など介護者への支援を、法のもう一つの柱にしている。 高齢化社会はますます進行する。人は誰でも、年をとれば介護される立場になる。人間としての尊厳を持って最後まで生きたいと誰もが思う。 高齢者とかかわっている他の施設でも同様の調査をしてみてはどうか。今回の調査が、人権意識の高まりの契機となるよう期待する。』 . |
| 2007.04.22 | 有料老人ホーム 行政のチェック強化を (秋田で「突然閉鎖」) | ☆有料老人ホーム 行政のチェック強化を 22日、秋田魁新報社説では以下、論じている。 『仙北市の民間有料老人ホームが突然閉鎖され、入居者が他施設への移動や自宅へ戻ることを余儀なくされるという、あってはならない事態が発生した。 閉鎖された老人ホームは昨年7月に開設されたばかりだった。東京に本社を置くメディカル関連企業が実質的に経営。定員80人、全室個室で県内最大規模を誇っていた。しかし、施設職員への給料不払いなどにより、退職者が相次ぎ、運営が困難な状況に陥ったという。 施設閉鎖時の入居者は32人だったが、突然退去を迫られたお年寄りや家族の気持ちはいかばかりだろう。やり場のない怒りが込み上げているのではないか。基本的に業者と入居者の契約にかかわる事項とはいえ、お年寄りたちの今後の生活も含め、行政が問題解決に積極的にかかわっていくべきである。 かつて有料老人ホームは、健康な高齢者がついのすみかとして入居するイメージが強かった。しかし、介護保険導入以降、実態は大きく変化した。要介護者を対象に居住空間と介護サービスを提供する施設が全国に次々と開設されているのだ。数百万から数千万円と高額だった入居費用も、競争激化を受けて低く抑えた施設が増えている。 厚生労働省によると、平成17年の全国の有料老人ホームは1406施設。前年に比べ361施設、34・5%増加した。介護保険法施行前に比べると5倍近い。異常とも思えるほどの増え方だ。 その流れは本県にも及んでいる。かつて県内には数えるほどしかなかったが、マンション型を含め現在は13施設に増加。このうち県外資本は今回閉鎖された施設だけ。他の12施設はいずれも県内資本(うち1カ所は県の設置)で、経営面ではおおむね良好という。 介護保険導入以降、介護ビジネスへの民間企業の参入が相次ぎ、県内でも介護支援センター、ケアサービス、デイサービスなどの名称を付けた事業所が急増している。問題は事業者の間で、お年寄りをケアするという福祉の精神がどれだけ徹底されているかという点だ。単に利益を出すビジネスとしての視点で介護事業が運営されるようなことがあってはならない。それは有料老人ホームも同様だ。 有料老人ホームの開設には許可は必要なく、原則として経営計画、資金計画などを県に届け出るだけでいい。事前の協議は行われるが、書類に不備がなければ問題はない。しかし、その結果が今回のように開設から1年もたたないうちの施設閉鎖だ。制度上、企業の経営の内情まで踏み込むことはできないにしろ、未然に防ぐための手だてが必要ではないか。 国は昨年4月、老人福祉法を改正。人数要件の廃止など有料老人ホームの定義を変更、入居一時金の保全のほか、求めに応じた財務諸表開示など情報公開の徹底を打ち出した。 これを受け、県も昨年6月に県有料老人ホーム設置運営指導指針などを改正しているが、これまで以上に行政のチェック機能を強め、入居するお年寄りたちの保護と安全・安心な生活の確保を第一とした取り組みが求められる。』 . |
| 2006.04.16 | 権限の活用図れ | ☆強化した権限の活用図れ 介護事業所監査 16日、西日本新聞は以下論じている。 『介護サービスの質を維持・向上させるには、事業者が適正にサービスを提供しているか点検することが欠かせない。 その役割を担うのは行政である。昨年4月に全面施行された改正介護保険法によって、事業者に対する都道府県や市町村の指導監督権限が強化された。 事業所や施設に対する立ち入り権限が明記されたほか、従来は都道府県などによる指定の取り消しだけだった行政処分に、業務の改善勧告や勧告に従わない場合の改善命令などが加わった。 都道府県知事が介護サービスの指定事業者の不正を認めた場合でも、指定取り消しを行うまでに一定の期間を要するため、その間、事業者が不適正なサービス提供を行い、不正に介護請求しても止める手段がなかったという。 そのため、「人員」「設備」「運営」について基準違反が見つかれば、ただちに改善勧告などができるようにしたと、厚生労働省は説明している。 法改正によって、事業者の指定について有効期間(6年間)を設け、指定の更新制が導入されたことも大きい。更新時に、基準に従って適正な事業を運営することができないと認められるときは、指定の更新を拒否できることになった。 行政は強化された権限をうまく活用して、事業者がきちんとサービスを提供しているかチェックしてもらいたい。 東京都がコムスン、ニチイ学館、ジャパンケアサービスの訪問介護大手3社に対して業務改善勧告をした。 都は、訪問介護などを行っているコムスンの186事業所、ニチイ学館は33事業所、ジャパンケアサービスでは30事業所の検査を実施した。 その結果、3社とも人員などに関する基準に違反する事実が一部にあり、該当事業所に対して改善を勧告した。 特にコムスンでは都内の3事業所で、常勤のヘルパーが確保できていないのに実際に勤務しているなどと虚偽の指定申請をしていたことが明らかになった。 厚労省によると、広域で展開する大手の事業所の不正が一斉に発覚したケースは初めてだという。 このため、厚労省は全都道府県に対し、広域で事業展開する指定訪問介護事業所が虚偽の指定申請がないか、速やかに監査するように通知した。 当然だろう。在宅で訪問介護などを受けている受給者は258万人(2005年度の1カ月平均)に上る。だが、個々の受給者には、自分が受けているサービスが適正かつ十分なものなのか、判断が難しい面もある。この際、行政が事業者がルールを守っているか点検することは利用者の安心にもつながる。 人口の高齢化が進む中で、介護サービスに対する需要が急増している。悪質な事業者を排除し、サービスの質を今まで以上に高めていく必要がある。ここは行政の一層の努力を求めたい。』 . |
| 2007.04.13 | 訪問介護不正、行政の責任 | ☆訪問介護不正 量を優先した甘い行政の責任 13日、読売新聞は社説で以下、論じている。 『介護保険制度への信頼を損なう不祥事だ。 訪問介護事業の大手3社が東京都の監査を受け、業務改善勧告を受けた。ほかにも不正はないのか。厚生労働省 が訪問介護事業者の一斉監査を都道府県に通知したのは、当然の措置だ。厳格な調査と処分を早急に行う必要がある。 大手3社の中でも、特に問題が多かったのが最大手の「コムスン」だ。 コムスンは、銀座など都内3か所に訪問介護事業所を新設する際、法律で定められた常勤ヘルパーがいないのに、勤務しているかのような書類を届け出て、都の事業所指定を受けていた。都は3事業所が受給した介護報酬4300万円の返還を求めている。 これだけにとどまらない。監査を受けた都内186事業所の約8割で、ヘルパーの不足や介護報酬の過大請求など、不正を含む問題行為が見つかった。 都は悪質な虚偽申請をしていた3事業所については、指定取り消し処分を内定していたが、手続きに入る直前にコムスンは3事業所の廃業届を出し、処分を逃れた。業界大手としての責任の自覚を欠いた行為だ。 介護保険は、サービスの担い手を確保するために、営利目的の民間事業者の参入を認める形でスタートした。行政は、質よりまず量を優先し、悪質な業者はいないとの前提に立って、甘い指導を行ってきた。 この姿勢は改めるべきだ。2000年に始まった介護保険制度は草創期をとうに過ぎ、肥大化している。事業者の質を厳しく問うべき段階だろう。 介護保険の総費用は07年度予算で7兆4000億円に上り、初年度の2倍以上に膨らんだ。安易なサービス利用の増加が要因とも指摘されているが、介護事業者の過大請求や、過剰サービスの誘発行為も相当あると疑わざるを得ない。 それは結局、保険料の引き上げや税金投入の拡大となって、国民にのしかかってくる。 一方で、介護保険料の負担を40歳未満にも求めると同時に、給付対象を若年障害者などにも広げよう、との議論が制度発足時から続いている。 介護保険を「全世代型」に拡大することは、財政基盤の改善にはつながるかもしれない。しかし、不正を放置したままでは、新たに負担を求められる年齢層の理解はとても得られまい。 厚労省と全国の自治体は、まず悪質な事業者を一掃しなければならない。介護保険の制度的見直しは、それが出来てからの話であろう。』 . |
| 2007.3.22 | リハ制限見直し | ☆医療と介護の連携を密に リハビリ制限 22日、西日本新聞社説は以下論じた。 『導入してわずか1年で、異例の見直しを迫られることとなった 「患者切り捨て」と患者団体などが白紙撤回を求めていた公的医療保険で受けられるリハビリの疾患別に設けられた日数制限について、厚生労働省は4月から緩和する方針を打ち出した。 医療費を抑制するため昨年4月の診療報酬改定の際に、急性期から回復期までのリハビリは医療保険で、その後の維持期は介護保険へと移行させた。 だが、リハビリの効果は人によって異なる。それを一様に制限したため、症状が悪化した患者も少なくない。行き場を失った「リハビリ難民」もいる。制度を見直すのは当然だろう。 厚労省の調査で、医師から改善の見込みがあるとされながらも、日数制限でリハビリが打ち切られていた患者が1割近くいたことが分かった。 さらに、医療保険でのリハビリ終了後は65%が自宅で過ごしていたが、介護保険のサービスを紹介された患者の47%はリハビリを続けていなかった。 介護の現場に目を向ければ、専門スタッフの不足など体制が不十分であることは明らかだ。個別のリハビリが行われていないとの批判の声も上がっている。 この調査で、あらためて病院から在宅復帰へ至るまで一貫したサービスが提供されていない実態が浮き彫りとなった。 リハビリの日数制限で症状が悪化すれば、患者の生きがいを奪うことになりかねない。リハビリは、患者1人1人の回復の程度を考慮しながら、個別に対応していくことが重要だ。 今回の制限緩和では、心臓病などで改善が見込まれる患者が新たに制限の対象外となる。一方で、医師が必要と判断した場合や、機能維持のためのリハビリは医療保険が利用できるようになった。 これによって、患者は必要なリハビリを適切な場所で受ける可能性が高まるため、「リハビリ難民」の減少につながることが期待されている。 ただ、「改善の見込み」や「医師が必要とする」判断基準は、はっきりとは示されていない。これでは、医療現場に混乱を招く恐れもある。患者側にとっても、これまでの不安を解消される内容とは言い難いだろう。 無駄な医療費を省くためには、早期リハビリに重点を置き、期日内で効率よくリハビリを実施することが大事だ。しかし、リハビリを行うことで健康を取り戻しつつある患者たちの思いを、踏みにじるようなことがあってはならない。 今後は、現場の実態を直視し、医療と介護の連携を一層密にしていく必要がある。在宅リハビリの充実を図るためには、作業療法士などを増やすことが喫緊の課題といえる。 リハビリの日数制限が緩和されるのを機に、患者本位の医療・介護のあり方を抜本的に見直したい。』 |
| 2007.03.21 | 集約化で医療の確保 | ☆産・小児科医不足 集約化で医療の確保を 21日、秋田魁新報は以下論じている。 『県内の公的病院で産科と小児科の医師不足が深刻化し、医療確保の上で由々しき事態に陥っている。特に医師不足が顕著な産科について県は、2次医療圏を再編統合し、医療資源の集約化・重点化を進めるという。医師を増やすという本質的な解決策ではないが、当面の医師不足解消策として、そうした方策に力を入れるべきだ。 産科医や小児科医の減少は本県に限ったことではない。産科医に関しては、激務と医療過誤の訴訟の多さが敬遠される理由とみられている。さらに本県の場合、地方病院への産科医派遣を担ってきた秋田大付属病院自体が医師不足に陥り、県北などの病院にしわ寄せが生じ、極端な偏在を招いている。 県によると、出産を扱う県内の医師数は昨年9月時点で5年前に比べ9人減少、医療施設も9施設減った。特に県北では11施設から6施設とほぼ半減、子どもを産もうとしている県北の女性たちの悩みは深刻だ。 小児科に関しては、医師数が極端に減っているわけでなく、公的医療機関などで働く勤務医の減少による偏在が問題となっているといえる。もともと常勤医が不足気味だった地方病院の小児科では、過酷な労働環境を敬遠して開業する医師が増加した。それがまた労働環境悪化を招くという悪循環に陥っているのが実情だ。 産科・小児科の医師不足を一挙に解消する手だては、残念ながら見当たらない。解決策の一つとして検討されているのが医療資源の集約化・重点化である。患者にとっては交通の便などに不安も残るが、医療の質の確保や過酷な医師の労働条件改善などは図られるであろう。医師確保が容易でない現状からすれば、集中化のメリットに期待したい。 19日開かれた県の地域医療対策協議会では、産科医不足が深刻な大館・鹿角と鷹巣・阿仁の2次医療圏を一つに、横手・平鹿と湯沢・雄勝も同様に一つの2次医療圏にし、公的医療機関の医療資源を中核病院に集約する方針が了承された。 具体的には、大館市立総合病院(大館市)と平鹿総合病院(横手市)にハイリスク分娩(ぶんべん)に対応できる高度な周産期医療体制を整備することなどである。 小児科に関しては2次医療圏の再編は現時点では行わないものの、男鹿みなと市民病院(男鹿市)と湖東総合病院(八郎潟町)の入院機能を秋田組合総合病院(秋田市)に段階的に集約することにしている。 医療は本来、患者の視点で整備されるのが基本だ。産科、小児科いずれにしろ、地域で十分な医療が受けられることが理想ではある。しかし、昨今の医師不足の深刻さを考えれば、2次医療圏の再編統合などによる医療資源の集約化・重点化も致し方ないところだ。 集約化・重点化の最大の課題は、他の病院や開業医との連携をいかにスムーズにするかだ。特に、ハイリスク出産時の母子や子どもの救急時の搬送体制が最も問題となる。患者が不利益を被ることがないよう、県や地元市町村と医療界が十分に検討を重ね、連携体制の充実を図る必要がある。』 |
| 2007.03.18 | リハ見直し当然 | ☆リハビリ 制限の見直しは当然だ 18日、信濃毎日新聞は以下論じている。 『公的医療保険で受けられるリハビリ治療の日数制限を、厚生労働省が見直すことになった。 リハビリ中止で症状が悪化した患者もいた。一律制限は問題の多い対応だった。見直すのは当然である。 厚労省は昨年四月、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの患者が公的医療保険で受けられるリハビリを、発症後九十-百八十日までと制限した。代わりに一日の上限を従来の一・五倍とし、早期リハビリを充実させる方針だった。 効果や目的がはっきりしないリハビリが長期間行われているとの指摘を受けての対応だ。制限日数を超えた部分は、介護保険でカバーするというのが厚労省の方針だった。「改善が見込まれる場合」との条件付きで一部は延長も認めてきた。 患者にとっては、命にもかかわる問題だ。重度の神経難病などは「改善」が見込まれなくても、訓練を受けなければ症状は悪化する。 東京保険医協会の調査では、日数を超えたため、リハビリを中止して症状が悪化してから訓練を再開したり、病名を変えてリハビリを続けた事例も報告されている。 機能維持は介護保険で、といっても、介護施設では病院のような個別リハビリを受けられない。しかも、四十歳未満の若年層は介護保険の対象になっていない。 通常、二年に一度の診療報酬改定の途中で見直しを迫られたのは異例のことだ。実情をみれば、もっと早く日数制限を撤廃し、再検討するべきだった。 改定では、心筋梗塞や狭心症などで改善が見込まれる患者が、あらたに制限対象外となる。それ以外でも医師が必要と判断した場合や、維持機能のためのリハビリは、医療保険の対象になる。 生活の質を高めるためのリハビリは欠かすことができない。「改善する見込み」の判断にはあいまいさが付きまとう心配もあるが、患者のメリットを優先した弾力的な判断をすべきだ。 ただし、これで昔に逆戻りではいけない。今回の反省を生かすならば、介護保険施設でのリハビリ訓練を充実させたい。病院のリハビリ機能にも地域や施設で差がある。専門家を増やす必要があるだろう。 同時に、医療費の無駄は無くしていかなくてはならない。 長期的に考えれば、寝たきりを増やさず、患者が自立できるよう支援するのが医療の目指すべき方向だろう。高齢化時代に対応した、効果的なリハビリの在り方をあらためて考えたい。』 |
| 2007.03.15 | 療養病床削減 | ☆高齢者を犠牲にするな 15日、沖縄タイムス社説では、以下を論じている。 『診療報酬の引き下げが、介護を必要とする患者にこれほど影響を及ぼすことを国は承知していたのだろうか。 県内の療養病床への入院患者のうち、病床削減の対象になった患者が二〇〇六年十月現在で七百三十人いたという。同年七月の県医師会調査では千三百九十八人だった。わずか三カ月で半減したことになる。 「診療報酬マイナス改定の影響で、施設が退院を促した結果」(松岡政紀県療養病床協会会長)と見ていいが、介護型の全廃で退院させられる患者も六百十四人おり、合わせて千三百四十四人に上る。 国の施策が介護難民を生み出す実態を浮き彫りにしたのは間違いない。 療養病床を持つ五十九施設への区分調査では、医療型病床二千九百三十一人のうち医療ケアの必要性が低い「区分1」が七百三十人(24・9%)。透析や気管切開が必要な「区分2」は千四百七十五人(50・3%)だ。二十四時間体制で医療管理を要する「区分3」は七百二十六人(24・8%)いた。 県によると、「区分1」が全国(36・8%)に比べて低いのは「重症患者が多いため」だという。 だが、それにしてもなぜ「区分1」がこれほど短期間で半減したのか。細かく検証する必要がある。 医療型施設関係者は「区分1の診療報酬が約半分に改定され、病院経営が苦しく患者を退院させなければならない」と理由を述べている。 同施設は退院後の行き先として老健施設や“宅老所”を紹介している。だが「適切な医療ケアを受けられず、重症化して一般病床に戻るケースも相次いでいる」という。 であれば、似たケースはほかにもあるのではないか。診療報酬の問題はここに集約されてくるからだ。 昨年の県医師会調査では、療養病床に入院している高齢者の半数が介護施設や在宅への移行対象だった。 しかし「在宅」にするにも、共稼ぎ家庭の多さを考えれば介護に十分手を割けない。常時ヘルパーを利用する金銭的余裕もない。介護力の弱さは明白であり、在宅医療に頼り続けるわけにはいくまい。 介護保険施設もいっぱいで受け入れ先が少ないという現状は、対策が未整備のまま国の施策だけが先行した結果と言うこともできよう。 県は「地域ケア整備構想(仮称)」を〇七年中に策定するという。地域での高齢者介護や見守り体制をどう築くのか。大切な問題であり、先送りは許されない。高齢者の安心のためにもケア体制の整備に全力を注ぎたい。』 .. |
| 2007.02.22 | 看護師争奪のシナリオ | ☆看護師争奪のシナリオ 宮崎日日新聞 21日、宮崎日日新聞社説では以下、論じている。 『院長「給与を上げたり託児所を設けたりしたら病院は倒産してしまう」。看護師「50床に2人の夜勤では体が持たない」。こんな論争が県内の病院で繰り広げられている。 昨年の春から診療報酬が改定され「患者10人に看護師1人」から「患者7人に看護師1人」へ看護師を増やすと、報酬点数が上がる仕組みが導入された。患者にとっては手厚い看護を受けられるし、病院は収入が増える―といういいことずくめの改定のはずだった。 いきおい、収入を増やそうと大病院は看護師争奪に走った。看護師も待遇や福利厚生が整う病院が良いに決まっている。準備金を用意して求人活動を行っている県外の病院も多い。「7対1」を届け出た県内の病院は20病院に上った。 県内のある看護学校では昨春、地元残留率が卒業生の1割以下だった。地元の病院や医師会の協力はむなしいばかり。公的病院は赤字を税金で補てんする。しかし、経営の厳しい県内の民間病院が看護師を大学病院並みの待遇で迎えるとなると倒産は必至だろう。 現場の看護師は「看護が冷遇されてきた。夜勤は今も足りない」と改善につながったことを評価している。200床以上の病院を経営する医師は「“争奪ドミノ”が地方に及んでいる。このままでは地域医療は崩壊する」と警鐘を鳴らす。 公的病院は慢性赤字に苦しみ、民間病院は公的病院や都市部へ人材を奪われる。看護協会と医師会の対立構図を描き、競争原理によって病床を減らそうというシナリオが厚労省にある―と深読みする関係者もいる。事実は小説より奇なり。』 |
| 2007.02.19 | 介護予防? | ☆介護予防 保険制度存続の鍵握る 19日、秋田魁新報社説では以下、論じている。 『昨年4月の介護保険の見直しで地域包括支援センターが新たに制度化され、全国で設置が進んでいる。県内でも4月には全市町村にそろう予定だ。介護を必要とする状態になるのを防ぐ、いわゆる介護予防を目的とした支援センター。その機能を十分果たせるかどうかが、介護保険の存続・維持に大きくかかわってくるだけに、運営には万全の態勢で臨みたい。 支援センターは、介護予防の拠点として要支援者らに予防ケアプランを作成し、運動機能向上や認知症予防に効果のあるサービスを提供する。高齢者の総合的な相談窓口の機能も併せ持ち、地域ケアや権利擁護なども含めた包括的な支援を行うことを目的としている。市町村が設置するが、事業者に委託することもできる。 県内には現在、19市町村に25カ所の支援センターが整備されている。残る6市町村でもこの3月末までには設置される見込みで、4月からの活動本格化に期待がかかる。 数年後には日本一の高齢化県になると予測されている本県。お年寄りが増えれば、介護や支援を必要とする人も増加する。県の調査では、介護保険制度がスタートした平成12年4月の要支援・要介護者数は県内で約2万9000人だったが、昨年8月には倍近い約5万6000人に増加した。 対象者が増えれば、当然給付費が増加する。事実、17年度には県内6つの市町村と1広域市町村圏組合の7保険者が介護サービスの需要拡大などで財源不足に陥り、県の基金から補てんを受けた。この傾向はさらに強まると予想されている。 介護保険の財政悪化は本県だけの問題ではない。全国でも給付費は毎年2けたの伸びを示しており、事態は深刻だ。この現実をしっかりと認識しなければならない。 問題は、膨れ上がる給付費をどうするかである。このままでは介護保険制度の存続まで危ぶまれる。昨年4月の制度見直しで、国が介護予防を重視したシステムへの転換を図ったのも、比較的元気な高齢者の自立生活を維持・向上させることで給付費を抑制、介護保険の維持を図ろうという狙いからだった。 新制度がスタートしてから間もなく1年。現場では、問題点も少なからず見えてきている。支援センターには保健師、社会福祉士らが配置されているが、人員不足のため、介護予防プログラムが必要とされる特定高齢者の把握がなかなか進んでいないという。人員増など態勢の充実を図るべきだ。 さらに支援センター運営上で懸念されるのが中立性確保の問題だ。サービス事業を特定の事業者が独占することがないような態勢づくりが求められる。支援センターには、関係団体、被保険者、サービス事業者らで構成する運営協議会が設置されている。協議会の監視機能が中立性確保のポイントとなる。 制度がスタートしてまだ日が浅く、しばらくは手探り状態が続くであろう。今後、課題や問題が出てくることも想定される。介護保険存続のためにも支援センター機能を強化し、運営を軌道に乗せることが重要だ。』 |
| 2007.02.18 | 介護放棄死 | ☆[介護放棄死]「悲劇の背後にある家族の崩壊」 18日、読売新聞は社説で以下、論じている。 『介護放棄による家庭での悲惨な事件が相次ぐ。その原因や背景を究明し、未然防止策を考えなければならない。 広島市で寝たきりの60歳男性が衰弱死し、妻と息子2人が先月、殺人容疑で逮捕された。大阪市でも、寝たきりの61歳の女性が死亡し、夫と長男、長女の3人が保護責任者遺棄致死の疑いで書類送検された。難病で療養中だった63歳の夫を餓死させたとして、妻が逮捕される事件も起きた。 いずれも、「老老介護」で追い詰められた末、といった例とは事情が異なる。生活にそれほど困窮していたわけではない。調べに対し、当事者らは「介護が面倒だった」などと供述している。まさに「家族の崩壊」が生んだ事件だ。 広島の男性は、病院の治療や十分な食事も与えられず、発見時、体重32キロまでやせ細っていた。そのまま放置すれば死に至るかも知れないと思いつつ、介護しない。「未必の故意」による、異例の殺人容疑も、そうした事情のためだろう。 三つの事件とも、家族が公的なサービスを利用しようともしなかった。 広島の男性は、脳出血の後遺症から、要介護3に認定されていた。だが、妻らは、福祉施設のデイサービスを昨年夏に打ち切った。施設への入所も可能だったが、市に相談していなかったという。 大阪の二つの事件では、介護認定されるのが確実だったのに申請すらしていなかった。家庭が地域から孤立して密室状態にあり、行政との接点も欠いていたことが一因、とみられている。 いずれも極端な例には違いない。だが、介護放棄死につながる“芽”は全国的に広がっている。2003年度に 厚生労働省が行った家庭内の高齢者虐待の全国調査によると、虐待された1990人の半数以上が介護放棄を経験し、1割以上が生命にかかわる状態だった。 昨年4月施行の改正介護保険法で、虐待の防止や早期発見を市町村の義務とした。同時施行の高齢者虐待防止法では、虐待発見者に通報を義務づけ、市町村に家庭への立ち入り調査権限を与えた。 児童虐待と同様、それを発見するのは簡単なことではない。事件の予兆を早く察知するための体制づくりが肝要だ。 埼玉県和光市は、65歳以上の市民全員に健康状態などの質問票を郵送し、回答のない家庭には、民生委員らが訪問調査している。神奈川県横須賀市は、高齢者虐待防止センターを設けて専門の保健師を配置し、相談を受け付けている。 行政が民生委員や町内会、警察などとネットワークを作り、問題家庭に手を差し伸べていかなければなるまい。』 |
| 2007.02.06 | 製薬業界再編の第2幕が開くか | ☆[田辺・三菱合併]「製薬業界再編の第2幕が開くか」 6日、読売新聞社説では以下を論じている。 『競争が激しい製薬業界で、再編劇の第2幕が開こうとしているのではないか。 業界9位の三菱ウェルファーマと11位の田辺製薬が、10月に合併する。合併新会社「田辺三菱製薬」の売上高は、約4000億円となり、6位に浮上する。 勝ち残りを狙う業界再編の第1幕は、2005年だった。 三共と第一製薬が経営統合し、2位の第一三共が誕生した。山之内製薬と藤沢薬品工業も合併して、3位のアステラス製薬となった。首位の武田薬品工業とともに、「3強」と言われる。 だが、三菱ウェルと田辺は、大再編の波に取り残された。合併合意は、出遅れへの危機感の表れだろう。 両社は、経営基盤を強化して、新薬開発や、市場が成長している海外での展開に弾みをつけるという。 一つの新薬の開発費は約500億円に膨らみ、開発期間も長期に及ぶ。田辺三菱は、ニーズに対応した新薬を生み出せる研究開発力のテコ入れが必要になる。海外での売上高の比率が1割に満たない弱点の克服も、急がねばならない。 しかし、新会社の売上高は武田の3分の1で、世界では30位前後だ。株式時価総額は、世界首位の米ファイザーの23兆円に対し、武田でも7兆円だ。世界と日本勢との経営体力の差は大きい。 企業再編を促進する手段として、三角合併が5月に解禁される。株式時価総額が大きい製薬外資がこれを利用して、日本の製薬会社にM&A(企業の合併・買収)を仕掛けるとの観測もくすぶる。 国内には、大手から中堅・中小まで、約1000社の製薬会社が乱立するが、経営環境の厳しさは共通の悩みだ。 政府は、医療費抑制のため、特許切れの安い後発医薬品の普及を促すとともに、薬価の引き下げを進めている。こうした圧力が続く一方で、外国製品の販売が伸びている。業界には二重苦である。 国内各社は、どう生き残るのか。得意分野の医薬品に集中したり、後発医薬品を伸ばすなど、明確な戦略の構築を迫られる。高成長が見込まれる海外展開を加速し、活路を開くことも必要になる。 ただ、競争が過熱する中で、内外のライバルと自力で競うのが難しい企業も出てくるだろう。とくに、国内市場への依存度が高い製薬会社は、業績の低下に苦しむ恐れがある。 勝ち残り、生き残りへ新たな合従連衡もありうる。一部は、大手や外資の傘下に入ることも選択肢となるだろう。 田辺三菱製薬の誕生は、業界の厳しい経営環境を改めて浮き彫りにした。』 |
| 2007.02.02 | 産科医療の現状を問う起訴猶予 | ☆[無資格助産]「産科医療の現状を問う起訴猶予」 2日、読売新聞は以下論じた。 『産科医療の現状を問いただす判断だろう。 横浜市の産婦人科「堀病院」が、助産師資格がない看護師や准看護師に助産行為をさせていた事件で、横浜地検は元院長らを起訴猶予とした。 横浜地検は「処罰は相当でない」とした理由として、背景にある「産科医療の構造的問題」を指摘している。 医療現場では助産師不足が深刻だ。多くの産科で助産師が確保できず、看護師が無資格のまま助産行為をしているのが実情である。厳密に違法性を問えば、産科医は続々と摘発されるだろう。 無論、堀病院には問題がある。年間約3000人もの分娩(ぶんべん)を手がけていたのに助産師は6人しかいなかった。 これほどの規模の産科には通常、数十人の助産師が要る。大都市にあって「出産数日本一」と宣伝する著名病院が、助産師を集めようとして集まらなかったとは思えない。 だが、問題の根源をたどると、制度とその運用の不備に行き着く。厚生労働省は検察から厳しいボールを投げ込まれたと受け止めるべきだ。 今回の事件で、直接の問題となったのは、看護師が「内診」を行っていたことだ。陣痛が始まった女性の子宮口の開き具合などを調べる助産行為である。 日本産婦人科医会は「内診は診療の補助に過ぎず、医師の指示で看護師が行える」と解釈していたが、2002年に厚労省は「医師か助産師でなければできない」と通知した。 しかし、現実には、従っていない産科医が多いと見られる。 助産師は全国で約2万6000人いるが、日本産婦人科医会の調査では、必要数に7000人近く足りない。 この状況では、通知を必ず守れというのは難しい。厚労省も実態を知りつつ黙認してきたのではないか。 解決の近道は、意欲ある看護師が助産師の資格を取りやすくすることだ。働きながら資格がとれるように、夜間の助産師養成所を作る必要がある。 資格を持ちながら職を離れている「潜在助産師」が3万人近くもいる。人材バンクや再研修制度を整えるなどして復職を促すのも大事なことだ。 こうした増員策の効果が出るまでは、危険度の少ない助産行為を看護師に認めることを検討していいのではないか。現実に即したルールにすべきだ。 助産師の体制が充実すれば、通常のお産は助産師、難しいお産は産科医、という分担も進むだろう。 産科医療全体を見直す契機である。』 |
| 2007.01.31 | 介護放棄 未必の故意で殺人とは | ☆介護放棄 未必の故意で殺人とは 31日、中国新聞社説では以下を論じている。 『脳出血で倒れた。寝たきり状態で言葉もうまくしゃべれないまま退院する。ところが帰った自宅で妻にも息子にも世話をしてもらえなくなり、長い間ほったらかしにされたら…。悲惨な事件が広島市安芸区で起きた。 動けない夫(60)に食事も与えないなど放置して死亡させたとして妻(63)と、同居の長男(36)、二男(31)が逮捕された。保護者遺棄致死ではなく、未必の故意による殺人容疑だからショッキングだ。 自宅には車いす用のスロープが設けられ、介護ベッドも置いてあった。退院後は週三回、デイサービスに通っていたという。最初から放っておこうと思ったのではあるまいが、なぜこんなことになったのだろう。 夫の収入が途絶えて経済的に追い詰められ、心の歯止めを失ったのか。家族間の心理的な葛藤(かっとう)があったのか。それ以上に、こうなるまでになぜ家族の誰もがSOSを出せなかったのか。 警察や市は、丁寧に「なぜ」を解きほぐしてほしい。そこから事件の再発を防ぐヒントを探らなければならない。 一つ注目したいのは、現場で介護サービス計画を立てるケアマネジャーの役割だ。 事件のあった家では、デイサービスをやめた時点で「外の目」が入らなくなった。しかしデイサービスをやめて、ほかの施設にも行っていない―とケアマネが把握できていれば、外からのウオッチングを地元の民生委員に頼めたかもしれない。 ケアマネにもっと「権限」を与えて外から要介護者を守るシステムが考えられないだろうか。 併せてケアマネには、内から虐待を抑えることも期待したい。それは「どん詰まりになる前に相談を」と家族の心に届くように伝えることだ。問題がはっきりすれば福祉ネットワークを生かした解決の可能性も見えてこよう。 独居よりは同居老人の方が幸せなはず、との思い込みが社会にある。「むしろ逆」と現場に詳しい専門家は言う。家族がいると周囲は安心し遠慮する。中でひどい虐待があってもなかなか救えない。 ただ国の医療制度改革(療養病床三十八万床の60%削減など)が進めば、自宅で寝たきり状態の人を介護する家族はますます増えていくだろう。 暗示的な事件を前に、どうすれば「同居の不幸」を繰り返さずに済むかが問われる。』 |
| 2007.01.18 | 看護師・介護士受け入れ | ☆フィリピン人看護師・介護士 安心できる労働環境を 18日中国新聞は社説で以下論じている。 『看護師や介護士など、医療・福祉の職場で働くフィリピン人の受け入れが、新年度にも始まる。厚生労働省は、日本人従事者と同等額以上の報酬を使用者側に求めるなど、指針案をまとめた。国内で働く外国人の労働条件を改善するうえで、大きな前進である。 少子高齢化が進む中、介護などの担い手として外国人労働者が将来は不可欠となるだろう。昨年秋に結んだ日本とフィリピンとの協定で、今後二年間で看護師四百人、介護福祉士六百人を受け入れることになっている。安心して働ける環境づくりを進めたい。 指針案ではまず、受け入れ窓口として、海外の医療福祉の人材研修機関である国際厚生事業団を指定。病院や介護施設からの受け入れ希望と、フィリピン側の求職者とを調整し、雇用契約を結んだうえで入国する形をとる。 これまで外国人労働者は、あいまいな労働契約のため、低賃金などでトラブルの原因となるケースも少なくなかった。それだけに透明性確保のため、使用者側に徹底した報告を義務付けている。違反への罰則を含め、実効性のある対策を講じるべきだろう。 言葉の壁の問題もある。最初の半年間は日本語研修を受け、その後病院や介護施設で研修をしたうえで就労する。レベルを保つため看護師で三年以内、介護福祉士で四年以内には日本の国家資格取得をめざす。資格が取れれば、無期限に日本で働くことができる。住まいや子弟の教育など、地域での受け入れ態勢も考えておきたい。 看護師はチーム医療の中核でもあり、症状の聞き取りなどコミュニケーション能力がとりわけ重要だ。受け入れ施設に、実習指導者がいることなどを要件としているのは当然だろう。今でも国内で就労していない看護師が約五十五万人と推計され、職場環境の改善が先決という指摘もある。 介護福祉士の場合も、生活習 |